中2女子が夏休みに、異世界を救うことになりました!〜RPGにようこそ〜

さこゼロ

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第3章(続き)

斬岩刀を持つ漢 6

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明かり問題をクリアしたアイたちは、洞窟をさらに奥へと下っていく。

「オカシイでゴザル。あんな猫より、某の方がよっぽど役に立っている筈でゴザル」

ゾンボルは首を傾げながらブツブツと呟いている。

どれほど進んだだろうか。ずっと真っ直ぐだった洞窟が右に大きく曲がっていた。その曲がり道の手前で、ミーコが立ち止まり振り返る。

蛭蝙蝠ヒルコウモリが20体、この先に集合しています」

「ひ…蛭蝙蝠ですと!」

ゾンボルが引きつった声を出した。

「え、なに?コウモリ?」

ゾンボルの過剰な反応を見て、アイが不思議そうに繰り返す。

「吸血蝙蝠だ」

ターニャがやや蒼い顔で呟いた。

蛭蝙蝠に噛み付かれたが最後、風船のように身体を膨らませながら一気に血液を吸い上げられる。同時に2体に噛み付かれたら生命はないとミーコからの補足説明が入った。

「この先に20体もいるんでしょ?こんな狭いところで逃げ道なんてないじゃない」

おキクがおぞましそうに自分の身体を抱く。

「私ひとりでは、皆さんを守りきれません」

「これはさすがに無理でゴザル。ここは撤退の一択でゴザル」

フランとゾンボルの言葉を聞きながら、さすがのターニャも神妙な顔になる。

この狭い洞窟で20体の蛭蝙蝠に囲まれて、一度も噛み付かれずに全てを叩き落とすなんて芸当は、さすがのターニャも出来る訳がない。

「しょーがない。一旦帰るか…」

「え、なんで?」

そのときアイが、キョトンとしながら首を傾げる。

「まだ相手に気付かれてないんだから、全部簡単に倒せるよ?」

「はあ?」

よく分かってないかのようなアイの発言に、ターニャが少しイラッとしながら詰め寄った。

「もう少し頭の回るヤツだと思ってたんだけどな」

「ターニャさん、待って」

おキクが慌てて、ターニャとアイの間に自分の身体を割り込ませた。

「アイ、ホントに出来るの?」

「え…うん」

いつも通りのアイの表情に、おキクもどう判断すれば良いのか分からない。

「ミーコ、どう?」

「現状のアイの登録装備なら可能と推測します」

助けを求めたミーコの返答に、おキクは満足そうに頷いた。

「だったら、任せてもいい?」

「うん、任せて!」

アイは両手で小さくガッツポーズを作る。

「お、おい!」

訳が分からないターニャは、強く制止することを躊躇ってしまった。

「勇敢と無謀は別物でゴザル。巻き込まれるのは勘弁でゴザル」

ゾンボルが後退りしながら距離を取り始める。

情報読取データロード

アイのかけ声に呼応して、お腹の前に2個の魔法陣が現れ、赤と灰色の正四面体が浮かび上がった。

アイは赤い方の正四面体を素早く掴み取ると、短銃のグリップエンドに差し込んだ。直後に短銃が光を放ち、バーストモードに突入する。

「セーレー、ここからで全部倒せる?」

「半数は射程外に分布しています。攻撃を継続しながらの前進を推奨します」

「分かった」

アイは一度頷くと、短銃を右手で構えながら無造作にトコトコと歩き始めた。

「おい待て!」

ターニャが思わず制止の声をあげる。

その途端、アイの短銃から曲がり道の奥に向けて、凄まじい勢いで炎が放射された。

次の瞬間、洞窟の奥から「キーキー」と、甲高い魔物の断末魔の鳴き声が響いてくる。

アイは洞窟一杯に炎を撒き散らせながら、ドンドンと進んでいく。そしてそのまま曲がり道の奥へと姿を消した。

残されたターニャたちは、ただ呆然とアイの後ろ姿を見送ってしまう。

「あっ私、フォローしないと」

我に返ったフランが慌てて背中から大楯を下ろしたとき、ミーコの声が洞窟内に木霊した。

「蛭蝙蝠の全滅を確認しました」

ミーコの呆気ない報告に、全員は顔を見合わせる。

絡繰り魔導士マシーナリーウィザード…」

ゾンボルは曲がり道の先を見つめながら、ボソッと声を絞り出した。

ターニャはゾンボルの顔に右手を近付けると、頬を思いきり捻り上げる。

「イダダッ!痛いでゴザル」

「…どーやら、夢じゃないみてーだな」

ゾンボルはヒリヒリ痛む頬をさすりながら、涙目をターニャに向けた。

「あの少女、何者でゴザルか?」

「何者なんだろな?」

ターニャは肩をすくめて苦笑いをすると、アイを追って歩き始めた。
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