35 / 99
第三部 魔族
第三十五章 悪魔の毛皮
しおりを挟む
その後も魔族の掃討が続いていたが遂にシノに限界が来た。
・・・ただの食べ過ぎだ。
死んだ魔族の血を自身の血で呼び込んで吸い込んでいたのが、流石に多すぎて消化不良を起こしているのだろう。魔族の血が経験値になるとはいえ過剰なレベルアップは体に悪そうだ。何時ものように盾に格納して休んでいる。
それよりも問題は相棒の方だ。聖剣から元に戻らない。余程因縁があるのだろうか。時折魔素キャンセラーを照射して索敵を行っている。先程も建物内の掃討をしていたのだが魔素キャンセラーの照射で隠れている魔族や隠れる意味の隠蔽魔法を悉く炙り出している。さながら剣の形をしたレーダーサイトだ。
剣を振るうたびに索敵が行われる。そして現実のレーダーのように照射した魔族を電子レンジだ。しかも壁を貫通する。
あまりにも殺意が高すぎる。
今は魔物が居ないから問題はないが、そこは配慮しているのだろう。俺やシノに当たることはない。それでも完全に安全な代物ではないな。実際こうして聖剣の力を見るとこれが人間の手に渡らなかったことが一番の功績かもしれないな。もしもこれを聖女クラスの勇者などが振ってきたらこの物語のタイトルは「秒殺転生~転生したら秒で瞬コロされる無理ゲーが始まりました~」になるだろうな。まあ相棒の敵は魔物ではなく世界の改変を行うものだろうがな。取り合えずシノに改変魔法を使わせるのだけは避けないと何が起きても不思議ではないな。
今俺達はシノの屋敷の中庭に居る。中世ヨーロッパのゴシック調。この建築物の長所は天井が高いことだ。これがとても助かる。扉はぶち破るしかないがそれほど硬くないのも良い点だ。いざとなれば大地の支配で変形させることもできる。人間の領域だとこの手の建物は施されていて魔物が利用できない作りになっているからな。
それにしてもデカイ中庭だ。こういう所は噴水やお茶飲み場に庭園があるものだと思っていたが何もない訓練場のようになっている。ゴシック調で中庭が戦闘様式というのが魔族のスタンダードなのだろうか。
だがどうせアレだろうな。魔族弱いとか言ってるとアレだろう。俺の勘違いでギャーって奴だろう。その羽音がもう聞こえている。このばっさばっさという重い音と共に星空が陰る。案の定それが落ちてきた。
俺の第一印象は魔獣だった。毛むくじゃらの二足歩行。背中には蝙蝠の羽。顔は山羊か、牛の角に山羊の角のような節がある。猫背で足も蹄の獣脚だ。だが手は熊のように爪が見えている。上半身に対して下半身が貧弱に見えるな。だが大きさは俺の倍以上だ。
正直に言えばこれが二本足で立っているのが不思議だ。飛んできたということはあの翼に浮遊する何かがあるのだろうな。しかも驚くべきはこれで世界の改変が行われていない。普通に考えれば改変魔法を駆使した合成獣キメラという趣だがそうではないようだ。
そして勿論挨拶抜きの一撃だ。明かに重力を無視した動きで右手の爪が繰り出される。俺は相棒で切りつけるのだが感触がおかしい。剣が滑る。いや刃が立たない。切りつけているのに撫でているような、おかしな感触だ。そのまま懐に入るが胴体も足も斬撃が効かない。短く持って突き入れるが入らない。硬いとかではない。肌の弾力を感じる。だが刺さらない。さっきから静かな相棒に魔素キャンセラーを頼むが意外な回答が返ってきた。この獣は魔素ではない。実際照射しても何も起こらない。
斬撃と突きを毛と皮膚で防いでいるというのか?
何という超生物だ。魔素抜きでこれを実現しているのか。攻撃をいなしているが傷がつけられない。打撃が効くかと石棍棒も試したがそういう事ではないな。まさかの物理無効化。それも改変なしで。
これは素晴らしい材料だ。
こいつを狩ればこいつの毛皮で物理無効化防具を作れるんじゃないか。獣の皮なら施された武器も通さないだろう。しかも鬼の俺にピッタリじゃないか。
俺はサブウェポンの脇差を取り出す。物理無効なら魔素はどうだ?
攻撃を受け流さず回避に専念して脇差をそっと獣の体に差し込む。
ビンゴだ。これなら刃が通る。俺の毛皮が手に入る。サクサクと捌いていくと切り落とした毛が落ちて消えた。
は?
俺は聖剣から戻らない相棒を地面に突き刺すと爪に魔素を流す。傷物になるが仕方ない。殴りつけてくる腕に爪を食い込ませる。そう。さっきから感じていた違和感がある。こいつ血を流してないな。そして傷が回復している。だが切り落とした毛や肉は消滅する。これはつまり?
俺は獣に乗り移ると羽の付け根に牙を突き立てる。脇差で懸命に切りつける。そしてついに部位破壊が成功したが、その羽が無残に消えた。
お、俺の素材がぁー!
返す刀で反対の羽にも爪を突き立てる。普段使い慣れていなかった爪だが流石になれて来た。刺さった爪を中心に俺の体を回転させ翼をえぐる。これも無残に砕け散る。
ど、何処が素材になるんだ。どこをえぐればこいつの素材が手に入る。欲しい。物理無効の毛皮が欲しぃー!
翼を失って四つ足で獰猛になったが大地の支配で落とし穴を作る。見事に決まるが底に仕込んだ黒曜石の棘が刺さっていない。だが身動きを封じるには最適だ。さあドコだ。ドコがテニハイル。ゼンブバラバラニシテヤル。ワレワレハイセイジンダ。キャトルミューティレーションの時間だァ。
しまった。あまりの好素材に我を失っていた。生きたまま部位破壊など畜生が如き所業はゲーム中だけだ。さっさと絞めて解体しよう。この獣に感謝の気持ちを込めてありったけの気持ちを爪に込める。巨大な魔素の爪が具現化する。いつもは人間相手で使えない技だがこの獣にならいいだろう。ありがとう。素材を残してくれて。ありがとう。きっと素材が残る。ありがとう!
「ありがとう!」
俺の爪が食い込むと獣が何かを語り始める。これは詠唱か。それも改変魔法。こいつは獣じゃないのか。となれば流石に離脱か。俺が爪を解こうとすると相棒の改変の気配。相棒が飛び上がり獣擬きの喉元を貫く。素では無理だが改変を使えば問題ないのか。案の定獣擬きが消え始める。未練がましく毛皮を握るが駄目か。こいつを活かすには生きたまま解体してその後も生かすという特大の外道行為が必要そうだ。流石にそこまで人にはなれんな。人間以下の外道はもってのほかだ。
それにしても物理無効生物とはなんだ。しかも改変魔法。獣や魔獣ではなく悪魔の類か。俺たち魔物がデーモンだとしてこいつらはデビルの方か。そもそも何で出来ているのかわからん。自然由来なら魔獣なのだろうが素材を落とさないゴミならデビルで十分だろう。こいつらは悪魔で決定だな。
▽
Tips
悪魔の魅了。※ネタバレ解説
王牙の様子がおかしいのは悪魔の魅了を受けているため。その表現のためにキャラ崩壊している。
ここが評判が悪かったので先にネタバレ。
・・・ただの食べ過ぎだ。
死んだ魔族の血を自身の血で呼び込んで吸い込んでいたのが、流石に多すぎて消化不良を起こしているのだろう。魔族の血が経験値になるとはいえ過剰なレベルアップは体に悪そうだ。何時ものように盾に格納して休んでいる。
それよりも問題は相棒の方だ。聖剣から元に戻らない。余程因縁があるのだろうか。時折魔素キャンセラーを照射して索敵を行っている。先程も建物内の掃討をしていたのだが魔素キャンセラーの照射で隠れている魔族や隠れる意味の隠蔽魔法を悉く炙り出している。さながら剣の形をしたレーダーサイトだ。
剣を振るうたびに索敵が行われる。そして現実のレーダーのように照射した魔族を電子レンジだ。しかも壁を貫通する。
あまりにも殺意が高すぎる。
今は魔物が居ないから問題はないが、そこは配慮しているのだろう。俺やシノに当たることはない。それでも完全に安全な代物ではないな。実際こうして聖剣の力を見るとこれが人間の手に渡らなかったことが一番の功績かもしれないな。もしもこれを聖女クラスの勇者などが振ってきたらこの物語のタイトルは「秒殺転生~転生したら秒で瞬コロされる無理ゲーが始まりました~」になるだろうな。まあ相棒の敵は魔物ではなく世界の改変を行うものだろうがな。取り合えずシノに改変魔法を使わせるのだけは避けないと何が起きても不思議ではないな。
今俺達はシノの屋敷の中庭に居る。中世ヨーロッパのゴシック調。この建築物の長所は天井が高いことだ。これがとても助かる。扉はぶち破るしかないがそれほど硬くないのも良い点だ。いざとなれば大地の支配で変形させることもできる。人間の領域だとこの手の建物は施されていて魔物が利用できない作りになっているからな。
それにしてもデカイ中庭だ。こういう所は噴水やお茶飲み場に庭園があるものだと思っていたが何もない訓練場のようになっている。ゴシック調で中庭が戦闘様式というのが魔族のスタンダードなのだろうか。
だがどうせアレだろうな。魔族弱いとか言ってるとアレだろう。俺の勘違いでギャーって奴だろう。その羽音がもう聞こえている。このばっさばっさという重い音と共に星空が陰る。案の定それが落ちてきた。
俺の第一印象は魔獣だった。毛むくじゃらの二足歩行。背中には蝙蝠の羽。顔は山羊か、牛の角に山羊の角のような節がある。猫背で足も蹄の獣脚だ。だが手は熊のように爪が見えている。上半身に対して下半身が貧弱に見えるな。だが大きさは俺の倍以上だ。
正直に言えばこれが二本足で立っているのが不思議だ。飛んできたということはあの翼に浮遊する何かがあるのだろうな。しかも驚くべきはこれで世界の改変が行われていない。普通に考えれば改変魔法を駆使した合成獣キメラという趣だがそうではないようだ。
そして勿論挨拶抜きの一撃だ。明かに重力を無視した動きで右手の爪が繰り出される。俺は相棒で切りつけるのだが感触がおかしい。剣が滑る。いや刃が立たない。切りつけているのに撫でているような、おかしな感触だ。そのまま懐に入るが胴体も足も斬撃が効かない。短く持って突き入れるが入らない。硬いとかではない。肌の弾力を感じる。だが刺さらない。さっきから静かな相棒に魔素キャンセラーを頼むが意外な回答が返ってきた。この獣は魔素ではない。実際照射しても何も起こらない。
斬撃と突きを毛と皮膚で防いでいるというのか?
何という超生物だ。魔素抜きでこれを実現しているのか。攻撃をいなしているが傷がつけられない。打撃が効くかと石棍棒も試したがそういう事ではないな。まさかの物理無効化。それも改変なしで。
これは素晴らしい材料だ。
こいつを狩ればこいつの毛皮で物理無効化防具を作れるんじゃないか。獣の皮なら施された武器も通さないだろう。しかも鬼の俺にピッタリじゃないか。
俺はサブウェポンの脇差を取り出す。物理無効なら魔素はどうだ?
攻撃を受け流さず回避に専念して脇差をそっと獣の体に差し込む。
ビンゴだ。これなら刃が通る。俺の毛皮が手に入る。サクサクと捌いていくと切り落とした毛が落ちて消えた。
は?
俺は聖剣から戻らない相棒を地面に突き刺すと爪に魔素を流す。傷物になるが仕方ない。殴りつけてくる腕に爪を食い込ませる。そう。さっきから感じていた違和感がある。こいつ血を流してないな。そして傷が回復している。だが切り落とした毛や肉は消滅する。これはつまり?
俺は獣に乗り移ると羽の付け根に牙を突き立てる。脇差で懸命に切りつける。そしてついに部位破壊が成功したが、その羽が無残に消えた。
お、俺の素材がぁー!
返す刀で反対の羽にも爪を突き立てる。普段使い慣れていなかった爪だが流石になれて来た。刺さった爪を中心に俺の体を回転させ翼をえぐる。これも無残に砕け散る。
ど、何処が素材になるんだ。どこをえぐればこいつの素材が手に入る。欲しい。物理無効の毛皮が欲しぃー!
翼を失って四つ足で獰猛になったが大地の支配で落とし穴を作る。見事に決まるが底に仕込んだ黒曜石の棘が刺さっていない。だが身動きを封じるには最適だ。さあドコだ。ドコがテニハイル。ゼンブバラバラニシテヤル。ワレワレハイセイジンダ。キャトルミューティレーションの時間だァ。
しまった。あまりの好素材に我を失っていた。生きたまま部位破壊など畜生が如き所業はゲーム中だけだ。さっさと絞めて解体しよう。この獣に感謝の気持ちを込めてありったけの気持ちを爪に込める。巨大な魔素の爪が具現化する。いつもは人間相手で使えない技だがこの獣にならいいだろう。ありがとう。素材を残してくれて。ありがとう。きっと素材が残る。ありがとう!
「ありがとう!」
俺の爪が食い込むと獣が何かを語り始める。これは詠唱か。それも改変魔法。こいつは獣じゃないのか。となれば流石に離脱か。俺が爪を解こうとすると相棒の改変の気配。相棒が飛び上がり獣擬きの喉元を貫く。素では無理だが改変を使えば問題ないのか。案の定獣擬きが消え始める。未練がましく毛皮を握るが駄目か。こいつを活かすには生きたまま解体してその後も生かすという特大の外道行為が必要そうだ。流石にそこまで人にはなれんな。人間以下の外道はもってのほかだ。
それにしても物理無効生物とはなんだ。しかも改変魔法。獣や魔獣ではなく悪魔の類か。俺たち魔物がデーモンだとしてこいつらはデビルの方か。そもそも何で出来ているのかわからん。自然由来なら魔獣なのだろうが素材を落とさないゴミならデビルで十分だろう。こいつらは悪魔で決定だな。
▽
Tips
悪魔の魅了。※ネタバレ解説
王牙の様子がおかしいのは悪魔の魅了を受けているため。その表現のためにキャラ崩壊している。
ここが評判が悪かったので先にネタバレ。
10
あなたにおすすめの小説
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
気づいたら美少女ゲーの悪役令息に転生していたのでサブヒロインを救うのに人生を賭けることにした
高坂ナツキ
ファンタジー
衝撃を受けた途端、俺は美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生していた!?
これは、自分が制作にかかわっていた美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生した主人公が、報われないサブヒロインを救うために人生を賭ける話。
日常あり、恋愛あり、ダンジョンあり、戦闘あり、料理ありの何でもありの話となっています。
異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます
竹桜
ファンタジー
ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。
そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。
そして、ヒロインは4人いる。
ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。
エンドのルートしては六種類ある。
バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。
残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。
大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。
そして、主人公は不幸にも死んでしまった。
次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。
だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。
主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。
そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
異世界ほのぼの牧場生活〜女神の加護でスローライフ始めました〜』
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業で心も体もすり減らしていた青年・悠翔(はると)。
日々の疲れを癒してくれていたのは、幼い頃から大好きだったゲーム『ほのぼの牧場ライフ』だけだった。
両親を早くに亡くし、年の離れた妹・ひなのを守りながら、限界寸前の生活を続けていたある日――
「目を覚ますと、そこは……ゲームの中そっくりの世界だった!?」
女神様いわく、「疲れ果てたあなたに、癒しの世界を贈ります」とのこと。
目の前には、自分がかつて何百時間も遊んだ“あの牧場”が広がっていた。
作物を育て、動物たちと暮らし、時には村人の悩みを解決しながら、のんびりと過ごす毎日。
けれどもこの世界には、ゲームにはなかった“出会い”があった。
――獣人の少女、恥ずかしがり屋の魔法使い、村の頼れるお姉さん。
誰かと心を通わせるたびに、はるとの日常は少しずつ色づいていく。
そして、残された妹・ひなのにも、ある“転機”が訪れようとしていた……。
ほっこり、のんびり、時々ドキドキ。
癒しと恋と成長の、異世界牧場スローライフ、始まります!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる