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呪いの鎧武者
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「ああ。たぶん、謎の追跡者との密会だな。お前も気付いただろう? あの窓の正面の教室が高科先輩のクラスだって事に。それプラス佐藤が見たっていう例の黒い車。あれは高科先輩の送迎の車だぜ。それが停まっていたってだけで、高科先輩があの時学園にいた証明になる。彼女なら、俺達のように苦労しなくても夜の学園に忍び込めるだろうしな。――それで、その謎の相手だが、学園で会ってるという事は学園関係者である可能性が高い。では生徒か、教師か。可能性で言えば、両方考えられるんだが――」
二本立てた指を振った松岡は、ニヤリとあの不敵な笑みを浮かべて俺を見た。
「だが、あの理事長室での高科先輩の態度、あれで相手が教師なんだと俺は確信した。彼女、ひどく時間を気にしていただろう? 話す時も、一時限目のチャイムが鳴るのを見計らって話し始めた。それは何故か? 彼女は聞かれたくなかったんだ、俺達との会話をその相手にな。今度は俺達が狙われるとでも思ったのかも知れないが」
「それで、どうして相手が教師だって判るんだ?」
「実はあの時。外で俺達と話してる処を見られてたんだ、その謎の相手にさ。急に高科先輩が後ろを振り返って態度を変えただろう? 先輩の正面にいた俺には、バッチリと見えたぜ。先輩の後ろにいる数人の生徒と教師の姿がな。それで場所を変えたんだが、相手が生徒なら俺達のように授業をサボッて盗み聞きする事も可能だ。しかし教師なら、そんな訳にもいかないだろう?」
「――……へぇ……」
こいつって、ちょっと凄い。
なんにも無いと思える処からフワフワと幾つものシャボン玉を舞い上がらせては、パチンと鳴らす指の音を合図に、一つの大きな玉へと姿を変えさせる。
「……マジで、奇術師みてぇ……」
ボソリと呟いた俺に、松岡は眉を上げてハハッと笑った。
「奇術師ィ? 何それ」
肩を竦めてみせて、視線を真っ直ぐ前へと戻す。
「実は、その謎の相手が誰なのかも予想はついてんだが、高科先輩が相手を庇ってやがんだ。だから、正攻法ではそいつを追い詰められない」
「庇ってる? だって先輩は、あんなに自分を責めてるのに……」
「自分を、責めてる?」
松岡は冷たい視線を俺に向けてから、忠告するように低い声を出した。
二本立てた指を振った松岡は、ニヤリとあの不敵な笑みを浮かべて俺を見た。
「だが、あの理事長室での高科先輩の態度、あれで相手が教師なんだと俺は確信した。彼女、ひどく時間を気にしていただろう? 話す時も、一時限目のチャイムが鳴るのを見計らって話し始めた。それは何故か? 彼女は聞かれたくなかったんだ、俺達との会話をその相手にな。今度は俺達が狙われるとでも思ったのかも知れないが」
「それで、どうして相手が教師だって判るんだ?」
「実はあの時。外で俺達と話してる処を見られてたんだ、その謎の相手にさ。急に高科先輩が後ろを振り返って態度を変えただろう? 先輩の正面にいた俺には、バッチリと見えたぜ。先輩の後ろにいる数人の生徒と教師の姿がな。それで場所を変えたんだが、相手が生徒なら俺達のように授業をサボッて盗み聞きする事も可能だ。しかし教師なら、そんな訳にもいかないだろう?」
「――……へぇ……」
こいつって、ちょっと凄い。
なんにも無いと思える処からフワフワと幾つものシャボン玉を舞い上がらせては、パチンと鳴らす指の音を合図に、一つの大きな玉へと姿を変えさせる。
「……マジで、奇術師みてぇ……」
ボソリと呟いた俺に、松岡は眉を上げてハハッと笑った。
「奇術師ィ? 何それ」
肩を竦めてみせて、視線を真っ直ぐ前へと戻す。
「実は、その謎の相手が誰なのかも予想はついてんだが、高科先輩が相手を庇ってやがんだ。だから、正攻法ではそいつを追い詰められない」
「庇ってる? だって先輩は、あんなに自分を責めてるのに……」
「自分を、責めてる?」
松岡は冷たい視線を俺に向けてから、忠告するように低い声を出した。
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