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#1 レツオウガ起動
Chapter03 魔狼 13-07
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「こ、のっ!」
辰巳としてはたまったものではない。致命傷は辛うじて回避しているものの、秒単位で迫り来る斬撃をこうも受け続けては、霊力装甲以前にフレームが持たない。
ならば。
「破っ!」
左手から跳び込んでくるオーディン。その突貫に会わせ、カウンターの斬撃が胴を薙ぐ。
グングニルの切っ先をかいくぐり、完璧なタイミングで放たれた一撃は、しかしあっさりと弾かれた。しかも、機体ごと。
「うおっ!?」
霊力装甲から小刻みに霊力を噴射し、危うくきりもみかけたレツオウガを安定させる辰巳。霊力武装であるため刀身に異常は無いが、反動を受けた左手首が少々ダメージを訴える。
対するオーディンに、変わったところはない。掠り傷一つない。激昂によって引き出された霊力が、そのまま全身へ転換されているのだろう。
言うなれば、オーバードライブモードか。
限界を超えて稼働しているのだから、恐らくそう長くは持つまい。髑髏が崩壊を始めている可能性もある。
だが現状の能力差では、オーディンよりもこちらが先に根を上げかねない。
この状況を、打破するには。
何より自分の鏡像を、否定するためには。
「――やるしかない、かっ!」
「なにをゴチャゴチャとォッ!」
爆発的な威力と速度を伴う、オーディンの振り下ろし。
流星のように落下する軌跡を、レツオウガは大きく飛び退って回避。強化された脚力は瞬く間に数百メートルの間合いを離し、オーディンが一瞬こちらを見失う。
「チョコマカと!」
しかして、それもつかの間だ。十秒もしないうちに、神槍はまた霊力装甲を削り始めるだろう。
だが、それで十分だ。
「これから、今まで以上に大量の霊力を使う。補給頼む」
同乗者に、仕事を頼む時間が取れれば。
「ん、頼まれたよ」
風葉の了承もそこそこに、再び突撃の構えを取るオーディン。その動きを注視しながら、レツオウガは二刀を構える。
「でも、どうせならあそこに行ってもらえるかな」
「? どこだって?」
バックミラーを表示し、風葉が指差す先を確認する辰巳。
「……なるほど、了解だ」
頷く辰巳。同時に、二機の神影鎧装は動いた。
辰巳としてはたまったものではない。致命傷は辛うじて回避しているものの、秒単位で迫り来る斬撃をこうも受け続けては、霊力装甲以前にフレームが持たない。
ならば。
「破っ!」
左手から跳び込んでくるオーディン。その突貫に会わせ、カウンターの斬撃が胴を薙ぐ。
グングニルの切っ先をかいくぐり、完璧なタイミングで放たれた一撃は、しかしあっさりと弾かれた。しかも、機体ごと。
「うおっ!?」
霊力装甲から小刻みに霊力を噴射し、危うくきりもみかけたレツオウガを安定させる辰巳。霊力武装であるため刀身に異常は無いが、反動を受けた左手首が少々ダメージを訴える。
対するオーディンに、変わったところはない。掠り傷一つない。激昂によって引き出された霊力が、そのまま全身へ転換されているのだろう。
言うなれば、オーバードライブモードか。
限界を超えて稼働しているのだから、恐らくそう長くは持つまい。髑髏が崩壊を始めている可能性もある。
だが現状の能力差では、オーディンよりもこちらが先に根を上げかねない。
この状況を、打破するには。
何より自分の鏡像を、否定するためには。
「――やるしかない、かっ!」
「なにをゴチャゴチャとォッ!」
爆発的な威力と速度を伴う、オーディンの振り下ろし。
流星のように落下する軌跡を、レツオウガは大きく飛び退って回避。強化された脚力は瞬く間に数百メートルの間合いを離し、オーディンが一瞬こちらを見失う。
「チョコマカと!」
しかして、それもつかの間だ。十秒もしないうちに、神槍はまた霊力装甲を削り始めるだろう。
だが、それで十分だ。
「これから、今まで以上に大量の霊力を使う。補給頼む」
同乗者に、仕事を頼む時間が取れれば。
「ん、頼まれたよ」
風葉の了承もそこそこに、再び突撃の構えを取るオーディン。その動きを注視しながら、レツオウガは二刀を構える。
「でも、どうせならあそこに行ってもらえるかな」
「? どこだって?」
バックミラーを表示し、風葉が指差す先を確認する辰巳。
「……なるほど、了解だ」
頷く辰巳。同時に、二機の神影鎧装は動いた。
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