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じゅうに

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『貴方の家大変だったわよぉ』
ウィンディが楽しそうにそう言った。
「?お父様達のこと?」
隣国に向かい歩いている途中。
もう少しで私が殺された国境付近。 
『まぁ、貴方の家族達もそりゃ大変だったけどね。貴方の元婚約者様よ』
「なに?」
『貴方の家族の前で俺は悪くない!彼女と俺を邪魔する貴方が悪いって騒ぎまわっていたわ』
「はぁ?自分の浮気を棚に上げて私が悪い?しかも私はあの2人の邪魔なんて1度もした事ないわよ」
この怒りのエネルギーでまだまだ歩けそうだわ。
「だいたい、まだ捕まってなかったの?」
『えぇ。貴方の弟を人質にして貴方の部屋に立てこもってたからねぇ』
「ふーん、そうなの……って!何ですって?私の弟を人質にしてるでですって?」
勢いよくウィンディの方へ顔を向ける。
『本当よォ。見てみる?』
「ええ、お願い」
私はウィンディに我が家の光景を見せてもらう。




「うるさいうるさいうるさい!おれはわるくない!あいつがあいつがあいつがおれのじゃまをするからだ!」
私の元婚約者がナイフの様な物を振り回しながら屋敷の中をすすむ
その腕の中に私の弟が
「あ、あにうえ。どうか落ち着いて下さい」
そう言った弟を彼は突き飛ばし狂ったように
「あにうえなんて呼ぶなあああああ」
と叫び出した。
お母様がそれを見て叫び声を上げて気を失った。お父様がお母様を支えて彼の様子を見ている。




「修羅場じゃん!」
私は被っていた今世の仮面を脱ぎ捨てて叫んでいた。
えぇ、どうすんの?これ!大変じゃん!あいつここまで腐ってたとは。
しょうがない予定変更!
「ウィンディ!私を家に転移して!」
そう言った瞬間私はもう家の中にいた。
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