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千葉県東方沖地震

千葉県東方沖で発生したスロースリップ

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2018年6月頃から、千葉県東部や周辺の沖合でゆっくりすべり(スロースリップ)に起因する地震活動が断続的に観測されました。


この地震の中には最大震度4の揺れが観測されたものもあることから、地震活動や地殻変動を常時観測している機関では、スロースリップの発生について監視し、進行状況等を把握していくことが、それに起因する地震発生の可能性を検討する上で重要だと述べています。


千葉県東方沖では、海側のフィリピン海プレートが陸側のプレートの下に沈み込んでいますが、プレートの境界がゆっくりずれ動いているのです。「大地震の前兆」と危惧する声もあります


■スロースリップとは

スロースリップは「スロー地震」と呼ばれる現象の一つです。


【通常の地震】
プレート運動等によって地下の岩盤に蓄積されたひずみエネルギーが断層運動によって解放される現象であり、断層が高速でずれ動くことで、蓄積されたひずみエネルギーの解放に伴って、地震波を放射し、揺れが起こります。


【スロー地震】
プレート境界の断層がゆっくり動く現象で、それ自体は私たちが感じるような揺れを発生させませんが、わずかな地殻変動や、通常より周期が長いわずかな地震波を放出する低周波地震がとらえられることがあります。




千葉県東方沖の場合は、2018年の6月頃の事例のように、揺れを感じる「有感地震」を伴うことが知られています。


スロー地震はそれ自体が直接被害を発生させるものではありませんが、南海トラフ地震など、巨大地震との関連性が指摘されており、スロー地震が巨大地震の震源域に与える影響など、巨大地震の発生メカニズム解明のための研究対象として注目されています。


スロー地震は世界的にも注目されている地震現象であり、日本では、従来の「地震学」とは別に、「スロー地震学」として、東京大学地震研究所を中心に集中的な研究が行われています。



■スロースリップと巨大地震との関連

2011年東日本大震災の例があります。本震の2日前に発生した前震M7.3の後にスロースリップが発生し、それが本震の破壊開始点に向かって移動していったことが断層の破壊を促進させた可能性があることなどがこれまでの研究でわかっています。



■千葉県沖のスロー地震で大津波

千葉県沖のスロースリップ現象は、大地震の前兆なのでしょうか? 

過去に千葉県沖で1677(延宝5)年に起こった延宝えんぽう房総沖地震があります。震源は観測技術が確立していなかった為不明瞭ですが、今回と同じ房総半島沖と考えられます。

地震の規模はM8~8.5と幅がありますが、特徴的なのは、地震による被害がほとんどなかったのに、大津波で甚大な被害があったことです。


■今回の地震でもスロースリップが起きている

衛星を使って地殻変動の観測をしている国土地理院によると、房総半島では2024年2月26日ごろから普段とは異なる変化が起きていたことがわかりました。

この地殻変動をもとに分析した結果、千葉県東方沖では陸側のプレートと海側のプレートの境界がゆっくりずれ動くスロースリップが起きているとみられ、ずれ動いた量は最大でおよそ2センチと推定されています。



南関東ではマグニチュード7程度の大地震が起きる確率が30年以内に70%と、いつ起きてもおかしくないと指摘があります。


激しい揺れのほか、高い津波が起きるおそれもあるので、家具の固定や住宅の耐震化、避難経路の確認など、地震への備えを改めて確認してください。
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