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碧の癒し
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「ここには冬樹さんがいるからね。死を選んだ人はみんな無意識に感じちゃうんだ。『ここならきっと、自分を楽にしてくれる』って」
「僕がというより、この鎮守の森が、なんですけれどね。ほら、こうして立ってるだけで、木の温もりが伝わってくるでしょう? 独りで死のうとする人でもやっぱり、人恋しいというか、温もりを求めるものですから」
「一緒の事でしょ」
「まあ、そうとも言えるかもしれません」
クスクスと笑う。この冬樹という神官からは、なるほど木と同じ匂いがしていた。同じ碧の温もりが、滲み出るように体を取り巻いている。
「でも彼女は」
「そう、求めてくれてないんですよねぇ」
フゥと吐息を洩らした二人は、同じように腕を組んで悩みだした。
「ここを選んだという事は、最初はきっと僕の手を望んでくれてたと思うんですけど」
「温もりを求めてここまで来たのに、それを拒絶するような何かが起こった」
顎に手をあてた隆哉が、ポツリと呟く。
「それは死ぬ前か、それとも後か……」
「この場所で死んでんだから、そりゃ後だろうよ」
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「まあ、そうとも言えるかもしれません」
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「そう、求めてくれてないんですよねぇ」
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「温もりを求めてここまで来たのに、それを拒絶するような何かが起こった」
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