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#1 レツオウガ起動
Chapter01 邂逅 03-02
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が、これも手首をしたたかに打ち据えられ、辰巳の頭上を空振りする。
両腕を明後日の方向に弾かれ、無防備になるフェンリル。
それはほんの一瞬の出来事。だが近接戦闘中にそんな隙を生じさせるのは、致命傷以外の何物でもない。
かくして辰巳は、固く握った拳を、振るわない。
ただ油断なく空手に似た構えを取りながら、辰巳は何もせずフェンリルを見ている。
表情は黒いフェイスシールドに隠され、窺い知ることは出来ない。だがそのシールド上の、右目の辺り。
相変わらず輝いている赤い光が、フェンリルの真芯を貫いた。
「ア、アァァァッ!!」
時間にすれば僅かコンマ数秒。だがフェンリルはその僅かな遅れを取り戻すべく、今まで以上の速度で爪刃を振るい始めた。
刺突、袈裟斬り、薙ぎ払い。
逆袈裟、両手突き、唐竹割り。
軋み始める筋肉の悲鳴を無視し、乱れ飛ぶ斬撃、斬撃、斬撃の嵐。
だが、辰巳はその全てを打ち払い、あるいは身を反らして回避する。
反撃は、やはり一切しない。ただ赤い眼光が、じっとフェンリルを見据え続けているのみだ。
「ヌウ、ゥッ!」
いたずらに空気を撹拌しながら、フェンリルは黙考する。
なぜ、辰巳は反撃しないのか。
決まっている。霊力の制御要員兼、人質である鹿島田泉を、フェンリルが体内に篭絡しているからだ。それを助けると言い切った以上、手を出してこないのはむしろ当然の選択でさえある。下手に打撃をみまえば、泉を傷つけてしまいかねないのだから。
事実、フェンリルはそのアドバンテージを狙って攻撃をしかけたのだ。この先の計画を、あわよくば短縮するために。
そう、あわよくば、だ。
勝とうが負けようが、次に打つ手は既に用意してある。この戦いは、小手調べと時間稼ぎ以外の意味を持たない。
だが、だとしても。
フェンリルは、歯噛みする自分を抑えきれない。
「いやはや、驚かせてくれます、ねェッ!」
両腕を明後日の方向に弾かれ、無防備になるフェンリル。
それはほんの一瞬の出来事。だが近接戦闘中にそんな隙を生じさせるのは、致命傷以外の何物でもない。
かくして辰巳は、固く握った拳を、振るわない。
ただ油断なく空手に似た構えを取りながら、辰巳は何もせずフェンリルを見ている。
表情は黒いフェイスシールドに隠され、窺い知ることは出来ない。だがそのシールド上の、右目の辺り。
相変わらず輝いている赤い光が、フェンリルの真芯を貫いた。
「ア、アァァァッ!!」
時間にすれば僅かコンマ数秒。だがフェンリルはその僅かな遅れを取り戻すべく、今まで以上の速度で爪刃を振るい始めた。
刺突、袈裟斬り、薙ぎ払い。
逆袈裟、両手突き、唐竹割り。
軋み始める筋肉の悲鳴を無視し、乱れ飛ぶ斬撃、斬撃、斬撃の嵐。
だが、辰巳はその全てを打ち払い、あるいは身を反らして回避する。
反撃は、やはり一切しない。ただ赤い眼光が、じっとフェンリルを見据え続けているのみだ。
「ヌウ、ゥッ!」
いたずらに空気を撹拌しながら、フェンリルは黙考する。
なぜ、辰巳は反撃しないのか。
決まっている。霊力の制御要員兼、人質である鹿島田泉を、フェンリルが体内に篭絡しているからだ。それを助けると言い切った以上、手を出してこないのはむしろ当然の選択でさえある。下手に打撃をみまえば、泉を傷つけてしまいかねないのだから。
事実、フェンリルはそのアドバンテージを狙って攻撃をしかけたのだ。この先の計画を、あわよくば短縮するために。
そう、あわよくば、だ。
勝とうが負けようが、次に打つ手は既に用意してある。この戦いは、小手調べと時間稼ぎ以外の意味を持たない。
だが、だとしても。
フェンリルは、歯噛みする自分を抑えきれない。
「いやはや、驚かせてくれます、ねェッ!」
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