ある日、僕は全知全能になった。

暁月ライト

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全知全能と考察

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 目を覚ました僕は、家の前に立っていた。

「う、ぇ……」

 僕は体の中の違和感に吐き気を催した。

「なにこれ、凄い気持ち悪いんだけど……ユモン、知らない?」

『意識は寝てたのに、体は起きてた差で気持ち悪くなってるだけだろ』

「そういうこと……」

『ま、アイツらは片付けといてやったから。暫く寝とけよ』

 僕は頷き、家に入ってお母さんと軽く話して部屋に駆け込んだ。それから直ぐに着替えて、僕はベッドにダイブする。ダメだ。もう、眠い。耐えられない。

「そうだ……ユモン。殺したり、してないよね?」

『してねェよ、間抜け』

「あはは、ごめん。ありがとうね」

『魔術も使ってねェからな、痕跡も大して残っちゃ居ねェ筈だ』

 凄い、ぐぅ有能である。ユモンの言葉に、僕は更なる感謝を示そうとしたが遮られた。

『あぁ、そうだ。ゴーレム出来たんだったな? どこで作ったんだ?』

 ゴーレム、そうか。そうだった。忘れてた。良い感じの場所に……転送して隠しておこう。

「んーっとね、あの……阿蔵山の麓ら辺の、開けた場所あるじゃん? あそこの、土の中に隠してある」

『あるじゃんって、知らねぇよ』

「えー……ほら、ここら辺だよ」

 僕はスマホを取り出して、マップを開いてから指輪に見せるように方向を示した。これで見えてるのかは知らないけど。

『ほーん、そこら辺な。分かったぜ』

「……逆に、今ので分かるの?」

『ま、大体の場所が分かればなァ。オレ様、悪魔だぜ。探し物の一つくらい、ちぃっと情報がありゃ余裕さ』

「そうなんだ、悪魔凄い」

 僕が言うと、ユモンはハッと笑った。

『寝とけ』

「うん」

 僕は素直に従って、遂に眠りに就いた。



 ♢



 目を覚ましたら、朝だった。お腹空いてるのもあるけど、お風呂に入りたい。取り敢えず、歯を磨こう。今日は……土曜日だよね。

 んー、どうしようかな。ゴーレムの追加分も作らないといけないし……色々終わらせたら、ゴーレム作って、それから異世界に行こう。最近顔を出せて無いし、心配かけてるかも知れない。言っても、こっちで言う土日しか顔を出せないみたいな話はしていたから、話していた通りではあるんだけど。

「よいしょっと」

 僕はベッドから降りて、スマホを机からひったくって洗面所へと向かった。

「おはよー」

「おはよ、アンタすっごい寝てたね」

 途中で出くわしたお母さんは、呆れたような心配するような目線を僕に向けてそう言った。

「あはは……昨日は忙しくて、あんまり寝れてなくてさ。夕飯すっぽかしちゃって、ごめん」

「別に良いのよ。鍋だったから他の人がその分食べただけだし」

 あ、鍋だったんだ。お腹空いたなぁ。

「とりあえず、歯磨いて来なさいね」

「うん」

 僕は小さく頷き、洗面所で歯ブラシを手に取った。ジャーッと水で洗い、歯磨き粉を歯ブラシに付ける。シャコシャコと鏡の前で磨きながら、僕はスマホを片手にちらちらとネットでニュースやらを見漁っていく。

「んー……」

 特に、問題にはなって無さそうだ。ユモンがどういう感じで彼らを倒したのか、僕にはいまいち記憶が残ってない……というか、おぼろげ過ぎて引き出すのが難しいけど、事件が発覚まではしていないらしい。

「んんー……」

 考えないといけないなぁ。彼らが、どのくらい本気でまだ僕を狙っているのか……ただの面子がどうこうって雰囲気でも無かった。もしかしたら、魔術絡みの可能性もある。
 白山先輩が言っていた、黒崎さんの弟の話も気になるところだ。僕にやったように、囲んで袋叩きにしない理由があるのか……それとも、僕にやられたように袋叩きにしようとして返り討ちにされたか。後者の場合は、恐らくは魔術士だろう。でも、黒崎さんの弟ってことは僕より年下の男の子だよね。凄いなぁ、そんな子が魔術士でお姉ちゃんを守ってるなんて……

「……ん?」

 黒崎さんの弟で、僕より年下くらいの男子……あ、あれ、もしかして。

……?」

 居たよね。御岳相談事務所に居た。黒崎っていう、若い男の子が……なんていうか、影が薄い感じがして覚えてなかった。もしかしなくても、あの子か。

 同じ地域で、明らかに普通じゃない強さをしてる……黒崎って苗字の年下の男。

 役満だろう、ここまで来たら。うわ、そうなんだ。そうか。え、凄いね。ちょっと衝撃だった。あの人、黒崎さんの弟だったんだ……どっちも黒崎さんだとややこしいな。今度、弟君には名前を聞いておこう。

「……ん」

 って、そうじゃないんだった。それも衝撃だけど、僕が考えるべきは今後のことだ。黒崎さんの弟と同じクラスの警戒対象になったなら、僕や家族、友達なんかに手を出されることは無さそうだけど、ユモンは魔術は使わずに倒したって言ってたし、素手で全員倒してたならただのめっちゃステゴロ強い高校生だと認識されている可能性も有り得る。

 あんまり、しつこくしてくるようなら……何か、やり方を考えないといけないかも知れない。本当にやりたくないけど、どう足掻いても勝てないと分かる程度に叩き潰すか、思考や記憶なんかを操作するかだ。前者はなんか色々バレそうでやりたくないし、後者は倫理的というか怖いからって理由でやりたくない。

「ぺっ」

 僕は歯ブラシを口から出して、ジャーッと水を流しながらそこに口の中のものを吐き出した。
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