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【転移34日目】 所持金321億8600万ウェン 「まあまあ、そう言わずに。 今度個人的にメシでも行きましょうよ。」
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検問所は肉眼で見えている。
距離は100メートルもないだろう。
だが、そこに辿り着けない。
兵隊達に囲まれてしまったからだ。
抜刀こそしていないが、全員がニヤニヤと薄ら笑いを浮かべながら柄に手を掛けている。
「アンタが代表さん?
へえ、女連れじゃんwww」
第一声がそれだった。
突然勝手に馬車の中に首を突っ込んで来た兵卒は、ヒルダを舐め回す様に見ながら馴れ馴れしく話し掛けてくる。
「アンタがこのキャラバンの代表なんだよね?
ちょっと話をしようやw
一旦、降りてくれる?」
俺は逆らわず、無言で下車する。
降りた瞬間、俺の両側に大柄な兵卒が現れ無造作に肩を掴んで来る。
カインとキーンも馬車から降ろされ兵卒に包囲されている。
『検問に参りました。
御指示に従います。』
「ああ、ゴメンねーーww
これ検問じゃないんだわww」
『ここは検問所でしょう?』
「はははw
検問所はもう少しだけ先だよーw
あれ、見えてるよね?」
『はい、見えます。』
「あそこに行くにはさあ。
現在開催中のキャンペーンに参加して貰わなくちゃいけないキマリなんだわww」
一斉に兵卒たちがゲラゲラ笑う。
…鈍感な俺にでも彼らの魂胆は見えて来る。
「な、な、ななーんと!
現在、秋の愛国フェア開催中でーすwww」
「「「ギャハハハハハwwwwww」」」
『…。』
「ほら、今って戦時体制下じゃないですかぁw?
王国民一丸となって乗り越える時期じゃないですかぁw?
軍資金は幾らあっても足りないじゃないんですかぁw?」
「だからぁww
寄付金を募ってるんだよねぇwww」
オイオイオイ。
こんな露骨なのラノベでも見た事無いぞ。
そりゃあ王国、戦争に負けるのも仕方ないわ。
それとも負けが込むと軍隊ってこうなるもんなのか?
『趣旨はわかりました。
検問所の皆さんの指示に従います』
「あははははww
物分かりの悪いアホを1名発っ見ーーww
これ検問所の業務とは無関係だからww」
「この寄付行為はねえ
国民の皆様の自主性によって運営されてるのww」
「ねえ代表。
わかるよね?
あくまでアンタが自主的に支払うんだよ。
俺達は何も要求していない。
アンタが自主的に寄付を申し出た。
自主的にねぇww」
…ああ、これ。
もうこの国、駄目だな。
そりゃあそうか、伯爵家は内戦やってるわ、子爵家は遊牧民に領土を売ろうとするわ、国境検問はこんなんだし。
『自主的に寄付します。
幾ら寄付すればいいですか?』
「さあ、幾らだったかなあww
でもねえ?
金額はよーく考えて口に出した方がいいよ?
ほら、あそこ見て見なよ。
ボコられてる奴がいるだろ?
アレ、遊牧民の行商人ww
5千ウェンが精一杯とかふざけた事言ってるから教育してやってるのwww」
彼が指さす方向をよくみると、
数名の兵卒が倒れている男を笑いながら踏みつけている。
「へへへww
俺達も暴力は嫌いなんだよねぇww
でもさあ、愛国心の無い奴は帝国や連邦のスパイかも知れないだろ?
ついつい念入りに取り調べしちゃうよなあwww」
「なあ、代表さんよぉ?
アンタその若さでこんな立派なキャラバンを引率してるんだ?
どこかのボンボンか?
きっとさぞかし儲けてるんだよなぁ?
誠意見せてくれるよなぁ?」
「馬車の中の女、アレ愛人?
協力してくれないとあの子達にも事情聴取しなくちゃいけなくなるかもなあ
へへへへwww」
世も末だな。
まあ、異世界が終わろうが滅びようが俺の知った事ではないが。
『じゃあ100万寄付します。』
「ひゃ、百万!?
…へへへ、大きく出たじゃねえか。
こんな大金勝手に受け取ったらブッ殺されちまう。
ほら、ウチの小隊長に案内してやるよ!
来い。」
『いや、これは貴方個人のチップ。
寄付金はまた別。』
「え?」
兵卒が一瞬で声を潜め、怯えたように辺りを見渡す。
幸か不幸か他の者はキーンの方に向かっていた。
まあ、そのタイミングを俺が狙ったのだが。
『その100万は貴方個人への感謝の気持ちですよ。』
「え?
あ? へへへw マジかよww
お? そうか? わ、わるいなww
え? 俺?」
『前金として受け取っておいて下さい。』
「前金? これが前金って… あ、後金もくれるのか?」
『ほら、ウチって王都で商売やってるでしょ?
兵隊さんの手を煩わせない様に相場を知っておきたいんですよ。』
「な、なるほど。
相場、相場だよねえw
わかるわかる、急にカネをせびられても困るよねぇ
お、俺で良ければ相談くらいには乗ってやるよ?
階級は低いが軍歴だけは長くてね、万年分隊長ってやつさww
こう見えてちょっとした事情通なんだw」
『ああ、じゃあ寄付金の交渉は貴方で一本化したいので
他の者を休息させてやってもいいですか?』
「おう、勿論よ!
すぐに分隊の連中を動かす。」
キーン・カインが解放され、馬車の中に戻る事を許可される。
また、因縁を付けられていた護衛団も地面に置くことを強要された武具を拾う事を許された。
『分隊長さん。
あの遊牧民は幾ら位払えば殴られずに済んだんですか?』
「い、いや。
幾らって決まりはないんだけどさ。
大体5万位をみんな払うんだよ。
だから、それが相場?
いや、相場ってわけじゃないけど。」
『彼の分、俺が払っていいですか?』
「え!?
知り合い?」
『まあ、そんな所です。
分隊長さん、これ彼の分。』
「い、いいのか?
わ、わかった!
こっちとしては問題ない。
おーい!
遊牧野郎の分はここの旦那が払った!
問題なしだ!」
『グリーブさん。
彼を俺の馬車で介抱させておいて下さい。
コレットには《いい薬を使え》と伝えておいて!』
「すまねえ。
やっぱり知り合いだった?」
『ああ、いえ。
そこまで親しい仲じゃないんで気にしないで下さい。』
「さっきの奴みたいな一般人からは、大体5万。
気の弱い奴なら自分から7万くらい払って来る。
そういう場合、俺達で処理しちまう。
10万ウェンとかになってくると、必ず小隊長に報告してる。
俺達だけで山分けにした事がバレるとマジで殺されるからな。」
『じゃあその小隊長さんがおカネを集めてるんですか?』
「いや、小隊長も金額が膨れたら上に話を持って行ってるよ?
業者さんだと数十万ウェンくらい出して来るからさ。
その場合、中隊長が出て来る。
百万ウェンとか…
まあ大隊長室に通さなきゃ駄目だろうな。
うん、それを黙ってたら俺達全員が粛清されちまう。」
『あ、今思ったんですけど…
この検問所付近で一番偉いのって誰ですか?』
「そんなもの…
連隊長閣下に決まってるだろうが?
ほら、あそこに石造りの基地があるだろう?
あそこの基地司令であられる。」
『あー、じゃあ。
基地司令閣下にお渡ししようと思ったら…
1000万ウェンくらい包まないと失礼にあたりますかね?』
「1000万!?
…あ、いや。
流石にその額になると、嫌でも基地司令案件だろう…
いや! もっと上に行くのかも知れんが
俺には想像もつかない!」
『じゃあ、王国への忠誠の証として1000万ウェンを寄付したいので
しかるべき方に取り次いで下さい。
…後金は寄付金をちゃんと渡せたら、ということで。』
「わかった。
俺も人生の三分の二を軍隊で過ごしている。
何とかしてみる。」
==========================
大して期待はしていなかったのだが。
分隊長氏の奮戦もあり、基地内の応接室に通される。
連隊長と言うから白髭でも生やした老将軍を想像していたのだが、意外に若い。
聞けば35歳、位は男爵だそうだ。
「その…
御寄付を頂けると伺いまして…」
『ええ。
少しでも王国のお役に立ちたく思ってのことです。』
「おおおおお!!!
素晴らしい!!
いや!! 初めてですよ!!!
こんな提案を受けたのは!!!
そ、その。
大白金貨が2枚?
寄付額は1000万ウェンと聞いたのですが?」
『ええ、寄付額は1000万です。
こちらは連隊長閣下の分。』
「えええ!!!!!
わ、私ですか!?」
『この様な重職を務めておられる方に手ぶらでは会えないでしょう。』
「あ、あ、あ、あ…
ふふっw
い、いやああww
私なんかww ぜ、全然ですよおwww
いやあ参ったなぁww
こ、こんな大金貰っちゃったら、はははw
どのようなお返しをすれば良いのやら… 見当も付きませんw」
『いえいえ、お返しだなんてとんでもない。
これからも閣下のお役に立てるよう精進します。』
「ふ、ふふふww
閣下だなんて他人行儀な呼び方はやめて下さいよぉww
ウィリアム・モーガン。
友人からはウィルと呼ばれてるんです!
はははw
コリンズさんはお若く見えますが…
その、大きな商売をされておられるようですね。」
『いえいえ、私などは。
少しでも大恩ある王国の国益に貢献したいと思いまして。
今から自由都市で商売をして来ます。』
「ほう! 自由都市で!
羨ましいですなあ。
私の妻などは、毎日自由都市の話をしておりますよ。
やれ芝居がどうの、オペラがどうの、と。」
『ああ、では現地に着けたら奥様に何かプレゼントをお贈り致しますよ。
嵩張ると大変でしょうから、宝飾とかそんなもので構いませんか?』
「ほ、宝飾!
あ、いや!
国境を跨ぐとなると…
その…
欲しいのですが…
いや、私の妻がうるさくて!
あ、でも
贈収賄を勘繰る連中が出て来るかも。」
『情報提供ですよ。
国境を預かる閣下の為に情報を集めるのは臣民として当然の義務です。』
「お、おほほww
そうねw
情報ねww
確かにねww
まあ、私ほどの重責を担っている者は…
言われている事をやってるだけでは駄目ねww
ほら、やっぱり個人的にコネクションを作って
積極的に、ねw
情報とか、ねw
集めなきゃ、ねw
あくまで個人的に!
個人的にね!!」
『そうですね。
では、贈り物は基地ではなく閣下のご自宅に直接送った方が宜しいでしょうか?』
「う、うん!
そうだね!
私とコリンズさんは個人的な友人だから!
あくまで個人的な友人ね!
だから、基地よりも私の邸宅に直接送って貰った方が
うーん、変な誤解をされずに済むかもね。
ほら、コリンズさんとは親友だから!!」
==========================
【所持金】
272億2800万ウェン
↓
272億0800万ウェン
※秋の愛国フェアに2000万ウェンを寄贈
==========================
「コリンズ!
無事だったか!?」
『御心配をおかけしました。
基地司令とは話が付きました。
《身元証明書が無い者を通さない》ことも確約済です。
ほら、あそこで指示を出してくれている人物です。
あ、こちらに手を振ってますね。』
馬鹿かアイツ。
軍人が商人にそんなに嬉しそうに手を振ったら
《洒落にならない額の賄賂を受け取りました》
って白状しているようなモンだぞ。
「やったのか?」
『申し訳ありません。
他に手がありませんでした。
ケチってはいません。』
「わかった。
きっとオマエの判断が正しいのだろう。」
『皆さん無事ですか?』
「何発か殴られた程度だ。
オマエが気にすることじゃない。」
『…。』
「これも俺達の商売のうちだ。
オマエはオマエの都合だけを考えろ。」
『分隊長と話を付けて来ます。』
この辺り、軍隊は本当に上意下達で楽だった。
連隊長→大隊長→中隊長→小隊長→分隊長という精密極まりない伝言ゲームが神速で行われて、俺達の馬車は出発を許された。
コレットが例の娼婦を馬車から降ろし、兵士達に預ける。
娼婦はギャーギャー喚くが、身元証明書が無いので出国出来ない。
オイオイオイ、そんな恨みがましい目で見るなよ。
法律で決まってるんだから仕方ないだろ?
それとも自分だけには特例が適用されるとでも思っていたのか?
…ふざけるな!
俺達は全員分の証明書を提出しゲートを潜った。
俺のスタンプは分隊長に押させた。
『これ、約束の後金。』
「ちょ!
みんなが見てる!
困りますよ!!」
『大丈夫、モーガン男爵とは懇意ですから。』
「え!?
連隊長と…」
『これからもウチの商会はここを頻繁に通るんですけど。
連隊長が保護して下さるそうなのでお礼を申し上げていたところです。
今度一緒に呑みに行く約束をしているんですが、貴方も来られます?』
「い、、いや!
俺なんかが同席出来る訳ないじゃないっスか!!」
『まあまあ、そう言わずに。
今度個人的にメシでも行きましょうよ。
ねえ、リック・スペンサー軍曹。』
「え?」
『これからもウチの商会はちょくちょく通らせて貰います。
また色々と我儘を申し上げさせて下さい。』
「あ… ちょ! あ!」
==========================
俺達はゲートを潜り、広大な岩石地帯へと車列を進める。
すっかり時間を浪費してしまったが、出国という最大目標は果たせた。
「隊列変更! 警戒縦列!」
グリーブの指示が全体に飛ぶ。
念の為、やや速度を上げる手筈なのだ。
《51億7000万ウェンの配当が支払われました。》
==========================
【所持金】
272億0800万ウェン
↓
323億7800万ウェン
↓
321億8600万ウェン
※51億7000万ウェンの配当を受け取り。
※カイン・R・グランツに2800万ウェンの利息を支払。
※ドナルド・キーンに1億6400万ウェンの利息を支払。
【コリンズキャラバン移動計画】
「11日目」
中継都市ヒルズタウン (宿が込んでた。)
↓
侯爵城下町 (風光明媚な土地だったらしい)
↓
大草原 (遊牧民を買収した。)
↓
教団自治区 (10億ウェンカツアゲされた)
↓
王国天領 (プロポーズした。)
↓
伯爵城下町 (落ち武者狩りの駄賃で通行)
↓
諸貴族領混在地 (5億ウェンで子爵領購入交渉中)
↓
王国軍都 (護衛団フルチューン)
↓
王国側国境検問所 (秋の愛国フェアに参加)
↓
非武装中立地帯 ←今ココ
↓
連邦or首長国検問所 (例の娼婦に付き纏われているか否かで分岐)
↓
自由都市(連邦領経由なら7日、首長国経由なら5日の計算)
==========================
背後を見る限り、例の娼婦が追跡してくる形跡はない。
規則通りにきっちり45日間の拘留をしてくれる約束だからな。
事前の打ち合わせ通り、キャラバンは首長国方面に進路を取った。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【名前】
リン・トイチ・コリンズ
【職業】
流浪のプライベートバンカー
【称号】
ファウンダーズ・クラウン・エグゼクティブ・プラチナム・ダイアモンド・アンバサダー信徒
【ステータス】
《LV》 19
《HP》 (4/4)
《MP》 (2/2)
《腕力》 1
《速度》 2
《器用》 2
《魔力》 2
《知性》 3
《精神》 3
《幸運》 1
《経験》 456万2649ポイント
次のレベルまで残り54万0647ポイント
【スキル】
「複利」
※日利19%
下7桁切上
【所持金】
321億8600万ウェン
※カイン・R・グランツから14億ウェンを日利2%で借用
※ドナルド・キーンから82億ウェンを日利2%で借用
※バベル銀行の10億ウェン預入証書保有
【常備薬】
エリクサー 58ℓ
距離は100メートルもないだろう。
だが、そこに辿り着けない。
兵隊達に囲まれてしまったからだ。
抜刀こそしていないが、全員がニヤニヤと薄ら笑いを浮かべながら柄に手を掛けている。
「アンタが代表さん?
へえ、女連れじゃんwww」
第一声がそれだった。
突然勝手に馬車の中に首を突っ込んで来た兵卒は、ヒルダを舐め回す様に見ながら馴れ馴れしく話し掛けてくる。
「アンタがこのキャラバンの代表なんだよね?
ちょっと話をしようやw
一旦、降りてくれる?」
俺は逆らわず、無言で下車する。
降りた瞬間、俺の両側に大柄な兵卒が現れ無造作に肩を掴んで来る。
カインとキーンも馬車から降ろされ兵卒に包囲されている。
『検問に参りました。
御指示に従います。』
「ああ、ゴメンねーーww
これ検問じゃないんだわww」
『ここは検問所でしょう?』
「はははw
検問所はもう少しだけ先だよーw
あれ、見えてるよね?」
『はい、見えます。』
「あそこに行くにはさあ。
現在開催中のキャンペーンに参加して貰わなくちゃいけないキマリなんだわww」
一斉に兵卒たちがゲラゲラ笑う。
…鈍感な俺にでも彼らの魂胆は見えて来る。
「な、な、ななーんと!
現在、秋の愛国フェア開催中でーすwww」
「「「ギャハハハハハwwwwww」」」
『…。』
「ほら、今って戦時体制下じゃないですかぁw?
王国民一丸となって乗り越える時期じゃないですかぁw?
軍資金は幾らあっても足りないじゃないんですかぁw?」
「だからぁww
寄付金を募ってるんだよねぇwww」
オイオイオイ。
こんな露骨なのラノベでも見た事無いぞ。
そりゃあ王国、戦争に負けるのも仕方ないわ。
それとも負けが込むと軍隊ってこうなるもんなのか?
『趣旨はわかりました。
検問所の皆さんの指示に従います』
「あははははww
物分かりの悪いアホを1名発っ見ーーww
これ検問所の業務とは無関係だからww」
「この寄付行為はねえ
国民の皆様の自主性によって運営されてるのww」
「ねえ代表。
わかるよね?
あくまでアンタが自主的に支払うんだよ。
俺達は何も要求していない。
アンタが自主的に寄付を申し出た。
自主的にねぇww」
…ああ、これ。
もうこの国、駄目だな。
そりゃあそうか、伯爵家は内戦やってるわ、子爵家は遊牧民に領土を売ろうとするわ、国境検問はこんなんだし。
『自主的に寄付します。
幾ら寄付すればいいですか?』
「さあ、幾らだったかなあww
でもねえ?
金額はよーく考えて口に出した方がいいよ?
ほら、あそこ見て見なよ。
ボコられてる奴がいるだろ?
アレ、遊牧民の行商人ww
5千ウェンが精一杯とかふざけた事言ってるから教育してやってるのwww」
彼が指さす方向をよくみると、
数名の兵卒が倒れている男を笑いながら踏みつけている。
「へへへww
俺達も暴力は嫌いなんだよねぇww
でもさあ、愛国心の無い奴は帝国や連邦のスパイかも知れないだろ?
ついつい念入りに取り調べしちゃうよなあwww」
「なあ、代表さんよぉ?
アンタその若さでこんな立派なキャラバンを引率してるんだ?
どこかのボンボンか?
きっとさぞかし儲けてるんだよなぁ?
誠意見せてくれるよなぁ?」
「馬車の中の女、アレ愛人?
協力してくれないとあの子達にも事情聴取しなくちゃいけなくなるかもなあ
へへへへwww」
世も末だな。
まあ、異世界が終わろうが滅びようが俺の知った事ではないが。
『じゃあ100万寄付します。』
「ひゃ、百万!?
…へへへ、大きく出たじゃねえか。
こんな大金勝手に受け取ったらブッ殺されちまう。
ほら、ウチの小隊長に案内してやるよ!
来い。」
『いや、これは貴方個人のチップ。
寄付金はまた別。』
「え?」
兵卒が一瞬で声を潜め、怯えたように辺りを見渡す。
幸か不幸か他の者はキーンの方に向かっていた。
まあ、そのタイミングを俺が狙ったのだが。
『その100万は貴方個人への感謝の気持ちですよ。』
「え?
あ? へへへw マジかよww
お? そうか? わ、わるいなww
え? 俺?」
『前金として受け取っておいて下さい。』
「前金? これが前金って… あ、後金もくれるのか?」
『ほら、ウチって王都で商売やってるでしょ?
兵隊さんの手を煩わせない様に相場を知っておきたいんですよ。』
「な、なるほど。
相場、相場だよねえw
わかるわかる、急にカネをせびられても困るよねぇ
お、俺で良ければ相談くらいには乗ってやるよ?
階級は低いが軍歴だけは長くてね、万年分隊長ってやつさww
こう見えてちょっとした事情通なんだw」
『ああ、じゃあ寄付金の交渉は貴方で一本化したいので
他の者を休息させてやってもいいですか?』
「おう、勿論よ!
すぐに分隊の連中を動かす。」
キーン・カインが解放され、馬車の中に戻る事を許可される。
また、因縁を付けられていた護衛団も地面に置くことを強要された武具を拾う事を許された。
『分隊長さん。
あの遊牧民は幾ら位払えば殴られずに済んだんですか?』
「い、いや。
幾らって決まりはないんだけどさ。
大体5万位をみんな払うんだよ。
だから、それが相場?
いや、相場ってわけじゃないけど。」
『彼の分、俺が払っていいですか?』
「え!?
知り合い?」
『まあ、そんな所です。
分隊長さん、これ彼の分。』
「い、いいのか?
わ、わかった!
こっちとしては問題ない。
おーい!
遊牧野郎の分はここの旦那が払った!
問題なしだ!」
『グリーブさん。
彼を俺の馬車で介抱させておいて下さい。
コレットには《いい薬を使え》と伝えておいて!』
「すまねえ。
やっぱり知り合いだった?」
『ああ、いえ。
そこまで親しい仲じゃないんで気にしないで下さい。』
「さっきの奴みたいな一般人からは、大体5万。
気の弱い奴なら自分から7万くらい払って来る。
そういう場合、俺達で処理しちまう。
10万ウェンとかになってくると、必ず小隊長に報告してる。
俺達だけで山分けにした事がバレるとマジで殺されるからな。」
『じゃあその小隊長さんがおカネを集めてるんですか?』
「いや、小隊長も金額が膨れたら上に話を持って行ってるよ?
業者さんだと数十万ウェンくらい出して来るからさ。
その場合、中隊長が出て来る。
百万ウェンとか…
まあ大隊長室に通さなきゃ駄目だろうな。
うん、それを黙ってたら俺達全員が粛清されちまう。」
『あ、今思ったんですけど…
この検問所付近で一番偉いのって誰ですか?』
「そんなもの…
連隊長閣下に決まってるだろうが?
ほら、あそこに石造りの基地があるだろう?
あそこの基地司令であられる。」
『あー、じゃあ。
基地司令閣下にお渡ししようと思ったら…
1000万ウェンくらい包まないと失礼にあたりますかね?』
「1000万!?
…あ、いや。
流石にその額になると、嫌でも基地司令案件だろう…
いや! もっと上に行くのかも知れんが
俺には想像もつかない!」
『じゃあ、王国への忠誠の証として1000万ウェンを寄付したいので
しかるべき方に取り次いで下さい。
…後金は寄付金をちゃんと渡せたら、ということで。』
「わかった。
俺も人生の三分の二を軍隊で過ごしている。
何とかしてみる。」
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大して期待はしていなかったのだが。
分隊長氏の奮戦もあり、基地内の応接室に通される。
連隊長と言うから白髭でも生やした老将軍を想像していたのだが、意外に若い。
聞けば35歳、位は男爵だそうだ。
「その…
御寄付を頂けると伺いまして…」
『ええ。
少しでも王国のお役に立ちたく思ってのことです。』
「おおおおお!!!
素晴らしい!!
いや!! 初めてですよ!!!
こんな提案を受けたのは!!!
そ、その。
大白金貨が2枚?
寄付額は1000万ウェンと聞いたのですが?」
『ええ、寄付額は1000万です。
こちらは連隊長閣下の分。』
「えええ!!!!!
わ、私ですか!?」
『この様な重職を務めておられる方に手ぶらでは会えないでしょう。』
「あ、あ、あ、あ…
ふふっw
い、いやああww
私なんかww ぜ、全然ですよおwww
いやあ参ったなぁww
こ、こんな大金貰っちゃったら、はははw
どのようなお返しをすれば良いのやら… 見当も付きませんw」
『いえいえ、お返しだなんてとんでもない。
これからも閣下のお役に立てるよう精進します。』
「ふ、ふふふww
閣下だなんて他人行儀な呼び方はやめて下さいよぉww
ウィリアム・モーガン。
友人からはウィルと呼ばれてるんです!
はははw
コリンズさんはお若く見えますが…
その、大きな商売をされておられるようですね。」
『いえいえ、私などは。
少しでも大恩ある王国の国益に貢献したいと思いまして。
今から自由都市で商売をして来ます。』
「ほう! 自由都市で!
羨ましいですなあ。
私の妻などは、毎日自由都市の話をしておりますよ。
やれ芝居がどうの、オペラがどうの、と。」
『ああ、では現地に着けたら奥様に何かプレゼントをお贈り致しますよ。
嵩張ると大変でしょうから、宝飾とかそんなもので構いませんか?』
「ほ、宝飾!
あ、いや!
国境を跨ぐとなると…
その…
欲しいのですが…
いや、私の妻がうるさくて!
あ、でも
贈収賄を勘繰る連中が出て来るかも。」
『情報提供ですよ。
国境を預かる閣下の為に情報を集めるのは臣民として当然の義務です。』
「お、おほほww
そうねw
情報ねww
確かにねww
まあ、私ほどの重責を担っている者は…
言われている事をやってるだけでは駄目ねww
ほら、やっぱり個人的にコネクションを作って
積極的に、ねw
情報とか、ねw
集めなきゃ、ねw
あくまで個人的に!
個人的にね!!」
『そうですね。
では、贈り物は基地ではなく閣下のご自宅に直接送った方が宜しいでしょうか?』
「う、うん!
そうだね!
私とコリンズさんは個人的な友人だから!
あくまで個人的な友人ね!
だから、基地よりも私の邸宅に直接送って貰った方が
うーん、変な誤解をされずに済むかもね。
ほら、コリンズさんとは親友だから!!」
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【所持金】
272億2800万ウェン
↓
272億0800万ウェン
※秋の愛国フェアに2000万ウェンを寄贈
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「コリンズ!
無事だったか!?」
『御心配をおかけしました。
基地司令とは話が付きました。
《身元証明書が無い者を通さない》ことも確約済です。
ほら、あそこで指示を出してくれている人物です。
あ、こちらに手を振ってますね。』
馬鹿かアイツ。
軍人が商人にそんなに嬉しそうに手を振ったら
《洒落にならない額の賄賂を受け取りました》
って白状しているようなモンだぞ。
「やったのか?」
『申し訳ありません。
他に手がありませんでした。
ケチってはいません。』
「わかった。
きっとオマエの判断が正しいのだろう。」
『皆さん無事ですか?』
「何発か殴られた程度だ。
オマエが気にすることじゃない。」
『…。』
「これも俺達の商売のうちだ。
オマエはオマエの都合だけを考えろ。」
『分隊長と話を付けて来ます。』
この辺り、軍隊は本当に上意下達で楽だった。
連隊長→大隊長→中隊長→小隊長→分隊長という精密極まりない伝言ゲームが神速で行われて、俺達の馬車は出発を許された。
コレットが例の娼婦を馬車から降ろし、兵士達に預ける。
娼婦はギャーギャー喚くが、身元証明書が無いので出国出来ない。
オイオイオイ、そんな恨みがましい目で見るなよ。
法律で決まってるんだから仕方ないだろ?
それとも自分だけには特例が適用されるとでも思っていたのか?
…ふざけるな!
俺達は全員分の証明書を提出しゲートを潜った。
俺のスタンプは分隊長に押させた。
『これ、約束の後金。』
「ちょ!
みんなが見てる!
困りますよ!!」
『大丈夫、モーガン男爵とは懇意ですから。』
「え!?
連隊長と…」
『これからもウチの商会はここを頻繁に通るんですけど。
連隊長が保護して下さるそうなのでお礼を申し上げていたところです。
今度一緒に呑みに行く約束をしているんですが、貴方も来られます?』
「い、、いや!
俺なんかが同席出来る訳ないじゃないっスか!!」
『まあまあ、そう言わずに。
今度個人的にメシでも行きましょうよ。
ねえ、リック・スペンサー軍曹。』
「え?」
『これからもウチの商会はちょくちょく通らせて貰います。
また色々と我儘を申し上げさせて下さい。』
「あ… ちょ! あ!」
==========================
俺達はゲートを潜り、広大な岩石地帯へと車列を進める。
すっかり時間を浪費してしまったが、出国という最大目標は果たせた。
「隊列変更! 警戒縦列!」
グリーブの指示が全体に飛ぶ。
念の為、やや速度を上げる手筈なのだ。
《51億7000万ウェンの配当が支払われました。》
==========================
【所持金】
272億0800万ウェン
↓
323億7800万ウェン
↓
321億8600万ウェン
※51億7000万ウェンの配当を受け取り。
※カイン・R・グランツに2800万ウェンの利息を支払。
※ドナルド・キーンに1億6400万ウェンの利息を支払。
【コリンズキャラバン移動計画】
「11日目」
中継都市ヒルズタウン (宿が込んでた。)
↓
侯爵城下町 (風光明媚な土地だったらしい)
↓
大草原 (遊牧民を買収した。)
↓
教団自治区 (10億ウェンカツアゲされた)
↓
王国天領 (プロポーズした。)
↓
伯爵城下町 (落ち武者狩りの駄賃で通行)
↓
諸貴族領混在地 (5億ウェンで子爵領購入交渉中)
↓
王国軍都 (護衛団フルチューン)
↓
王国側国境検問所 (秋の愛国フェアに参加)
↓
非武装中立地帯 ←今ココ
↓
連邦or首長国検問所 (例の娼婦に付き纏われているか否かで分岐)
↓
自由都市(連邦領経由なら7日、首長国経由なら5日の計算)
==========================
背後を見る限り、例の娼婦が追跡してくる形跡はない。
規則通りにきっちり45日間の拘留をしてくれる約束だからな。
事前の打ち合わせ通り、キャラバンは首長国方面に進路を取った。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【名前】
リン・トイチ・コリンズ
【職業】
流浪のプライベートバンカー
【称号】
ファウンダーズ・クラウン・エグゼクティブ・プラチナム・ダイアモンド・アンバサダー信徒
【ステータス】
《LV》 19
《HP》 (4/4)
《MP》 (2/2)
《腕力》 1
《速度》 2
《器用》 2
《魔力》 2
《知性》 3
《精神》 3
《幸運》 1
《経験》 456万2649ポイント
次のレベルまで残り54万0647ポイント
【スキル】
「複利」
※日利19%
下7桁切上
【所持金】
321億8600万ウェン
※カイン・R・グランツから14億ウェンを日利2%で借用
※ドナルド・キーンから82億ウェンを日利2%で借用
※バベル銀行の10億ウェン預入証書保有
【常備薬】
エリクサー 58ℓ
263
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