つがいなんて冗談じゃない

ちか

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庭園

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 あまり眠れた感じがしないまま朝を迎えた。朝食のための支度を終えるとまたギルフォード殿下が迎えに来ていた。どうやら毎回エスコートされるらしい。


 朝食を食べながら彼に

「あのっ!この世界のことやこの国のことを学びたいんですけど、この近くに図書館ってありますか?」

「図書館ですか?それに学びたいとは?」

「えーと。わたしこの世界のに来たばかりで、この国のことも何も知らないので、少しでも早く馴染むために色々と学ばなきゃいけないと思ってそれで勉強するなら図書館かなと思いまして」

「そうですか。でもミオ様そのようなことをされなくても大丈夫ですよ。急がずともこの国でお過ごしになっていればおのずとお知りになっていけますよ。わざわざ勉強などという苦労も大変な思いもしなくて大丈夫ですよ。それよりも本がお読みになりたいなら何か、人気の小説でも後で届けさせましょう。本日は我が家自慢の庭でお茶でも楽しまれたらいかがでしょうか?」


「えっ……はい……わかり……ました。ではそうさせてもらいます」

 えっ?働かなくていいみたいには言われていたけど、勉強もしなくていいって何?少しでもこの世界や国のことを知りたかっただけなのに……勉強もダメなの?何それ?この先、わたし何をしたらいいの?

「今の時期、我が家の庭園は何が咲いていたかな?たまにガーデンパーティーなんかも開くのですが、その時によくみなさまに褒めていただけるんですよ。きっとミオ様にもお気に召していただけると思いますよ」

「えっ、えぇ楽しみです」

 わたしはなんとか返事をしたが、うまく笑えた気がしなかった。

 朝食後、またエスコートで部屋まで戻り、今度はギルフォード殿下が出勤すると言うのでお見送りをする。

 エントランスで執事や使用人の人たちと一緒に彼に行ってらっしゃいませと言った。すると彼はわたしの頬にキスをして行って来ますと仕事に向かった。
 慣れないキスに顔が熱くなった。少しの嫌悪感と恥ずかしさとで落ち着かなくてなんとなく袖で拭ってしまった。

 その様子を使用人に見られていると思わずに。



 そして庭園に案内してもらった。

 確かに庭園にはさまざまな花が咲いていた。生垣なども綺麗に剪定されていた。あれは薔薇かな?薔薇で出来たアーチなんかもあった。少し行ったところには開けた場所があって、ガゼボが設置されていた。
 そこに腰掛けるように促されるとどこからともなく、ティーセットが現れてあっという間にセッティングされた。

 庭園はたくさんの花が咲いていて綺麗だった。緑も目に優しいし。でも、今のわたしには心から楽しめない。

 まださっきのことがわたしの中で消化出来ていないのだ。


 帰れないこと、家族に会えないことはまだまだ辛い。だけど少しずつでも学んで、この世界や彼にも歩み寄って行けたら……そのための努力をわたしもしなくてはと思った。

 だからまずは勉強だと思ったのに……ううん、きっと何か他にわたしが出来ることが何かあるはず。

 これだけ良くしてもらっているんだからわたしも頑張らなきゃ、文句なんか言ったらバチが当たる。
 


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