café R ~料理とワインと、ちょっぴり恋愛~

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第2章 カフェから巡る四季

第160話 ハイボールに合うウイスキーって?①

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 唐揚げとハイボールを楽しみたい!!!!!

 と、連絡が来たのは3日前。
 巧からだった。

 なんでも、

 もー、会食とかヤダ!!!!
 疲れる!!!!
 大人の会話、したくない!!!!

 とのことで、仕事放棄でもあるわけですが、固苦しくない状態で、固苦しくないものを食べたいそうだ。
 それに付き合うのは、瑞樹と三井、連藤になる。
 久しぶりの4人の集合に、莉子もどんなものがいいかと考えるが、なにより、ハイボールとは?

「……てか、ハイボールとは?」

 莉子の声ももれる。
 このカフェでは、瓶ビール、ワインばかり。泡といえば、スパークリングワインとなるわけで、全く、ウイスキーなんぞ置いていない。
 困った。困ったぞ。
 手をつけるところがもうわからない。
 ウイスキーと打ち込んで検索すれば、もう手に入らないような高価なものがゴロゴロでてくるし、だいたい、よく表記されているピート感とはなんぞや……?
 まだフルーティやベリー系の香りまではわかるが、モルト香とは??

「マジでわかんない……」

 莉子はランチの準備を進めながら、うんうんと首を捻り続けていた。
 捻っていれば、答えがでるときがある。

「あ! ヤスさん!」

 思わず声が出る。
 それぐらいしっかりぴったりハマった人物だったのだ。

「莉子ちゃんはワインだなんて、おしゃれだねぇ。うちは一人だから、強い酒ばっか。ウイスキーとかさぁ」

 何年前かも覚えていないが、そんな会話をしたことがあるのだ。
 昔すぎて、もう嗜んでいないかもしれない。
 でも昔取った杵柄で、ウイスキーウンチクを炸裂しないだろうか……?




「──え? ウイスキー?」

 いつもの時間に本を持ってやってきたヤスさんに、莉子は相談をもちかけた。
 それもそのまま、『ハイボールに合うウイスキーはありますか?』と。

「ウイスキーかぁ……ウイスキーは最近、高騰してて、今までのが倍とかなってて、ぜんぜん手が伸びなくなったよねぇ」

 独り言のようにつぶやきながら、顎を撫でている。
 莉子が差し出したコーヒーの香りをそっとかいで、嬉しそうに顔をほころばして、ひと口。

「最近、流行ってるかなぁって思うのは、ニッカウイスキーかなぁ」

 ニッカというと、赤い帽子をかぶった赤いヒゲのおじさんのイラストが思い浮かぶ。
 他には? と言われると、無勉強すぎて全くわからない。
 さきほど角瓶と調べたらサントリーで、ニッカのあるアサヒビールではなかったのもあり、もう、頭の中が混乱し始める。

「このウイスキー、最近でたんだけどさ。莉子ちゃんのお店にあっても似合うかもね」

 ヤスさんはスマホを操作し、画面を見せてくれた。
 そこには、透明な瓶に白文字が印字されたウイスキーがある。
 それは『おじさんクサイ』というイメージと真逆だ。
 おしゃれで、かわいい雰囲気もある。

「こんなウイスキーもあるんですね」
「これ、ニッカフロンティアっていうの。ブレンデットっていって、色んなウイスキーを混ぜて、いい感じにしたのなんだけど、手頃な金額だし、初心者でもウイスキーらしい味を楽しめると思うよ。特にハイボールはオススメだね」
「へー……」
「莉子ちゃんはワイン飲んでるから、わかると思うよ」
「いやいや。でも、探して飲んでみます」

 まずは、自分で飲んでみないとな。
 とは思うものの、ウイスキーはガバガバ飲むものでもない。
 1本買って、全然口に合わないと捨てるのも勿体ない。

 こういうとき召集されるのは、おっさん組、そう、三井と連藤である。
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