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高まる熱3
「今度は天王寺かよ?」
「雪弥に何をやってるかって聞いてんだ」
雪弥に拳を振り上げていた生徒は、顔を起こした。
「天王寺よお、藤堂がΩだってよ、知ってた? ウケるよな」
「レイプしようぜ」
「雪弥から手を離せ」
「はァ? こいつΩなんだぜ? 天王寺だっていつもこいつに顎で使われて腹に積もってんだろ」
「雪弥からその汚い手を離せ」
「え? せっかく、Ωがいるのにレイプしねえの? やるだろ、普通」
「まさか、藤堂と出来てんの? もしかして独り占めしてきたのかよ。ズルィなあ」
その生徒は最後まで言えなかった。床にへたり込む。ググっと見えない力で床に抑えつけられている。頭が床に押し付けられて床が軋む。眼球が目から飛び出そうになっている。
天陽はものすごい威圧を発していた。
雪弥に覆いかぶさっている生徒は気がくじけたのか、「や、やべえ」と雪弥から起き上がった。
天陽は、突進してくる生徒を張り飛ばし、雪弥に覆いかぶさる生徒に蹴りを食らわした。生徒は後ろへとすっ飛んだ。
雪弥はごろごろと転がり、倉庫から外に飛び出した。
雪弥を襲った生徒らは逃げることに決めたようで、倉庫を出ると暗い方に向かって走り去った。
雪弥は背中を倉庫の壁で押してバランスを取って立ち上がると、生徒らの逃げたのと逆方向に走った。両腕が後ろに拘束されているために速くは走れない。
天陽が雪弥を追いかけてくる。
「雪弥、待って」
助かってホッとするのもつかの間、雪弥は惨めさに取りつかれていた。
(俺がやられるなんて)
プライドを打ち砕かれて呆然としている。
これまで誰一人として雪弥に楯突いてきたことはなかった。手紙や嫌がらせのようなものはあっても、正面から暴力を受けたことなどなかった。
暴力を受けると人間扱いされていないように感じる。
自分には価値がないのだと思わされる。
殴ってもどうやってもいい存在なんだと叩きつけられる。
雪弥は天陽にすぐに追いつかれて後ろから肩を掴まれる。天陽のいたわりのこもる手つきが今は疎ましい。
口惜しさと情けなさで天陽に振り向けないでいた。
(この俺があんなことされるなんて)
「待って、それ外すから」
雪弥の腕も口も粘着テープで巻かれている。
腕のは袖の上から巻かれているが、口に貼られたものは頭を一周して、髪も巻き込んでいる。
「雪弥、ここに座って」
天陽は丁寧に剥がすことに決めたようだった。外階段に座らせて、後ろから自分の足で雪弥を囲む。天陽は痛みを与えないように慎重に剥がしている。
天陽の丁寧に自分を扱う手つきが今は疎ましい。
(天陽にみっともないところを見られた)
雪弥の全身がガタゴトと震えているのに天陽は気付いたようだったが、何も言わないでいる。
(俺はαだ。上位αだ。襲われるなんて。俺が。上位αのこの俺がΩのはずがない)
体調は雪弥が思っている以上に悪いのだ。そのために威圧が効かないのだ。そう思い込もうとしているが、何か取り返しのつかない変化が起きているのではないか、との不安が消せない。
(俺はαだ。αのはずだ)
「雪弥に何をやってるかって聞いてんだ」
雪弥に拳を振り上げていた生徒は、顔を起こした。
「天王寺よお、藤堂がΩだってよ、知ってた? ウケるよな」
「レイプしようぜ」
「雪弥から手を離せ」
「はァ? こいつΩなんだぜ? 天王寺だっていつもこいつに顎で使われて腹に積もってんだろ」
「雪弥からその汚い手を離せ」
「え? せっかく、Ωがいるのにレイプしねえの? やるだろ、普通」
「まさか、藤堂と出来てんの? もしかして独り占めしてきたのかよ。ズルィなあ」
その生徒は最後まで言えなかった。床にへたり込む。ググっと見えない力で床に抑えつけられている。頭が床に押し付けられて床が軋む。眼球が目から飛び出そうになっている。
天陽はものすごい威圧を発していた。
雪弥に覆いかぶさっている生徒は気がくじけたのか、「や、やべえ」と雪弥から起き上がった。
天陽は、突進してくる生徒を張り飛ばし、雪弥に覆いかぶさる生徒に蹴りを食らわした。生徒は後ろへとすっ飛んだ。
雪弥はごろごろと転がり、倉庫から外に飛び出した。
雪弥を襲った生徒らは逃げることに決めたようで、倉庫を出ると暗い方に向かって走り去った。
雪弥は背中を倉庫の壁で押してバランスを取って立ち上がると、生徒らの逃げたのと逆方向に走った。両腕が後ろに拘束されているために速くは走れない。
天陽が雪弥を追いかけてくる。
「雪弥、待って」
助かってホッとするのもつかの間、雪弥は惨めさに取りつかれていた。
(俺がやられるなんて)
プライドを打ち砕かれて呆然としている。
これまで誰一人として雪弥に楯突いてきたことはなかった。手紙や嫌がらせのようなものはあっても、正面から暴力を受けたことなどなかった。
暴力を受けると人間扱いされていないように感じる。
自分には価値がないのだと思わされる。
殴ってもどうやってもいい存在なんだと叩きつけられる。
雪弥は天陽にすぐに追いつかれて後ろから肩を掴まれる。天陽のいたわりのこもる手つきが今は疎ましい。
口惜しさと情けなさで天陽に振り向けないでいた。
(この俺があんなことされるなんて)
「待って、それ外すから」
雪弥の腕も口も粘着テープで巻かれている。
腕のは袖の上から巻かれているが、口に貼られたものは頭を一周して、髪も巻き込んでいる。
「雪弥、ここに座って」
天陽は丁寧に剥がすことに決めたようだった。外階段に座らせて、後ろから自分の足で雪弥を囲む。天陽は痛みを与えないように慎重に剥がしている。
天陽の丁寧に自分を扱う手つきが今は疎ましい。
(天陽にみっともないところを見られた)
雪弥の全身がガタゴトと震えているのに天陽は気付いたようだったが、何も言わないでいる。
(俺はαだ。上位αだ。襲われるなんて。俺が。上位αのこの俺がΩのはずがない)
体調は雪弥が思っている以上に悪いのだ。そのために威圧が効かないのだ。そう思い込もうとしているが、何か取り返しのつかない変化が起きているのではないか、との不安が消せない。
(俺はαだ。αのはずだ)
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