中2女子が夏休みに、異世界を救うことになりました!〜RPGにようこそ〜

さこゼロ

文字の大きさ
32 / 98
第2章

ロングレンジフェス 3

しおりを挟む
「それではおふたりの、お名前、ご職業、装備武器を教えてください」

エリサがアイとおキクに声をかけた。

「私は…」

アイが名乗り出ようとした瞬間に、フランが右手で制止をかける。

(アイたちの装備はこの世界では異質すぎるの。ここは任せてください。それと武器の確認もあると思うから、そこの物陰でコッソリ用意しておいて)

フランが小声で素早く説明した。アイとおキクは黙って頷く。

「お待たせして、すみません」

フランはエリサにペコリと頭を下げた。

「大丈夫ですよ」

エリサはにっこり笑って微笑み返す。

「それでは、まずはアイから」

アイの準備が整ったのを確認してから、フランがアイを呼び寄せた。

「彼女はアイ。職業は射手。武器は洋弓銃クロスボウです」

「分かりました。それでは確認のため、武器の提示をお願いします」

「はい!」

アイが勢いよく、エリサに短銃を差し向けた。

「…え?小さいですね。こんな小さなクロスボウは初めてみました」

アイの手にしている短銃を目にし、エリサが驚いた声を上げた。

「弦は付いていないのですか?」

さすがにスルドイ。エリサの疑問にフランは内心舌打ちする。

「今はメンテナンス中なんです」

「なるほど、武器のお手入れは重要ですからね」

フランの説明にエリサが笑顔で頷いた。フランはホッと胸を撫で下ろす。

「次はおキク。職業は剣士。武器は両手剣グレートソードです」

おキクはフランに呼ばれると同時に、両手剣をグワッと肩に担ぎ上げた。

「わあ!今度は大きいですね」

エリサは楽しそうに笑った。それから何となく疑問に思う。

(……これ程大きな剣、今までどこに持ってたのかしら?)

しかし特に重要視もしていなかったので、それ以上は深く追求しなかった。それから直ぐに次のステップへと話を進める。

「それでは次に、おふたりの今までの魔物の討伐状況を教えてください。おおよそで構いません」

その質問を受けて、フランはおキクの顔を真っ直ぐに見た。これは正直に…ということなのだろう。おキクは黙って頷いた。

「灰色狼5体と風切鳥1体です」

「…風切鳥?」

エリサは不意に、先日のフランとの会話を思い出した。しかし直ぐさま思いなおす。

ふたりの武器は両手剣に洋弓銃である。幾ら何でもそれはない。

「この討伐数ですと、階級はC級からのスタートになります」

「C級って?」

アイが興味深そうに、瞳をキラキラと輝かせる。

「冒険者には活躍度に応じて階級が設けられておりまして、階級が上がる程に魔物1体に対する報奨金が高額になっていきます。階級はC~Sまであり、残念ながらC級は一番下の級になります」

エリサの説明にアイは小首を傾げ、隣に立つおキクの顔を見た。

「つまり?」

「つまり…同じ魔物1体でも、階級が高い人の方がたくさんお金が貰えるの」

「えー?それじゃ階級高くないと損じゃん!」

「そうやって競争心を煽っているんでしょうね」

おキクの答えにエリサは苦笑いする。彼女の答えはほぼ正しい。

「それでは最後に登録証を作成します。おふたりとも、こちらにどうぞ」

呼ばれてアイとおキクはエリサの前に立った。

エリサは順番に、アイとおキクの顔にカメラのような物を向けながら何かの操作をした。

しばらく待つと、運転免許証のような、顔写真付きの身分証明書が発行された。

「こちらが登録証になります。記憶魔法により、討伐数と報奨金が記憶されていきます。報奨金は各地の換金窓口で現金に換えることができます。失くしたら大変ですので注意してください」

エリサから登録証を受け取り、アイとおキクは「はい!」と元気よく応えた。

「3人で、パーティ登録を行いますか?」

エリサが三人の顔を順番に見回す。

「パーティ登録を行うと、討伐数と報奨金が全員で均等に自動配分されます。どうされますか?」

「もちろん、やるよ!」

アイがいの一番で即答した。

おキクも当然とばかりに大きく頷く。

「本当に…いいの?」

フランが恐る恐る質問した。自分はおそらく討伐数を稼げない。足を引っ張るのは確実である。

実は実力のある冒険者は、あまりパーティを組んではいない。稼ぎの悪い者と組むと、討伐数と報奨金が減ってしまうからだ。

戦地でともに戦うことは多くあるが、その内容は…個々の冒険者の集まりなのである。

補助系の冒険者は、いかに自分が有用かをアピールすることが重要で…且つ難しいのだ。

「…え?もしかして、フランは嫌だった?」

アイが驚いたような声を出した。

「い…嫌じゃない。全然嫌じゃない!」

フランは慌てて、何度も首を横に振った。

「じゃ、決まり」

「分かりました。ではパーティ登録を行いますね」

その結論に満足したように、エリサが優しい笑顔で頷いた。
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』

まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。 朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。 「ご主人様の笑顔が見たいんです」 その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。 全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!? 甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。 ​「作品への感想代わりの『いいね❤️』や『エール📣』、心よりお待ちしております。」 ​「【応援のお願い】『いいね❤️』や『エール📣』をいただけると、作者のモチベーションが爆上がりします!」 ​「最後までお読みいただきありがとうございます。温かい『いいね❤️』が更新の支えです。」

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...