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なな

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「やっぱりご令嬢のこの身体では旅はキツイわねぇ」
私は木の幹に背中を預け休んでいる。
でも、正直気分は最高ね。
やはり前世がある私には令嬢の生活は少々窮屈だった。
でも両親や弟と離れるのは寂しいな。

でも、私にはウィンディ達がいる。
それに絶対にやらなければならないこともある。
「ウィンディ、ちょっと頼みたい事があるんだけど」
『どうしたの?勿論いいけど』
「ありがと。じゃあ早速で悪いんだけどちょっと王様の所まで飛んでくれる?」
ウィンディは目をパチクリさせる。
可愛い♡♡とまぁそんな事言っている場合ではない。
『あら、あのダンディーな王様のところ?いいわよぉ』
ウィンディ王様がタイプなのか。ふむふむ。
『でも、貴方大丈夫なの?姿を現しても』
「うん、王様にだけはこうなる事を言ってあるからね」
『ふーん、そうなの。じゃあ行くわわよ』
私とウィンディはあっという間に王城のとある部屋へと転移した。


自分が精霊の加護持ち、神の愛し子と発覚して後。神殿に行くつもりは無かったが次代の愛し子が現れず王様が大変かもしれないと子供ながらに思った私は王様に会いに行った。
流石に大勢の前にいきなり姿を現すのは不味いのでウィンディに王様の行動を無理のない範囲で見てもらって、王様が1人になった所で直接お父様の前に転移した。
最初はとてもびっくりしていた王様に殺されそうになったりもしたけど私がお父様の子供だと気付いたらしく話をさせてもらえるようになった。
「そう言えばこの間あいつと一緒に来ていたね」
「はい」
「今日もあいつと来たのかい?今日来るとは聞いていなかったが」
「いえ、お父様はいません。今日は1人で参りました、いや2人?」
「?」
王様は不思議な顔でこっちを見た。
うーん、やっぱり見て貰った方が早いな。
「ウィンディ」
私は王様の前でウィンディを呼んだ。精霊は普通なら人には見えないが聖霊側が人に見えるようにしようと思えば人に姿が見えるようになる。
「王様、この子は風の精霊。ウィンディですわ」
王様はじっとこっちを見ている。
「君が次代の愛し子か?」
流石王様!やはりすぐお解りなられたようた。
「そうです。私が次代の愛し子ですわ。しかしながら!私は神殿には行きたくありません!この事はお父様、お母様はもちろん家族使用人誰にも言っておりません。私が愛し子であると知っているのは私の他で人間では王様だけです。取り敢えず今の所、この事を王様以外の人に言うつもりはありません」
驚く王様に私は一気に言い切った。
王様は暫く私の様子を見ていた。
「なぜ、我にだけこんな大事な事を?」
「勿論、王様だからですわ」
私は微笑みながらそう言った。

この後黒いモヤの事、神の愛し子の仕事の事などを王様に話した。
最初はやはり神殿にと仰っておられた王様も別に神殿にいなくても大丈夫だとウィンディに言われ納得してくれた。そして次からはこの部屋に転移するといいと言って、王様の私室に近く誰にも見られない部屋を私にくれた。


それが今転移して着いたこの部屋である。




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