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第1章
ふたりの決意
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「ひとつ質問良いですか?」
亜衣がビシッと右手を挙げた。
佐藤は興味深そうに亜衣を見た。あの話のあとに、まだ質問があるのかと目を輝かせる。
「はい、上尾さん」
佐藤は指を差して亜衣を促した。
「それなら私たちが、向こうの世界に行くメリットって何ですか?」
亜衣の発言に佐藤は目を見張った。この子の中では不死はもはやメリットではない。これなら大丈夫そうだ。
「え?亜衣、何言ってるの?だって私たちなら、死なないんだよ?」
「…植岡さん、少し違うんだ。上尾さんの言うおとり、死ぬたびに初期アバターに戻っていたら、いつまで経っても魔王は倒せない」
「あ…!!」
佐藤の言葉に、お菊は口元に手を当て、大きく目を見開いた。
「アバターこそがメリットなんだ。アバターは身体機能が強化されて作られている。初期段階でも一般人を遥かに凌駕している程だ。まあ勿論…熟練の猛者には敵わないけどね」
佐藤の言葉に気持ちがこもり始める。
「だけど、どんどん成長させていけば、理論上はあの世界の誰よりも強くなるはずなんだ!しかも人間よりも何倍も早いスピードでっ!」
佐藤は立ち上がり拳を握りしめた。背後にザバーンと波飛沫がたつ。
「……失礼した」
亜衣の熱い視線とお菊の冷めた視線に気が付くと、佐藤は複雑な表情で静かに着席した。
「こちらとしては、君たちに手伝ってもらいたいんだが、どうかな?」
佐藤はふたりを交互に見る。
「やるよ!私はやります」
亜衣は大きく頷いた。
「亜衣がやるなら…」
お菊は「ううん」と首を横に振った。
「私もやります。やらせてください!」
「ありがとう。ふたりとも本当にありがとう」
佐藤は額が机に付くほどに頭を下げた。
「それでは、事務的な話に移ろう」
パッと顔を上げると、佐藤は説明を開始した。
・ふたりは中学生なので、アルバイトとしては雇えない。そこで職場体験という形で手伝ってもらうことになる。
・日給分の報酬が出る。4時間を超えた場合は時間分の手当が出る。
・保護者への説明の場を設けるので、明日一緒に集まってほしい。
「親御さんへの説明は、少し違ったものになることは許してほしい」
佐藤はもう一度、深々と頭を下げた。
「分かってる。ウチのお母さんに話しても、どうせ信じないよ」
亜衣が「ケラケラ」と笑った。
「あの…佐藤さん。ウチはお母さんしかいなくて、明日も仕事だから多分無理」
お菊は「どうしよう?」と相談する。
「……え?」
亜衣は突然知らされた衝撃の事実に絶句した。
「あ…亜衣?やめてよね!態度変えられたら私がやりにくい。もうホントに全然なんともないから!」
亜衣は少し考えたあと「分かった」と微笑んだ。
「それなら委任状を作ろう」
佐藤はパソコンの机に移動すると、委任状の作成を始めた。要約すると「上尾さんの保護者の判断に賛同する」というものだ。佐藤はお菊に委任状を渡すと、一番下の空欄を指差した。
「植岡さんはここに、お母さんの署名と印鑑をもらってきて。それと上尾さんは、明日お母さんに印鑑を持ってくるように伝えておいて」
ふたりは「はい!」と返事をする。
「ああそれから、植岡さんのお母さん用に説明会の資料を作るから、それも明日渡すね」
佐藤の言葉にお菊は頷いた。
「最後に、明日親御さんと一緒のときはエレベーター使っていいよ」
佐藤は「ニッ」と笑って、席から立ち上がった。
亜衣がビシッと右手を挙げた。
佐藤は興味深そうに亜衣を見た。あの話のあとに、まだ質問があるのかと目を輝かせる。
「はい、上尾さん」
佐藤は指を差して亜衣を促した。
「それなら私たちが、向こうの世界に行くメリットって何ですか?」
亜衣の発言に佐藤は目を見張った。この子の中では不死はもはやメリットではない。これなら大丈夫そうだ。
「え?亜衣、何言ってるの?だって私たちなら、死なないんだよ?」
「…植岡さん、少し違うんだ。上尾さんの言うおとり、死ぬたびに初期アバターに戻っていたら、いつまで経っても魔王は倒せない」
「あ…!!」
佐藤の言葉に、お菊は口元に手を当て、大きく目を見開いた。
「アバターこそがメリットなんだ。アバターは身体機能が強化されて作られている。初期段階でも一般人を遥かに凌駕している程だ。まあ勿論…熟練の猛者には敵わないけどね」
佐藤の言葉に気持ちがこもり始める。
「だけど、どんどん成長させていけば、理論上はあの世界の誰よりも強くなるはずなんだ!しかも人間よりも何倍も早いスピードでっ!」
佐藤は立ち上がり拳を握りしめた。背後にザバーンと波飛沫がたつ。
「……失礼した」
亜衣の熱い視線とお菊の冷めた視線に気が付くと、佐藤は複雑な表情で静かに着席した。
「こちらとしては、君たちに手伝ってもらいたいんだが、どうかな?」
佐藤はふたりを交互に見る。
「やるよ!私はやります」
亜衣は大きく頷いた。
「亜衣がやるなら…」
お菊は「ううん」と首を横に振った。
「私もやります。やらせてください!」
「ありがとう。ふたりとも本当にありがとう」
佐藤は額が机に付くほどに頭を下げた。
「それでは、事務的な話に移ろう」
パッと顔を上げると、佐藤は説明を開始した。
・ふたりは中学生なので、アルバイトとしては雇えない。そこで職場体験という形で手伝ってもらうことになる。
・日給分の報酬が出る。4時間を超えた場合は時間分の手当が出る。
・保護者への説明の場を設けるので、明日一緒に集まってほしい。
「親御さんへの説明は、少し違ったものになることは許してほしい」
佐藤はもう一度、深々と頭を下げた。
「分かってる。ウチのお母さんに話しても、どうせ信じないよ」
亜衣が「ケラケラ」と笑った。
「あの…佐藤さん。ウチはお母さんしかいなくて、明日も仕事だから多分無理」
お菊は「どうしよう?」と相談する。
「……え?」
亜衣は突然知らされた衝撃の事実に絶句した。
「あ…亜衣?やめてよね!態度変えられたら私がやりにくい。もうホントに全然なんともないから!」
亜衣は少し考えたあと「分かった」と微笑んだ。
「それなら委任状を作ろう」
佐藤はパソコンの机に移動すると、委任状の作成を始めた。要約すると「上尾さんの保護者の判断に賛同する」というものだ。佐藤はお菊に委任状を渡すと、一番下の空欄を指差した。
「植岡さんはここに、お母さんの署名と印鑑をもらってきて。それと上尾さんは、明日お母さんに印鑑を持ってくるように伝えておいて」
ふたりは「はい!」と返事をする。
「ああそれから、植岡さんのお母さん用に説明会の資料を作るから、それも明日渡すね」
佐藤の言葉にお菊は頷いた。
「最後に、明日親御さんと一緒のときはエレベーター使っていいよ」
佐藤は「ニッ」と笑って、席から立ち上がった。
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