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呪いの鎧武者
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「――まさか、鎧武者」
呟いた俺に、松岡の鋭い視線が向けられる。
「お前は今日、何を見てきたワケ? 彼女は、振り返りながら逃げてたんだぜ? つまり今日は、あの日とは違って、後をついて来る危険性のあるモノから逃げて来たって事だ。お前も知っての通り、鎧武者は校舎からは出て来ないからな」
「じゃ、全然関係ない変質者とか……?」
「だから、可能性の問題だって」
「しかしそれなら――」
指を口元に持っていった依羅さんが、酷く真剣な表情で言った。
「鎧武者に関係なく、例えば今言ったように変質者だとしたら――誰にも助けを求めず綾香さんに電話したというのが、引っ掛かる。……それで、警視? 彼女をつけてた人物の目撃者なんてのは、いないんでしょうね、勿論」
「そうですね。でも、彼女をつけてた人物なんていなかったって証言なら、ありますけど」
「はぁ?」
警視の言葉に、俺と松岡は頓狂な声をあげて顔を見合わせた。
「コンビニの前でたまってた子達が言ってたんですよ。彼等の気を引く程、彼女は必死な様子で逃げていたみたいでね。この雨の中、傘もささずに走っていたそうですし」
「傘もささずに、ね」
警視の言葉を繰り返し口にした依羅さんは、ニヤリと笑って俺達に顔を向けた。
「では、彼女の傘は何処へ行ったんだろう? そこら辺から当たってみるかい? 保」
「そうだな」
二人の会話にクスリと笑みを洩らした山崎警視は、コーヒーを飲み干すと静かに立ち上がった。
「これ以上、私がお役に立てる事はなさそうですね」
サングラスをかけながら言う。
「警視、あなたの友情に感謝します。こんな夜遅くまで、ありがとう」
いつもの薄い笑みではなく、依羅さんはやさしい微笑みを山崎警視に向けた。その微笑みは営業用ではなく、本当に親しい間柄の人にしか見せない、心からの笑顔のようだった。
それに手を上げて応えた山崎警視は、「では、また」とドアを押し開けた。
警視が出て行ってしまうと、依羅さんと松岡は同じように腕を組み、目を閉じて何かを考えているようだった。
「なあ、依羅さん」
長い沈黙の後。最初に口を開いたのは、松岡の方だった。依羅さんを上目遣いに見上げて、人差し指を振りながら話し出す。
呟いた俺に、松岡の鋭い視線が向けられる。
「お前は今日、何を見てきたワケ? 彼女は、振り返りながら逃げてたんだぜ? つまり今日は、あの日とは違って、後をついて来る危険性のあるモノから逃げて来たって事だ。お前も知っての通り、鎧武者は校舎からは出て来ないからな」
「じゃ、全然関係ない変質者とか……?」
「だから、可能性の問題だって」
「しかしそれなら――」
指を口元に持っていった依羅さんが、酷く真剣な表情で言った。
「鎧武者に関係なく、例えば今言ったように変質者だとしたら――誰にも助けを求めず綾香さんに電話したというのが、引っ掛かる。……それで、警視? 彼女をつけてた人物の目撃者なんてのは、いないんでしょうね、勿論」
「そうですね。でも、彼女をつけてた人物なんていなかったって証言なら、ありますけど」
「はぁ?」
警視の言葉に、俺と松岡は頓狂な声をあげて顔を見合わせた。
「コンビニの前でたまってた子達が言ってたんですよ。彼等の気を引く程、彼女は必死な様子で逃げていたみたいでね。この雨の中、傘もささずに走っていたそうですし」
「傘もささずに、ね」
警視の言葉を繰り返し口にした依羅さんは、ニヤリと笑って俺達に顔を向けた。
「では、彼女の傘は何処へ行ったんだろう? そこら辺から当たってみるかい? 保」
「そうだな」
二人の会話にクスリと笑みを洩らした山崎警視は、コーヒーを飲み干すと静かに立ち上がった。
「これ以上、私がお役に立てる事はなさそうですね」
サングラスをかけながら言う。
「警視、あなたの友情に感謝します。こんな夜遅くまで、ありがとう」
いつもの薄い笑みではなく、依羅さんはやさしい微笑みを山崎警視に向けた。その微笑みは営業用ではなく、本当に親しい間柄の人にしか見せない、心からの笑顔のようだった。
それに手を上げて応えた山崎警視は、「では、また」とドアを押し開けた。
警視が出て行ってしまうと、依羅さんと松岡は同じように腕を組み、目を閉じて何かを考えているようだった。
「なあ、依羅さん」
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