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第三話 入学式② 〜人生を賭けた手押し相撲〜
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俺たちは体育館に到着し、中に入った。
「な、なんだこの光景は...!」
体育館を満たすは、100を超える男の群集。
当然の如く、女子の姿は見えなかった。
『オイコラ!どうなってんだ!?俺たちが受験したのはこんな訳分からん高校じゃなくて、優美学園だぞ!』
『我弍愛出高校とかふざけてるのかコラ!責任者出てきやがれ!』
体育館のあらゆる場所から、罵詈雑言が飛び交っている。
「そっそうだ!」
翔也は何かを思い出したようだった。
「俺が入ろうとしてた学校の名前は優美学園だ...!それなのにどうして、ガニメデに...。」
つまり、ここにいる連中は俺を含めて優美学園に入学するつもりが、我弍愛出高校の入学式に流れてついてしまったらしい。アイツ(作者)のご都合主義パワーによって、今の今まで記憶の改竄が行われていたのだろう。
「そうだ!僕も優美学園に入学するつもりが、何故かしら上裸になる羽目に...!」
お前は完全に自業自得だ。
「ヤバいな...。完全に暴動寸前だぞ。どうなるんだ?」
すると、体育館の明かりが全て消え、壇上にスポットライトが照らされ、そこに立っていた男がマイク越しに、こう言った。
《集まっとる、集まっとる。今年も
ゴミ共が。》
一瞬の沈黙に包まれた後、
『何だと!?言って良いことと、悪いことがあんだろ!』
『入学式初日から新入生をゴミ呼ばわりって何様のつもりだ!』
新入生たちからの怒声が壇上の男に飛ばされた。
《黙れ、ガキ共!捻り潰すぞ!》
体育館内はザワザワとした雰囲気に包まれた。
《いいか?正確には、お前らはまだ、新入生じゃない!だから、我弍愛出に集められたんだ!》
《大方、美人が多いだの、芸能人がいるだのといった情報に釣られて優美学園を受験したのだろ。》
『お、俺は別に、アイドルの小鳥遊ちゃんがいるからとかじゃなくて...!』
『俺だって、卒業生に女子アナが多いからお近づきになれないかとか思ってないし?』
図星だったのだろう。体育館内に動揺が広がった。
《我弍愛出に集められた新入生候補は100人!今からやってもらう催しで、この100人を50人までに絞る!そして、その50人だけを優美学園への入学を認めよう。》
『待ってください!私は、純粋に優美学園の素晴らしき教育方針や校風に憧れて...!こんな所で争う為に来たわけではありません!是非、私を優先的に入学させて下さい!』
『あぁ!?何言ってんだテメェ!!どうせ、お前もこっち側の人間なんだろうが!気取ってやがんじゃねぇぞキザ野郎!』
『ハァ!?誰がお前らみたいな雑種と同類だって!?訂正しろ.....、訂正した挙句ばくはt...!』
《もういい、黙れ!お前らの人間性の底辺っぷりは日の目を見るより明らか!これは決定事項だ。今からルールを説明する!心して聞け!》
その後、説明されたルールはこうだった。
1.我弍愛出高校に入る際に渡された1から100までの番号札を用いて、1~5、5~10といったように5人1組のチームを作る。
2.各チームは、学園側が用意した対戦組で一度だけ対戦を行う。形式は5対5の団体戦。
3.競技内容は手押し相撲を行う。勝者の組は優美学園への入学が認められ、敗者は即刻退学。
4.手洗いうがい、アルコールによる消毒、体温検査など感染症対策に努めて行われています。
「ちっ、厄介なことになったな優一。」
「本当にそうだよ...。何だよ手押し相撲って。」
競技内容といい、ルールの浅さといい、作者の能力の低さが垣間見える。全くいい加減にしてほしいものだ。
そして、俺たち3人は互いの札を確認した。俺が87、翔也が88、慶太が89。
「僕たち3人同じチームで、あと2人、86番と90番の人がいるね。」
「競技が競技だけに、体育会系の奴がきてくれれば助かるってもんだ。」
2人の会話を聞きながら、俺はなんとなく嫌な予感がしてきた。こんな序盤で更に新キャラが2人...?ただえさえ、キャラが固まっていないこの段階で5人も登場人物が現れようもんなら、付かなくなる!区別が!
「よう、お前らが同じチームらしいな、俺の名前は矢島浩太郎だ。」
その時、新キャラの内の1人が話しかけてきた。
そいつは眼鏡をかけていた。気持ちばかりだが、キャラ区別を付けるための目安になるのでありがたいもんだ。
「ちっ、メガネか...。あんま戦力として使えなさそうだな。」
翔也がボソッと呟きた。
「あん!?聞こえてんぞ、お前!おっ、見たところ俺より小さいねぇ。お前の方が戦力にならないんじゃないのか?」
「殆ど変わんねぇよ!それどころかお前は顔が長いだけで実質俺の方が背は高けぇよ、クソ眼鏡!」
「落ち着けって、2人とも!こんな状態じゃ、残りの1人も話しかけづらくなるだろ!」
俺は、2人の言い合いが更にヒートアップする前に止めに入った。
「おお...。だが、ラスト1人なら既にそこにいるぞ。」
落ち着きを若干取り戻した浩太郎が俺の背後を指差した。振り返って見ると、
「(...ペコ)。」
影の薄い男が静かに立っていた。
「うわぁ!?ビックリした!」
俺は気配を1ミリも察知することができずに背後を取られていたことに驚きを隠せなかった。
「奴の名前は薫。それ以外の情報を全く喋ろうとしない不思議な奴さ。」
不思議な奴だと?違う、そうじゃない!薫くんは理解しているんだ!自分の立場を!だから、必要以上の情報も出さないし、目立った行動もしない!この試合が終わったら物語から静かにフェードアウトするために!!
「まあ、この状況において俺たちは協力するしかないんだ、仲良くしようぜ。よし!改めて自己紹介だ!俺の名前は矢島浩太郎、爺ちゃんは八百屋を経営してて...」
このクソ眼鏡!!余計な情報を盛り込んでくるな!薫くんの謙虚さを見習え!
「俺の紹介はこんな感じかな。次は薫、お前の番だ。...ん?特にないって?全く寡黙な奴だなぁ。寡黙といえば、俺のひぃ婆ちゃんも寡黙な人でさ、今年94歳に...」
これ以上、眼鏡に喋らせるとコイツが主人公になりかねん情報量になるので裏で各自の自己紹介を済ませることにした。
次回、手押し相撲開幕。
「な、なんだこの光景は...!」
体育館を満たすは、100を超える男の群集。
当然の如く、女子の姿は見えなかった。
『オイコラ!どうなってんだ!?俺たちが受験したのはこんな訳分からん高校じゃなくて、優美学園だぞ!』
『我弍愛出高校とかふざけてるのかコラ!責任者出てきやがれ!』
体育館のあらゆる場所から、罵詈雑言が飛び交っている。
「そっそうだ!」
翔也は何かを思い出したようだった。
「俺が入ろうとしてた学校の名前は優美学園だ...!それなのにどうして、ガニメデに...。」
つまり、ここにいる連中は俺を含めて優美学園に入学するつもりが、我弍愛出高校の入学式に流れてついてしまったらしい。アイツ(作者)のご都合主義パワーによって、今の今まで記憶の改竄が行われていたのだろう。
「そうだ!僕も優美学園に入学するつもりが、何故かしら上裸になる羽目に...!」
お前は完全に自業自得だ。
「ヤバいな...。完全に暴動寸前だぞ。どうなるんだ?」
すると、体育館の明かりが全て消え、壇上にスポットライトが照らされ、そこに立っていた男がマイク越しに、こう言った。
《集まっとる、集まっとる。今年も
ゴミ共が。》
一瞬の沈黙に包まれた後、
『何だと!?言って良いことと、悪いことがあんだろ!』
『入学式初日から新入生をゴミ呼ばわりって何様のつもりだ!』
新入生たちからの怒声が壇上の男に飛ばされた。
《黙れ、ガキ共!捻り潰すぞ!》
体育館内はザワザワとした雰囲気に包まれた。
《いいか?正確には、お前らはまだ、新入生じゃない!だから、我弍愛出に集められたんだ!》
《大方、美人が多いだの、芸能人がいるだのといった情報に釣られて優美学園を受験したのだろ。》
『お、俺は別に、アイドルの小鳥遊ちゃんがいるからとかじゃなくて...!』
『俺だって、卒業生に女子アナが多いからお近づきになれないかとか思ってないし?』
図星だったのだろう。体育館内に動揺が広がった。
《我弍愛出に集められた新入生候補は100人!今からやってもらう催しで、この100人を50人までに絞る!そして、その50人だけを優美学園への入学を認めよう。》
『待ってください!私は、純粋に優美学園の素晴らしき教育方針や校風に憧れて...!こんな所で争う為に来たわけではありません!是非、私を優先的に入学させて下さい!』
『あぁ!?何言ってんだテメェ!!どうせ、お前もこっち側の人間なんだろうが!気取ってやがんじゃねぇぞキザ野郎!』
『ハァ!?誰がお前らみたいな雑種と同類だって!?訂正しろ.....、訂正した挙句ばくはt...!』
《もういい、黙れ!お前らの人間性の底辺っぷりは日の目を見るより明らか!これは決定事項だ。今からルールを説明する!心して聞け!》
その後、説明されたルールはこうだった。
1.我弍愛出高校に入る際に渡された1から100までの番号札を用いて、1~5、5~10といったように5人1組のチームを作る。
2.各チームは、学園側が用意した対戦組で一度だけ対戦を行う。形式は5対5の団体戦。
3.競技内容は手押し相撲を行う。勝者の組は優美学園への入学が認められ、敗者は即刻退学。
4.手洗いうがい、アルコールによる消毒、体温検査など感染症対策に努めて行われています。
「ちっ、厄介なことになったな優一。」
「本当にそうだよ...。何だよ手押し相撲って。」
競技内容といい、ルールの浅さといい、作者の能力の低さが垣間見える。全くいい加減にしてほしいものだ。
そして、俺たち3人は互いの札を確認した。俺が87、翔也が88、慶太が89。
「僕たち3人同じチームで、あと2人、86番と90番の人がいるね。」
「競技が競技だけに、体育会系の奴がきてくれれば助かるってもんだ。」
2人の会話を聞きながら、俺はなんとなく嫌な予感がしてきた。こんな序盤で更に新キャラが2人...?ただえさえ、キャラが固まっていないこの段階で5人も登場人物が現れようもんなら、付かなくなる!区別が!
「よう、お前らが同じチームらしいな、俺の名前は矢島浩太郎だ。」
その時、新キャラの内の1人が話しかけてきた。
そいつは眼鏡をかけていた。気持ちばかりだが、キャラ区別を付けるための目安になるのでありがたいもんだ。
「ちっ、メガネか...。あんま戦力として使えなさそうだな。」
翔也がボソッと呟きた。
「あん!?聞こえてんぞ、お前!おっ、見たところ俺より小さいねぇ。お前の方が戦力にならないんじゃないのか?」
「殆ど変わんねぇよ!それどころかお前は顔が長いだけで実質俺の方が背は高けぇよ、クソ眼鏡!」
「落ち着けって、2人とも!こんな状態じゃ、残りの1人も話しかけづらくなるだろ!」
俺は、2人の言い合いが更にヒートアップする前に止めに入った。
「おお...。だが、ラスト1人なら既にそこにいるぞ。」
落ち着きを若干取り戻した浩太郎が俺の背後を指差した。振り返って見ると、
「(...ペコ)。」
影の薄い男が静かに立っていた。
「うわぁ!?ビックリした!」
俺は気配を1ミリも察知することができずに背後を取られていたことに驚きを隠せなかった。
「奴の名前は薫。それ以外の情報を全く喋ろうとしない不思議な奴さ。」
不思議な奴だと?違う、そうじゃない!薫くんは理解しているんだ!自分の立場を!だから、必要以上の情報も出さないし、目立った行動もしない!この試合が終わったら物語から静かにフェードアウトするために!!
「まあ、この状況において俺たちは協力するしかないんだ、仲良くしようぜ。よし!改めて自己紹介だ!俺の名前は矢島浩太郎、爺ちゃんは八百屋を経営してて...」
このクソ眼鏡!!余計な情報を盛り込んでくるな!薫くんの謙虚さを見習え!
「俺の紹介はこんな感じかな。次は薫、お前の番だ。...ん?特にないって?全く寡黙な奴だなぁ。寡黙といえば、俺のひぃ婆ちゃんも寡黙な人でさ、今年94歳に...」
これ以上、眼鏡に喋らせるとコイツが主人公になりかねん情報量になるので裏で各自の自己紹介を済ませることにした。
次回、手押し相撲開幕。
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ありがとうございます😭😭
こういったweb小説って初めてなので、礼儀とか勝手が分からないこともあるので暖かく見守って頂ければ幸いです(^ ^)