ポチッと押したらオタクの俺は本当に異世界にいました。

ベルン魔法研究編

忘却の彼方の電気

そんなことを思った後、俺は言う。

「ちょっと出て行ってくれ、部屋を整理したいから」
「解った」
「わかりました」

なぜか不満げだったが二人ともそう言って出てくれた。扉がガチャンとしまったのを見届けると俺は出てきた本棚を持ち上げようとした。だがもちろんエルフであるリーフィアにすら負ける筋力では持ち上がるわけもない。なので、身体強化魔法を使うことにした。

まず、手を振り上げてアプリを表示させて、アプリでできた円を回しギャラリーを開く。検索の欄を押すと架空キーボードが表示される。そして、キーボードに身体強化魔法と打ち込むと身体強化魔法の呪文が出てくる。それを心の中で読んだ。

「此の魔法は身体を強化するものなり、魔力で身体を強化しろ」

明らかに手抜きな呪文を読むとしっかりとMPが減って体が楽々と動くようになった。そして、俺は本棚に近寄ると本棚を持ち上げた。ゴン!!力加減がわからずに動かしたため本棚が天井に激突する。この魔法は制御については考えられていないらしい。

っておかしいだろ!!呪文が明らかに適当だしこれイメージも適当だよね。他の魔法は一応しっかりと呪文はそれっぽくなってたし、制御についてもしっかり考えられていたんだが。こんな適当な呪文があったら元々あったとかいう話にもならないでしょ。

そんなことを思いつつ俺は持っている本棚をドアから見て右下の隅っこに置いた。そして、パソコンを慎重に力を加えながら持ち上げて右上の隅っこに置く。そして力を解除してノートパソコンを真ん中に置いてある机に置いた。なんで大きいほうのパソコンのモニターを置かないかって?召喚し忘れたに決まってんだろ。

長い異世界での生活で忘れてたんだよ。本当だよ?べ、別に四日しか経ってないのに長い異世界での生活なんて無理があるなとか思ってないからな。本当だからな。

そんな風に我ながら誰に言っているんだと思いつつ俺は電源ケーブルをノートパソコンに挿し、パソコンにも一応挿した。そこで電源ケーブルをコンセントにつけようとしてふと思った。充電なんて異世界で出来ないじゃん。と。

　叫びそうになったがすんでのところでこらえることが出来た。別にパソコンが動かなくともラノベがあるのでしばらく娯楽に困ることは無いし、魔力が溜まるのには今までの経験から言っても一日もかからないだろう。
　だから、魔力が溜まってから発電機をどっから召喚すれば……それやったら犯罪じゃねぇか。どうすればいいんだ?・・・・・・・・・・解らないな。そんなことを思ってふと魔力の量を表示するゲージを見ると魔力が僅かに回復していた。魔力って意外と早く回復するな。

　そんなことを思うと同時に思い出した。そういえばこの魔力量を表示しているウェアラブル機器は魔力を吸い取り電気に変換していたことに。
　簡単なことだったのだ。魔力を変換して百ボルトの電気をコードに流す魔法を作ればいい。

　そのことを見つけた俺はそのことを心にとどめて置くだけにした。魔力が少ないので今作ってもすぐに発動することは出来ないし、俺がその呪文すべてを覚えてられるかが怪しいからだ。

　なので、俺は次にインターネットへの接続という問題について考えることにした。デスクトップパソコンにはある程度のアニメの録画分があるのだが、逆に言えばある程度のアニメしか見られない。しかも途中までしかないものを。