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私と夫が離縁してから3年が経った。
当初急な社長の更迭に新社長の就任会社は揺れに揺れたが日々オリヴィアさんの振る舞いに辟易してトレバーに不信感を抱き始めていた社員達は新たに社長になった私の後を付いてきてくれた。そのお陰で今ではそこそこに大きい会社となっている。
社長に就任して1番初めに社員達から謝られた。
「知らなかったとはいえあんな女を自由にさせてすみません」と。
そこについてはどう考えてもトレバーが完全に悪い。
「社長が咎めないものを貴方達がどうこう出来る問題では無いわ」そう言って微笑むと「どこまでもついて行きます!」と皆が言ってくれた。良かった。
それが終わったと思ったらあの日私を愛人だと勘違いしオリヴィアを夫の妻だと勘違いした社員が地面に頭がめり込むんじゃないかという勢いで謝ってきた。
「知らなかったとはいえ!本当に本当に申し訳ありません!」
そしてその隣では私が最初の離縁状を夫に渡した時に屋敷に来ていた社員が「私もあの日奥様を引き留められず申し訳ありません」と頭を下げてくれた。
思えばあの日の出来事が私に決心する機会を与えてくれた。
「いいえ、こちらこそ迷惑を掛けました。あの日の事は確かにショックでしたがあの日があるから今があるのです……これからこの会社で頑張って下されば、それが私への償いになります」
そう言うと「一生ついて行きます!」と号泣された…。
元夫は逃げ出さないよう義父様が見張りをつけて会社で働かせている。
流石に会社内で仕事させるのは周りの社員達も気を使うし元夫も嫌だろうと思い貿易の船に乗せた。荷物の積み下ろしなどの肉体労働が果たして彼に出来るのかは甚だ疑問でしかないがこれは私のせめてもの優しさである。
オリヴィアさんはあれから1度会社に来た。
まだトレバーが社長をやっていると思ったのだろうか…無断で入って来ようとしていた所を社員達に止められていたところを見た。
私が社長のなった事を言うとものすごく悔しそうな顔をして私に何かを叫んでいたが会社の外での事なので私には彼女が何を言っていたかは分からない。ただ物凄い勢いで謝ってくれたあの二人の社員が「もうあの女は現れないでしょう、ご安心下さい」ととてもいい笑顔で言っていたのできっともう会うことも無いと思う。
そして今日は仕事の買い付けがてら隣国に嫁がれた皇女様の所に来ている。
私が離縁して程なくして皇女様の子供が生まれた、元気な男の子。もうすぐ3歳になるその子は当時のリアムを思い出させる。
「ご出産おめでとうございます。これ、遅くなりましたけどお祝いです」
私は綺麗に包装された箱を皇女様に差し出す。
ここはお城の中庭。皇女様の夫である皇帝陛下も私達が友人である事を知っているのであまり堅苦しい再会にならないよう中庭で会うといいと仰って下さったようだ。とてもいい旦那様。
「ありがとう!開けてもいいかしら?」
「はい!」
箱の中身はオルゴール。蓋は宝石で細工されている。蓋を開けると中は小物が入れられるようになっていて、曲に合わせて3人寄り添った幸せな家族の人形がクルクルと回る。
「素敵ね」
オルゴールの人形の頭を人差し指でそっと撫でる皇女様の顔はすっかり母親の顔だ。
「貴女が大変な時に力になれなくてごめんなさいね」
「そんな!大丈夫です」
「そうね、貴女は強くなったものね。私の手助けは必要無いわね」
「いいえ!こうしてここにいられるのは皇女様を含めて私を支えて下さる方々のお陰ですから」
「こんな事を言ってはダメかもしれないけれど、貴女があの男と別れられて本当に良かったわ。だって今貴女すごく幸せそうだもの」
「はい!」
「「お母様」」
そこに小さな皇子と一緒に遊んでいたリアムが現れる。
「リアム!皇子様に失礼な事しなかった?」
「しませんよそんな事」
6歳になりすっかり大人びてしまった。
「そうね、リアムはそんな事しないわね」
そう言って頭を撫でると「もう、いつまでも子供扱いはやめてください」と赤い顔でそう言うリアム。今はお兄さんぶりたい年頃らしい、最近頭もそうそう撫でさせて貰えない…くすん。
「貴女再婚は考えてないの?」
皇女様は幼い我が子を抱き上げながらそう言ってくる。
「そういうのは考えてませんね」
「そうなの?まだ若いんだから…」
「今がとても幸せなんです」
そう言ってリアムを眺めながら微笑む。
「そう…」
穏やかな時間が流れる。
あの頃の私はこんな穏やかな時間が過ごせる日が来るとは思っていなかった。
色々な事があったけどこんな日が迎えられる選択を出来て良かった。
よく晴れた空を見上げるずっとこんな日々が続けばいいとどこまでも広がる空に思いを馳せた。
この時に皇帝陛下の弟に見初められていて後に猛アタックを受けるのだがそれは今の私は知らない事。
[完]
これでこの作品は終わりになります!ここまで読んで下さった方達には感謝しかありません!ありがとうございます。
毎日感想を下さった方々もとても励みになりました。ありがとうございます!
皆様のお陰で完結させる事が出来ました。
また機会がありましたら別の作品でもお会い出来ると嬉しいです!
新しく「待ってました婚約破棄」を始めます。
ご興味のある方はそちらも1度見て頂けたらと思います。
当初急な社長の更迭に新社長の就任会社は揺れに揺れたが日々オリヴィアさんの振る舞いに辟易してトレバーに不信感を抱き始めていた社員達は新たに社長になった私の後を付いてきてくれた。そのお陰で今ではそこそこに大きい会社となっている。
社長に就任して1番初めに社員達から謝られた。
「知らなかったとはいえあんな女を自由にさせてすみません」と。
そこについてはどう考えてもトレバーが完全に悪い。
「社長が咎めないものを貴方達がどうこう出来る問題では無いわ」そう言って微笑むと「どこまでもついて行きます!」と皆が言ってくれた。良かった。
それが終わったと思ったらあの日私を愛人だと勘違いしオリヴィアを夫の妻だと勘違いした社員が地面に頭がめり込むんじゃないかという勢いで謝ってきた。
「知らなかったとはいえ!本当に本当に申し訳ありません!」
そしてその隣では私が最初の離縁状を夫に渡した時に屋敷に来ていた社員が「私もあの日奥様を引き留められず申し訳ありません」と頭を下げてくれた。
思えばあの日の出来事が私に決心する機会を与えてくれた。
「いいえ、こちらこそ迷惑を掛けました。あの日の事は確かにショックでしたがあの日があるから今があるのです……これからこの会社で頑張って下されば、それが私への償いになります」
そう言うと「一生ついて行きます!」と号泣された…。
元夫は逃げ出さないよう義父様が見張りをつけて会社で働かせている。
流石に会社内で仕事させるのは周りの社員達も気を使うし元夫も嫌だろうと思い貿易の船に乗せた。荷物の積み下ろしなどの肉体労働が果たして彼に出来るのかは甚だ疑問でしかないがこれは私のせめてもの優しさである。
オリヴィアさんはあれから1度会社に来た。
まだトレバーが社長をやっていると思ったのだろうか…無断で入って来ようとしていた所を社員達に止められていたところを見た。
私が社長のなった事を言うとものすごく悔しそうな顔をして私に何かを叫んでいたが会社の外での事なので私には彼女が何を言っていたかは分からない。ただ物凄い勢いで謝ってくれたあの二人の社員が「もうあの女は現れないでしょう、ご安心下さい」ととてもいい笑顔で言っていたのできっともう会うことも無いと思う。
そして今日は仕事の買い付けがてら隣国に嫁がれた皇女様の所に来ている。
私が離縁して程なくして皇女様の子供が生まれた、元気な男の子。もうすぐ3歳になるその子は当時のリアムを思い出させる。
「ご出産おめでとうございます。これ、遅くなりましたけどお祝いです」
私は綺麗に包装された箱を皇女様に差し出す。
ここはお城の中庭。皇女様の夫である皇帝陛下も私達が友人である事を知っているのであまり堅苦しい再会にならないよう中庭で会うといいと仰って下さったようだ。とてもいい旦那様。
「ありがとう!開けてもいいかしら?」
「はい!」
箱の中身はオルゴール。蓋は宝石で細工されている。蓋を開けると中は小物が入れられるようになっていて、曲に合わせて3人寄り添った幸せな家族の人形がクルクルと回る。
「素敵ね」
オルゴールの人形の頭を人差し指でそっと撫でる皇女様の顔はすっかり母親の顔だ。
「貴女が大変な時に力になれなくてごめんなさいね」
「そんな!大丈夫です」
「そうね、貴女は強くなったものね。私の手助けは必要無いわね」
「いいえ!こうしてここにいられるのは皇女様を含めて私を支えて下さる方々のお陰ですから」
「こんな事を言ってはダメかもしれないけれど、貴女があの男と別れられて本当に良かったわ。だって今貴女すごく幸せそうだもの」
「はい!」
「「お母様」」
そこに小さな皇子と一緒に遊んでいたリアムが現れる。
「リアム!皇子様に失礼な事しなかった?」
「しませんよそんな事」
6歳になりすっかり大人びてしまった。
「そうね、リアムはそんな事しないわね」
そう言って頭を撫でると「もう、いつまでも子供扱いはやめてください」と赤い顔でそう言うリアム。今はお兄さんぶりたい年頃らしい、最近頭もそうそう撫でさせて貰えない…くすん。
「貴女再婚は考えてないの?」
皇女様は幼い我が子を抱き上げながらそう言ってくる。
「そういうのは考えてませんね」
「そうなの?まだ若いんだから…」
「今がとても幸せなんです」
そう言ってリアムを眺めながら微笑む。
「そう…」
穏やかな時間が流れる。
あの頃の私はこんな穏やかな時間が過ごせる日が来るとは思っていなかった。
色々な事があったけどこんな日が迎えられる選択を出来て良かった。
よく晴れた空を見上げるずっとこんな日々が続けばいいとどこまでも広がる空に思いを馳せた。
この時に皇帝陛下の弟に見初められていて後に猛アタックを受けるのだがそれは今の私は知らない事。
[完]
これでこの作品は終わりになります!ここまで読んで下さった方達には感謝しかありません!ありがとうございます。
毎日感想を下さった方々もとても励みになりました。ありがとうございます!
皆様のお陰で完結させる事が出来ました。
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新しく「待ってました婚約破棄」を始めます。
ご興味のある方はそちらも1度見て頂けたらと思います。
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