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【降臨68日目】 所持金3491万6985円 「ジャンジャンバリバリですぅ♪」
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「リン子~、アジトに着いたわよ~。
見なさい、眼前に広がるこの絶景。
これが汚い汚い霞ヶ浦よ。」
『はーい。
夜だから何も見えてませんけど。
綺麗な湖に脳内変換しておきまーす。』
霞ヶ浦。
そういう湖がある事は知っていたが、自分とは関係の無い物だと思っていた。
今、その畔のアジトに辿り着いた。
「扉、きちんと閉めなさいね。
ユスリカが多いのよ、この辺。」
『空気がヌメっとしてて気持ち悪いですぅ。』
「賞金首の分際で文句言うな! (ドカッ)!」
『ぴえん。』
児玉繭子は父親も祖父もヤクザである。
身勝手な男共に母親が泣かされているのを子供の頃から見ていたので、真面目に生きる事を固く誓って猛勉強をし…
本当に色々あって夜逃げ屋になった。
業界でしばらく活躍した後、紆余曲折を経て宿敵・児玉秀峰と結婚し一男一女を設けたとのこと。
本人の中では夜逃げ屋は引退済みのつもりだが、腕が良い上に侠気に富んでいるので、困窮者を見ればついつい助けてしまうらしい。
なので、3年に1度くらい夫婦で突発的に真剣勝負が発生するそうだ。
切れ者のカネ貸しと凄腕の夜逃げ屋。
おまけに互いに配下を抱えているので仕方がないと言えば仕方ない。
もっとも、夫婦仲は概ね良好。
利害が対立しない限りは理想のパワーカップルである。
事実、児玉夫妻は着実に富を蓄積させており、都内の優良不動産を我が子に円滑に相続させるべく日々策を練っている。
「最初に言っておくねー。
このセーフハウスは旦那も知らないから。
多分、大まかな位置は把握されてると思うけど…」
『シェアハウスという所までは知られてない?』
「どうだろ?
シェアハウスなんて家探し先の鉄板だからねぇ。」
聞くところによれば、ここは土浦駅から車で15分の距離に位置し、窓の外には湖畔とレンコン畑が延々と広がっているとのこと。
『私が女性用シェアハウスってマズくないですか?』
「うーん。
アンタって男に媚び売るタイプだからね。
男向けには案内出来ないわ。
人間関係壊されたくないし。」
『え~。
媚びなんて売らないですよぉ。』
「ケツ振りながら喋んな! (ドカッ!)」
『んにゃぴっ』
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
夫人に案内されたシェアハウスには、3名の女子が住んでいて、こちらが男だという事は知られているようだった。
「え~、リン子ちゃんって性自認オトコなんだぁww」
馴れ馴れしく身体を触って来るのはフミナさんという大学生だか休学生だかである。
『きゃっ、やめて下さい!』
「うはっw
反応メスじゃんww」
「おい、史奈。
いい加減にしておきなさいよ。」
『い、いや! やめて!』
「うひひひww
リン子ちゃん、アタシの部屋おいでよ。
シェア♪シェア♪」
『は、離して下さい~。』
「うきーーーww
うきーーーーww」
「盛るなメス豚(ドカッ!)」
「うぎゃっ!
もー、繭子さんはお固いんだから。
コイツ、妙に癖に刺さるんですよ!」
「リン子はアタシと同部屋。」
「えー、繭子さんばっかりズルーい。
旦那さんは知ってるんですか?」
「ウチの旦那、昔からこういう天然系に弱いのよ。
リン子は、オトコなら誰彼構わず色目を使うタイプだし。
隔離の意味もあってアタシが連れ出したの。」
「あ、わかる。
この子、人のオトコに平気で手を出すタイプですよね。」
そんな好き勝手を言われながら、とうとう女向けシェアハウスに入居する羽目になった。
元々はDV被害者が隠れ住む為の駆け込み寺だったらしい。
ただ児玉夫妻の客層の関係なのか、ホスト被害者が多い。
法外な売掛金を請求されて風俗店への勤務を強要されたとか。
そんな話を聞かされながら眠りについた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ねぇ、リン子。
アンタこれからどうするの?」
児玉夫人の部屋でバラエティDVDを鑑賞しながら休憩。
(埃を被ってるダイエット用品を揶揄したら殴られた。)
『そろそろ攻勢に出ます。』
「お?
見た目に寄らずオトコノコしてるじゃーん。
でもどうすんの?
アンタへの包囲網、全盛期のオウムよりも厳しいんだよ?」
『どうするかは、誰かに考えて貰いますぅ!』
「お~、順調に思考もメス化してるねぇ。
で? 誰かって誰? どうせオトコでしょ?」
『あ~、繭子さん酷ぉい。
…まあ、男の子ですけど。』
「言っとくけど、アンタへの包囲網は盤石だよ?
アンタと面識のある相手は監視下に置かれていると思った方がいい。」
『でしょうねぇ。
こっちの身内、徐々に削られてますし。』
そうなのだ、先程見たニュースでは坊門総業の申告漏れが大々的に報道されていた。
きっちり坊門会長への突撃インタビューも晒されていた。
(相変わらずふてぶてしくて安堵する。)
恐らくはヒルダが手を回したのだろう。
俺を匿いそうな人間を封じて行くのが目的と考えられる。
この分だと猟師組や斑鳩辺りもマズいかも知れないな。
『なので、捕捉されてる可能性が一番少ない相手と会います。』
そう言って、繭子にPCを借りる。
カタカタターン!
『どうです、このキーボード捌き!』
「覚えたての猿ね。」
『ぴえん。』
「何? ここに行きたいの?
アンタ車持ってないでしょ?」
『…ですぅ。』
「ハア!?
アタシをアテにしてる訳?」
『おカネ払いますからぁ。』
「…幾ら?」
『欲しい額を言って下さい。』
「じゃあ、1000万円。」
『おっけーですぅ。』
「ちょっと、待って!
やっぱり1億!」
『おっけーですぅ。』
「…やっぱり10億寄こしなさいよ。」
『女って欲深くてゴミですぅ。
まあいいですよ。
今4000万円しか持ってないんで、とりあえず1000万あげますう。』
「…受け取ってあげるわ。」
『女って感謝の概念が乏しいから糞ですぅ。』
「アンタも女でしょ!
…って、冷静に考えたらコイツ男か。
メス化が順調過ぎて怖いわよね。」
『にやり♪』
「その笑い方ムカつくからやめろ! (ボカッ)」
『ぐぇっ』
「アンタ、女の嫌な部分をトレースする天才ねえ。
まあ、男受けは良さそうだけどさ。」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【所持金】
4063万4500円
↓
3063万4500円
※児玉繭子に手間賃として1000万円を支払い。
(カネが溜まったら10億円を贈呈する契約。)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
土浦市から1時間強。
俺の目的地は意外に近い。
まあ、それは良いとして。
『どうして、この人達が居るんですかぁ!?』
何故かシェアハウスの女共が3人共同乗していた。
俺は後部座席で女子大生の史奈と離婚調停中の絵麻に挟まれる。
運転は繭子。
助手席には旦那の貯金6000万円をFXで溶かして親権を剥奪された瀬里奈。
揃いも揃って屑である。
「リン子ばっかり外出ってズルーい。」
「アタシ達も遊びに行きたいわよ。」
「ねえ、アンタ、まだチ●ポ付いてる訳?」
『あのぉ!
私、仕事なんですよ!
遊び気分はやめて下さい、ぷんすこ!』
「「「ぎゃははは!」」」
『か、身体を触らないで下さーい!!』
「うおっ、コイツ一応チ●コ生えてるじゃんww」
「ラッキー♪」
「やっと禁欲生活から解放されるわ。」
『い、いやっ! 繭子さん助けて!』
「人が運転してる側で騒ぐんじゃねー、クズ共!!」
「「「ぎゃははは!」」」
運転中、女共が「小腹がすいた」と騒ぐので餌を与えてやる。
…豚共が。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【所持金】
3063万4500円
↓
3062万8825円
※常盤自動車道・友部SAにて飲食代として5675円を支出
[内訳]
ダブルカマンベールハムカツ1135円×5人分
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
途中、助手席の瀬里奈が声を掛けて来る。
「ちょっとリン子ぉ。
この車、どこに向かってるの?」
『御岩神社です。』
「ハア!?
パチって言ったじゃない!」
『言ってないですぅ。
後、賭け事は親権が遠のくだけですよ?』
「ハア!?
パチンコは賭博じゃないしー。
三店方式だから合法でーす。」
…この女から親権を剥奪した家裁はいい仕事をしたと思う。
後、パチンコはやはり禁止した方が良いな。
愚民向けの娯楽はもう少し健全な物を用意するべきであろう。
「神社なんてつまんない!
ねえ、この辺って那珂だよね?
皆でキコーナ行こうよ!」
『ねえ、瀬里奈さん。
パチンコなんて何が面白いんですか?』
「ハア!?
パチの面白さが分からないとか、アンタ馬鹿ぁ?
FX程じゃないけど脳汁ドバドバ出るじゃん!」
『私の友人にパチンコ屋の娘が居るんですけど。
あんなもの絶対やっちゃ駄目だって言われました。
損するだけだし、人生に何の蓄積もないって。』
弓長真姫なぁ。
あの人も完全にヒルダ派に回ったよな。
「でも、当たるかも知れないじゃん。
儲かるかも知れないじゃん!」
『でも瀬里奈さん、FXもパチンコも両方失敗して…
旦那さんに怒られちゃったんでしょ?』
「旦那はアタシの言いなりだから別にいいのよ。
トメとコトメが出て来たのが誤算だったわ。
あー、くっそ。
折角チョロイATMを捕まえたのに。
あの糞ババァが裁判とかぬかしやがって。
あー、ムカつくなあ。
また何か儲け話ないかなぁー。
ねえ、リン子ぉ。
神社なんてやめてパチ行こうぜ、パチ!」
『わかりました。
じゃあ、後で瀬里奈さんに面白い趣向のギャンブルを提供します!』
「お! ギャンブル♪
リン子ぉ、カマホモの分際で気が利くじゃなーい。
わかったわ。
神社見物、付き合ってあげる♪
但し、到着したら何か御馳走しなさいよ♪」
男パーティーを組んでいた時は一切なかった事なのだが、この女共は《奢れ奢れ》とやたら五月蠅い。
記憶の糸を手繰るが、異世界でも地球でも仲間の男達で小銭をせびって来た者は殆ど居なかった。
唯一の例外はポール・ポールソンだが、あの男にしてもその小銭で俺をこっそりアシストしてくれていた。
逆にコイツらはせびるしか能が無いのでうんざりする。
思考を読まれたのか、繭子に注意された。
「あの子達は社会全体から見ても最下層のカス。
反対にアンタが今まで見ていた男達は多分上澄みなんでしょ?
そこら辺をちゃんと加味なさい。」
『言いたい事はわからないでもないですぅ。』
茨城の北部は本当に何も無かったので、女共をどこにも放置出来なかった。
不本意ながら目的地まで連れて行く。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
御岩神社。
常陸の国の最古霊山。
この御岩山そのものを神体としている。
明治維新まで長らく修験道の道場として栄えた。
《茨城県 修験道》で検索したら、そういう記述が散見されたのでここに来た。
言うまでもなく、アポは無い。
さあ、茶番は終わりだ。
俺もそろそろ本気を出さなければな。
『すみませぇん♪
山伏の方にお会いしたいんですけどぉ♪』
御岩神社の麓の駐車場から降りると、出逢った人間全てに声を掛けて行く。
やはり老人が多い。
(相対的に)親切そうな老婆が話し相手になってくれる。
「こがら登れば神社だよ?
登んねえの?」
『ミュールなんですぅ。』
「そーたサンダルじゃ駄目だねえ。」
『山伏さんに逢いたいですぅ♪』
「たまに見がげるけんどねえ。」
『紹介して下さぁい♪』
「旦那の知り合いになら居るがもねぇ。」
『お願いですぅ♪』
「私も忙しいかんねえ。」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【所持金】
3062万8825円
↓
3052万8825円
※地元住民・生田目多喜にお友達料金10万円を支払い。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「私に任せでおぎな!
アンタは孫娘みだいなものだよ!
大船に乗ったつもりでいなさい!」
『やったぜですぅ♪』
多喜婆が奔走している間、レジャーセンターと称する近所の喫茶店で時間を潰す。
ピザを出す店なので女共が大はしゃぎして大量注文を始める。
俺は奢ってやるなんて一言も言ってないのだが、タカル気満々だった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【所持金】
3052万8825円
↓
3051万2985円
※レジャーセンター内にて食事代15840円を支払い。
[内訳]
エビとルッコラのフレッシュトマトパスタ 1100円×2
常陸牛と国産豚肉の自家製ミートソース 1100円×2
明太子クリームソースパスタ 1100円×1
茨城県産しらすのピザ 990円×2
エビとアボカドのタルタルソースピザ 990円×2
りんごのピザ ~バニラアイス添え~ 990円×2
クレミアソフトクリーム 500円×5
わらび餅ドリンク 500円×2
ホットコーヒー 300円×3
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ふー、ダイエット中なのに困ったわぁ♪」
「リン子の所為で体重増えちゃう♪」
「旅行って不思議と食べちゃうのよね。」
キャイキャイ騒いでいる女共を捌いているうちに多喜婆が旦那さんを連れて来てくれた。
本人は修験道と関係が無いのだが、生活立地的に何人か山伏の友人が居り、御岩神社との付き合いも深いとの事。
「社務所の人、今の時間は山でしょ。
上まで登ったら話は早いと思うんだけどねぇ。」
『ミュールなんですぅ。』
「うーん、そのサンダルじゃ参道を登るのは無理だねえ。
わかった、連れて来るよ。」
『やったぜですぅ♪』
こんなやり取りを2時間ほど重ねて、水戸市在住の山伏さんと通話する事に成功する。
造り酒屋の跡取り息子(と言っても還暦は過ぎている)で、修行の合間に都内の物産展に出展している事が多いらしい。
先週で百貨店回りが一段落したらしく、声にゆとりがある。
「一応念を押しておくけど。
修験道は本来女人禁制だからね?」
『私、性自認も含めて男ですぅ♪』
「え? 君、男の子?
本当に?」
『やだぁ♪ 本当ですよぉ♪』
「最近は女人禁制の催しに無理矢理入って来ようとする女性も居るからね。
我々も神経質になっているんだ。」
『じゃあ、身体検査をして貰っても大丈夫ですよ♪』
「わかった。
その話は後ほど。
それで? 私に用件と言うのは?」
『烏天狗さんに逢いたいんですぅ♪』
「…何を言っているのか分からないな。」
『うふふ、誤魔化しても無駄ですよ♪
私、烏天狗さんに逢いたいんですぅ♪』
「…カラス。
何のことだか。」
『今、修験道の人達って結構バッシングされてるじゃないですかぁ?
私なら何とかしてあげられますよ♪ くすくす♪』
「バッシングも何も、今に始まった事ではないからね。
我々の歴史は苦難の歴史であり、我々の歩む道は苦難そのものだ。」
『わぁ格好いいですぅ♪
…でもぉ。
そんなに頑張った歴史が無くなっちゃうのって寂しいですよねぇ?』
「…烏天狗に何の用事?」
『えー、私は特に用事は無いんですけどぉ♪
天狗さんは私に用事がいっぱいあると思いますよ、くすくす♪』
「わかった。
善処しよう。」
『わぁい♪
あ、でもでもぉ。
この季節、カラスさんは目立つかもですぅ♪』
「わかった。
その旨も伝えておこう。
連絡先は?」
『生田目さん家にお願いしますぅ♪』
そんな遣り取りがあって、烏天狗へのパイプを何とか繋ぐ。
以後は生田目夫妻に丸投げ。
老い先短い身とは言え、命を失うリスクもあるので前金で渡し賃を託しておく。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【所持金】
3051万2985円
↓
2951万2985円
※生田目夫妻に手間賃として100万円を支払い。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
俺の目標は至ってシンプル。
全世界に富を分配すること。
これは然程難しくない。
カネさえあればカネを配る人間なんて幾らでも雇えるからだ。
ただ分配する為には相応の規模の富を築かざるを得ず、過程でどうしても遠市王朝っぽい物が自然発生してしまう。
(そのメカニズムは異世界で見て来た。)
遠市王朝の建国阻止、阻止に失敗すればその打倒。
ここまで成し遂げる事が俺の分配である。
つまりヒルダ・コリンズ(を含めた女全般)と完全に利害が相反する。
頭の痛い問題だ。
アイツが男なら普通に争覇すればいいだけなのだが、問題はヒルダが女である点。
あの女には俺と競ったり争ったりする意図がない。
それどころか、あの女なりの善意愛情で俺に地球を献上しようとしている。
(結局、自分の産んだ子に地球を相続させたいだけだが。)
俺は世界に対して相続以外の落とし所を提示してやる必要がある。
ヒルダを含めた世論を納得させられるだけの未来を提示出来れば俺の勝ち、出来なければ負け。
それだけのシンプルな戦いである。
「ねえ、リン子ぉ!」
『何ですかぁ?
私、瀬里奈さんと違って忙しいんですけどぉ。』
「ギャンブルの話はどうなったの!
アタシ、パチもFXも出来なくて死にそうなのよお!!!」
『嘘でもいいから、息子さんと会えない所為だって言って下さいよ。』
「え? 息子?
あ、うん。
翔真も来年は高学年だし。
トメが何とかするでしょ。
そんな事よりパチよ!」
『はいはい。
それじゃあ17時になったら、人間パチンコやらせてあげます。』
「人間パチンコ!?
ひょっとして人間の首を切り落として皆で投げてポイントを競うとか!?」
『…それ、ペリシテ人でも躊躇すると思いますよ。
まあ、17時までのお楽しみですぅ♪』
時計を見ればもう16時を回っている。
シェアハウスまで帰る時間はないな。
取り敢えず生田目家に上がり込んで大きな段ボール箱を借りる。
「あらぁリン子ぢゃん。
それはなぁに?」
『人間パチンコですぅ♪』
「え!? パチンコ!?」
俺がパチンコという単語を出した瞬間。
生田目夫妻の眼に生気が宿る。
瞳孔は炎が灯ったように爛々と輝いている。
「パチ!!」
「パチンコ!」
「換金比率はぁ!?」
「パチンコ!」
「パチ!!」
「パチンコ!」
「お刺身食べたいよお!!」
「パチンコ!!」
「パチ!!」
「パチ!!」
「パチンコ!!!」
「パチイ!!!」
パチンコという単語を出した5分後には、近隣から大量の老人が集まって来た。
まあ、如何にも娯楽に乏しそうな山奥だからな。
仕方ないと言えば仕方ないか。
『はぁい、みなさぁん♪
リン子の! 人間パチンコでぇす♪
ジャンジャンバリバリ♪
カネカネカネカネナンマイダー♪』
「「「「「「ジャンジャンバリバリッーー!!!!」」」」」
老人達が目を輝かせて絶叫する。
ノリいいよな、この世代。
『人間パチンコのルールは簡単ですぅ♪
リン子の前にぃ、おカネをお供えしてサイコロポイ♥
元本に出目%を加えてジャンジャンバリバリですぅ♪』
老人達は呆けたような表情でこちらを見ている。
多喜婆の茶飲み友達のハル婆がニヤニヤしながら10万円を取り出した。
「ふっふっふ♪
年金出だばっかしだかんねえ。」
『おお、生活順調ですか?』
「順調な訳あるがい。
政治がわりいがら苦しいよ。」
『ははは、じゃあ今日は稼いで行って下さいね♪』
どうやら年金支給日の直後だったらしく、どの老人も懐に余裕があるようだった。
その数14人。
妙な期待感があるのかニヤニヤと嬉しそうに笑っている。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【所持金】
2951万2985円
↓
3035万2985円
※貸し玉料として84万円を預かり。
三店方式は憲法違反の可能性があるので不採用。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
『それじゃあ、17時になったらリール回しまぁす♪
皆さん、サイコロコロコロ頑張って下さいねぇ♡
ジャンジャンバリバリ♪
カネカネカネカネナンマイダー♪』
俺は普通にしているつもりなのだが、老人達もシェアハウスの女共も口をボーっと開けてこちらを眺めている。
まあ、理解不能だよな。
俺でさえ未だにそうなのだから仕方ない。
《547万円の配当が支払われました。》
段ボール内に響く異音に老人達が目を剥く。
そう、この音はカネ!
不思議な事に人間。
老いてどれだけ聴力が衰えようとも、カネの音はちゃんと聞き分けて来るのだ。
『はぁーい、サービスタイム始まりましたぁ♡
順番にサイコロ振って下さいねぇ♪
ジャンジャンバリバリ♪
カネカネカネカネナンマイダー♪』
老人達は鼻息をフンフン鳴らしながらサイコロを振り始める。
最初はハル婆。
「せいやっ!!
っくぅ! 3なんて運がわりいねぇ!!
10万円の3%ってことは3000円かぁ…
6を出したかったねぇ。」
『はぁい♥
ハルさん3000円でーす♪
でもぉ、リン子細かいおカネ持ってないんでぇ。
お釣りは要らないですぅ♥』
そう言ってハル婆に1万円渡してやる。
「え!?
ちょ!?」
興奮のあまり元本を回収し忘れていたので、声を掛けて財布にしまわせる。
その後は大盛況だった。
老人達がみんなでキャーキャ騒ぎながらサイコロを振って、万札をヒラヒラさせて踊っている。
結果。
5人に1万円ずつを還元し、9人に計1万6千円を還元した。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【所持金】
3035万2985円
↓
3582万2985円
↓
3491万6985円
※配当547万円を取得
※90万6千円を出玉払い出し
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
老人達が狂騒しながら、もう一勝負を強請って来る。
「100万賭けてもいいって事か!?」
「もう一回! もう一回!」
「え? 終わり? これで終わり?」
「お刺身食べたいなァ……」
「リン子ちゃん、泊まって行きなさい!」
人間パチンコが17時しか開帳しない事を知ると老人達は肩を落としつつも、次の賭場を尋ねて来た。
茨城県の南部、と告げると肩を落とされる。
『もう、面倒臭いですねぇ。
わかりました、じゃあ明日は水戸でやってあげます♪』
老人達が拳を天に突き上げて歓声を挙げた。
帰路、繭子に窘められるも程々に流す。
何のメリットも無い行為だが、この熱狂こそが巡り巡って力になると知っているからである。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
さっさと眠りたかったのだが、女共が擦り寄って来て五月蠅い。
風呂だけ付き合ってやる約束だったのだが、3人共が繭子の部屋に押し掛けてしまう。
『もぅ、一緒にお風呂に入ってあげたでしょ!』
「えへへ、リン子ぉ。
アタシら友達じゃなーい。
夜の友情しようよぉ♪」
「あんなの見せられたら正気じゃいられないって。
瀬里奈さんも壊れちゃったしさぁ。」
「ジャンジャンバリバリジャンジャンバリバリ―!!!
カネカネカネカネナンマイダァァァァーーーーッ!!!」
『私ぃ、夜は1人で寝たいんですぅ。
瀬里奈さん耳元で騒がないで下さいね。』
「産む! リン子の子供産む!!」
「ねえ、リン子って女も行けるクチなの?」
「ジャンジャンバリバリジャンジャンバリバリ―!!!
カネカネカネカネナンマイダァァァァーーーーッ!!!」
『ちょ、勝手に触らないで下さい!
私ぃ、別に女の人が嫌な訳じゃないですけど。
キスは… キスだけは!
大切な人としかしたくないです!』
「ギャハハ、メスの顔ww メスの顔ww」
「えー、好きな男とか居るのぉ?
ねえ、アタシにも男紹介しなさいよ。」
「ジャンジャンバリバリジャンジャンバリバリ―!!!
カネカネカネカネナンマイダァァァァーーーーッ!!!」
『繭子さぁん、この人達何とかして下さいよぉ。』
「一応一発ヤッておきなさい。
それがアンタの保険になるから。」
『負債にしか見えないですぅ。』
「後、家賃代わりに私も楽しませて貰うわ。」
『そんなの酷いですぅ。』
結局、4人共抱かされる羽目になった。
あれだけ嫌だと言ったのに無理矢理キスをされて気持ち悪かった。
瀬里奈がうるさかったので、皆で別部屋に放り込んでから再戦した。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【名前】
遠市・コリンズ・リン子・厘
【職業】
ホステス
パチンコ台
神聖教団 大主教
東横キッズ
詐欺師
【称号】
淫売
賞金首
【ステータス】 (地球上にステータス閲覧手段無し)
《LV》 18
《HP》 ふぇぇ
《MP》 ですぅ
《力》 メスガキ
《速度》 小走り不可
《器用》 ライジング・カード!
《魔力》 悪の王器
《知性》 悪魔/ド低能/自分の名前は言えます。
《精神》 吐き気を催す邪悪
《幸運》 的盧
《経験》 2335359
本日取得 0
本日利息 356241
次のレベルまでの必要経験値286071
※レベル19到達まで合計2621430ポイント必要
※キョンの経験値を1と断定
※イノシシの経験値を40と断定
※うり坊(イノシシの幼獣)の経験値を成獣並みと断定
※クジラの経験値を13000と断定
※経験値計算は全て仮説
【スキル】
「複利」
※日利18%
下4桁切り上げ
【所持金】
所持金4063万4500円
3万BTC (下4桁切り上げ)
↓
4万BTC
1万ETH (下4桁切り上げ)
↓
2万ETH
【所持品】
女の子セット
Maison Margiela ショルダーバッグ 白
【約束】
古屋正興 「異世界に飛ばして欲しい。」
飯田清麿 「結婚式へ出席して欲しい。」
〇 「同年代の友達を作って欲しい。」
『100倍デーの開催!』
× 「一般回線で異世界の話をするな。」
『世襲政権の誕生阻止。』
〇後藤響 「今度居酒屋に付き合って下さい(但しワリカン)」
「大阪を滅ぼさないで下さい!!!」
「空飛ぶ車を運転します!」
江本昴流 「後藤響を護って下さい。」
『遠市王朝の建国阻止。』
×弓長真姫 「二度と女性を殴らないこと!」
× 「女性を大切にして!」
〇寺之庄煕規 「今度都内でメシでも行きましょう。」
×森芙美香 「我ら三人、生まれ(拒否)」
×中矢遼介 「ホストになったら遼介派に加入してよ。」
「今度、焼肉でも行こうぜ!」
〇藤田勇作 『日当3万円。』
〇堀田源 「トイレコインの使い方を皆に教えておいて。」
〇山田典弘 「一緒にイケてる動画を撮ろう。」
〇 「お土産を郵送してくれ。」
「月刊東京の編集長に就任する。」
楢崎龍虎 「いつかまた、上で会おう!」
×警視庁有志一同 「オマエだけは絶対に逃さん!」
「オマエだけは絶対に守る!」
×国連人権委員会 「全ての女性が安全で健(以下略)」
〇安宅一冬 「浅草寺周辺を一緒に散策しましょう。」
水岡一郎 「タックスヘイブンの利用・移住をしないこと。」
×平原猛人 「殺す。」
「鹿児島旅行に一緒に行く。」
「一緒にかすうどんを食べる」
車坂聖夜Mk-II 「世界中の皆が笑顔で暮らせる、優しい世界を築く」
×今井透 「原油価格の引き下げたのんます。」
「小麦価格の引き下げをお願いします」
〇荒木鉄男 「伊藤教諭の墓参りに行く。」
鈴木翔 「配信に出演して。」
×遠藤恭平 「ハーレム製造装置を下さい。」
〇 『子ども食堂を起ち上げます。』
「紙幣焼却によりインフレを阻止する。」
〇田名部淳 「全財産を預けさせて下さい!」
「共に地獄に堕ちましょう。」
三橋真也 「実は配信者になりたいので相談に乗って下さい。」
〇DJ斬馬 『音楽を絡めたイベントを開催する際、日当10万で雇用します。』
金本宇宙 「異世界に飛ばして欲しい。」
金本聖衣 「同上。」
金本七感 「17歳メインヒロインなので旦那との復縁を手伝って。」
〇天空院翔真 「ポンジ勝負で再戦しろ!」
「再戦するまで勝手に死ぬな。」
〇小牧某 「我が国の防諜機関への予算配分をお願いします。」
阿閉圭祐 「日本国の赤化防止を希望します。」
〇坊門万太郎 「天空院写真集を献納します!」
宋鳳国 「全人類救済計画に協力します!」
堀内信彦 『和牛盗難事件を解決します。』
〇内閣国際連絡局 『予算1000億円の確保します』
毛内敏文 『青森に行きます!』
神聖LB血盟団 「我々の意志を尊重する者が必ずや遠市厘を抹殺するだろう。」
〇大西竜志 「知り得る限り全ての犯罪者情報の提供。」
『貴方の遺族に篤く報います。』
坂東信弘 「四国内でのイベント協力」
国重辰馬 「四国内でのイベント協力」
涌嶋武彦 「畜産業界の総力を挙げて遠市派議員を衆議院に最低10名押し込みます!」
斑鳩太郎 『処刑免除を保証します。』
志倉しぃ 「カッコいいホモの人を紹介して下さい。」
〇孝文・j・G 「英国大使館パーティーにて利息支払い」
〇グランツ(英) 「perape-ra!!!!!!!!」
E・ギャロ 「農政助言」
「王都で星を見る。」
金本光戦士 「どんな危機からも必ず救い絶対に守る。」
〇木下樹理奈 「一緒に住ませて」
×松村奈々 「二度と靴は舐めないにゃ♥」
〇 「仲間を売るから私は許して♥」
◎鷹見夜色 「ウ↑チ↓を護って。」
〇 「カノジョさんに挨拶させて。」
〇 「責任をもって養ってくれるんスよね?」
×ヒルダ・コリンズ 「芋羊羹…。」
「王国の酒…。」
「表参道のスイーツ…。」
× 「ポン酢で寿司を喰いに行く。」
土佐の局 「生まれた子が男子であればリイチ。
女子であればリコと命名する。」
見なさい、眼前に広がるこの絶景。
これが汚い汚い霞ヶ浦よ。」
『はーい。
夜だから何も見えてませんけど。
綺麗な湖に脳内変換しておきまーす。』
霞ヶ浦。
そういう湖がある事は知っていたが、自分とは関係の無い物だと思っていた。
今、その畔のアジトに辿り着いた。
「扉、きちんと閉めなさいね。
ユスリカが多いのよ、この辺。」
『空気がヌメっとしてて気持ち悪いですぅ。』
「賞金首の分際で文句言うな! (ドカッ)!」
『ぴえん。』
児玉繭子は父親も祖父もヤクザである。
身勝手な男共に母親が泣かされているのを子供の頃から見ていたので、真面目に生きる事を固く誓って猛勉強をし…
本当に色々あって夜逃げ屋になった。
業界でしばらく活躍した後、紆余曲折を経て宿敵・児玉秀峰と結婚し一男一女を設けたとのこと。
本人の中では夜逃げ屋は引退済みのつもりだが、腕が良い上に侠気に富んでいるので、困窮者を見ればついつい助けてしまうらしい。
なので、3年に1度くらい夫婦で突発的に真剣勝負が発生するそうだ。
切れ者のカネ貸しと凄腕の夜逃げ屋。
おまけに互いに配下を抱えているので仕方がないと言えば仕方ない。
もっとも、夫婦仲は概ね良好。
利害が対立しない限りは理想のパワーカップルである。
事実、児玉夫妻は着実に富を蓄積させており、都内の優良不動産を我が子に円滑に相続させるべく日々策を練っている。
「最初に言っておくねー。
このセーフハウスは旦那も知らないから。
多分、大まかな位置は把握されてると思うけど…」
『シェアハウスという所までは知られてない?』
「どうだろ?
シェアハウスなんて家探し先の鉄板だからねぇ。」
聞くところによれば、ここは土浦駅から車で15分の距離に位置し、窓の外には湖畔とレンコン畑が延々と広がっているとのこと。
『私が女性用シェアハウスってマズくないですか?』
「うーん。
アンタって男に媚び売るタイプだからね。
男向けには案内出来ないわ。
人間関係壊されたくないし。」
『え~。
媚びなんて売らないですよぉ。』
「ケツ振りながら喋んな! (ドカッ!)」
『んにゃぴっ』
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
夫人に案内されたシェアハウスには、3名の女子が住んでいて、こちらが男だという事は知られているようだった。
「え~、リン子ちゃんって性自認オトコなんだぁww」
馴れ馴れしく身体を触って来るのはフミナさんという大学生だか休学生だかである。
『きゃっ、やめて下さい!』
「うはっw
反応メスじゃんww」
「おい、史奈。
いい加減にしておきなさいよ。」
『い、いや! やめて!』
「うひひひww
リン子ちゃん、アタシの部屋おいでよ。
シェア♪シェア♪」
『は、離して下さい~。』
「うきーーーww
うきーーーーww」
「盛るなメス豚(ドカッ!)」
「うぎゃっ!
もー、繭子さんはお固いんだから。
コイツ、妙に癖に刺さるんですよ!」
「リン子はアタシと同部屋。」
「えー、繭子さんばっかりズルーい。
旦那さんは知ってるんですか?」
「ウチの旦那、昔からこういう天然系に弱いのよ。
リン子は、オトコなら誰彼構わず色目を使うタイプだし。
隔離の意味もあってアタシが連れ出したの。」
「あ、わかる。
この子、人のオトコに平気で手を出すタイプですよね。」
そんな好き勝手を言われながら、とうとう女向けシェアハウスに入居する羽目になった。
元々はDV被害者が隠れ住む為の駆け込み寺だったらしい。
ただ児玉夫妻の客層の関係なのか、ホスト被害者が多い。
法外な売掛金を請求されて風俗店への勤務を強要されたとか。
そんな話を聞かされながら眠りについた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ねぇ、リン子。
アンタこれからどうするの?」
児玉夫人の部屋でバラエティDVDを鑑賞しながら休憩。
(埃を被ってるダイエット用品を揶揄したら殴られた。)
『そろそろ攻勢に出ます。』
「お?
見た目に寄らずオトコノコしてるじゃーん。
でもどうすんの?
アンタへの包囲網、全盛期のオウムよりも厳しいんだよ?」
『どうするかは、誰かに考えて貰いますぅ!』
「お~、順調に思考もメス化してるねぇ。
で? 誰かって誰? どうせオトコでしょ?」
『あ~、繭子さん酷ぉい。
…まあ、男の子ですけど。』
「言っとくけど、アンタへの包囲網は盤石だよ?
アンタと面識のある相手は監視下に置かれていると思った方がいい。」
『でしょうねぇ。
こっちの身内、徐々に削られてますし。』
そうなのだ、先程見たニュースでは坊門総業の申告漏れが大々的に報道されていた。
きっちり坊門会長への突撃インタビューも晒されていた。
(相変わらずふてぶてしくて安堵する。)
恐らくはヒルダが手を回したのだろう。
俺を匿いそうな人間を封じて行くのが目的と考えられる。
この分だと猟師組や斑鳩辺りもマズいかも知れないな。
『なので、捕捉されてる可能性が一番少ない相手と会います。』
そう言って、繭子にPCを借りる。
カタカタターン!
『どうです、このキーボード捌き!』
「覚えたての猿ね。」
『ぴえん。』
「何? ここに行きたいの?
アンタ車持ってないでしょ?」
『…ですぅ。』
「ハア!?
アタシをアテにしてる訳?」
『おカネ払いますからぁ。』
「…幾ら?」
『欲しい額を言って下さい。』
「じゃあ、1000万円。」
『おっけーですぅ。』
「ちょっと、待って!
やっぱり1億!」
『おっけーですぅ。』
「…やっぱり10億寄こしなさいよ。」
『女って欲深くてゴミですぅ。
まあいいですよ。
今4000万円しか持ってないんで、とりあえず1000万あげますう。』
「…受け取ってあげるわ。」
『女って感謝の概念が乏しいから糞ですぅ。』
「アンタも女でしょ!
…って、冷静に考えたらコイツ男か。
メス化が順調過ぎて怖いわよね。」
『にやり♪』
「その笑い方ムカつくからやめろ! (ボカッ)」
『ぐぇっ』
「アンタ、女の嫌な部分をトレースする天才ねえ。
まあ、男受けは良さそうだけどさ。」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【所持金】
4063万4500円
↓
3063万4500円
※児玉繭子に手間賃として1000万円を支払い。
(カネが溜まったら10億円を贈呈する契約。)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
土浦市から1時間強。
俺の目的地は意外に近い。
まあ、それは良いとして。
『どうして、この人達が居るんですかぁ!?』
何故かシェアハウスの女共が3人共同乗していた。
俺は後部座席で女子大生の史奈と離婚調停中の絵麻に挟まれる。
運転は繭子。
助手席には旦那の貯金6000万円をFXで溶かして親権を剥奪された瀬里奈。
揃いも揃って屑である。
「リン子ばっかり外出ってズルーい。」
「アタシ達も遊びに行きたいわよ。」
「ねえ、アンタ、まだチ●ポ付いてる訳?」
『あのぉ!
私、仕事なんですよ!
遊び気分はやめて下さい、ぷんすこ!』
「「「ぎゃははは!」」」
『か、身体を触らないで下さーい!!』
「うおっ、コイツ一応チ●コ生えてるじゃんww」
「ラッキー♪」
「やっと禁欲生活から解放されるわ。」
『い、いやっ! 繭子さん助けて!』
「人が運転してる側で騒ぐんじゃねー、クズ共!!」
「「「ぎゃははは!」」」
運転中、女共が「小腹がすいた」と騒ぐので餌を与えてやる。
…豚共が。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【所持金】
3063万4500円
↓
3062万8825円
※常盤自動車道・友部SAにて飲食代として5675円を支出
[内訳]
ダブルカマンベールハムカツ1135円×5人分
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
途中、助手席の瀬里奈が声を掛けて来る。
「ちょっとリン子ぉ。
この車、どこに向かってるの?」
『御岩神社です。』
「ハア!?
パチって言ったじゃない!」
『言ってないですぅ。
後、賭け事は親権が遠のくだけですよ?』
「ハア!?
パチンコは賭博じゃないしー。
三店方式だから合法でーす。」
…この女から親権を剥奪した家裁はいい仕事をしたと思う。
後、パチンコはやはり禁止した方が良いな。
愚民向けの娯楽はもう少し健全な物を用意するべきであろう。
「神社なんてつまんない!
ねえ、この辺って那珂だよね?
皆でキコーナ行こうよ!」
『ねえ、瀬里奈さん。
パチンコなんて何が面白いんですか?』
「ハア!?
パチの面白さが分からないとか、アンタ馬鹿ぁ?
FX程じゃないけど脳汁ドバドバ出るじゃん!」
『私の友人にパチンコ屋の娘が居るんですけど。
あんなもの絶対やっちゃ駄目だって言われました。
損するだけだし、人生に何の蓄積もないって。』
弓長真姫なぁ。
あの人も完全にヒルダ派に回ったよな。
「でも、当たるかも知れないじゃん。
儲かるかも知れないじゃん!」
『でも瀬里奈さん、FXもパチンコも両方失敗して…
旦那さんに怒られちゃったんでしょ?』
「旦那はアタシの言いなりだから別にいいのよ。
トメとコトメが出て来たのが誤算だったわ。
あー、くっそ。
折角チョロイATMを捕まえたのに。
あの糞ババァが裁判とかぬかしやがって。
あー、ムカつくなあ。
また何か儲け話ないかなぁー。
ねえ、リン子ぉ。
神社なんてやめてパチ行こうぜ、パチ!」
『わかりました。
じゃあ、後で瀬里奈さんに面白い趣向のギャンブルを提供します!』
「お! ギャンブル♪
リン子ぉ、カマホモの分際で気が利くじゃなーい。
わかったわ。
神社見物、付き合ってあげる♪
但し、到着したら何か御馳走しなさいよ♪」
男パーティーを組んでいた時は一切なかった事なのだが、この女共は《奢れ奢れ》とやたら五月蠅い。
記憶の糸を手繰るが、異世界でも地球でも仲間の男達で小銭をせびって来た者は殆ど居なかった。
唯一の例外はポール・ポールソンだが、あの男にしてもその小銭で俺をこっそりアシストしてくれていた。
逆にコイツらはせびるしか能が無いのでうんざりする。
思考を読まれたのか、繭子に注意された。
「あの子達は社会全体から見ても最下層のカス。
反対にアンタが今まで見ていた男達は多分上澄みなんでしょ?
そこら辺をちゃんと加味なさい。」
『言いたい事はわからないでもないですぅ。』
茨城の北部は本当に何も無かったので、女共をどこにも放置出来なかった。
不本意ながら目的地まで連れて行く。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
御岩神社。
常陸の国の最古霊山。
この御岩山そのものを神体としている。
明治維新まで長らく修験道の道場として栄えた。
《茨城県 修験道》で検索したら、そういう記述が散見されたのでここに来た。
言うまでもなく、アポは無い。
さあ、茶番は終わりだ。
俺もそろそろ本気を出さなければな。
『すみませぇん♪
山伏の方にお会いしたいんですけどぉ♪』
御岩神社の麓の駐車場から降りると、出逢った人間全てに声を掛けて行く。
やはり老人が多い。
(相対的に)親切そうな老婆が話し相手になってくれる。
「こがら登れば神社だよ?
登んねえの?」
『ミュールなんですぅ。』
「そーたサンダルじゃ駄目だねえ。」
『山伏さんに逢いたいですぅ♪』
「たまに見がげるけんどねえ。」
『紹介して下さぁい♪』
「旦那の知り合いになら居るがもねぇ。」
『お願いですぅ♪』
「私も忙しいかんねえ。」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【所持金】
3062万8825円
↓
3052万8825円
※地元住民・生田目多喜にお友達料金10万円を支払い。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「私に任せでおぎな!
アンタは孫娘みだいなものだよ!
大船に乗ったつもりでいなさい!」
『やったぜですぅ♪』
多喜婆が奔走している間、レジャーセンターと称する近所の喫茶店で時間を潰す。
ピザを出す店なので女共が大はしゃぎして大量注文を始める。
俺は奢ってやるなんて一言も言ってないのだが、タカル気満々だった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【所持金】
3052万8825円
↓
3051万2985円
※レジャーセンター内にて食事代15840円を支払い。
[内訳]
エビとルッコラのフレッシュトマトパスタ 1100円×2
常陸牛と国産豚肉の自家製ミートソース 1100円×2
明太子クリームソースパスタ 1100円×1
茨城県産しらすのピザ 990円×2
エビとアボカドのタルタルソースピザ 990円×2
りんごのピザ ~バニラアイス添え~ 990円×2
クレミアソフトクリーム 500円×5
わらび餅ドリンク 500円×2
ホットコーヒー 300円×3
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ふー、ダイエット中なのに困ったわぁ♪」
「リン子の所為で体重増えちゃう♪」
「旅行って不思議と食べちゃうのよね。」
キャイキャイ騒いでいる女共を捌いているうちに多喜婆が旦那さんを連れて来てくれた。
本人は修験道と関係が無いのだが、生活立地的に何人か山伏の友人が居り、御岩神社との付き合いも深いとの事。
「社務所の人、今の時間は山でしょ。
上まで登ったら話は早いと思うんだけどねぇ。」
『ミュールなんですぅ。』
「うーん、そのサンダルじゃ参道を登るのは無理だねえ。
わかった、連れて来るよ。」
『やったぜですぅ♪』
こんなやり取りを2時間ほど重ねて、水戸市在住の山伏さんと通話する事に成功する。
造り酒屋の跡取り息子(と言っても還暦は過ぎている)で、修行の合間に都内の物産展に出展している事が多いらしい。
先週で百貨店回りが一段落したらしく、声にゆとりがある。
「一応念を押しておくけど。
修験道は本来女人禁制だからね?」
『私、性自認も含めて男ですぅ♪』
「え? 君、男の子?
本当に?」
『やだぁ♪ 本当ですよぉ♪』
「最近は女人禁制の催しに無理矢理入って来ようとする女性も居るからね。
我々も神経質になっているんだ。」
『じゃあ、身体検査をして貰っても大丈夫ですよ♪』
「わかった。
その話は後ほど。
それで? 私に用件と言うのは?」
『烏天狗さんに逢いたいんですぅ♪』
「…何を言っているのか分からないな。」
『うふふ、誤魔化しても無駄ですよ♪
私、烏天狗さんに逢いたいんですぅ♪』
「…カラス。
何のことだか。」
『今、修験道の人達って結構バッシングされてるじゃないですかぁ?
私なら何とかしてあげられますよ♪ くすくす♪』
「バッシングも何も、今に始まった事ではないからね。
我々の歴史は苦難の歴史であり、我々の歩む道は苦難そのものだ。」
『わぁ格好いいですぅ♪
…でもぉ。
そんなに頑張った歴史が無くなっちゃうのって寂しいですよねぇ?』
「…烏天狗に何の用事?」
『えー、私は特に用事は無いんですけどぉ♪
天狗さんは私に用事がいっぱいあると思いますよ、くすくす♪』
「わかった。
善処しよう。」
『わぁい♪
あ、でもでもぉ。
この季節、カラスさんは目立つかもですぅ♪』
「わかった。
その旨も伝えておこう。
連絡先は?」
『生田目さん家にお願いしますぅ♪』
そんな遣り取りがあって、烏天狗へのパイプを何とか繋ぐ。
以後は生田目夫妻に丸投げ。
老い先短い身とは言え、命を失うリスクもあるので前金で渡し賃を託しておく。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【所持金】
3051万2985円
↓
2951万2985円
※生田目夫妻に手間賃として100万円を支払い。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
俺の目標は至ってシンプル。
全世界に富を分配すること。
これは然程難しくない。
カネさえあればカネを配る人間なんて幾らでも雇えるからだ。
ただ分配する為には相応の規模の富を築かざるを得ず、過程でどうしても遠市王朝っぽい物が自然発生してしまう。
(そのメカニズムは異世界で見て来た。)
遠市王朝の建国阻止、阻止に失敗すればその打倒。
ここまで成し遂げる事が俺の分配である。
つまりヒルダ・コリンズ(を含めた女全般)と完全に利害が相反する。
頭の痛い問題だ。
アイツが男なら普通に争覇すればいいだけなのだが、問題はヒルダが女である点。
あの女には俺と競ったり争ったりする意図がない。
それどころか、あの女なりの善意愛情で俺に地球を献上しようとしている。
(結局、自分の産んだ子に地球を相続させたいだけだが。)
俺は世界に対して相続以外の落とし所を提示してやる必要がある。
ヒルダを含めた世論を納得させられるだけの未来を提示出来れば俺の勝ち、出来なければ負け。
それだけのシンプルな戦いである。
「ねえ、リン子ぉ!」
『何ですかぁ?
私、瀬里奈さんと違って忙しいんですけどぉ。』
「ギャンブルの話はどうなったの!
アタシ、パチもFXも出来なくて死にそうなのよお!!!」
『嘘でもいいから、息子さんと会えない所為だって言って下さいよ。』
「え? 息子?
あ、うん。
翔真も来年は高学年だし。
トメが何とかするでしょ。
そんな事よりパチよ!」
『はいはい。
それじゃあ17時になったら、人間パチンコやらせてあげます。』
「人間パチンコ!?
ひょっとして人間の首を切り落として皆で投げてポイントを競うとか!?」
『…それ、ペリシテ人でも躊躇すると思いますよ。
まあ、17時までのお楽しみですぅ♪』
時計を見ればもう16時を回っている。
シェアハウスまで帰る時間はないな。
取り敢えず生田目家に上がり込んで大きな段ボール箱を借りる。
「あらぁリン子ぢゃん。
それはなぁに?」
『人間パチンコですぅ♪』
「え!? パチンコ!?」
俺がパチンコという単語を出した瞬間。
生田目夫妻の眼に生気が宿る。
瞳孔は炎が灯ったように爛々と輝いている。
「パチ!!」
「パチンコ!」
「換金比率はぁ!?」
「パチンコ!」
「パチ!!」
「パチンコ!」
「お刺身食べたいよお!!」
「パチンコ!!」
「パチ!!」
「パチ!!」
「パチンコ!!!」
「パチイ!!!」
パチンコという単語を出した5分後には、近隣から大量の老人が集まって来た。
まあ、如何にも娯楽に乏しそうな山奥だからな。
仕方ないと言えば仕方ないか。
『はぁい、みなさぁん♪
リン子の! 人間パチンコでぇす♪
ジャンジャンバリバリ♪
カネカネカネカネナンマイダー♪』
「「「「「「ジャンジャンバリバリッーー!!!!」」」」」
老人達が目を輝かせて絶叫する。
ノリいいよな、この世代。
『人間パチンコのルールは簡単ですぅ♪
リン子の前にぃ、おカネをお供えしてサイコロポイ♥
元本に出目%を加えてジャンジャンバリバリですぅ♪』
老人達は呆けたような表情でこちらを見ている。
多喜婆の茶飲み友達のハル婆がニヤニヤしながら10万円を取り出した。
「ふっふっふ♪
年金出だばっかしだかんねえ。」
『おお、生活順調ですか?』
「順調な訳あるがい。
政治がわりいがら苦しいよ。」
『ははは、じゃあ今日は稼いで行って下さいね♪』
どうやら年金支給日の直後だったらしく、どの老人も懐に余裕があるようだった。
その数14人。
妙な期待感があるのかニヤニヤと嬉しそうに笑っている。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【所持金】
2951万2985円
↓
3035万2985円
※貸し玉料として84万円を預かり。
三店方式は憲法違反の可能性があるので不採用。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
『それじゃあ、17時になったらリール回しまぁす♪
皆さん、サイコロコロコロ頑張って下さいねぇ♡
ジャンジャンバリバリ♪
カネカネカネカネナンマイダー♪』
俺は普通にしているつもりなのだが、老人達もシェアハウスの女共も口をボーっと開けてこちらを眺めている。
まあ、理解不能だよな。
俺でさえ未だにそうなのだから仕方ない。
《547万円の配当が支払われました。》
段ボール内に響く異音に老人達が目を剥く。
そう、この音はカネ!
不思議な事に人間。
老いてどれだけ聴力が衰えようとも、カネの音はちゃんと聞き分けて来るのだ。
『はぁーい、サービスタイム始まりましたぁ♡
順番にサイコロ振って下さいねぇ♪
ジャンジャンバリバリ♪
カネカネカネカネナンマイダー♪』
老人達は鼻息をフンフン鳴らしながらサイコロを振り始める。
最初はハル婆。
「せいやっ!!
っくぅ! 3なんて運がわりいねぇ!!
10万円の3%ってことは3000円かぁ…
6を出したかったねぇ。」
『はぁい♥
ハルさん3000円でーす♪
でもぉ、リン子細かいおカネ持ってないんでぇ。
お釣りは要らないですぅ♥』
そう言ってハル婆に1万円渡してやる。
「え!?
ちょ!?」
興奮のあまり元本を回収し忘れていたので、声を掛けて財布にしまわせる。
その後は大盛況だった。
老人達がみんなでキャーキャ騒ぎながらサイコロを振って、万札をヒラヒラさせて踊っている。
結果。
5人に1万円ずつを還元し、9人に計1万6千円を還元した。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【所持金】
3035万2985円
↓
3582万2985円
↓
3491万6985円
※配当547万円を取得
※90万6千円を出玉払い出し
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
老人達が狂騒しながら、もう一勝負を強請って来る。
「100万賭けてもいいって事か!?」
「もう一回! もう一回!」
「え? 終わり? これで終わり?」
「お刺身食べたいなァ……」
「リン子ちゃん、泊まって行きなさい!」
人間パチンコが17時しか開帳しない事を知ると老人達は肩を落としつつも、次の賭場を尋ねて来た。
茨城県の南部、と告げると肩を落とされる。
『もう、面倒臭いですねぇ。
わかりました、じゃあ明日は水戸でやってあげます♪』
老人達が拳を天に突き上げて歓声を挙げた。
帰路、繭子に窘められるも程々に流す。
何のメリットも無い行為だが、この熱狂こそが巡り巡って力になると知っているからである。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
さっさと眠りたかったのだが、女共が擦り寄って来て五月蠅い。
風呂だけ付き合ってやる約束だったのだが、3人共が繭子の部屋に押し掛けてしまう。
『もぅ、一緒にお風呂に入ってあげたでしょ!』
「えへへ、リン子ぉ。
アタシら友達じゃなーい。
夜の友情しようよぉ♪」
「あんなの見せられたら正気じゃいられないって。
瀬里奈さんも壊れちゃったしさぁ。」
「ジャンジャンバリバリジャンジャンバリバリ―!!!
カネカネカネカネナンマイダァァァァーーーーッ!!!」
『私ぃ、夜は1人で寝たいんですぅ。
瀬里奈さん耳元で騒がないで下さいね。』
「産む! リン子の子供産む!!」
「ねえ、リン子って女も行けるクチなの?」
「ジャンジャンバリバリジャンジャンバリバリ―!!!
カネカネカネカネナンマイダァァァァーーーーッ!!!」
『ちょ、勝手に触らないで下さい!
私ぃ、別に女の人が嫌な訳じゃないですけど。
キスは… キスだけは!
大切な人としかしたくないです!』
「ギャハハ、メスの顔ww メスの顔ww」
「えー、好きな男とか居るのぉ?
ねえ、アタシにも男紹介しなさいよ。」
「ジャンジャンバリバリジャンジャンバリバリ―!!!
カネカネカネカネナンマイダァァァァーーーーッ!!!」
『繭子さぁん、この人達何とかして下さいよぉ。』
「一応一発ヤッておきなさい。
それがアンタの保険になるから。」
『負債にしか見えないですぅ。』
「後、家賃代わりに私も楽しませて貰うわ。」
『そんなの酷いですぅ。』
結局、4人共抱かされる羽目になった。
あれだけ嫌だと言ったのに無理矢理キスをされて気持ち悪かった。
瀬里奈がうるさかったので、皆で別部屋に放り込んでから再戦した。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【名前】
遠市・コリンズ・リン子・厘
【職業】
ホステス
パチンコ台
神聖教団 大主教
東横キッズ
詐欺師
【称号】
淫売
賞金首
【ステータス】 (地球上にステータス閲覧手段無し)
《LV》 18
《HP》 ふぇぇ
《MP》 ですぅ
《力》 メスガキ
《速度》 小走り不可
《器用》 ライジング・カード!
《魔力》 悪の王器
《知性》 悪魔/ド低能/自分の名前は言えます。
《精神》 吐き気を催す邪悪
《幸運》 的盧
《経験》 2335359
本日取得 0
本日利息 356241
次のレベルまでの必要経験値286071
※レベル19到達まで合計2621430ポイント必要
※キョンの経験値を1と断定
※イノシシの経験値を40と断定
※うり坊(イノシシの幼獣)の経験値を成獣並みと断定
※クジラの経験値を13000と断定
※経験値計算は全て仮説
【スキル】
「複利」
※日利18%
下4桁切り上げ
【所持金】
所持金4063万4500円
3万BTC (下4桁切り上げ)
↓
4万BTC
1万ETH (下4桁切り上げ)
↓
2万ETH
【所持品】
女の子セット
Maison Margiela ショルダーバッグ 白
【約束】
古屋正興 「異世界に飛ばして欲しい。」
飯田清麿 「結婚式へ出席して欲しい。」
〇 「同年代の友達を作って欲しい。」
『100倍デーの開催!』
× 「一般回線で異世界の話をするな。」
『世襲政権の誕生阻止。』
〇後藤響 「今度居酒屋に付き合って下さい(但しワリカン)」
「大阪を滅ぼさないで下さい!!!」
「空飛ぶ車を運転します!」
江本昴流 「後藤響を護って下さい。」
『遠市王朝の建国阻止。』
×弓長真姫 「二度と女性を殴らないこと!」
× 「女性を大切にして!」
〇寺之庄煕規 「今度都内でメシでも行きましょう。」
×森芙美香 「我ら三人、生まれ(拒否)」
×中矢遼介 「ホストになったら遼介派に加入してよ。」
「今度、焼肉でも行こうぜ!」
〇藤田勇作 『日当3万円。』
〇堀田源 「トイレコインの使い方を皆に教えておいて。」
〇山田典弘 「一緒にイケてる動画を撮ろう。」
〇 「お土産を郵送してくれ。」
「月刊東京の編集長に就任する。」
楢崎龍虎 「いつかまた、上で会おう!」
×警視庁有志一同 「オマエだけは絶対に逃さん!」
「オマエだけは絶対に守る!」
×国連人権委員会 「全ての女性が安全で健(以下略)」
〇安宅一冬 「浅草寺周辺を一緒に散策しましょう。」
水岡一郎 「タックスヘイブンの利用・移住をしないこと。」
×平原猛人 「殺す。」
「鹿児島旅行に一緒に行く。」
「一緒にかすうどんを食べる」
車坂聖夜Mk-II 「世界中の皆が笑顔で暮らせる、優しい世界を築く」
×今井透 「原油価格の引き下げたのんます。」
「小麦価格の引き下げをお願いします」
〇荒木鉄男 「伊藤教諭の墓参りに行く。」
鈴木翔 「配信に出演して。」
×遠藤恭平 「ハーレム製造装置を下さい。」
〇 『子ども食堂を起ち上げます。』
「紙幣焼却によりインフレを阻止する。」
〇田名部淳 「全財産を預けさせて下さい!」
「共に地獄に堕ちましょう。」
三橋真也 「実は配信者になりたいので相談に乗って下さい。」
〇DJ斬馬 『音楽を絡めたイベントを開催する際、日当10万で雇用します。』
金本宇宙 「異世界に飛ばして欲しい。」
金本聖衣 「同上。」
金本七感 「17歳メインヒロインなので旦那との復縁を手伝って。」
〇天空院翔真 「ポンジ勝負で再戦しろ!」
「再戦するまで勝手に死ぬな。」
〇小牧某 「我が国の防諜機関への予算配分をお願いします。」
阿閉圭祐 「日本国の赤化防止を希望します。」
〇坊門万太郎 「天空院写真集を献納します!」
宋鳳国 「全人類救済計画に協力します!」
堀内信彦 『和牛盗難事件を解決します。』
〇内閣国際連絡局 『予算1000億円の確保します』
毛内敏文 『青森に行きます!』
神聖LB血盟団 「我々の意志を尊重する者が必ずや遠市厘を抹殺するだろう。」
〇大西竜志 「知り得る限り全ての犯罪者情報の提供。」
『貴方の遺族に篤く報います。』
坂東信弘 「四国内でのイベント協力」
国重辰馬 「四国内でのイベント協力」
涌嶋武彦 「畜産業界の総力を挙げて遠市派議員を衆議院に最低10名押し込みます!」
斑鳩太郎 『処刑免除を保証します。』
志倉しぃ 「カッコいいホモの人を紹介して下さい。」
〇孝文・j・G 「英国大使館パーティーにて利息支払い」
〇グランツ(英) 「perape-ra!!!!!!!!」
E・ギャロ 「農政助言」
「王都で星を見る。」
金本光戦士 「どんな危機からも必ず救い絶対に守る。」
〇木下樹理奈 「一緒に住ませて」
×松村奈々 「二度と靴は舐めないにゃ♥」
〇 「仲間を売るから私は許して♥」
◎鷹見夜色 「ウ↑チ↓を護って。」
〇 「カノジョさんに挨拶させて。」
〇 「責任をもって養ってくれるんスよね?」
×ヒルダ・コリンズ 「芋羊羹…。」
「王国の酒…。」
「表参道のスイーツ…。」
× 「ポン酢で寿司を喰いに行く。」
土佐の局 「生まれた子が男子であればリイチ。
女子であればリコと命名する。」
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