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【転移118日目】 所持金2垓1420京1214兆7250億9294万ウェン 「遂に俺の異世界生活、オマエら以外の女性レギュラーキャラ出現
しおりを挟む
改めて。
俺のスキル【複利】を端的に説明すれば、無限に富を増やしていく、というもの。
現在、俺の資産の大半はミスリルであり、この金属は彼ら異世界人のインフラを支える相当有用な資源(スキルの触媒として最適とのこと)なので、この世界の資源総量を爆増させている事になる。
しかも地球帰還にあたって、全財産をこの地に残していく事を俺は宣言している。
そりゃあ歓迎もされるし、引き止めもされるだろう。
例えるなら、油田を毎日増やし続けてくれる宇宙人がやって来たようなものなのだから。
「聞こえますか、魔王様!
民草の祈りが!」
ピット会長に率いられた政財界の重鎮達が魔王城(ゲル)の外を指し示す。
遠目にも物凄い数の群衆が見える。
「我ら愚かなる下々は、魔王様からいっそうの御統治・御教導を賜る事だけを望んでおります!
どうか、どうか!
お見捨てにならいで下さいませ!
我々は魔王様の忠実な僕で御座いますーーーーー!!!!」
どうやら、《魔王様行かなないでデモ》が全世界で同時発生しているらしい。
プラカードにも【魔王様LOVE】とか【魔王様命】とか極太文字で書かれている。
「魔王様ーー!!! 行かないでーー!!!」
「僕達を捨てないで下さーーい!!!」
「どうか! どうか! 永遠の統治をーーー!!」
「慈悲をーー!! お慈悲をーーー!!」
「愛してます! お慕いしております!」
「魔王様に絶対の忠誠を誓います!」
「何卒! 何卒!! 何卒ーーーー!!!!」
色々言っているが、直訳すれば《もっとカネをくれ》ということだ。
そりゃあね。
俺が1日に生み出すミスリルは、異世界人にとって数千年分の触媒らしいからね。
出立が先になればなる程、君達は得をするもんね。
様子を見るに、《1垓》というパワーワードが異世界人の琴線に完全に刺さったらしいからな。
引き伸ばし策に打って出るのも仕方ないよね。
特に学者連中。
コイツらが露骨に時間稼ぎを始めた。
「いえいえ!
魔王様!!
オーラコンバーターがまだ不完全で御座います!
こんな危険な装置に魔王様の御玉体を任せる訳には行きません!
爆発の可能性がありますぞ!!」
…学者は嘘が下手だ。
口ぶりや顔つきを見ていれば、《本当はほぼ完成している事実を隠蔽している》事が何となく伝わってくる。
『…ふーん、そうですか。』
俺が疑うような態度を取ると、皆が一斉に目をそらしてしまう。
後はこちらが何を尋ねても、土下座の姿勢を崩してくれなくなった。
「魔王様ー! 不甲斐ない我々をお許し下さいーー!!」
『いやいや、論点をずらさないで下さいよ。
不甲斐ないかどうかではなく、進捗報告の信憑性について尋ねている訳でしょ?』
「「「「「何卒ーーー!! 何卒ーーーーー!!」」」」」
万事がこの調子である。
…土下座って暴力だよね。
==========================
昼過ぎ。
遂にルイ陛下も到着する。
何故かフェルナンよりも下座に座ってしまう。
『いやいや!
陛下、それはマズいですよ陛下。
せめて俺の隣まで来て頂けないと!』
「いえいえ!
フェルナン殿は今や四天王職!!
私めには、どうか末席をお与え下さませ!」
真偽の程は不明だが、アンリ王太子殿下が王位継承権を辞退。
第一継承権をフェルナンに譲渡したいと提唱されておられるそうだ。
当然フェルナンは「長幼の序を乱す」と固辞しているのだが、首長国内の様々な重職を打診されている。
俺の記憶に間違いがなければ、フェルナンはつい半月前まで軟禁されて切腹処分を待っていた筈である。
もうね。
動いている金額が金額なだけに各陣営が神速で動き続けている。
俺の帰還準備以外は本当に全ての展開が早く
かなり精度の高い情報を得ている筈の俺ですら、話について行けなくなっている。
ちなみに、さっき小耳に挟んだ話だが…
ヒルダがコレットに臣従を申し出て、断られたそうだ。
「奴隷として王妃殿下にお仕えしとう御座います。」
「我が身は既に魔王様の忠実なる僕である。
新たに奴婢など不要!」
ヒルダの性格なら男子を生んだ場合、コレットを排除してでも後継に据えようと画策し兼ねない。
彼女の腹の内は読めないが、ヒルダ・コリンズがそういう女だという事は娘のコレットが知り尽くしている。
ヒルダも自分が娘からどう思われているか、コレットが敵と認識した相手をどう扱うかを熟知している。
故に、凄まじい神経戦がかなり以前から繰り広げられており、この数日の劇的な政治的変化の所為で表面化したのである。
金額が金額だからね。
数日で政局が激変しても不思議ではないよね。
その遣り取りを教えてくれたエルデフリダ様は、他人事のようにしれっと言う。
「ワタクシ、困りますの。」
どう困るのか?
と何度問い質しても、それには頑として答えない。
前から思っていたが、このオバサンは自分の主張だけ無遠慮に主張する事をコミュニケーションと錯覚しているようだ。
後でドナルドとポールから聞いたが、どうやらエルデフリダとコリンズ母娘の間に密約があったらしく、母娘の決裂によってそれを反故にされる事を恐れているそうである。
『密約?』
「これは俺の勘なんだけどさぁ。
王国をヒルダさんとコレットちゃんが。
帝国をエルが。
それぞれ領有する密約を結んでるんだと思う。
ハロルド君を皇帝にしたいんだよ、あの女は。
ドニーはどう思う?」
「王妃殿下と王太后殿下に関してはノーコメントで。
あの女に関しては…
恐らく、それ位は企むかと。
後、ハロルドですが。
アレはそもそも器ではありませんし、要職に就けるべきではないでしょう。」
…国ってそんな無造作に配分していいものなのか?
ガバガバだな。
『カインさん。
王国出身者としてコメントお願いします。』
「…後が怖いからノーコメントで。」
俺が貴方でも似たような態度取ると思うだろうな。
平民にとっては誰が王になろうと知った事ではないのだ。
万が一、ヒルダ&コレットが王国の征服に成功した場合、数少ない知己であるカイン・グランツは重用される可能性が高い。
だが、それに反対する動きをすれば確実に族滅されるだろう。
なので、彼にとっては母娘の政争に気付かぬフリをしておくのがベターな選択肢となる。
「ケネス・グリーブも私と似たようなスタンスですよ?」
周囲をキョロキョロ確認し終わったカインがコッソリ耳打ちしてくる。
そりゃあそうだろう。
誰だって家族を守らなくてはならない。
==========================
アポの合間を縫って魔王城から出ると、周囲の軍民が一瞬だけ驚愕の表情を浮かべてから、慌てて愛想笑いを浮かべる。
「あのー、魔王様。
どちらにお出掛けでしょうか?」
各国から派遣されている大使達が冷や汗を垂らしながら、俺の反応を盗み見ようとしてくる。
『あ、いえ。
転送装置の建造具合を見ておこうかな、と。』
俺が何気なくそう言った瞬間、一同が顔面蒼白になり、辺りが途端に静まり返った。
『あの、皆さん?
あまり時間も無いので道を空けて貰えますか?』
シーーーーーン。
誰も道を譲ってくれない。
それどころか、俺の車椅子の進路上に無言で土下座を始めた。
『…あの、皆さん?』
群衆は土下座のまま鼻水を垂らして涙をボロボロと零し始める。
「「「う! う! う! ヒッグ! エッグ!」」」
いや、泣き落としは反則だろう。
こっちを悪者みたいにするのやめてくれないかな。
泣きたいのは俺なんだけどな。
こんな事、言いたくないんだけどさ。
君達がやってるのって、広義の軟禁行為だぞ?
通せんぼやめて貰えませんかね?
結局、埒が明かないので魔王城に帰って閉じ籠もる事にした。
『うーん。
会長、陛下。
それに四天王も。
もう、そろそろ解放してくれませんかね。
生み出した資源は公約通り全て寄付しますし、あれだけあれば十分でしょう?』
「魔王様~!
もう一度! もう一度だけチャンスを~!」
ピット会長も、もっと語彙の豊かな人だったのだが、ここ数日は連呼装置と化している。
いや、わかるんだよ。
経済効率上、その方が正しいんだ。
余計な事をゴチャゴチャ言う暇があれば、ひたすら号泣土下座で時間稼ぎに徹するべきなのである。
異世界人達は恐らく地球よりも知的水準が高いのだろう。
徹頭徹尾、最適解を見せてくれる。
『会長。
腹を割って話しましょう。』
「チャンスを~ チャンスを~」
『会長。
最年長の貴方がそれでは話が進みません。』
「お許しを~ お許しを~」
『では、取引をしましょう。』
「あ、はい!」
何でそこだけ即レスポンスなんだよ。
『こちらの要望から伝えますね?
俺はもう地球に帰りたいです。
オーラロードでしたっけ?
アレ、本当はもう使えるんですよね?』
「はい!
使えます!
本当は実用レベルに到達しておりますが!
私が各所に圧力を掛けて隠蔽しておりましたー!!!」
『はい。
隠蔽自体は好ましくありませんが
それを正直に打ち明けて下さった事は喜ばしく感じます。
さて、取引です。
俺の帰還に協力して頂けますね?
何か俺で提供出来るものはありますか?』
「うーーん、じゃあ個人的にお願いを少しだけ。
・01.ピット家の本領安堵
・02.日頃仄めかしている世襲反対発言の撤回
・03.コリンズ王朝の後継者指名
・04.コリンズ家とピット家の婚姻同盟
以上の4点だけ。」
『OK!
では回答します。
まず01。
本領って南洋諸島ですよね?
これの安堵を認めます。
フェルナンさん、安堵状の作成をお願いします。
後でサインしますので。
次に02。
世襲について。
余所者の俺がこの世界の風習に口を口を出してしまった事を謝罪します。
これまでの反対コメントを撤回し、以降もこの話題に触れない事を約束します。
社会制度に関しては相互不干渉で行きましょう。
そうだ、こちらも書面を交わしておきましょう。
03。
コリンズ王朝などという造語を勝手に作られるのは迷惑です。
ですが、コリンズ家の後継者にはコレット・コリンズの子を指名します。
無論、生まれた子が女子である可能性もあります。
そこで04。
女子が生まれた場合、その者とピット家の男子ストックとの婚姻をこの場で許可します。
但し、これは俺個人の許可に過ぎないので、母コレット・祖母ヒルダの同意はそちらで得て下さい。
はい。
全条件を呑みました。
ではピット会長は全面的に帰還に協力して頂けますね?』
「…ぐぬぬ。
流石は魔王様。
相変わらず判断に躊躇がない。」
『じゃあ、会長。
まずはゲルの外で俺の早期帰還に協力する旨を宣言して貰いましょうか?』
「ま、ままままっ待って下さい!
そんな事をすれば激昂した群衆に嬲り殺しにされてしまいます!!」
だろうな。
俺が群衆でも一族郎党絶対に許さんわ。
『じゃあ何か…
フェルナンさんと相談して、会長がリンチされない論法を編み出しておいて下さい。』
…ゴメン、貴方ばっかり酷使してるね。
でも仕方ないよね。
フェルナンさん、文才あるし演説出来るし知名度高いし国際法に詳しいし人脈凄い上に人当たり良くてマメだからね。
「ま、魔王様! どこへ!?」
『そろそろ例の時間ですので、早めに海に向かいます。
…えっと、もう量が洒落にならない事になっているので海に直接放り込んでいいですよね?
っていうか、コンビナート。
しばらく鎮火しないですよね?』
俺がテントを出ると、一斉に各国大使が囲んで来る。
「ま、魔王様!」
「ど、どちらに!」
「行かないでーーー!」
「何卒! 何卒!」
『いや、そろそろ。
カネが湧くので…』
「おおおおお!!
誠に申し訳御座いませんでした!!!
諸君!
魔王様が《恩寵の儀》を催して下さります!
みなさーーーん!!!
道を開けてーーー!!!」
「恩寵の儀!」
「魔王様!」
「恩寵の儀!」
「うっきーーーーーー!!」
「おお我らが魔王様!」
「神の奇跡ー!!」
「うおーーーうおーーー!」
「魔王様ーーーー!!!!」
オマエラさぁ。
転送装置への視察は徹底妨害する癖に、カネが貰える時だけ協力するんだな…
まあ、人間ってそういう生き物だよな。
==========================
海に辿り着いた俺が上半身だけの柔軟体操をしていると、背後から金銀を塗りたくった珍妙な輿が近づいて来る。
一瞬、《どこの未開部族かな?》と思ったが、輿を担いでいるのがコスプレ軍服を纏った少女達だったので、乗り手がコレットである事がわかった。
「愛しの魔王様…
妻で御座います。」
結構な高さの輿から飛び降りたコレットはそのまま土下座で着地する。
相変わらず身体能力凄いな。
しかも、何か…
凄いコスプレに凄い化粧になってる。
今のオマエ…
異世界ラノベのロリ魔王みたいだぞ?
それ、ひょっとして正妻アピールなのか?
『あ、はい。
…あの、何か?』
「妻が夫の側に居るのは当然で御座います。」
そこまで聞いてピンと来る。
ヒルダとの政争が本格化したのだろう。
『お母様と仲良くね。』
「?
はて…
母?
母… とは?」
『その白々しいキョトン顔やめろ!
ヒルダと揉めるなって言っているんだ!』
「ああ、ヒルダ・コリンズ氏ですね。
失礼。」
すっごく太々しい態度。
母娘で開き直った時の表情が全く同じだな。
『オマエとヒルダが揉めてる所為で皆が迷惑しているんだ!
滅茶苦茶空気悪くなってるんだぞ!』
「そう仰られましても…
ヒルダ・コリンズ氏とは特に問題は起こっておりませんよ?」
女ってこういう態度を平然と取るよな。
父さんに対するあの女の振舞を思い出す。
『兎に角。
今、ちょっと急いでるから
話は歩きながらで。
あ、車椅子押すのはポールさんのままで。』
「ッチ!」
コレットは憎悪が濃縮された眼で俺達を睨みつけて来る。
「リン君~、俺は関係ないよね? 俺は関係ないよね?」
『やだな~、ポールさんと俺は一心同体じゃないですか♪』
「こういう時だけ優しくするのやめて~!」
「魔王様。
内々の話が御座います。」
引き攣った笑顔で俺の死角に回り込んだコレットがポールを威圧している。
いや、俺の位置からは見えないのだが、確実に威圧している。
結局、ポールが逃げ出してしまったので俺の車椅子操縦権はコレットに移ってしまった。
…宿屋の時から思ってたんだけどさ。
俺、この子に背後を取られるのが一番怖いんだよね。
「やっと2人きりになれたね、リン♪」
凄く優しい声色。
よく平然と嘘を吐けるな、オマエ。
周囲全員、コレット派の少女士官じゃないか。
「ねえ、キス…
して。
愛してる。
私が愛するのは… リンだけ。」
真後ろからのセリフなのでコレットの表情は解らないが…
声色は年齢相応の純真な少女っぽい。。
ただね?
君が自分の部下にしきりにアイコンタクトやブロックサインで何らかの指示を出して続けている事は、伝わって来てるんですよ。
何せ少女士官たちがキビキビと答礼している動作が視界の端に映ってるからね。
断言してもいいんだけどさ。
君の愛情って、俺よりも自分が作った同世代軍隊に方向が向いているよね?
「リン、ここなら誰も見てない… よ。」
嘘やん。
オマエの親衛隊が最低でも1個連隊は周囲を取り巻いてるやん。
「…好き。」
せめてもの抵抗として反対側を向く。
『(プイ)』
「(イラッ)
…リン、愛してる。
(グイッ!)」
『…ック!!』
相変わらず凄い腕力だ。
指一本で軽々と顔の方向を
『グワッ!!』
「流石、王妃殿下!」
「仲睦まじいご夫婦!」
「妻の鑑!」
「王妃殿下! 王妃殿下!」
「良妻賢母!!」
「愛! 愛! 愛!」
「真実の愛!」
「うふふ。
キス… しちゃったね♪」
…結局、世の中って腕力が全てなんだよな。
納得は出来ないが、その現実は認めよう。
『…お母さんと上手くやれよ。』
「…。」
『魔王命令だ!!
仲良くしろ!!』
「…そうですねー(棒)
ヒルダ・コリンズ氏とは
利益が重なり合う部分での協調を慎重に模索していきまーす(棒)。」
『わかった。
もういい。
仲の良いフリすら無理なんだな。
時間もないし諦める。
じゃあ、オマエら2人の間に入れそうな者は誰だ。』
「…エルデフリダさん。
まあ、あの人が元から親切で思いやりのある性格っていうのもあるけどね。」
『??????』
いや、俺もポールもウェーバー局長もドナルドも息子のハロルド君も対極の人物評しかしていないが?
友人の奥さんにこんな言い方したくないのだが、嫌な女の典型みたいな女だぞ。
「ああ、補足しておくね。
あの人、取り巻きにだけは執着的な愛情を向けるタイプだから。
だから女子の世界じゃエルデフリダ派って結構強いよ。」
…なんか公園ママ友のボスママみたいな女だな。
女には女の世界があるらしく、他にも数名の名が挙がる。
銀行家の娘やら首長国のお姫様とか。
名に聞き覚えが無かったので問い質すと
「2人共眼鏡掛けてるからすぐにわかるよ。」
とのこと。
何となく思い出せるが…
「リンはあまり接点無かったかも。」
『…。』
あまり?
無かったかも?
じゃねーよ!
オマエら母娘、自分達以外の全女キャラを徹底ブロックしてたじゃん。
遂に俺の異世界生活、オマエら以外の女性レギュラーキャラ出現しなかったわ。
『おい、コレット。
下がってろ。』
「いやっ
リンの側に居るっ!」
テンプレ的なヒロイン台詞やめーや。
《7689京2744兆ウェンの配当が支払われました。》
全て海に放り込んだ。
その名もコリンズ湾。
ピット会長曰く、俺のプライベートベイ。
陸地に零れた分はコレット親衛隊が拾い上げて海中に放り捨てる。
…わざわざ選抜されただけあって、みな凄い鉄砲肩である。
まだ小学生か中学生くらいの女子達が、凄まじい距離の遠投力でコリンズ湾にミスリル片を投げ続けていた。
「くすくす。
昨日1垓を突破した事で大騒ぎになってるのに…
今日で早速2垓だね。
明日から1垓ウェン以上ずつ増えるんでしょ?
リンって神様だよねー。」
『!?』
え?
何で金額分かるの?
「あははははは!!
そのリアクション…
笑っちゃうなー。
この世界の人間なら誰だって知ってるよ?
今、資産が1.5倍ずつ増えてる状態なんだよね。
あのねえ、リン。
確かに人間って他人に興味の無い生き物だよ?
でもおカネに関しては別。
みんな結構緻密に計算してるよー?
合衆国の方じゃ《魔王様トトカルチョ》が大流行してるらしいし。」
…合衆国。
こっちは名前くらいしか知らない国なんだけどな。
先日、大統領が謁見に来たけど。
初回だったから儀礼的な挨拶だけだったし。
『なあ、コレット。』
「はい♪」
『この世界の人々は救われたか?』
「くすくす。
どうかな?」
『…。』
「でも、みんな楽しめたんじゃない?
共通の話題があったら盛り上がるでしょ?
帝国と王国とか、首長国と連邦とか
今まで戦争していた人達が、皆でリンの話題で楽しく盛り上がってたからね。」
『…そうか!』
それは良かった。
ありもしない義理を返せた。
「あらら、リンってそんなに明るい顔で笑えるんだね♪」
『…。』
「…私が妊娠した時は凄く嫌そうな顔をしていた癖にッ!
あの女ばっかり贔屓している癖にッ!
…世界じゃなくて私に何か残していきなさいよ!!!」
『遠市分。
トイチ・ブン。』
「…。」
『俺の父親の名だ。
誰にも言っていない。
ヒルダも荒木も知らない。』
「…ふーん。
そんなのが捨てる女への餞別なんだ。
最低。」
そりゃあ妻子を捨てる訳だからね。
これで俺は、あの女を憎む事すら許されなくなったね。
俺は地球に帰り、使命を果たす。
この方針に一切の変更はない。
==========================
【名前】
リン・コリンズ
【職業】
魔王
神聖教団大主教
世界冒険者ギルド 永世名誉理事
【称号】
魔王
【ステータス】
《LV》 56
《HP》 (6/6)
《MP》 (6/6)
《腕力》 3
《速度》 3
《器用》 4
《魔力》 2
《知性》 8
《精神》 11
《幸運》 1
《経験》28京8807兆7235億6957万2500ポイント
次のレベルまで残り14京7532兆8241億7868万6600ポイント
【スキル】
「複利」
※日利56%
下12桁切上
【所持金】
所持金2垓1420京1214兆7250億9294万ウェン
※バベル銀行の8兆8167億8740万ウェン預入証書保有
※国際産業道路98号線交通債100億ウェン分を保有
※第11次魔族領戦時国債200億ウェン分を保有
※第4次帝国インフラ債550億ウェン分を保有
※帝国総合プランテーション債230億ウェン分を保有
※自由都市海洋開拓債1000億ウェン分を保有
※第2次自由都市未来テック債1000億ウェン分を保有
※首長国臨時戦時国債1100億ウェン分を保有
※自由都市国庫短期証券4000億ウェン分を保有。
俺のスキル【複利】を端的に説明すれば、無限に富を増やしていく、というもの。
現在、俺の資産の大半はミスリルであり、この金属は彼ら異世界人のインフラを支える相当有用な資源(スキルの触媒として最適とのこと)なので、この世界の資源総量を爆増させている事になる。
しかも地球帰還にあたって、全財産をこの地に残していく事を俺は宣言している。
そりゃあ歓迎もされるし、引き止めもされるだろう。
例えるなら、油田を毎日増やし続けてくれる宇宙人がやって来たようなものなのだから。
「聞こえますか、魔王様!
民草の祈りが!」
ピット会長に率いられた政財界の重鎮達が魔王城(ゲル)の外を指し示す。
遠目にも物凄い数の群衆が見える。
「我ら愚かなる下々は、魔王様からいっそうの御統治・御教導を賜る事だけを望んでおります!
どうか、どうか!
お見捨てにならいで下さいませ!
我々は魔王様の忠実な僕で御座いますーーーーー!!!!」
どうやら、《魔王様行かなないでデモ》が全世界で同時発生しているらしい。
プラカードにも【魔王様LOVE】とか【魔王様命】とか極太文字で書かれている。
「魔王様ーー!!! 行かないでーー!!!」
「僕達を捨てないで下さーーい!!!」
「どうか! どうか! 永遠の統治をーーー!!」
「慈悲をーー!! お慈悲をーーー!!」
「愛してます! お慕いしております!」
「魔王様に絶対の忠誠を誓います!」
「何卒! 何卒!! 何卒ーーーー!!!!」
色々言っているが、直訳すれば《もっとカネをくれ》ということだ。
そりゃあね。
俺が1日に生み出すミスリルは、異世界人にとって数千年分の触媒らしいからね。
出立が先になればなる程、君達は得をするもんね。
様子を見るに、《1垓》というパワーワードが異世界人の琴線に完全に刺さったらしいからな。
引き伸ばし策に打って出るのも仕方ないよね。
特に学者連中。
コイツらが露骨に時間稼ぎを始めた。
「いえいえ!
魔王様!!
オーラコンバーターがまだ不完全で御座います!
こんな危険な装置に魔王様の御玉体を任せる訳には行きません!
爆発の可能性がありますぞ!!」
…学者は嘘が下手だ。
口ぶりや顔つきを見ていれば、《本当はほぼ完成している事実を隠蔽している》事が何となく伝わってくる。
『…ふーん、そうですか。』
俺が疑うような態度を取ると、皆が一斉に目をそらしてしまう。
後はこちらが何を尋ねても、土下座の姿勢を崩してくれなくなった。
「魔王様ー! 不甲斐ない我々をお許し下さいーー!!」
『いやいや、論点をずらさないで下さいよ。
不甲斐ないかどうかではなく、進捗報告の信憑性について尋ねている訳でしょ?』
「「「「「何卒ーーー!! 何卒ーーーーー!!」」」」」
万事がこの調子である。
…土下座って暴力だよね。
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昼過ぎ。
遂にルイ陛下も到着する。
何故かフェルナンよりも下座に座ってしまう。
『いやいや!
陛下、それはマズいですよ陛下。
せめて俺の隣まで来て頂けないと!』
「いえいえ!
フェルナン殿は今や四天王職!!
私めには、どうか末席をお与え下さませ!」
真偽の程は不明だが、アンリ王太子殿下が王位継承権を辞退。
第一継承権をフェルナンに譲渡したいと提唱されておられるそうだ。
当然フェルナンは「長幼の序を乱す」と固辞しているのだが、首長国内の様々な重職を打診されている。
俺の記憶に間違いがなければ、フェルナンはつい半月前まで軟禁されて切腹処分を待っていた筈である。
もうね。
動いている金額が金額なだけに各陣営が神速で動き続けている。
俺の帰還準備以外は本当に全ての展開が早く
かなり精度の高い情報を得ている筈の俺ですら、話について行けなくなっている。
ちなみに、さっき小耳に挟んだ話だが…
ヒルダがコレットに臣従を申し出て、断られたそうだ。
「奴隷として王妃殿下にお仕えしとう御座います。」
「我が身は既に魔王様の忠実なる僕である。
新たに奴婢など不要!」
ヒルダの性格なら男子を生んだ場合、コレットを排除してでも後継に据えようと画策し兼ねない。
彼女の腹の内は読めないが、ヒルダ・コリンズがそういう女だという事は娘のコレットが知り尽くしている。
ヒルダも自分が娘からどう思われているか、コレットが敵と認識した相手をどう扱うかを熟知している。
故に、凄まじい神経戦がかなり以前から繰り広げられており、この数日の劇的な政治的変化の所為で表面化したのである。
金額が金額だからね。
数日で政局が激変しても不思議ではないよね。
その遣り取りを教えてくれたエルデフリダ様は、他人事のようにしれっと言う。
「ワタクシ、困りますの。」
どう困るのか?
と何度問い質しても、それには頑として答えない。
前から思っていたが、このオバサンは自分の主張だけ無遠慮に主張する事をコミュニケーションと錯覚しているようだ。
後でドナルドとポールから聞いたが、どうやらエルデフリダとコリンズ母娘の間に密約があったらしく、母娘の決裂によってそれを反故にされる事を恐れているそうである。
『密約?』
「これは俺の勘なんだけどさぁ。
王国をヒルダさんとコレットちゃんが。
帝国をエルが。
それぞれ領有する密約を結んでるんだと思う。
ハロルド君を皇帝にしたいんだよ、あの女は。
ドニーはどう思う?」
「王妃殿下と王太后殿下に関してはノーコメントで。
あの女に関しては…
恐らく、それ位は企むかと。
後、ハロルドですが。
アレはそもそも器ではありませんし、要職に就けるべきではないでしょう。」
…国ってそんな無造作に配分していいものなのか?
ガバガバだな。
『カインさん。
王国出身者としてコメントお願いします。』
「…後が怖いからノーコメントで。」
俺が貴方でも似たような態度取ると思うだろうな。
平民にとっては誰が王になろうと知った事ではないのだ。
万が一、ヒルダ&コレットが王国の征服に成功した場合、数少ない知己であるカイン・グランツは重用される可能性が高い。
だが、それに反対する動きをすれば確実に族滅されるだろう。
なので、彼にとっては母娘の政争に気付かぬフリをしておくのがベターな選択肢となる。
「ケネス・グリーブも私と似たようなスタンスですよ?」
周囲をキョロキョロ確認し終わったカインがコッソリ耳打ちしてくる。
そりゃあそうだろう。
誰だって家族を守らなくてはならない。
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アポの合間を縫って魔王城から出ると、周囲の軍民が一瞬だけ驚愕の表情を浮かべてから、慌てて愛想笑いを浮かべる。
「あのー、魔王様。
どちらにお出掛けでしょうか?」
各国から派遣されている大使達が冷や汗を垂らしながら、俺の反応を盗み見ようとしてくる。
『あ、いえ。
転送装置の建造具合を見ておこうかな、と。』
俺が何気なくそう言った瞬間、一同が顔面蒼白になり、辺りが途端に静まり返った。
『あの、皆さん?
あまり時間も無いので道を空けて貰えますか?』
シーーーーーン。
誰も道を譲ってくれない。
それどころか、俺の車椅子の進路上に無言で土下座を始めた。
『…あの、皆さん?』
群衆は土下座のまま鼻水を垂らして涙をボロボロと零し始める。
「「「う! う! う! ヒッグ! エッグ!」」」
いや、泣き落としは反則だろう。
こっちを悪者みたいにするのやめてくれないかな。
泣きたいのは俺なんだけどな。
こんな事、言いたくないんだけどさ。
君達がやってるのって、広義の軟禁行為だぞ?
通せんぼやめて貰えませんかね?
結局、埒が明かないので魔王城に帰って閉じ籠もる事にした。
『うーん。
会長、陛下。
それに四天王も。
もう、そろそろ解放してくれませんかね。
生み出した資源は公約通り全て寄付しますし、あれだけあれば十分でしょう?』
「魔王様~!
もう一度! もう一度だけチャンスを~!」
ピット会長も、もっと語彙の豊かな人だったのだが、ここ数日は連呼装置と化している。
いや、わかるんだよ。
経済効率上、その方が正しいんだ。
余計な事をゴチャゴチャ言う暇があれば、ひたすら号泣土下座で時間稼ぎに徹するべきなのである。
異世界人達は恐らく地球よりも知的水準が高いのだろう。
徹頭徹尾、最適解を見せてくれる。
『会長。
腹を割って話しましょう。』
「チャンスを~ チャンスを~」
『会長。
最年長の貴方がそれでは話が進みません。』
「お許しを~ お許しを~」
『では、取引をしましょう。』
「あ、はい!」
何でそこだけ即レスポンスなんだよ。
『こちらの要望から伝えますね?
俺はもう地球に帰りたいです。
オーラロードでしたっけ?
アレ、本当はもう使えるんですよね?』
「はい!
使えます!
本当は実用レベルに到達しておりますが!
私が各所に圧力を掛けて隠蔽しておりましたー!!!」
『はい。
隠蔽自体は好ましくありませんが
それを正直に打ち明けて下さった事は喜ばしく感じます。
さて、取引です。
俺の帰還に協力して頂けますね?
何か俺で提供出来るものはありますか?』
「うーーん、じゃあ個人的にお願いを少しだけ。
・01.ピット家の本領安堵
・02.日頃仄めかしている世襲反対発言の撤回
・03.コリンズ王朝の後継者指名
・04.コリンズ家とピット家の婚姻同盟
以上の4点だけ。」
『OK!
では回答します。
まず01。
本領って南洋諸島ですよね?
これの安堵を認めます。
フェルナンさん、安堵状の作成をお願いします。
後でサインしますので。
次に02。
世襲について。
余所者の俺がこの世界の風習に口を口を出してしまった事を謝罪します。
これまでの反対コメントを撤回し、以降もこの話題に触れない事を約束します。
社会制度に関しては相互不干渉で行きましょう。
そうだ、こちらも書面を交わしておきましょう。
03。
コリンズ王朝などという造語を勝手に作られるのは迷惑です。
ですが、コリンズ家の後継者にはコレット・コリンズの子を指名します。
無論、生まれた子が女子である可能性もあります。
そこで04。
女子が生まれた場合、その者とピット家の男子ストックとの婚姻をこの場で許可します。
但し、これは俺個人の許可に過ぎないので、母コレット・祖母ヒルダの同意はそちらで得て下さい。
はい。
全条件を呑みました。
ではピット会長は全面的に帰還に協力して頂けますね?』
「…ぐぬぬ。
流石は魔王様。
相変わらず判断に躊躇がない。」
『じゃあ、会長。
まずはゲルの外で俺の早期帰還に協力する旨を宣言して貰いましょうか?』
「ま、ままままっ待って下さい!
そんな事をすれば激昂した群衆に嬲り殺しにされてしまいます!!」
だろうな。
俺が群衆でも一族郎党絶対に許さんわ。
『じゃあ何か…
フェルナンさんと相談して、会長がリンチされない論法を編み出しておいて下さい。』
…ゴメン、貴方ばっかり酷使してるね。
でも仕方ないよね。
フェルナンさん、文才あるし演説出来るし知名度高いし国際法に詳しいし人脈凄い上に人当たり良くてマメだからね。
「ま、魔王様! どこへ!?」
『そろそろ例の時間ですので、早めに海に向かいます。
…えっと、もう量が洒落にならない事になっているので海に直接放り込んでいいですよね?
っていうか、コンビナート。
しばらく鎮火しないですよね?』
俺がテントを出ると、一斉に各国大使が囲んで来る。
「ま、魔王様!」
「ど、どちらに!」
「行かないでーーー!」
「何卒! 何卒!」
『いや、そろそろ。
カネが湧くので…』
「おおおおお!!
誠に申し訳御座いませんでした!!!
諸君!
魔王様が《恩寵の儀》を催して下さります!
みなさーーーん!!!
道を開けてーーー!!!」
「恩寵の儀!」
「魔王様!」
「恩寵の儀!」
「うっきーーーーーー!!」
「おお我らが魔王様!」
「神の奇跡ー!!」
「うおーーーうおーーー!」
「魔王様ーーーー!!!!」
オマエラさぁ。
転送装置への視察は徹底妨害する癖に、カネが貰える時だけ協力するんだな…
まあ、人間ってそういう生き物だよな。
==========================
海に辿り着いた俺が上半身だけの柔軟体操をしていると、背後から金銀を塗りたくった珍妙な輿が近づいて来る。
一瞬、《どこの未開部族かな?》と思ったが、輿を担いでいるのがコスプレ軍服を纏った少女達だったので、乗り手がコレットである事がわかった。
「愛しの魔王様…
妻で御座います。」
結構な高さの輿から飛び降りたコレットはそのまま土下座で着地する。
相変わらず身体能力凄いな。
しかも、何か…
凄いコスプレに凄い化粧になってる。
今のオマエ…
異世界ラノベのロリ魔王みたいだぞ?
それ、ひょっとして正妻アピールなのか?
『あ、はい。
…あの、何か?』
「妻が夫の側に居るのは当然で御座います。」
そこまで聞いてピンと来る。
ヒルダとの政争が本格化したのだろう。
『お母様と仲良くね。』
「?
はて…
母?
母… とは?」
『その白々しいキョトン顔やめろ!
ヒルダと揉めるなって言っているんだ!』
「ああ、ヒルダ・コリンズ氏ですね。
失礼。」
すっごく太々しい態度。
母娘で開き直った時の表情が全く同じだな。
『オマエとヒルダが揉めてる所為で皆が迷惑しているんだ!
滅茶苦茶空気悪くなってるんだぞ!』
「そう仰られましても…
ヒルダ・コリンズ氏とは特に問題は起こっておりませんよ?」
女ってこういう態度を平然と取るよな。
父さんに対するあの女の振舞を思い出す。
『兎に角。
今、ちょっと急いでるから
話は歩きながらで。
あ、車椅子押すのはポールさんのままで。』
「ッチ!」
コレットは憎悪が濃縮された眼で俺達を睨みつけて来る。
「リン君~、俺は関係ないよね? 俺は関係ないよね?」
『やだな~、ポールさんと俺は一心同体じゃないですか♪』
「こういう時だけ優しくするのやめて~!」
「魔王様。
内々の話が御座います。」
引き攣った笑顔で俺の死角に回り込んだコレットがポールを威圧している。
いや、俺の位置からは見えないのだが、確実に威圧している。
結局、ポールが逃げ出してしまったので俺の車椅子操縦権はコレットに移ってしまった。
…宿屋の時から思ってたんだけどさ。
俺、この子に背後を取られるのが一番怖いんだよね。
「やっと2人きりになれたね、リン♪」
凄く優しい声色。
よく平然と嘘を吐けるな、オマエ。
周囲全員、コレット派の少女士官じゃないか。
「ねえ、キス…
して。
愛してる。
私が愛するのは… リンだけ。」
真後ろからのセリフなのでコレットの表情は解らないが…
声色は年齢相応の純真な少女っぽい。。
ただね?
君が自分の部下にしきりにアイコンタクトやブロックサインで何らかの指示を出して続けている事は、伝わって来てるんですよ。
何せ少女士官たちがキビキビと答礼している動作が視界の端に映ってるからね。
断言してもいいんだけどさ。
君の愛情って、俺よりも自分が作った同世代軍隊に方向が向いているよね?
「リン、ここなら誰も見てない… よ。」
嘘やん。
オマエの親衛隊が最低でも1個連隊は周囲を取り巻いてるやん。
「…好き。」
せめてもの抵抗として反対側を向く。
『(プイ)』
「(イラッ)
…リン、愛してる。
(グイッ!)」
『…ック!!』
相変わらず凄い腕力だ。
指一本で軽々と顔の方向を
『グワッ!!』
「流石、王妃殿下!」
「仲睦まじいご夫婦!」
「妻の鑑!」
「王妃殿下! 王妃殿下!」
「良妻賢母!!」
「愛! 愛! 愛!」
「真実の愛!」
「うふふ。
キス… しちゃったね♪」
…結局、世の中って腕力が全てなんだよな。
納得は出来ないが、その現実は認めよう。
『…お母さんと上手くやれよ。』
「…。」
『魔王命令だ!!
仲良くしろ!!』
「…そうですねー(棒)
ヒルダ・コリンズ氏とは
利益が重なり合う部分での協調を慎重に模索していきまーす(棒)。」
『わかった。
もういい。
仲の良いフリすら無理なんだな。
時間もないし諦める。
じゃあ、オマエら2人の間に入れそうな者は誰だ。』
「…エルデフリダさん。
まあ、あの人が元から親切で思いやりのある性格っていうのもあるけどね。」
『??????』
いや、俺もポールもウェーバー局長もドナルドも息子のハロルド君も対極の人物評しかしていないが?
友人の奥さんにこんな言い方したくないのだが、嫌な女の典型みたいな女だぞ。
「ああ、補足しておくね。
あの人、取り巻きにだけは執着的な愛情を向けるタイプだから。
だから女子の世界じゃエルデフリダ派って結構強いよ。」
…なんか公園ママ友のボスママみたいな女だな。
女には女の世界があるらしく、他にも数名の名が挙がる。
銀行家の娘やら首長国のお姫様とか。
名に聞き覚えが無かったので問い質すと
「2人共眼鏡掛けてるからすぐにわかるよ。」
とのこと。
何となく思い出せるが…
「リンはあまり接点無かったかも。」
『…。』
あまり?
無かったかも?
じゃねーよ!
オマエら母娘、自分達以外の全女キャラを徹底ブロックしてたじゃん。
遂に俺の異世界生活、オマエら以外の女性レギュラーキャラ出現しなかったわ。
『おい、コレット。
下がってろ。』
「いやっ
リンの側に居るっ!」
テンプレ的なヒロイン台詞やめーや。
《7689京2744兆ウェンの配当が支払われました。》
全て海に放り込んだ。
その名もコリンズ湾。
ピット会長曰く、俺のプライベートベイ。
陸地に零れた分はコレット親衛隊が拾い上げて海中に放り捨てる。
…わざわざ選抜されただけあって、みな凄い鉄砲肩である。
まだ小学生か中学生くらいの女子達が、凄まじい距離の遠投力でコリンズ湾にミスリル片を投げ続けていた。
「くすくす。
昨日1垓を突破した事で大騒ぎになってるのに…
今日で早速2垓だね。
明日から1垓ウェン以上ずつ増えるんでしょ?
リンって神様だよねー。」
『!?』
え?
何で金額分かるの?
「あははははは!!
そのリアクション…
笑っちゃうなー。
この世界の人間なら誰だって知ってるよ?
今、資産が1.5倍ずつ増えてる状態なんだよね。
あのねえ、リン。
確かに人間って他人に興味の無い生き物だよ?
でもおカネに関しては別。
みんな結構緻密に計算してるよー?
合衆国の方じゃ《魔王様トトカルチョ》が大流行してるらしいし。」
…合衆国。
こっちは名前くらいしか知らない国なんだけどな。
先日、大統領が謁見に来たけど。
初回だったから儀礼的な挨拶だけだったし。
『なあ、コレット。』
「はい♪」
『この世界の人々は救われたか?』
「くすくす。
どうかな?」
『…。』
「でも、みんな楽しめたんじゃない?
共通の話題があったら盛り上がるでしょ?
帝国と王国とか、首長国と連邦とか
今まで戦争していた人達が、皆でリンの話題で楽しく盛り上がってたからね。」
『…そうか!』
それは良かった。
ありもしない義理を返せた。
「あらら、リンってそんなに明るい顔で笑えるんだね♪」
『…。』
「…私が妊娠した時は凄く嫌そうな顔をしていた癖にッ!
あの女ばっかり贔屓している癖にッ!
…世界じゃなくて私に何か残していきなさいよ!!!」
『遠市分。
トイチ・ブン。』
「…。」
『俺の父親の名だ。
誰にも言っていない。
ヒルダも荒木も知らない。』
「…ふーん。
そんなのが捨てる女への餞別なんだ。
最低。」
そりゃあ妻子を捨てる訳だからね。
これで俺は、あの女を憎む事すら許されなくなったね。
俺は地球に帰り、使命を果たす。
この方針に一切の変更はない。
==========================
【名前】
リン・コリンズ
【職業】
魔王
神聖教団大主教
世界冒険者ギルド 永世名誉理事
【称号】
魔王
【ステータス】
《LV》 56
《HP》 (6/6)
《MP》 (6/6)
《腕力》 3
《速度》 3
《器用》 4
《魔力》 2
《知性》 8
《精神》 11
《幸運》 1
《経験》28京8807兆7235億6957万2500ポイント
次のレベルまで残り14京7532兆8241億7868万6600ポイント
【スキル】
「複利」
※日利56%
下12桁切上
【所持金】
所持金2垓1420京1214兆7250億9294万ウェン
※バベル銀行の8兆8167億8740万ウェン預入証書保有
※国際産業道路98号線交通債100億ウェン分を保有
※第11次魔族領戦時国債200億ウェン分を保有
※第4次帝国インフラ債550億ウェン分を保有
※帝国総合プランテーション債230億ウェン分を保有
※自由都市海洋開拓債1000億ウェン分を保有
※第2次自由都市未来テック債1000億ウェン分を保有
※首長国臨時戦時国債1100億ウェン分を保有
※自由都市国庫短期証券4000億ウェン分を保有。
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タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
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楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
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