泡沫

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潤side

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いつもの日常、退屈な日常。

出勤そうそう内勤の優弥が俺に駆け寄る。

「おい、潤、客3人待ってるよ」

慌てながらそう言う。

「あー…うん。」

フロアを見渡すと

他の奴らの客も、自分の客も

どれも同じに見える。


嘘でなびく世界…。

毎回毎回、同じやり取りにうんざりする。


代表のあきさんが電話をしながら
外へとでて内勤の優弥が慌てて
VIPルームへと駆け込んだ。


何事?と思いながら

客のところへと思いつつ

足が向かずにキャッシャーの中へと
籠る。


いらっしゃいませー!

店内の掛け声とともに、キャッシャーのなかにいた同僚たちが騒ぎ立てる。


「なにあれ。あのこめちゃくちゃ綺麗」

「亜季さんの彼女さんの連れらしいっす。」


亜季さんの連れ?


確か、玲奈ちゃんは何人か友達を連れてきたことはある。

だけど亜季さんが前に言っていたのを

思い出した。

凄く綺麗でだけど誰も近寄れないし
興味を持たないこがいる。


そんなこと言ってたっけ…。


俺は興味がてら、ホールに出た。


すると玲奈ちゃんのあとに続いて

うすぐらい中でもわかるぐらい凄く綺麗な色の髪の毛にサラサラした長い髪の毛を綺麗にセットし細く白い身体に、目が大きいこが歩いていた。

見たことないぐらいに綺麗で


女なんてどれも一緒なんて思ってた自分。


一瞬で自分の身動きが取れなくなっていた。

「早く潤いって。」

優弥に声をかけられ我に返る。


「言われなくてもいくわ。」

そう言って、ホールへと足を向ける。


「あっ、じゅーんおそいー」

甘ったるい声を出しながら

俺にくっつこうとする女。

そんな女にうんざりしながら

相手をする。


でも、あのこは…どこかなんてゆーか
寂しそうな顔をしていた。

目が…目に色がないというか。


「ねぇ、聞いてる?」

そう言われ我に返る。


はっ、と気がつき


なんであのこのこと?

話したこともない、タダ一目みただけの
あの人を俺は考えてる?


Vから出てくる下の奴らは皆顔を
赤らめてる。

「なに?そんな驚いてんの?」

ヘルプについたVから出てきた

未緒にそう聞くと

「いや、凄いっす。織姫様でした。」

訳がわからないことを言い出し

顔を赤らめる。


あの人のことか…俺のない頭で考える。


「わりぃ、俺今日具合悪いから帰ってくれる?」


自分でもわからないけどそんな、嘘を

平気で口から出していた。


客はブーブーと文句を言いながら


返る支度をして、それでも俺が

手を繋ぐと嬉しそうに顔を赤らめる。


たかが、女。

皆一緒だろ。


そう思いながら3人の客を同じように

送った。


今日は具合が悪いから来ないでと
じゃんじゃか来る連絡を返しつつ

内勤の優弥に俺がそこへいくと伝える。

「おまえ、具合が悪いんじゃ?」


そう言う優弥にべーっと舌をだし

Vへ向かった。


扉を空けるとそこにいるその人は

どこか上の空で一人でテキーラを飲んでいた。

「ほんとだ。ザルだね」

そう言って隣に座る。

亜季さんは驚いて俺の顔をみる。

「え、潤くんきてくれたの?初めてじゃない?」

玲奈ちゃんが俺に食い入る。


「亜季さんの彼女きてるって皆騒いでて挨拶しなきゃと思ってきたんだよー笑。」

そう言う俺。

ほんとは嘘。

「え?来たってそんなこと一回もなかったのに?」

そう言って玲奈ちゃんはむくれていた。

「玲奈ちゃんの友達が凄く綺麗だって他の奴らが騒いでたからちょっと興味湧いて笑。」

ほんとのことを言い、その人を見ると

興味が無さそうにツンとしていた。

「あー…確かに愛結は綺麗だからなぁ」

玲奈ちゃんはそう言うとニヤニヤと笑っていた。

愛結…名前は愛結って言うんだ。

透き通った肌にぱちくりした目。

長い睫毛。

「愛結ちゃんって言うんだ」

平静を装いながら近くにあるショットグラスを持った。

落ち着け、落ち着け。


自分の心臓がドクドクと言ってる
のを押さえるように心に問いかける。

「潤、お前客すげーいたのにどうしたんだよ。」

亜季さんは慌てて俺に聞く。

俺は怒られるの覚悟で

「あー全部帰しました笑。」

と笑った。

「はぁ?帰したって…」

呆れてる亜季さんをみてすみませんと
心の中で呟いた。

「ねぇ、愛結ちゃん君のこと教えてくれる?」

高鳴る胸を押さえつけ

君に問いかける。

知りたい。なんでそんな悲しそうな

そんな目をしているのか。

綺麗なビー玉が…霞んでみえてる。


「…っなんもないから教えるっていっても」

綺麗な声が返ってくる。

なんでもいい、なんでもいいから

君のことが知りたい。

人に無頓着な自分がこんなにも

知りたいと思えることが自分でもビックリだった。

「何型?」

「A型」

「え、俺B型」

「じゃあー何が好き?歌で」

「歌?」

「そう歌」

「…これが一番とかあんまりないかも」

そう言ってうつむいた。

「わかる。」


「家と外なら?」

「家。」

「即答!笑。まぁ俺も家なんだけどさ」

こんな普通なやり取りでも
こころは弾んだんだ。

会計はもともと亜季さんの彼女だし
料金がかかっていない。

会計を気にしている彼女をみて

「愛結ちゃんたちはタダだよ。」

そう言うと亜季さんの方を見て

シーって亜季さんはやっていた。

心をつかめる気がした。

いや、俺がもうこの子に心をつかまれていたのかもしれない。

彼女を見送ったあと

亜季さんがニヤニヤと俺をみた。

「潤さーん?どうしたのかなー?」

「なにがっすか?」

とぼけたように答えると

「いやさ、お前何回か玲奈の友達見てるけどついたこともねーし、いつも新規でいたって興味ねぇじゃん。なのになんで?今日は愛結にベッタリだったじゃん?」

不思議そうに俺に問いかける。

いや、こっちが聞きたい。

皆が騒ぐほど綺麗なだけで俺は
興味を持ったのか?

綺麗な女なんていっぱいみてきた。


だけど…その辺の女とは違う何かもっと

そうだ、あのこは悲しそうな目をしていて

何にも欲がないようなそんな顔をして


俺はそんな彼女が気になって仕方なくて。

「…。」

考え込んでると亜季さんは

「まぁ、お前も人間だったってことだな。」

そう言って俺の肩をポンッと叩いた。


「言っておくけど、愛結は難しいよ?」

そう言って手をヒラヒラしながら店へと戻る


いまになったらその言葉がどんな意味を
しているのかわかる。

だけどこのときの俺は

そんなの一ミリもわかりもしなかった。

家に帰って携帯を見ると客から沢山連絡がきていたが、それを無視して愛結の連絡先を出して電話をかけていた。

「はい」

ぶっきらぼうに出る電話。

「あっ、出てくれた笑。」

ほっとして思わず笑った。

少し沈黙があったあと

「どーせホストだし軽くあしらっておこう。そう思ってたでしょ?」

と思ったことを言った。

「うん。」

と言われ

「俺、その辺のホストと一緒にしないでね笑。」

思わず本音が出る。

他愛もない会話をして
電話を切ったあと

風呂へいきシャワーを浴びた。

俺はその辺のホストとは違う。

客になんてしようと思わない

出来ない。

いつもだったらなんともないこの感情が

抑えられなくて、頭のなかはもう既に

彼女でいっぱいになっていた。

起きると直ぐ携帯を見る。

時刻は夜の10時をまわっていて。

頭はだるく携帯の明かりを頼りに起き上がる。


やっぱりあのこから連絡はない。

少しどこかで期待していた。

俺も休みだということを伝えていたし

もしかしたら、会えること少しだけ

少しだけだけど気にしていた。


ため息とともに冷蔵庫から
水を取りかぶのみする。


休みだからって特になにもする気にはならなくて、ただボーッと無造作にテレビの音だけが流れる。


「おー潤。起きてた?」

そう言って亜季さんが電話をして来る。

「さっき起きましたけど。元気っすね」

俺が嫌みのように言うと


「うん、元気だけが取り柄だから笑。」

隣で玲奈ちゃんの声がした。

「どーしたんすか?」

俺がそう言うと

「いや、皆で焼き肉いかない?」

突然そんなこと言われ

「は?皆でって3人でですか?」

嫌だなーめんどくせーなー

そう思ってると

「いや、ちげーよ。4人」

と言われて

「は?4人?」

「うん、そうそう。君が気になる愛結ちゃんも。」

と面白おかしく言ってきた。

「あー…。」

また、会える。

頭のなかでグルグルと変な思考が動き出す。

「だからーあと1時間後にいつもの焼肉屋ね。」

そう言われて電話を切られた。

いや、まだいくなんて言ってねぇし。

そんなこと呟いたけど

心はもうソワソワしていて。

急いでシャワーを浴びて支度をする。

このときばかりは

おせっかいな亜季さんが凄く好きに感じた。

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