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魔女の娘のアリーちゃん編
小洗屋のシラタマと魔女の娘のアリーちゃん 6話
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収穫祭が、村にはある。
お米の時期と果物の時期にいつも行われている。
今回は果物の収穫祭。
因幡果樹園は村一番の果樹園だ。
広場も大きく、屋台も一番多く並ぶ場所でもある。
そこで初お披露目となったのは、因幡果樹園で採れたリンゴを使ったコラボ商品だ。
それも、ミランダの洋菓子店“Witch Sweets”と、和菓子店“小洗屋”のコラボ商品である。
洋菓子店からは、リンゴスコーンに餡子とバタークリームをサンドしたお菓子が!
和菓子店からは、リンゴジャムと生クリームが挟まったどら焼き(シラタマの焼きごて入り)が!
果樹園で限定発売となった商品だが、どちらもものすごい勢いで売れていく。
シラタマとアリーちゃんは補充で大忙し。
だが、真新しいお菓子に、みんなの顔がほころんでいるのが、幸せでたまらない。
結局は午前中で用意した分が全て売り切れとなった──
「食べれなかった」
しょぼくれたシラタマに、母が紙につつんでわたしてくれたのはあのどら焼きだ。
「アリーちゃんとお食べ」
「母ちゃん、ありがと!」
待ち合わせにしていた大ぶりのリンゴがなっていた木の下にはすでにアリーちゃんがいる。
「アリーちゃん、すごかったね!」
「うん! あっという間になくなっちゃった。……でもね、ママが、これ!」
両手からそっと開いて見せてくれたのは、スコーンサンドだ。
「シラタマと食べてって」
「私も母ちゃんからどら焼きもらったの。一緒に食べなさいって」
2人は木陰に回り込み、そっと半分ずつ交換する。
口に入れるのは、持ってきてもらったお菓子のほうだ。
ゆっくりひと口頬張った。
「「……おいし~~~」」
試食から知ってはいるが、やっぱり完成したものを食べるのは全くちがう!
スコーンはバタークリームの塩気が抜群にいい。餡子とのコンビネーションが見事すぎる。
餡子の風味をいかしながら、和のスコーンにしてしまっている。
どら焼きの方は、手軽に食べられるパンケーキのイメージがあった。
だが、少しちがう。
確かにふわふわだが、生地のカラメル感や味の濃さが、パンケーキとはちがうのだ。
小麦粉の香りがしっかりし、それにリンゴジャムが合わさることで、酸味がたされて、飽きない味に。
甘さ控えめの生クリームが食べ応えと、クリーミーさを引き立てて、新しいお菓子になっている。
2人は夢中で食べて、ほっと息をついた。
まだまだお祭りは終わらない。
楽しそうな雑踏の往来を聞きながら、アリーちゃんは微笑んだ。
「シラタマ、よかった。みんな、おいしいって食べてる」
「うん! アリーちゃんのおかげだよ」
「ちがう、シラタマのおかげ」
「ちがう、リッカのおかげだし!」
リンゴラムネを胸に抱え、シラタマとアリーちゃんの間に割って座ったのは、リッカちゃんだ。
ラムネを手渡したリッカちゃんは、さっそくリンゴラムネを飲みつつ、持ってきたリンゴ飴を食べだした。
「あまったるくない?」
シラタマの声に、ううんと首をふる。
「酸っぱいリンゴだから、そんなに甘くない。でもさ、飴が厚いとだめね。かたくて歯がたたないから……」
がちがちがち! と噛みつくリッカちゃんは、ちゃんとシラタマとアリーちゃんの分も用意していたようだ。
「ひゃっぱ、おまつりは、リンゴ飴だよね」
食べながらしゃべるリッカちゃんに笑いながら、シラタマとアリーもリンゴ飴にかじりつく。
「リンゴ飴、おいし。リッカ、ありがと」
「いいって、いいって! めっちゃサイコーなお菓子できたしね、シラタマちゃん!」
「うん! これからのお菓子も、とっても楽しみよ、私!」
村の名物お菓子として、小洗屋はもちろんだが、Witch Sweetsも名前を並べていくのは間違いない未来だ。
お米の時期と果物の時期にいつも行われている。
今回は果物の収穫祭。
因幡果樹園は村一番の果樹園だ。
広場も大きく、屋台も一番多く並ぶ場所でもある。
そこで初お披露目となったのは、因幡果樹園で採れたリンゴを使ったコラボ商品だ。
それも、ミランダの洋菓子店“Witch Sweets”と、和菓子店“小洗屋”のコラボ商品である。
洋菓子店からは、リンゴスコーンに餡子とバタークリームをサンドしたお菓子が!
和菓子店からは、リンゴジャムと生クリームが挟まったどら焼き(シラタマの焼きごて入り)が!
果樹園で限定発売となった商品だが、どちらもものすごい勢いで売れていく。
シラタマとアリーちゃんは補充で大忙し。
だが、真新しいお菓子に、みんなの顔がほころんでいるのが、幸せでたまらない。
結局は午前中で用意した分が全て売り切れとなった──
「食べれなかった」
しょぼくれたシラタマに、母が紙につつんでわたしてくれたのはあのどら焼きだ。
「アリーちゃんとお食べ」
「母ちゃん、ありがと!」
待ち合わせにしていた大ぶりのリンゴがなっていた木の下にはすでにアリーちゃんがいる。
「アリーちゃん、すごかったね!」
「うん! あっという間になくなっちゃった。……でもね、ママが、これ!」
両手からそっと開いて見せてくれたのは、スコーンサンドだ。
「シラタマと食べてって」
「私も母ちゃんからどら焼きもらったの。一緒に食べなさいって」
2人は木陰に回り込み、そっと半分ずつ交換する。
口に入れるのは、持ってきてもらったお菓子のほうだ。
ゆっくりひと口頬張った。
「「……おいし~~~」」
試食から知ってはいるが、やっぱり完成したものを食べるのは全くちがう!
スコーンはバタークリームの塩気が抜群にいい。餡子とのコンビネーションが見事すぎる。
餡子の風味をいかしながら、和のスコーンにしてしまっている。
どら焼きの方は、手軽に食べられるパンケーキのイメージがあった。
だが、少しちがう。
確かにふわふわだが、生地のカラメル感や味の濃さが、パンケーキとはちがうのだ。
小麦粉の香りがしっかりし、それにリンゴジャムが合わさることで、酸味がたされて、飽きない味に。
甘さ控えめの生クリームが食べ応えと、クリーミーさを引き立てて、新しいお菓子になっている。
2人は夢中で食べて、ほっと息をついた。
まだまだお祭りは終わらない。
楽しそうな雑踏の往来を聞きながら、アリーちゃんは微笑んだ。
「シラタマ、よかった。みんな、おいしいって食べてる」
「うん! アリーちゃんのおかげだよ」
「ちがう、シラタマのおかげ」
「ちがう、リッカのおかげだし!」
リンゴラムネを胸に抱え、シラタマとアリーちゃんの間に割って座ったのは、リッカちゃんだ。
ラムネを手渡したリッカちゃんは、さっそくリンゴラムネを飲みつつ、持ってきたリンゴ飴を食べだした。
「あまったるくない?」
シラタマの声に、ううんと首をふる。
「酸っぱいリンゴだから、そんなに甘くない。でもさ、飴が厚いとだめね。かたくて歯がたたないから……」
がちがちがち! と噛みつくリッカちゃんは、ちゃんとシラタマとアリーちゃんの分も用意していたようだ。
「ひゃっぱ、おまつりは、リンゴ飴だよね」
食べながらしゃべるリッカちゃんに笑いながら、シラタマとアリーもリンゴ飴にかじりつく。
「リンゴ飴、おいし。リッカ、ありがと」
「いいって、いいって! めっちゃサイコーなお菓子できたしね、シラタマちゃん!」
「うん! これからのお菓子も、とっても楽しみよ、私!」
村の名物お菓子として、小洗屋はもちろんだが、Witch Sweetsも名前を並べていくのは間違いない未来だ。
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