160 / 170
第2章 カフェから巡る四季
第160話 ハイボールに合うウイスキーって?①
しおりを挟む
唐揚げとハイボールを楽しみたい!!!!!
と、連絡が来たのは3日前。
巧からだった。
なんでも、
もー、会食とかヤダ!!!!
疲れる!!!!
大人の会話、したくない!!!!
とのことで、仕事放棄でもあるわけですが、固苦しくない状態で、固苦しくないものを食べたいそうだ。
それに付き合うのは、瑞樹と三井、連藤になる。
久しぶりの4人の集合に、莉子もどんなものがいいかと考えるが、なにより、ハイボールとは?
「……てか、ハイボールとは?」
莉子の声ももれる。
このカフェでは、瓶ビール、ワインばかり。泡といえば、スパークリングワインとなるわけで、全く、ウイスキーなんぞ置いていない。
困った。困ったぞ。
手をつけるところがもうわからない。
ウイスキーと打ち込んで検索すれば、もう手に入らないような高価なものがゴロゴロでてくるし、だいたい、よく表記されているピート感とはなんぞや……?
まだフルーティやベリー系の香りまではわかるが、モルト香とは??
「マジでわかんない……」
莉子はランチの準備を進めながら、うんうんと首を捻り続けていた。
捻っていれば、答えがでるときがある。
「あ! ヤスさん!」
思わず声が出る。
それぐらいしっかりぴったりハマった人物だったのだ。
「莉子ちゃんはワインだなんて、おしゃれだねぇ。うちは一人だから、強い酒ばっか。ウイスキーとかさぁ」
何年前かも覚えていないが、そんな会話をしたことがあるのだ。
昔すぎて、もう嗜んでいないかもしれない。
でも昔取った杵柄で、ウイスキーウンチクを炸裂しないだろうか……?
「──え? ウイスキー?」
いつもの時間に本を持ってやってきたヤスさんに、莉子は相談をもちかけた。
それもそのまま、『ハイボールに合うウイスキーはありますか?』と。
「ウイスキーかぁ……ウイスキーは最近、高騰してて、今までのが倍とかなってて、ぜんぜん手が伸びなくなったよねぇ」
独り言のようにつぶやきながら、顎を撫でている。
莉子が差し出したコーヒーの香りをそっとかいで、嬉しそうに顔をほころばして、ひと口。
「最近、流行ってるかなぁって思うのは、ニッカウイスキーかなぁ」
ニッカというと、赤い帽子をかぶった赤いヒゲのおじさんのイラストが思い浮かぶ。
他には? と言われると、無勉強すぎて全くわからない。
さきほど角瓶と調べたらサントリーで、ニッカのあるアサヒビールではなかったのもあり、もう、頭の中が混乱し始める。
「このウイスキー、最近でたんだけどさ。莉子ちゃんのお店にあっても似合うかもね」
ヤスさんはスマホを操作し、画面を見せてくれた。
そこには、透明な瓶に白文字が印字されたウイスキーがある。
それは『おじさんクサイ』というイメージと真逆だ。
おしゃれで、かわいい雰囲気もある。
「こんなウイスキーもあるんですね」
「これ、ニッカフロンティアっていうの。ブレンデットっていって、色んなウイスキーを混ぜて、いい感じにしたのなんだけど、手頃な金額だし、初心者でもウイスキーらしい味を楽しめると思うよ。特にハイボールはオススメだね」
「へー……」
「莉子ちゃんはワイン飲んでるから、わかると思うよ」
「いやいや。でも、探して飲んでみます」
まずは、自分で飲んでみないとな。
とは思うものの、ウイスキーはガバガバ飲むものでもない。
1本買って、全然口に合わないと捨てるのも勿体ない。
こういうとき召集されるのは、おっさん組、そう、三井と連藤である。
と、連絡が来たのは3日前。
巧からだった。
なんでも、
もー、会食とかヤダ!!!!
疲れる!!!!
大人の会話、したくない!!!!
とのことで、仕事放棄でもあるわけですが、固苦しくない状態で、固苦しくないものを食べたいそうだ。
それに付き合うのは、瑞樹と三井、連藤になる。
久しぶりの4人の集合に、莉子もどんなものがいいかと考えるが、なにより、ハイボールとは?
「……てか、ハイボールとは?」
莉子の声ももれる。
このカフェでは、瓶ビール、ワインばかり。泡といえば、スパークリングワインとなるわけで、全く、ウイスキーなんぞ置いていない。
困った。困ったぞ。
手をつけるところがもうわからない。
ウイスキーと打ち込んで検索すれば、もう手に入らないような高価なものがゴロゴロでてくるし、だいたい、よく表記されているピート感とはなんぞや……?
まだフルーティやベリー系の香りまではわかるが、モルト香とは??
「マジでわかんない……」
莉子はランチの準備を進めながら、うんうんと首を捻り続けていた。
捻っていれば、答えがでるときがある。
「あ! ヤスさん!」
思わず声が出る。
それぐらいしっかりぴったりハマった人物だったのだ。
「莉子ちゃんはワインだなんて、おしゃれだねぇ。うちは一人だから、強い酒ばっか。ウイスキーとかさぁ」
何年前かも覚えていないが、そんな会話をしたことがあるのだ。
昔すぎて、もう嗜んでいないかもしれない。
でも昔取った杵柄で、ウイスキーウンチクを炸裂しないだろうか……?
「──え? ウイスキー?」
いつもの時間に本を持ってやってきたヤスさんに、莉子は相談をもちかけた。
それもそのまま、『ハイボールに合うウイスキーはありますか?』と。
「ウイスキーかぁ……ウイスキーは最近、高騰してて、今までのが倍とかなってて、ぜんぜん手が伸びなくなったよねぇ」
独り言のようにつぶやきながら、顎を撫でている。
莉子が差し出したコーヒーの香りをそっとかいで、嬉しそうに顔をほころばして、ひと口。
「最近、流行ってるかなぁって思うのは、ニッカウイスキーかなぁ」
ニッカというと、赤い帽子をかぶった赤いヒゲのおじさんのイラストが思い浮かぶ。
他には? と言われると、無勉強すぎて全くわからない。
さきほど角瓶と調べたらサントリーで、ニッカのあるアサヒビールではなかったのもあり、もう、頭の中が混乱し始める。
「このウイスキー、最近でたんだけどさ。莉子ちゃんのお店にあっても似合うかもね」
ヤスさんはスマホを操作し、画面を見せてくれた。
そこには、透明な瓶に白文字が印字されたウイスキーがある。
それは『おじさんクサイ』というイメージと真逆だ。
おしゃれで、かわいい雰囲気もある。
「こんなウイスキーもあるんですね」
「これ、ニッカフロンティアっていうの。ブレンデットっていって、色んなウイスキーを混ぜて、いい感じにしたのなんだけど、手頃な金額だし、初心者でもウイスキーらしい味を楽しめると思うよ。特にハイボールはオススメだね」
「へー……」
「莉子ちゃんはワイン飲んでるから、わかると思うよ」
「いやいや。でも、探して飲んでみます」
まずは、自分で飲んでみないとな。
とは思うものの、ウイスキーはガバガバ飲むものでもない。
1本買って、全然口に合わないと捨てるのも勿体ない。
こういうとき召集されるのは、おっさん組、そう、三井と連藤である。
12
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる