灰色のねこっち

ひさよし はじめ

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第十話 ねこっちとパソコン

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 くんちゃんは、いつも仕事が終わったら何かをカチャカチャしています。
 ねこっちは気になって仕方ないので、ある日思い切って聞いてみました。

「くんちゃん、それは何ですか? 何をやってるんですか?」
「これはパソコン。友達と文字で話しをしてるんだよ」

 くんちゃんが教えてくれながら、画面を見せてくれます。
 それはメッセンジャーというものらしいです。
 くんちゃんは、お仕事の残りをやりながらお友達と話をしているようです。誰かが話をすると『ペコポン!』という音がしてお知らせをしてくれます。ねこっちは興味津々で、くんちゃんの膝の上で画面を見ていました。くんちゃんも仕事をやりながら、時々何か文字を打っています。
 しばらくすると、くんちゃんは仕事のデータを画面から消してしまいました。そして何かをメッセンジャーに打ち込むとねこっちを膝から下ろしました。

「じゃ、お風呂入ってくるね」

 そう言って、くんちゃんはお風呂に行ってしまいました。いつもならねこっちもお風呂に付いて行くのですが、今日はどうしてもパソコンが気になったので残って画面を見ていました。

 すると『ペコポン!』と音がして文字が出てきます。
 ねこっちは、慌てました。だってくんちゃんは、お風呂に行ってしまっているからです。ねこっちがオロオロしている間にも『ペコポン!』『ペコポン!』と音はなり続け、文字が出てきます。
 もう、ねこっちがなんとかするしかありません。ねこっちはパソコンの台の上に乗って、くんちゃんのやっていたことを見様見真似でやってみました。
 なんとか、くんちゃんはお風呂でいないことを伝えないといけません。

 カチャカチャといっぱいの四角いボタンを押します。そして最後に少し大きいボタンを押すのです。するとねこっちが打った文字が表示されました。
 成功です! すると一斉に書き込みが増えました。
 『ペコポン!』『え? 何? 文字化け?』
 『ペコポン!』『お風呂行ってくるって言ってたじゃん』
 『ペコポン!』『えー! じゃあ誰が打ち込んでるの?』
 『ペコポン!』『まさか、ねこっちだったりして!』

「そうですよ! ねこっちですよ!」

 パソコンに向かって言ってみても相手には聞こえないようです。仕方ないので、ねこっちはまたパソコンの四角いボタンを押します。

『ねこっちですよーくんちゃんはお風呂ですよー』

 ねこっちは、こう打ち込んだつもりだったのですが、意味がわからない文字がいっぱい出るだけでした。でも、なんどもチャレンジしているとねこっちだと信じてくれたようだったので安心しました。皆がねこっちにイロイロ話かけてくれるので、ねこっちは嬉しくなってカチャカチャしていました。
 すると、くんちゃんの声が聞こえました。

「ねこっち? 何やってんの?」

 くんちゃんが、お風呂からあがってきました。ねこっちは得意気に説明します。

「くんちゃんがお風呂の間、ねこっちがお話していました!」
「ええ!? ホントに?」

 くんちゃんは、慌てて画面を見ます。ねこっちの書き込みを見て、くんちゃんは笑いながらねこっちの頭を撫でてくれました。

「お風呂に行ってくるって書いてから行ったから心配しなくてよかったのに」

 そう言って、くんちゃんはカチャカチャと文字を打ちました。ねこっちを膝に乗せてくれて、今までのはねこっちが打ってたことも説明してくれました。
 でも今回のことでくんちゃんのお友達から、ねこっちは『パソコンを使える猫』と言われるようになりました。
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