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呪いの鎧武者
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「おいおい、いいのか? そんなノンビリしてて。それを聞いた彼女の両親は、今頃どう思ってるのかなぁ? 一刻も早く彼女の両親のトコ行って言い逃れしないと。警察が来てからでは、遅いんだぜ?」
言い募った松岡の最後の台詞にビクンッと反応して、慌てて新崎は教室を出て行こうとする。前もロクに見えていない様子で、彼は机や椅子、いろんな物にぶつかりながら出て行った。
それを黙って見送っていた松岡が、表情を曇らせる。
「……ヤバいな。タクシーでも拾わせなきゃ、車で行ったりしたら事故りそうだぞ」
「なっ……!」
追いかけようとした俺の隣で、高科先輩が立ち上がった。
「私が! 私が一緒に行きます。――私も、彼女にお詫びしないと」
そう言って、スカートのポケットから鍵を取り出した。その拍子に、小さな折りたたみナイフが床に転がる。
「あっ」
慌てて拾おうとした彼女よりも早く、松岡がそれを拾い上げた。呆れたようにそれを見下ろし、やれやれと首を振る。
「ねぇ、先輩。これで何をしたかったのかは訊きませんが、少し俺の話を聞いてくれますか」
そのナイフを器用に片手でクルクルと回しながら、松岡は言った。
「これは俺が知り合いから聞いた話なんですが……。自殺ってあるでしょ。自分で命を絶つってアレです。あれってね、やるのは生きた人間だけじゃないそうですよ」
「………」
彼が何を言いたいのかはまったく判らなかったが、俺達は黙って松岡の顔を見つめた。
「まだお腹の中にいる赤ん坊。人として認めてももらっていない存在ですが、彼等にだって、ちゃんと意志があるんだそうです。彼等は、臍で繋がっている母親をダイレクトに感じ取っている。……母親が喜べば彼等も嬉しいし、母親が泣いていれば彼等も悲しい。そしてその中で、彼等は開かない瞳で、静かに未来を見据えているんです。自分達が産まれ出る未来を。それこそ、夢見るようにね。――でももしそれが、母親を不幸にするような未来なら、母親を悲しませるだけの未来だったとしたら……。彼等はね、自分達から流れていくんだ。自分達の意志でね」
彼女の手から鍵を取り上げた松岡は、その掌にナイフを乗せた。
言い募った松岡の最後の台詞にビクンッと反応して、慌てて新崎は教室を出て行こうとする。前もロクに見えていない様子で、彼は机や椅子、いろんな物にぶつかりながら出て行った。
それを黙って見送っていた松岡が、表情を曇らせる。
「……ヤバいな。タクシーでも拾わせなきゃ、車で行ったりしたら事故りそうだぞ」
「なっ……!」
追いかけようとした俺の隣で、高科先輩が立ち上がった。
「私が! 私が一緒に行きます。――私も、彼女にお詫びしないと」
そう言って、スカートのポケットから鍵を取り出した。その拍子に、小さな折りたたみナイフが床に転がる。
「あっ」
慌てて拾おうとした彼女よりも早く、松岡がそれを拾い上げた。呆れたようにそれを見下ろし、やれやれと首を振る。
「ねぇ、先輩。これで何をしたかったのかは訊きませんが、少し俺の話を聞いてくれますか」
そのナイフを器用に片手でクルクルと回しながら、松岡は言った。
「これは俺が知り合いから聞いた話なんですが……。自殺ってあるでしょ。自分で命を絶つってアレです。あれってね、やるのは生きた人間だけじゃないそうですよ」
「………」
彼が何を言いたいのかはまったく判らなかったが、俺達は黙って松岡の顔を見つめた。
「まだお腹の中にいる赤ん坊。人として認めてももらっていない存在ですが、彼等にだって、ちゃんと意志があるんだそうです。彼等は、臍で繋がっている母親をダイレクトに感じ取っている。……母親が喜べば彼等も嬉しいし、母親が泣いていれば彼等も悲しい。そしてその中で、彼等は開かない瞳で、静かに未来を見据えているんです。自分達が産まれ出る未来を。それこそ、夢見るようにね。――でももしそれが、母親を不幸にするような未来なら、母親を悲しませるだけの未来だったとしたら……。彼等はね、自分達から流れていくんだ。自分達の意志でね」
彼女の手から鍵を取り上げた松岡は、その掌にナイフを乗せた。
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