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#1 レツオウガ起動
Chapter03 魔狼 04-01
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同時刻。
日本上空、衛星軌道の少し上。静止軌道をとっている天来号内部通路の一角。
「どうしよ」
十字路の真ん中で、風葉は立ち尽くしていた。
道に迷ってしまったのである。
「ううーん……」
右を見ても、左を見ても、誰も居ない。まっすぐ続く正面の通路にも、やはり人影は皆無だ。
途方に暮れながら、風葉は今までの経緯を思い出す。
辰巳に気圧され、転移術式の扉を潜った。それはいい。
扉を出ても出ても誰も居なかったので、うろ覚えの記憶を頼りに通路を歩いた。それはまぁ、仕方が無い。
だが、それからどこで何をどう間違ったのか。
風葉は、明らかにオフィス区画とは違う場所に入り込んでいた。要所に区画を示す看板はあるのだが、肝心の目的地であるファントム・ユニットの位置を示しているものは一つも無かったのだ。
鼻つまみ部隊だから仕方が無いと言えばそれまでだし、道中で職員に全く出くわさなかったという不幸な偶然もある。
だがどうあれ、とにかく風葉は今、全く別の箇所――術式研究区画の奥に入り込んでしまっていた。
「にしても、なんなんだろアレ」
真正面、通路の突き当たりにある扉を風葉は見る。
通路、と言っても周りの物よりは大分短い。五メートルくらいだろうか。突き当たりの扉を周りから隔離しているようにも見える。
そこは何というか、空気が違うのだ。
端的に言えば、ゴミ、だろうか。大小様々なガラクタが、通路の両脇で山脈を造っているのである。
例えば段ボール箱の中でこんもりしている紙屑の山には、その全てに奇妙な図形が描かれている。
転がる空き瓶は大小様々で、内側にはいろんな色の液体やら粉末やらが入っていた後がある。
更に扉の両脇には鉄製の大きなコンテナがでんと置かれており、そのうち左側のずれたフタから覗いている布きれは、風も無いのにひらひらはためいていた。
これらは全て、新たな術式を造る上で必要となった材料や、梱包材や、失敗作のなれの果てだ。
知識ある者が見れば、この資材の潤沢ぶりをうらやんだかも知れない。だがそんな事が分かるはずもない風葉は、ただただ首をかしげるしかない。
「片付ければ良いのに」
実際正論だ。何せ半分以上は本当にゴミなのだから。
どうあれ、眺めていてもまったく意味が無い。
「そのうち誰かと出くわすだろうから、その時に聞こう」
そうしよう、と頷きながら踵を返す風葉。
だが、まさにその直後。背を向けた十字路の奥、ゴミ置き場だと思っていた扉が、音を立てて開いた。
日本上空、衛星軌道の少し上。静止軌道をとっている天来号内部通路の一角。
「どうしよ」
十字路の真ん中で、風葉は立ち尽くしていた。
道に迷ってしまったのである。
「ううーん……」
右を見ても、左を見ても、誰も居ない。まっすぐ続く正面の通路にも、やはり人影は皆無だ。
途方に暮れながら、風葉は今までの経緯を思い出す。
辰巳に気圧され、転移術式の扉を潜った。それはいい。
扉を出ても出ても誰も居なかったので、うろ覚えの記憶を頼りに通路を歩いた。それはまぁ、仕方が無い。
だが、それからどこで何をどう間違ったのか。
風葉は、明らかにオフィス区画とは違う場所に入り込んでいた。要所に区画を示す看板はあるのだが、肝心の目的地であるファントム・ユニットの位置を示しているものは一つも無かったのだ。
鼻つまみ部隊だから仕方が無いと言えばそれまでだし、道中で職員に全く出くわさなかったという不幸な偶然もある。
だがどうあれ、とにかく風葉は今、全く別の箇所――術式研究区画の奥に入り込んでしまっていた。
「にしても、なんなんだろアレ」
真正面、通路の突き当たりにある扉を風葉は見る。
通路、と言っても周りの物よりは大分短い。五メートルくらいだろうか。突き当たりの扉を周りから隔離しているようにも見える。
そこは何というか、空気が違うのだ。
端的に言えば、ゴミ、だろうか。大小様々なガラクタが、通路の両脇で山脈を造っているのである。
例えば段ボール箱の中でこんもりしている紙屑の山には、その全てに奇妙な図形が描かれている。
転がる空き瓶は大小様々で、内側にはいろんな色の液体やら粉末やらが入っていた後がある。
更に扉の両脇には鉄製の大きなコンテナがでんと置かれており、そのうち左側のずれたフタから覗いている布きれは、風も無いのにひらひらはためいていた。
これらは全て、新たな術式を造る上で必要となった材料や、梱包材や、失敗作のなれの果てだ。
知識ある者が見れば、この資材の潤沢ぶりをうらやんだかも知れない。だがそんな事が分かるはずもない風葉は、ただただ首をかしげるしかない。
「片付ければ良いのに」
実際正論だ。何せ半分以上は本当にゴミなのだから。
どうあれ、眺めていてもまったく意味が無い。
「そのうち誰かと出くわすだろうから、その時に聞こう」
そうしよう、と頷きながら踵を返す風葉。
だが、まさにその直後。背を向けた十字路の奥、ゴミ置き場だと思っていた扉が、音を立てて開いた。
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