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「………」
そこまで話終わり部屋には沈黙が落ちる。
「まあ、そこまでの話は分かりました。ですがこの話、あの子は知っているのですか?」
「いいえ…話していません」
「…それは何故?」
「心配かけたく無かったので」
「心配かけたくないというその心配が要らぬ心配ですね」
「…はっ?」
「夫婦なのですから心配掛けることも覚悟しないといけません。貴方は心配掛けるから黙っていただけだと言うことも何も知らされないあの子からすればそれは隠し事なのです」
「!」
「あの子が妊娠を言わなかったのも貴方を煩わせたくないという思いからだったのでしょう…しかしそれを聞いた貴方はどう思いましたか?隠されていたと思ってのでは?」
「はい…」
「気を遣う所を間違っていますね」
夫人に言われ初めて気付いた。
頭をガツンと殴られたようだ。
「で?その後オリヴィアさんという方はどうしていらっしゃるの?」
オリヴィアはあれからだんだんおかしくなっていった。
アランが死んだすぐの頃は塞ぎ込んで家の中にこもりっぱなしだった、たまに様子を見に行くと以前見た時と同じ姿でそこにいた。
流石にこのまま放っておく訳にもいかず毎日様子を見に行くようになった。
そのうち話が出来るようにまでなったと思ったら今度は私から離れたく無いと言い出した。
毎日会社に現れて何をするでも無く1日社員室にいる。帰りは私が家まで送りオリヴィアが眠るまで傍にいる。
「ずっと傍にいて…」
泣きながらそう言うオリヴィアを突き放せなかった。勿論身体の関係など妻にやましい事は無い、ただ話をして傍にいただけ……。
「あらあら、それではどちらが夫婦か分からないわね」
「!それは!……」
「貴方も本当は気付いているのでしょう?」
「………」
「オリヴィアさんを突き放せ無かった時点で娘とは別れるべきでしたわ」
「それは…出来ません…」
「何故?」
「妻を…愛しているからです」
「まぁ、そうだったのです?気付かなかったですわ」
「!?」
「だってそうでしょう?家族の事は後回し毎日毎日オリヴィアさんを傍に置き…何処の誰が見て貴方が妻を愛しているように見えますか?私もてっきり貴方はオリヴィアさんの方を愛しているものだと思っていましたわ」
「それは…」
「オリヴィアさんを放っておけなかった気持ちも分かります、ですが何も貴方が全てする事では無かったのでは?他にも頼める人がいたはずよ屋敷の使用人、会社の社員…」
「…」
「幼馴染だから?」
「…」
「友達だから?」
「…」
「親友の奥様だから?」
「…」
「どこかに頼られて嬉しい気持ちがあったのではないの?」
「そんな事は!」
「本当に?無いと言いきれますか?オリヴィアさんは貴方の初恋なのでしょう?亡き親友に代わりオリヴィアさんを自分の手で幸せにしたいと思っても不思議はないのでは?むしろその方がしっくり来るわ」
「…」
夫人の言った事に言い返せなかった。
私が妻を愛している事ははっきりしているというのに…。
「貴方はその辺りの事をもう一度しっかり考えなさい、貴方の気持ちがはっきりしないうちは娘には会わせることは出来ません…その間リアムもうちで預かりましょう」
そう言われてリアムを見ると目に涙をためながら震えていた。
「貴方は自分の都合でしか物事を見ていない。オリヴィアさんを突き放せ無かったが妻を愛しているから別れられない。そのくせなんの説明もしない。こんなに愛しているのに分かって貰えない。随分都合のいい事を仰るものだとびっくりしてしまいましたわ」
愕然とした、本当にその通りだった。
私は自分の事しか考えていなかった。
「考えなさい。今の自分の気持ち、これからどうしたいのか、全ての事を考えるのです。そして答えを出しなさい。その答えが出たらもう一度ここへいらっしゃい、その時の答え次第で娘の居場所を教えましょう」
そして夫人はリアムを優しく抱きしめた。
「お母様がいなくなって寂しかったわね、よく頑張りました。私と一緒にお母様の所に行きましょうね」
「うわ~ん」
リアムは夫人にしがみつき泣いた。
こんなに泣くリアムを見たのは……初めてだった。
そこまで話終わり部屋には沈黙が落ちる。
「まあ、そこまでの話は分かりました。ですがこの話、あの子は知っているのですか?」
「いいえ…話していません」
「…それは何故?」
「心配かけたく無かったので」
「心配かけたくないというその心配が要らぬ心配ですね」
「…はっ?」
「夫婦なのですから心配掛けることも覚悟しないといけません。貴方は心配掛けるから黙っていただけだと言うことも何も知らされないあの子からすればそれは隠し事なのです」
「!」
「あの子が妊娠を言わなかったのも貴方を煩わせたくないという思いからだったのでしょう…しかしそれを聞いた貴方はどう思いましたか?隠されていたと思ってのでは?」
「はい…」
「気を遣う所を間違っていますね」
夫人に言われ初めて気付いた。
頭をガツンと殴られたようだ。
「で?その後オリヴィアさんという方はどうしていらっしゃるの?」
オリヴィアはあれからだんだんおかしくなっていった。
アランが死んだすぐの頃は塞ぎ込んで家の中にこもりっぱなしだった、たまに様子を見に行くと以前見た時と同じ姿でそこにいた。
流石にこのまま放っておく訳にもいかず毎日様子を見に行くようになった。
そのうち話が出来るようにまでなったと思ったら今度は私から離れたく無いと言い出した。
毎日会社に現れて何をするでも無く1日社員室にいる。帰りは私が家まで送りオリヴィアが眠るまで傍にいる。
「ずっと傍にいて…」
泣きながらそう言うオリヴィアを突き放せなかった。勿論身体の関係など妻にやましい事は無い、ただ話をして傍にいただけ……。
「あらあら、それではどちらが夫婦か分からないわね」
「!それは!……」
「貴方も本当は気付いているのでしょう?」
「………」
「オリヴィアさんを突き放せ無かった時点で娘とは別れるべきでしたわ」
「それは…出来ません…」
「何故?」
「妻を…愛しているからです」
「まぁ、そうだったのです?気付かなかったですわ」
「!?」
「だってそうでしょう?家族の事は後回し毎日毎日オリヴィアさんを傍に置き…何処の誰が見て貴方が妻を愛しているように見えますか?私もてっきり貴方はオリヴィアさんの方を愛しているものだと思っていましたわ」
「それは…」
「オリヴィアさんを放っておけなかった気持ちも分かります、ですが何も貴方が全てする事では無かったのでは?他にも頼める人がいたはずよ屋敷の使用人、会社の社員…」
「…」
「幼馴染だから?」
「…」
「友達だから?」
「…」
「親友の奥様だから?」
「…」
「どこかに頼られて嬉しい気持ちがあったのではないの?」
「そんな事は!」
「本当に?無いと言いきれますか?オリヴィアさんは貴方の初恋なのでしょう?亡き親友に代わりオリヴィアさんを自分の手で幸せにしたいと思っても不思議はないのでは?むしろその方がしっくり来るわ」
「…」
夫人の言った事に言い返せなかった。
私が妻を愛している事ははっきりしているというのに…。
「貴方はその辺りの事をもう一度しっかり考えなさい、貴方の気持ちがはっきりしないうちは娘には会わせることは出来ません…その間リアムもうちで預かりましょう」
そう言われてリアムを見ると目に涙をためながら震えていた。
「貴方は自分の都合でしか物事を見ていない。オリヴィアさんを突き放せ無かったが妻を愛しているから別れられない。そのくせなんの説明もしない。こんなに愛しているのに分かって貰えない。随分都合のいい事を仰るものだとびっくりしてしまいましたわ」
愕然とした、本当にその通りだった。
私は自分の事しか考えていなかった。
「考えなさい。今の自分の気持ち、これからどうしたいのか、全ての事を考えるのです。そして答えを出しなさい。その答えが出たらもう一度ここへいらっしゃい、その時の答え次第で娘の居場所を教えましょう」
そして夫人はリアムを優しく抱きしめた。
「お母様がいなくなって寂しかったわね、よく頑張りました。私と一緒にお母様の所に行きましょうね」
「うわ~ん」
リアムは夫人にしがみつき泣いた。
こんなに泣くリアムを見たのは……初めてだった。
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