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第九部
第九十九章 集合写真(一期と重複)
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ここはいつもの聖王都の北の街。
人間が集結しつつある結界の塔への攻勢を見据えて準備が進められていた。
そんな中ムリエルに呼び出された俺達は街を背にした郊外に集まろうとしていた。
「ジンバよ。人間形態で噛みつくのはどうかと思うぞ」
いち早く着いた俺とジンバは積み上げられた資材の上に腰掛けていた。
そこで人間形態のジンバが俺の左手の指に噛み付いて、足もばたつかせている。馬形態の時は俺の頭に噛み付いてのしかかりながら前足を俺にぶつけていたからだ。その名残だろう。
「申し訳ありません。こうしてないと落ち着かなくて。王牙様。いつものようにわたくしを撫でまわして欲しいのですが」
それは馬形態の時の話だろうが。誤解を生みそうな表現だな。そして誤解を生む輩が現れた。
「王牙。君って奴は僕を差し置いて浮気かい?」
タウラスだ。いつもの黒い長髪と黒い肌の人間形態だ。それが黒猫に変化して俺の膝に乗ってくる。
「ジンバには負けられないね。さあ。僕の物理無効の毛皮だよ。存分に堪能してくれ」
俺はその言葉通りに指の腹で黒猫になったタウラスを撫でまわす。俺の指が噛めなくなったジンバがスカートを馬体に変えると上半身はそのままにケンタウロス形態で俺の上にのしかかって頭を噛んでくる。
「タウラス。ズルいですよ」
そこに現れたのはシスタースタイルのアリエスだ。黒猫になったタウラスを抱き上げると代わりに俺の膝に座る。身を預けてくるアリエスの頭を撫でる。
「アリエスだけズルい! 私もいいよね! ダンナ!」
その反対側の膝に座ったのはリンセスだ。青い髪と金の瞳に尖ったエルフ耳が見える。息子たちと一緒にここに来ているのだろう。いつも大変だなと頭を撫でる。
「旦那、モテモテだな」
リンセスの夫であるゴブリン種のリンキンもいる。リンセスの乗った左膝の外側の資材に座る。
「モテると言っても娘と動物だけだがな」
「違ぇねぇw オニアック教の旦那像は柔らかい素材で作らねぇといけねぇな」
そこに白衣を着た桃色女型オーガのパルテがやってくる。
「な~に~。何の話さね。王牙っちの銅像でも建てるって話?」
「ああ。旦那のゾディアック命名から取って鬼の教祖のオニアック教だ。この名を貰って旦那の膝に座ると愛が成就するっていうありがたーい二人掛け王牙像さ。全然浸透してねぇけどな」
それで納得したパルテが右膝の外に陣取る。
「あー。もうみんな集まってるじゃない。じゃあ私はお姉ちゃんとお兄さんの間で。ジンバ君。一緒に写ろ」
銀髪のレオニスがリンセスと一緒に左膝に座る。それに抱き着くジンバ。
「もう満員ではないか。しょうがない私は後ろに行くか」
赤髪のシノが俺の右肩にしなだれかかる。
「これは俺の入る場所がねぇな赤鬼野郎」
「スコルピィ。私の後ろが空いてるよ」
「ああ。今行くぜ。ただ二人掛け王牙像の恩恵が受けたかったがな」
撫で髪モヒカンゴブリン種のスコルピィが俺の左肩でレオニスの肩に手を掛ける。
「皆そろっておるな。ではポラロイドカメラを設置するのじゃ」
最後にやってきたムリエルがポラロイドカメラを空中に浮かべる。そして中央。俺の目の前に座る。
「さあ準備はいいかの? それでは行くのじゃ!」
「「「カニ!」」」
全員でピースポーズをする。その後も何枚か撮り終えると撮影は終了した。
ムリエルが世界の改変で写真をコピーしてるのを見て、俺が同じく世界の改変でラミネート加工する。
「珍しいの。汝がこういう事に関わるのは」
「フラグに関係なく、こういうものにも慣れていきたくてな。一セット余分に持って行ってもいいか? 飾っておきたい場所がある。神の代弁者の部屋にな」
「汝も不思議な男じゃな。お主がここまでこの世界を動かすとは思っておらなかったのじゃ。よいぞ。持っていけ。お主のためなら何枚でも刷ってやるぞ」
「ありがたい。こういう事はこれからも増えていくだろう。その時も頼む」
「・・・なんじゃ。お主、自分にフラグが立ったとは思っておらんじゃろうな?」
「俺はいつでもそう思っている。その捉え方が変わっただけだ。フラグがいつ起動しても良い様にな。勿論そうはさせないが」
「そうだ。お前の呪いは私が解いた。これからはなんにでも祝福するがいい。私が共に居る」
シノだ。いつも助けられるな。
「ああ。もうフラグに怯えるには数が多すぎる。気にしても始まらないからな。その全てを破壊するまでだ。その根源をな」
「まったくお前という奴は。それをするまでもないと言っているんだ。私達はもう私達だけではないのだぞ」
そうだな。この賑やかな空間で俺はそれを実感する。
俺はいつの間にか一人ではない。今はそれが心地よい。
今はそれでいい。この命が続く限りはそれでいい。
俺の転生はまだ始まったばかりだ。
人間が集結しつつある結界の塔への攻勢を見据えて準備が進められていた。
そんな中ムリエルに呼び出された俺達は街を背にした郊外に集まろうとしていた。
「ジンバよ。人間形態で噛みつくのはどうかと思うぞ」
いち早く着いた俺とジンバは積み上げられた資材の上に腰掛けていた。
そこで人間形態のジンバが俺の左手の指に噛み付いて、足もばたつかせている。馬形態の時は俺の頭に噛み付いてのしかかりながら前足を俺にぶつけていたからだ。その名残だろう。
「申し訳ありません。こうしてないと落ち着かなくて。王牙様。いつものようにわたくしを撫でまわして欲しいのですが」
それは馬形態の時の話だろうが。誤解を生みそうな表現だな。そして誤解を生む輩が現れた。
「王牙。君って奴は僕を差し置いて浮気かい?」
タウラスだ。いつもの黒い長髪と黒い肌の人間形態だ。それが黒猫に変化して俺の膝に乗ってくる。
「ジンバには負けられないね。さあ。僕の物理無効の毛皮だよ。存分に堪能してくれ」
俺はその言葉通りに指の腹で黒猫になったタウラスを撫でまわす。俺の指が噛めなくなったジンバがスカートを馬体に変えると上半身はそのままにケンタウロス形態で俺の上にのしかかって頭を噛んでくる。
「タウラス。ズルいですよ」
そこに現れたのはシスタースタイルのアリエスだ。黒猫になったタウラスを抱き上げると代わりに俺の膝に座る。身を預けてくるアリエスの頭を撫でる。
「アリエスだけズルい! 私もいいよね! ダンナ!」
その反対側の膝に座ったのはリンセスだ。青い髪と金の瞳に尖ったエルフ耳が見える。息子たちと一緒にここに来ているのだろう。いつも大変だなと頭を撫でる。
「旦那、モテモテだな」
リンセスの夫であるゴブリン種のリンキンもいる。リンセスの乗った左膝の外側の資材に座る。
「モテると言っても娘と動物だけだがな」
「違ぇねぇw オニアック教の旦那像は柔らかい素材で作らねぇといけねぇな」
そこに白衣を着た桃色女型オーガのパルテがやってくる。
「な~に~。何の話さね。王牙っちの銅像でも建てるって話?」
「ああ。旦那のゾディアック命名から取って鬼の教祖のオニアック教だ。この名を貰って旦那の膝に座ると愛が成就するっていうありがたーい二人掛け王牙像さ。全然浸透してねぇけどな」
それで納得したパルテが右膝の外に陣取る。
「あー。もうみんな集まってるじゃない。じゃあ私はお姉ちゃんとお兄さんの間で。ジンバ君。一緒に写ろ」
銀髪のレオニスがリンセスと一緒に左膝に座る。それに抱き着くジンバ。
「もう満員ではないか。しょうがない私は後ろに行くか」
赤髪のシノが俺の右肩にしなだれかかる。
「これは俺の入る場所がねぇな赤鬼野郎」
「スコルピィ。私の後ろが空いてるよ」
「ああ。今行くぜ。ただ二人掛け王牙像の恩恵が受けたかったがな」
撫で髪モヒカンゴブリン種のスコルピィが俺の左肩でレオニスの肩に手を掛ける。
「皆そろっておるな。ではポラロイドカメラを設置するのじゃ」
最後にやってきたムリエルがポラロイドカメラを空中に浮かべる。そして中央。俺の目の前に座る。
「さあ準備はいいかの? それでは行くのじゃ!」
「「「カニ!」」」
全員でピースポーズをする。その後も何枚か撮り終えると撮影は終了した。
ムリエルが世界の改変で写真をコピーしてるのを見て、俺が同じく世界の改変でラミネート加工する。
「珍しいの。汝がこういう事に関わるのは」
「フラグに関係なく、こういうものにも慣れていきたくてな。一セット余分に持って行ってもいいか? 飾っておきたい場所がある。神の代弁者の部屋にな」
「汝も不思議な男じゃな。お主がここまでこの世界を動かすとは思っておらなかったのじゃ。よいぞ。持っていけ。お主のためなら何枚でも刷ってやるぞ」
「ありがたい。こういう事はこれからも増えていくだろう。その時も頼む」
「・・・なんじゃ。お主、自分にフラグが立ったとは思っておらんじゃろうな?」
「俺はいつでもそう思っている。その捉え方が変わっただけだ。フラグがいつ起動しても良い様にな。勿論そうはさせないが」
「そうだ。お前の呪いは私が解いた。これからはなんにでも祝福するがいい。私が共に居る」
シノだ。いつも助けられるな。
「ああ。もうフラグに怯えるには数が多すぎる。気にしても始まらないからな。その全てを破壊するまでだ。その根源をな」
「まったくお前という奴は。それをするまでもないと言っているんだ。私達はもう私達だけではないのだぞ」
そうだな。この賑やかな空間で俺はそれを実感する。
俺はいつの間にか一人ではない。今はそれが心地よい。
今はそれでいい。この命が続く限りはそれでいい。
俺の転生はまだ始まったばかりだ。
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