ポチッと押したらオタクの俺は本当に異世界にいました。

竜虎

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ベルン魔法研究編

掃除という名の戦闘

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俺がツッコミ役に回り、女性陣にツッコンで女性陣と楽しくおしゃべりをしながら馬車に乗り続けること、十六分。家の前に着いたのか馬車が止まった。

そういえば、クリスティーネさんが空気過ぎる。これまで結構な時間を共にしてきたはずだけど、ほとんど喋っていないし、食事をするときも別だったし、それが出来る従者なのだろうか。ご主人に気を使わせないとかご主人の気持ちを汲み取って行動し先回りするとかは知ってるけど空気になるはそのどれかに該当するのだろうか。

もしかしたらマギナは案外従者という存在が要らないからかもしれない。もしかしたら思春期で従者がいるのが恥ずかしいとかか?まあクリスティーネさんは進んで空気になっているぽいし、気に掛けなくても良いか。そんなことを思いながら俺は一番最後に降りた。

俺が降りて下を向いている顔を上に上げると酷いことになっていた。酷いことになっているのはもちろん家だ。まず、家は二階建てでここの世界の価値観は解らないが、俺の価値観からすると普通サイズの家だ。家はレンガ造りで、家の全体のカラーは赤茶色になっている。窓もあり、この世界ではお初にお目にかかるガラス製の窓だ。ここだけ聞くとむしろ良い感じのお高そうな家に聞こえるがここからが酷いところだ。

庭には雑草がボーボーで、なにかおっかない花が生えている。なぜ、おっかない花か解ったか?というと、庭の木に巣を作っていたスバメサイズの火鳥かちょうという真っ赤で、鮮やかな赤い色をしている鳥がその花の近くを通りすぎたらなぜか消えてしまったからだ。ちなみに、その代わりに花の真ん中のギザギザが付いていた空洞が閉じていた。

恐らく花が火鳥を捕食したものだと思われる。ということは何らかのセンサーが花に備わっており火鳥を感知して火鳥のところまで花の茎が伸びて口もどきを空け飲み込んだ。ということだろう。あれの大きい版とか庭にいないよね。この庭怖い。

そして家には当然のようにつるが巻きついてる。この様子だと家の中も凄いことになってそうだな。そんな風に考えた直後、ウンディーネとマギナが連携をし、芝ごと雑草とつるを燃やして当たり一帯を黒くしていた。ただ、ウンディーネのおかげで俺達が死なずに済んだり、庭に吐いている木が燃えずに済んだり、家の窓が溶けずに済んだ。それにしてもやり方が豪快だな。

そして、燃やしている途中火鳥かちょうは炎の中を涼しい顔で飛んでいた。ここの庭は恐ろしかったな。横にいたリーフィアは驚きのあまり固まっていた。まあこんなやり方されたら、驚くよね。

そんなこんなで、雑草と家に巻かれていたつるを炭に変えた俺たちは、家の中に入った。家の中に入ると予想通りにひどかった。今回は蜘蛛の巣が至るところに張り巡らされていた。まあ至るところといっても今見れているのは玄関につながる一直線の通路だけだが。そして残念ながら、玄関で靴を脱ぐという文化はこの街にはないらしい。異世界転生者か転移者がいたっぽいっ痕跡があったからありそうなものだがなかった。

地道にマギナが腰に挿していた短剣で蜘蛛の巣を打ち払っていきながら外れた巣を燃やしていくこと数分。リビングで蜘蛛の大群に遭遇した。蜘蛛の大群の数は1mぐらいの蜘蛛一匹と20CMぐらいの蜘蛛が十数匹といったところだ。そこでマギナがすかさず凄い早口で詠唱を終えて飛ばしたが声を聴いた瞬間に逃げてマギナが飛ばした半円の水の刃が届くことは無かった。だが、こちらにはもっと凄いやつがいる。

もっと凄い奴とはもちろんウンデイーネだ。水魔法に関することならウンディーネに勝てる奴はいないだろう。そんなウンデイーネは散らばった蜘蛛を見るなり小さい水の刃を十個生み出した瞬間に放った。すると、大きな蜘蛛を含めた十匹が切断されて床にポトリと落ちた。ちなみに、水の刃は壁や窓にぶつかると同時に唯の水になった。マギナが小さい声で言った。

「お、おかしい」
「やったー!!」

そんなマギナをよそにウンディーネは無邪気にはしゃいでいた。残りの蜘蛛はそれを見るなり勝てないと判断しすばやく蜘蛛の巣を伝い奥に逃げてしまった。そしてまた、リーフィアはウンデイーネのやったことを見て固まっていた。驚かれるのは普通俺のポジションだよね。俺ってアニメやラノベでいうところの主人公だよね?まあ俺が戦わずに済むならいいか。そんな風に割り切ったあと、二人も割り切れたのかまた進み始めた。

今度はリーダー格が居ないからか、蜘蛛は集団行動をしておらずマギナが心の中で詠唱し、倒していた。そして二十何分か後にマギナいわくすべて倒し終わった。ちなみになんでマギナいわくが最初につくかというと、ほかの人が数えられなかったからだ。

今度は清掃だ。かなり疲れる。もう動きたくない。そんな弱音を吐きながらマギナの説明を聞いた。

「じゃあ役割分担をする。まず一階の玄関側をやる人がヒョウガ。反対側をするのがわたし。二階の階段側をするのがウンデイーネで反対側がリーフィア。魔法で掃除をする。OK?」
「だいじょうぶ!!」
「わかりました」
「おけ」

そうして俺たちは掃除をした。掃除が終わったのは5時27分だった。
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