132 / 248
【降臨7日目】 所持金19万8858円 「張飛よ全軍突撃じゃーーー!!!」
しおりを挟む
彼女さんが出勤した為、清磨さんと2人で部屋に残る。
『彼女さん、自分が残りたそうでしたね。』
「あの人が居なかったら職場回らないけど、俺が休んでも誰も困らないから。」
2人で腹を抱えて笑う。
外出を禁じられているので、食事は全部清磨さんが作ってくれた。
唐揚げとか天津飯とか中華系のレパートリーが多い。
彼女さんは見た目に寄らずピクルスやコンポートを作る人らしいので、つまませて貰う。
『いやあ、こんなに豪華な食事は生まれて初めてです。
揚げたての唐揚げって最高ですね。』
「ははは、お粗末様。
リン君も料理覚えてみるといいかもね。」
『うーーーん。
料理をマスターする前に、大富豪になってしまう確率が高くて…
資産額が一定を越えると周囲が雑用をさせてくれなくなるので。』
これはマジ。
まず身内がこちらの負傷リスクを極限まで減らす為に、全ての雑用(料理・掃除)などを取りあげてくるし、身内が雇った使用人達が善意で監視してくる。
結果、異世界での俺は母娘を筆頭に、使用人・軍人・傭兵・官僚・政財界・各国元首・全人民に周囲をガチガチに固められ身動きが取れなくなてしまった。
せいぜい四天王が個人的に配慮してくれたくらいだが、それでも彼らにしたって俺の安全を最優先する為に自由そのものは与えてくれなかった。
今回もそうなるに決まっているし、その程度の覚悟もなしに地球に帰還した訳ではない。
「ははは、言うねー。
そこなんだよ、あの人が君に入れ込む理由は。
《一文無しの癖に数億数十億の次元で物事を見ていない》
って絶賛してたでしょ。」
『あれ、褒められてたんですねw』
「あの人、早期FIREを目標にしてるからさ。
リン君みたいに明らかに視点が違う人間は
そのヒントになり得るって思ったんじゃないかな。」
『FIRE流行ってますよね。』
「看護師みたいに過酷な職場は特にそういう意識高いよ。
だって俺達、普段お巡りさんと犯罪者の面倒ばっかりみてるんだよ?
そりゃあ神経すり減るわ。」
『ああ、確かに。
客層最悪ですよね。』
「犯罪者はまだおとなしいんだけど…
お巡りさんには色々な人がいるからね。」
清磨さんはそう呟いて辛そうな表情で俯く。
きっと俺なんかが想像もつかない過酷な職場なのだろう。
「もしもFIRE出来たら…
タイとかインドネシアとか、そういう南国でしばらくのんびり暮らしたい
いつもそんな話をしてる。」
『じゃあ、頑張って貢献しますよ。
清磨さんが少しでも早く自由になれるように。』
「ははは、残った連中から恨まれそう。」
『じゃあ、もっともっと頑張って
残った人全員におカネを配れるくらいの大富豪になります!』
「あははは、ちょっとでも纏まったおカネ貰ったらあんな職場みんな辞めちゃうよー。」
『…働いている人をもっと大事にすればいいだけなんじゃないですかね。』
「…。」
『…。』
「…そっか、それが君の目的か。
確かにそもそもの視点が違うよねー。
種銭、幾ら必要なの?」
『10億あれば、後は何だかんだで自動的に話が進みますね。
地球でなら1億あれば充分かも。』
「あー、リン君の才覚ならすぐに工面出来ちゃう金額だね。」
『えー、俺はそこまで。
この数日も優秀な人間とのスペック差を見せつけられて
正直、圧倒されていました。』
「でも君はたったの1週間で750万のキャッシュを預けられる身になってる。
しかも借用書も何も無し。
全部、口約束。
これって普通はありえないことなんだよ?」
『まあ確かに、750万て年収の中央値を大きく越えてますよね。
初対面の俺に託すとか…
いや、その前によくこんな金額自宅に置いとけますね。』
「彼女。
お父さんがお亡くなりになったばかりだからね。
そこそこの金額を相続したんだ。」
『ああ、実家の相続の話とかしておられましたものね。』
「こんなこと言いたくないんだけどさ。
銀行とか証券会社とか不動産営業の連中が頻繁にセールスに来るのね?
多分、相続に関する名簿か何かが出回ってるんだろうね。」
『俺、貧乏だからそんな連中お目にかかった事もないです。』
「会わないのが一番だよ。
素人の俺から見ても酷い金融商品売りつけて来ようとするからね。
普通、女性相手に仕組債とかワンルームマンション投資か勧めるかね。
アイツら、金持には鉄板の美味しい話をこっそり回す癖に、俺達労働者には平然とゴミを売りつけてくるからさ。
…彼女もあのカネを見せ金にして、証券会社の営業から好条件を引き出せないか探ってたんだけどさ。
やっぱりさ、労働者家庭には下っ端のセールスマンしか来ないんだよ。
アイツら、何の権限も持たされてないし、旨味のある金融商品の存在すら自社から教えて貰ってないし…
結局、機能する支店長・エリアマネージャークラス以上の営業って金持ちの所にしか行かないんだよ…」
『まあ、仰る事理解出来ます。』
「向こうも商売だから、仕方ないんだけどね。
と言う訳で!
このおカネは証券会社や銀行ではなく。
リン君に運用を任せてみることにしましたー、パチパチパチパチ。」
『あはは、正気の沙汰とは思えませんねー。』
「投資ってそんなものじゃない?
あの人も色んな会社の株持ってるけどさ。
そこの経営陣とは一切面識がない訳じゃない?
ダークウェブ上で個人情報は漁ってるみたいだけど。
そういう点を鑑みれば、通常の株式投資だって十分クレイジーな行為だよ。」
その後、カップルのアルバムを見せて貰う。
写真の中の彼女さんは昨夜ほど怖くはなかった。
ストリートバスケか何かの表彰状を掲げている清磨さんの隣で照れたように寄り添っている彼女さんはどう見てもどこにでもいる普通の人だった。
「仕事とおカネさえ絡まなければ普通の可愛い女の子だよ。
まあ、人生で仕事とおカネが絡まない場面って殆どないんだけどねww」
『…女ってみんな豹変する生き物なのでしょうか?』
「勝負どころではスイッチ入るんじゃないかな。
ほら、女性って妊娠・出産・育児で動けない期間が長い訳じゃない?
男と違って。
だから、本能的に過剰にストックを集めようとするんでしょ。
あ、女性の前で《過剰》とかいう言葉を使っちゃ駄目だよ?
発狂するから。」
俺とか清磨さんとか、心身共に緩慢だからな。
女性陣から見れば歯痒く映るのだろう。
「えっと、17時まで待てばいいのか。
ゴメンね、リン君って結構時間をフル活用しているタイプでしょ?
何か、ウチの勝手な都合で拘束しちゃって。」
『あ、いえいえ。
清磨さんの話を伺えて凄く勉強になってます。
俺、そういう社会的な常識に疎いんで、もっと勉強しなくちゃって思いました。』
「君はかなり頑張ってるよ。
高校在学中に宅建取るなんてかなりのものだよ。」
『あ、いえ。
アレは勉強すれば誰でも取得出来るので。』
「知ってると思うけど、不動産屋にも持ってない奴多いよ。
アイツら地道な勉強とか嫌いだから。
若いうちに取った、という点が重要なんだよ。
真面目で熱心な人生観を持っている証拠だからね。
胸を張るべきだよ。」
『ありがとうございます。』
17時まで少し時間があったので、マンションの駐車場で清磨さんにバスケットボールを触らせて貰う。
体育の授業で少し触った経験があるのだが、改めてその大きさ重さを痛感する。
「体育の時はどうだったー?」
『いやー、駄目駄目ですよ。
俺も組んでた奴も、両方突き指しちゃって。
体育教師からアホ扱いされちゃいましたw』
「教え方が下手なんだよーw
オマエの方がアホだって言ってやれw」
『そんな度胸ないですよー。
それに今思えば、その体育教師が一番俺達の前途を心配してくれてましたし。
組んでた奴なんか重度の鉄オタで、学校中からキチガイ扱いされてたんです。』
「それが分かるのなら、もう充分高校行った意味はあるよ。
一生分からずに死んでいく奴らが世の中の大半だから。
あ、今日は突き指しないでねー。」
『彼女さんが発狂しそうw』
「それなw」
17時が近づいたのでシャワーを借りる。
至る所にカップルグッズがあったので、触れてしまわないようにかなり気を遣う。
こんなトコ、まかり間違っても俺なんかが土足で踏み入っていい場所じゃない。
「じゃあ、リン君。
何度も申し訳ないけど…」
『ええ、数えますね。
あ、大丈夫。
札束数えるのって結構楽しいので。』
カネを目の前にして2人で笑い合う。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【所持金】
4万7241円
↓
755万7241円
※森芙美香の代理人・飯田清磨から現金751万円を借入
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
『では、確かにお預かります。』
「よっリン君銀行ー♪」
『そんな立派なモノじゃないです。
皆から詐欺師って呼ばれちゃいましたからw』
「じゃあせめて良心的な詐欺師になってね。」
『良心的な詐欺師?』
「そりゃあそうでしょ。
同じ人を欺くなら、少しでもマシな方向に行かなきゃ。」
『よーし、それじゃあ!
詐欺師を開業しちゃいまーす!』
「あははははww
開業おめでとーーー!!
Yeahhhh!!」
『いえーーい。』
『「Yeahhhh!!!!!!」』
等と騒いでいるうちに、17時が到来する。
《22万6717円の配当が支払われました。》
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【所持金】
755万7241円
↓
778万3958円
※配当22万6717円を取得
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
予想に反して清磨さんは笑いも驚きもしない。
「リン君、空中からカネを出すのはヤバい。
この点を集中して改善するべきだ。」
『そうなんですよねー。
制御が難しいんです。』
「異世界帰りなんて幾らでも笑いのネタで収まるんだよ。
どうせそのうち異世界系youtuberとか異世界芸人とか世の中に出て来るだろうし。
でもね?
異世界っぽい技術を持ってるって知られたら…
そのリスクは分かるよね?」
『ですよねー。
私は身を護る武力を持ってないんです。
なので余計にリスクが高くて。』
これは嘘。
ヒルダの奴が地球での戦闘準備をしていない筈がない。
あの女はそれこそ過剰な武力を保有していることだろう。
問題はヒルダから身を守るための武力を俺が持ってない事なんだよな。
あの女に対しては指相撲ですら勝てる気がしない。
「次、同じ事をする時はコレを使ってみて。」
清磨さんはそう言って小さな紙箱を持って来てくれた。
「職場のイベントで使った抽選箱。
ほら、クジ引きとかビンゴ大会とか、そういうのに使う奴。」
『ああ、なるほど。
そこの穴が取り出し口ですね。』
「コレ、あげるから。
この中におカネが収まる様に練習して御覧。
流石にアレは酷い。」
『やっぱり、駄目でしたか?』
「うん、思わず
《異世界か!》
ってツッコミそうになった。
アレはマジでヤバい。」
『猛省します。』
清磨さんから箱の使い方を色々提案して貰って、折り畳みも練習する。
ああ、でもこういう小道具ありがたいよな。
現金を目の前にボーっとしてたら、頭のおかしい人みたいに見えるから。
18時18分。
彼女さんが帰って来たので、カネを返却。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【所持金】
778万3958円
↓
19万8858円
※森芙美香に元本+配当として758万5100円を支払い
支払い配当7万5100円
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
まあ、1日で7万チョイ+なら御の字じゃないか。
「遠市さん。
いえ、遠市先生!
現在、全ての金融資産を現金化中です。」
『こ、行動が早いですね。』
「まずはですが…
住信SBI証券で保有していた分は、全て指値で売却済。
現在証券口座に2701万9914円があります。
三菱UFJ銀行の預金額が574万8902円。
こちら通帳となっております。
どうぞ! 御覧下さい。」
『わー、すごいですね。』
「いえいえ!
遠市先生を前にして《凄い》など滅相も御座いません。」
『あー、いやいや。
そんな先生と呼ばれる程のバカでもなく。』
「当方から先生に提供できるものは!
まず現金資産!
続いて横浜市内の中古戸建!
そして私、森芙美香の第二子出産!」
『え? だ、第二?
え? 貴方何を?』
「第一子の出産権を提供することも吝かではありません。
ですがその場合、私が婚約者をカネの為に裏切る女なのではないか、と。
遠市先生から疑念を抱かれてしまう可能性があります。
そこで第一子を飯田清磨、第二子を遠市先生、その後の出産順は先生にお任せするという方向で如何でしょうか?
無論!
養育は全て当方が負担いたしますし、親権をお求めの場合は速やかに引き渡しする事を約束致します!」
『…こ、怖い。』
「如何でしょうか! 先生!」
怖い怖い怖い。
うわー、怖。
完全に心が折れてしまった。
まず、俺の子を産ませるのはマズい。
論外。
言うまでもなく、お家騒動の原因になってしまうから。
この女がどれだけ惨たらしく処分された所で自己責任なのだが、俺はリスクを負いたくない。
…ヒルダの怒りの矛先は確実に俺にも向かうだろうしな。
怖い。
俺は全身から流れる汗も拭わずに
「いやあ、清磨さんからさっき結婚式に誘われたばかりなんですよ。
心の中でお2人を祝福していたところなので。
こんな美男美女カップルの側に立つなんて、気恥ずかしくて無理ですねえ。
あはは。」
と無難に返しておいた。
まあこの女は兎も角、清磨さんを祝福したい気持ちに一切の嘘偽りはない。
彼女さんは俺の肩口を爪がめり込むまで掴みながら執拗に食い下がろうとする。
『痛い痛い痛い!
ハゲタカに空中を運搬されてる時の気分がわかるほど痛い!』
「先生!
不肖、森芙美香。
先生の御為になら地獄の底までもお供致します!
今日、この日この時この場所が!!
我ら3名にとっての桃園の誓い!!!
我ら3人、生まれし日、時は違えどもッ!
兄妹弟の契りを結びしからは、心を同じくして助け合い、己自身のみを救わん!
上は己に報い、下は己を安んずることを誓う!
同年同月同日に生まれることを得ずとも、同年同月同日に死せん事を願わん!
皇天后土よ、実にこの心を鑑みよッ!
義に背き恩を忘るれば、天人のみを戮すべし!
さあ、張飛ッ!
誓いの盃を持って参れ!」
「あ、はい。」
清磨さんがシャンパンの残りを持って来たので3人で飲み切ってしまう。
その後も関羽が執拗に俺に粘着したので、見かねた清磨さんが強引にキスをして黙らせる。
耳元で「愛してる」とかなんとか言って鎮静させているのを見て
《はええ、女ってこうやって黙らせるんだな。》
と感動する。
小一時間くらい恋愛ドラマのような感動的な展開を見物して、赤面した彼女さんが完全沈黙したのを確認してから、清磨さんに駅まで送って貰った。
「リン君、本当にゴメンねー。
あの人、カネに関する嗅覚が鋭すぎるんだよ。
まあ、女なんて多かれ少なかれあんなモンだけど。」
『いえいえ、こちらこそお2人のお住まいにお邪魔して申し訳ないな、と思っていたので。』
「電車乗る前になんか食っていく?」
『あ、いいっすね。』
「じゃあ殿!
ロードサイトの糞チェーンエリアまで飛ばしますよーー!」
『うむ!
張飛よ全軍突撃じゃーーー!!!』
爆笑しながら横浜の夜を疾走して、餃子の王将で餃子ばかりを大量に貪り喰った。
最高の夜に感謝。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【名前】
遠市厘
【職業】
詐欺師
【称号】
サイコキラー
【ステータス】 (地球上にステータス閲覧手段無し)
《LV》 3
《HP》 ?
《MP》 ?
《力》 女と小動物なら殴れる
《速度》 小走り不可
《器用》 使えない先輩
《魔力》 ?
《知性》 ?
《精神》 ?
《幸運》 的盧
《経験》 30 (仮定)
※キョンの経験値を1と仮定
※ロードキルの有効性確認済
【スキル】
「複利」
※日利3%
新札・新貨幣しか支払われない可能性高し、要検証。
【所持金】
29万9858円
【所持品】
ヒルダのワイシャツ。
エモやんシャツ
エモやんデニム
エモやんシューズ
エモやんリュック
エモやんアンダーシャツ
エモやんパーカー
寺之庄コインケース
奇跡箱 new
シャンパン (飯田に1本贈呈したので、残り1本)
【約束】
古屋正興 「異世界に飛ばす」
飯田清麿 「結婚式への出席。」
後藤響 「今度居酒屋に付き合う(但しワリカン)」
江本昴流 「後藤響を護る。」
弓長真姫 「二度と女性を殴らない」
寺之庄煕規 「今度都内でメシでも行く」
×森芙美香 「我ら三人、生まれ(拒否)」
ヒルダ・コリンズ 「芋羊羹を喰わせてやる」
『彼女さん、自分が残りたそうでしたね。』
「あの人が居なかったら職場回らないけど、俺が休んでも誰も困らないから。」
2人で腹を抱えて笑う。
外出を禁じられているので、食事は全部清磨さんが作ってくれた。
唐揚げとか天津飯とか中華系のレパートリーが多い。
彼女さんは見た目に寄らずピクルスやコンポートを作る人らしいので、つまませて貰う。
『いやあ、こんなに豪華な食事は生まれて初めてです。
揚げたての唐揚げって最高ですね。』
「ははは、お粗末様。
リン君も料理覚えてみるといいかもね。」
『うーーーん。
料理をマスターする前に、大富豪になってしまう確率が高くて…
資産額が一定を越えると周囲が雑用をさせてくれなくなるので。』
これはマジ。
まず身内がこちらの負傷リスクを極限まで減らす為に、全ての雑用(料理・掃除)などを取りあげてくるし、身内が雇った使用人達が善意で監視してくる。
結果、異世界での俺は母娘を筆頭に、使用人・軍人・傭兵・官僚・政財界・各国元首・全人民に周囲をガチガチに固められ身動きが取れなくなてしまった。
せいぜい四天王が個人的に配慮してくれたくらいだが、それでも彼らにしたって俺の安全を最優先する為に自由そのものは与えてくれなかった。
今回もそうなるに決まっているし、その程度の覚悟もなしに地球に帰還した訳ではない。
「ははは、言うねー。
そこなんだよ、あの人が君に入れ込む理由は。
《一文無しの癖に数億数十億の次元で物事を見ていない》
って絶賛してたでしょ。」
『あれ、褒められてたんですねw』
「あの人、早期FIREを目標にしてるからさ。
リン君みたいに明らかに視点が違う人間は
そのヒントになり得るって思ったんじゃないかな。」
『FIRE流行ってますよね。』
「看護師みたいに過酷な職場は特にそういう意識高いよ。
だって俺達、普段お巡りさんと犯罪者の面倒ばっかりみてるんだよ?
そりゃあ神経すり減るわ。」
『ああ、確かに。
客層最悪ですよね。』
「犯罪者はまだおとなしいんだけど…
お巡りさんには色々な人がいるからね。」
清磨さんはそう呟いて辛そうな表情で俯く。
きっと俺なんかが想像もつかない過酷な職場なのだろう。
「もしもFIRE出来たら…
タイとかインドネシアとか、そういう南国でしばらくのんびり暮らしたい
いつもそんな話をしてる。」
『じゃあ、頑張って貢献しますよ。
清磨さんが少しでも早く自由になれるように。』
「ははは、残った連中から恨まれそう。」
『じゃあ、もっともっと頑張って
残った人全員におカネを配れるくらいの大富豪になります!』
「あははは、ちょっとでも纏まったおカネ貰ったらあんな職場みんな辞めちゃうよー。」
『…働いている人をもっと大事にすればいいだけなんじゃないですかね。』
「…。」
『…。』
「…そっか、それが君の目的か。
確かにそもそもの視点が違うよねー。
種銭、幾ら必要なの?」
『10億あれば、後は何だかんだで自動的に話が進みますね。
地球でなら1億あれば充分かも。』
「あー、リン君の才覚ならすぐに工面出来ちゃう金額だね。」
『えー、俺はそこまで。
この数日も優秀な人間とのスペック差を見せつけられて
正直、圧倒されていました。』
「でも君はたったの1週間で750万のキャッシュを預けられる身になってる。
しかも借用書も何も無し。
全部、口約束。
これって普通はありえないことなんだよ?」
『まあ確かに、750万て年収の中央値を大きく越えてますよね。
初対面の俺に託すとか…
いや、その前によくこんな金額自宅に置いとけますね。』
「彼女。
お父さんがお亡くなりになったばかりだからね。
そこそこの金額を相続したんだ。」
『ああ、実家の相続の話とかしておられましたものね。』
「こんなこと言いたくないんだけどさ。
銀行とか証券会社とか不動産営業の連中が頻繁にセールスに来るのね?
多分、相続に関する名簿か何かが出回ってるんだろうね。」
『俺、貧乏だからそんな連中お目にかかった事もないです。』
「会わないのが一番だよ。
素人の俺から見ても酷い金融商品売りつけて来ようとするからね。
普通、女性相手に仕組債とかワンルームマンション投資か勧めるかね。
アイツら、金持には鉄板の美味しい話をこっそり回す癖に、俺達労働者には平然とゴミを売りつけてくるからさ。
…彼女もあのカネを見せ金にして、証券会社の営業から好条件を引き出せないか探ってたんだけどさ。
やっぱりさ、労働者家庭には下っ端のセールスマンしか来ないんだよ。
アイツら、何の権限も持たされてないし、旨味のある金融商品の存在すら自社から教えて貰ってないし…
結局、機能する支店長・エリアマネージャークラス以上の営業って金持ちの所にしか行かないんだよ…」
『まあ、仰る事理解出来ます。』
「向こうも商売だから、仕方ないんだけどね。
と言う訳で!
このおカネは証券会社や銀行ではなく。
リン君に運用を任せてみることにしましたー、パチパチパチパチ。」
『あはは、正気の沙汰とは思えませんねー。』
「投資ってそんなものじゃない?
あの人も色んな会社の株持ってるけどさ。
そこの経営陣とは一切面識がない訳じゃない?
ダークウェブ上で個人情報は漁ってるみたいだけど。
そういう点を鑑みれば、通常の株式投資だって十分クレイジーな行為だよ。」
その後、カップルのアルバムを見せて貰う。
写真の中の彼女さんは昨夜ほど怖くはなかった。
ストリートバスケか何かの表彰状を掲げている清磨さんの隣で照れたように寄り添っている彼女さんはどう見てもどこにでもいる普通の人だった。
「仕事とおカネさえ絡まなければ普通の可愛い女の子だよ。
まあ、人生で仕事とおカネが絡まない場面って殆どないんだけどねww」
『…女ってみんな豹変する生き物なのでしょうか?』
「勝負どころではスイッチ入るんじゃないかな。
ほら、女性って妊娠・出産・育児で動けない期間が長い訳じゃない?
男と違って。
だから、本能的に過剰にストックを集めようとするんでしょ。
あ、女性の前で《過剰》とかいう言葉を使っちゃ駄目だよ?
発狂するから。」
俺とか清磨さんとか、心身共に緩慢だからな。
女性陣から見れば歯痒く映るのだろう。
「えっと、17時まで待てばいいのか。
ゴメンね、リン君って結構時間をフル活用しているタイプでしょ?
何か、ウチの勝手な都合で拘束しちゃって。」
『あ、いえいえ。
清磨さんの話を伺えて凄く勉強になってます。
俺、そういう社会的な常識に疎いんで、もっと勉強しなくちゃって思いました。』
「君はかなり頑張ってるよ。
高校在学中に宅建取るなんてかなりのものだよ。」
『あ、いえ。
アレは勉強すれば誰でも取得出来るので。』
「知ってると思うけど、不動産屋にも持ってない奴多いよ。
アイツら地道な勉強とか嫌いだから。
若いうちに取った、という点が重要なんだよ。
真面目で熱心な人生観を持っている証拠だからね。
胸を張るべきだよ。」
『ありがとうございます。』
17時まで少し時間があったので、マンションの駐車場で清磨さんにバスケットボールを触らせて貰う。
体育の授業で少し触った経験があるのだが、改めてその大きさ重さを痛感する。
「体育の時はどうだったー?」
『いやー、駄目駄目ですよ。
俺も組んでた奴も、両方突き指しちゃって。
体育教師からアホ扱いされちゃいましたw』
「教え方が下手なんだよーw
オマエの方がアホだって言ってやれw」
『そんな度胸ないですよー。
それに今思えば、その体育教師が一番俺達の前途を心配してくれてましたし。
組んでた奴なんか重度の鉄オタで、学校中からキチガイ扱いされてたんです。』
「それが分かるのなら、もう充分高校行った意味はあるよ。
一生分からずに死んでいく奴らが世の中の大半だから。
あ、今日は突き指しないでねー。」
『彼女さんが発狂しそうw』
「それなw」
17時が近づいたのでシャワーを借りる。
至る所にカップルグッズがあったので、触れてしまわないようにかなり気を遣う。
こんなトコ、まかり間違っても俺なんかが土足で踏み入っていい場所じゃない。
「じゃあ、リン君。
何度も申し訳ないけど…」
『ええ、数えますね。
あ、大丈夫。
札束数えるのって結構楽しいので。』
カネを目の前にして2人で笑い合う。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【所持金】
4万7241円
↓
755万7241円
※森芙美香の代理人・飯田清磨から現金751万円を借入
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
『では、確かにお預かります。』
「よっリン君銀行ー♪」
『そんな立派なモノじゃないです。
皆から詐欺師って呼ばれちゃいましたからw』
「じゃあせめて良心的な詐欺師になってね。」
『良心的な詐欺師?』
「そりゃあそうでしょ。
同じ人を欺くなら、少しでもマシな方向に行かなきゃ。」
『よーし、それじゃあ!
詐欺師を開業しちゃいまーす!』
「あははははww
開業おめでとーーー!!
Yeahhhh!!」
『いえーーい。』
『「Yeahhhh!!!!!!」』
等と騒いでいるうちに、17時が到来する。
《22万6717円の配当が支払われました。》
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【所持金】
755万7241円
↓
778万3958円
※配当22万6717円を取得
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
予想に反して清磨さんは笑いも驚きもしない。
「リン君、空中からカネを出すのはヤバい。
この点を集中して改善するべきだ。」
『そうなんですよねー。
制御が難しいんです。』
「異世界帰りなんて幾らでも笑いのネタで収まるんだよ。
どうせそのうち異世界系youtuberとか異世界芸人とか世の中に出て来るだろうし。
でもね?
異世界っぽい技術を持ってるって知られたら…
そのリスクは分かるよね?」
『ですよねー。
私は身を護る武力を持ってないんです。
なので余計にリスクが高くて。』
これは嘘。
ヒルダの奴が地球での戦闘準備をしていない筈がない。
あの女はそれこそ過剰な武力を保有していることだろう。
問題はヒルダから身を守るための武力を俺が持ってない事なんだよな。
あの女に対しては指相撲ですら勝てる気がしない。
「次、同じ事をする時はコレを使ってみて。」
清磨さんはそう言って小さな紙箱を持って来てくれた。
「職場のイベントで使った抽選箱。
ほら、クジ引きとかビンゴ大会とか、そういうのに使う奴。」
『ああ、なるほど。
そこの穴が取り出し口ですね。』
「コレ、あげるから。
この中におカネが収まる様に練習して御覧。
流石にアレは酷い。」
『やっぱり、駄目でしたか?』
「うん、思わず
《異世界か!》
ってツッコミそうになった。
アレはマジでヤバい。」
『猛省します。』
清磨さんから箱の使い方を色々提案して貰って、折り畳みも練習する。
ああ、でもこういう小道具ありがたいよな。
現金を目の前にボーっとしてたら、頭のおかしい人みたいに見えるから。
18時18分。
彼女さんが帰って来たので、カネを返却。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【所持金】
778万3958円
↓
19万8858円
※森芙美香に元本+配当として758万5100円を支払い
支払い配当7万5100円
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
まあ、1日で7万チョイ+なら御の字じゃないか。
「遠市さん。
いえ、遠市先生!
現在、全ての金融資産を現金化中です。」
『こ、行動が早いですね。』
「まずはですが…
住信SBI証券で保有していた分は、全て指値で売却済。
現在証券口座に2701万9914円があります。
三菱UFJ銀行の預金額が574万8902円。
こちら通帳となっております。
どうぞ! 御覧下さい。」
『わー、すごいですね。』
「いえいえ!
遠市先生を前にして《凄い》など滅相も御座いません。」
『あー、いやいや。
そんな先生と呼ばれる程のバカでもなく。』
「当方から先生に提供できるものは!
まず現金資産!
続いて横浜市内の中古戸建!
そして私、森芙美香の第二子出産!」
『え? だ、第二?
え? 貴方何を?』
「第一子の出産権を提供することも吝かではありません。
ですがその場合、私が婚約者をカネの為に裏切る女なのではないか、と。
遠市先生から疑念を抱かれてしまう可能性があります。
そこで第一子を飯田清磨、第二子を遠市先生、その後の出産順は先生にお任せするという方向で如何でしょうか?
無論!
養育は全て当方が負担いたしますし、親権をお求めの場合は速やかに引き渡しする事を約束致します!」
『…こ、怖い。』
「如何でしょうか! 先生!」
怖い怖い怖い。
うわー、怖。
完全に心が折れてしまった。
まず、俺の子を産ませるのはマズい。
論外。
言うまでもなく、お家騒動の原因になってしまうから。
この女がどれだけ惨たらしく処分された所で自己責任なのだが、俺はリスクを負いたくない。
…ヒルダの怒りの矛先は確実に俺にも向かうだろうしな。
怖い。
俺は全身から流れる汗も拭わずに
「いやあ、清磨さんからさっき結婚式に誘われたばかりなんですよ。
心の中でお2人を祝福していたところなので。
こんな美男美女カップルの側に立つなんて、気恥ずかしくて無理ですねえ。
あはは。」
と無難に返しておいた。
まあこの女は兎も角、清磨さんを祝福したい気持ちに一切の嘘偽りはない。
彼女さんは俺の肩口を爪がめり込むまで掴みながら執拗に食い下がろうとする。
『痛い痛い痛い!
ハゲタカに空中を運搬されてる時の気分がわかるほど痛い!』
「先生!
不肖、森芙美香。
先生の御為になら地獄の底までもお供致します!
今日、この日この時この場所が!!
我ら3名にとっての桃園の誓い!!!
我ら3人、生まれし日、時は違えどもッ!
兄妹弟の契りを結びしからは、心を同じくして助け合い、己自身のみを救わん!
上は己に報い、下は己を安んずることを誓う!
同年同月同日に生まれることを得ずとも、同年同月同日に死せん事を願わん!
皇天后土よ、実にこの心を鑑みよッ!
義に背き恩を忘るれば、天人のみを戮すべし!
さあ、張飛ッ!
誓いの盃を持って参れ!」
「あ、はい。」
清磨さんがシャンパンの残りを持って来たので3人で飲み切ってしまう。
その後も関羽が執拗に俺に粘着したので、見かねた清磨さんが強引にキスをして黙らせる。
耳元で「愛してる」とかなんとか言って鎮静させているのを見て
《はええ、女ってこうやって黙らせるんだな。》
と感動する。
小一時間くらい恋愛ドラマのような感動的な展開を見物して、赤面した彼女さんが完全沈黙したのを確認してから、清磨さんに駅まで送って貰った。
「リン君、本当にゴメンねー。
あの人、カネに関する嗅覚が鋭すぎるんだよ。
まあ、女なんて多かれ少なかれあんなモンだけど。」
『いえいえ、こちらこそお2人のお住まいにお邪魔して申し訳ないな、と思っていたので。』
「電車乗る前になんか食っていく?」
『あ、いいっすね。』
「じゃあ殿!
ロードサイトの糞チェーンエリアまで飛ばしますよーー!」
『うむ!
張飛よ全軍突撃じゃーーー!!!』
爆笑しながら横浜の夜を疾走して、餃子の王将で餃子ばかりを大量に貪り喰った。
最高の夜に感謝。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【名前】
遠市厘
【職業】
詐欺師
【称号】
サイコキラー
【ステータス】 (地球上にステータス閲覧手段無し)
《LV》 3
《HP》 ?
《MP》 ?
《力》 女と小動物なら殴れる
《速度》 小走り不可
《器用》 使えない先輩
《魔力》 ?
《知性》 ?
《精神》 ?
《幸運》 的盧
《経験》 30 (仮定)
※キョンの経験値を1と仮定
※ロードキルの有効性確認済
【スキル】
「複利」
※日利3%
新札・新貨幣しか支払われない可能性高し、要検証。
【所持金】
29万9858円
【所持品】
ヒルダのワイシャツ。
エモやんシャツ
エモやんデニム
エモやんシューズ
エモやんリュック
エモやんアンダーシャツ
エモやんパーカー
寺之庄コインケース
奇跡箱 new
シャンパン (飯田に1本贈呈したので、残り1本)
【約束】
古屋正興 「異世界に飛ばす」
飯田清麿 「結婚式への出席。」
後藤響 「今度居酒屋に付き合う(但しワリカン)」
江本昴流 「後藤響を護る。」
弓長真姫 「二度と女性を殴らない」
寺之庄煕規 「今度都内でメシでも行く」
×森芙美香 「我ら三人、生まれ(拒否)」
ヒルダ・コリンズ 「芋羊羹を喰わせてやる」
43
あなたにおすすめの小説
クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした
コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。
クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。
召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。
理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。
ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。
これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
《レベル∞》の万物創造スキルで追放された俺、辺境を開拓してたら気づけば神々の箱庭になっていた
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティーの雑用係だったカイは、魔王討伐後「無能」の烙印を押され追放される。全てを失い、死を覚悟して流れ着いた「忘れられた辺境」。そこで彼のハズレスキルは真の姿《万物創造》へと覚醒した。
無から有を生み、世界の理すら書き換える神の如き力。カイはまず、生きるために快適な家を、豊かな畑を、そして清らかな川を創造する。荒れ果てた土地は、みるみるうちに楽園へと姿を変えていった。
やがて、彼の元には行き場を失った獣人の少女やエルフの賢者、ドワーフの鍛冶師など、心優しき仲間たちが集い始める。これは、追放された一人の青年が、大切な仲間たちと共に理想郷を築き、やがてその地が「神々の箱庭」と呼ばれるまでの物語。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる