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親子の会話 王妃様と皇太子殿下

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「あんなに美しいご令嬢だったなんてね、世の中わからないものね。ふふふ」
隣に 座っている王妃が先程ミリア孃が出て行った扉を見つめてそう言った。
「ええ、何かあるとは思っていたのですが……まぁ目立ちたく無いと言う気持ちは解らなくもないですが、その為に自分で商品開発までして地味を装うとは。まぁあれほどの美しさならば無理もありませんね」
わたしもミリア孃が出て行った扉を見つめながらそう言った。
「で、これからどうするつもりなの?」
「?どうするとは?」
王妃は一体何を言っているのか。
すると隣の王妃はそれは驚いたという顔で
「貴方、ミリア孃の事が好きなのでしょう?」
 …………ん?んん?んー?
「?!」
私は一瞬で顔が赤くなったのが分かる。

「……貴方自分で気付いてなかったの?」
隣から王妃の呆れた声が聞こえてくるがもうそれどころではない。

えっ?まじで?私ってミリア孃の事が好きだったのか?えっ?ど、どうしたら?
自慢ではないが今まで誰かを好きになるという事をしたことが無かったか私はもう何が何だか。
「貴方、初恋もまだだったのねぇ」
とうとう王妃から哀れむような視線が投げ掛けられた。
私は王妃を見る。
「私はどうしたらいいのでしょう?」
情けない私の姿を見て王妃はとてもいい顔で微笑み返し
「貴方を好きになってもらいなさい」
にっっっっっこり! 
「?!」
無茶振りキター!!!
「今まではあの子に次期なんて務まるかしら?と思っていたけれど、イザベル嬢への対応を見て今日の私達への対応を見たら大丈夫なようだし。何より貴方がミリア孃を好きなのだし!」
王妃はそれはとても嬉しそうに手を叩きそれはとても良い笑顔で
「そうと決まれば作戦会議よ!」
と立ち上がった。  

私は自分の初恋を知ったショックで暫くそこから動けない。
取り敢えず次会うときどんな顔をすればいいのか、そんな初歩的な事で悩むのだった。      
今夜はなかなか眠れそうにない。

部屋の外から王妃の楽しそうな鼻歌が聞こえる。
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