評判の悪い保健医の日報

まみか

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7 初めてのお泊り

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土曜の昼前、白木が俺の部屋に初めてやってきた。
お泊まり用のバックを抱えて。
それがなんだか生々しくて、直視出来なかった。
「お邪魔します」
と上がってきた白木が、嬉しそうに部屋を見渡す。
何がそんなに嬉しいんだか、わからないが。
「へへ」
白木から聞こえてきたにやけた笑いに、思わず眉がよる。
「………気持ち悪いぞ…」
「だって、嬉しいんです」
そんな白木を無視して、俺はテーブルに座った。
白木が来る前から、そうしていたように。
白木はその隣に座って、頬杖ついて俺を見つめてくる。
「なんだ」
「白衣以外の姿、初めて見たなあと思って」
「…俺も制服以外初めてみた…」
「へへ」
また気持ち悪い笑いを漏らす。
俺が眉を寄せても御構い無しだ。
すこぶる機嫌がいい。
俺はといえば、困っていた。
部屋に来てもいい、と言ったが、来たからといって何をすればいいんだ。
結局、昨日一晩中考えてもわからなくて、来たいと言った白木がしたいことをすればいいと思っていた。
ところが白木はただ隣に座って俺をにこにこ見てるだけ。
すぐにがっついてくるのかとも思ってたんだが。
何度振り返ってみてもにこにこ笑ってる。
たまらず俺が口を開いた。
「…何してる…」
「先生を見てます」
いや、それは分かってるが。
「お前、俺を眺めに来たのか」
「そうではないですけど、とりあえず見てます」
にこにこ。
俺は白木の真似をして、頬杖ついて白木を眺めた。
「何が楽しいんだ」
「それは、先生が僕になればわかります」
「なれるか!」
「じゃあわからないですね、残念ですが」
にこにこ。
ふう、とため息が出る。
完全に白木の頭のネジが何本か外れてるな。
ふと目に付いた白木の髪に触れた。
「前から思ってたが、これ天パなのか」
「そうですよ」
「すごい巻き方だな」
指に絡めてみると、以外と柔らかい。
「前はちゃんとセットして伸ばしたりして、学校行ってたりしてたんですよ。でも時間かかるから面倒になっちゃって」
「伸びるのか、これが」
驚いて言うと、白木が笑う。
「一応ね、でも髪を洗ったら戻ります」
「そうか」
「先生みたいなまっすぐが良かったですけどね」
するっと白木が俺の髪を梳かす。
「いいじゃないか、これで。お前らしい」
ふわふわと、お前らしい。
「…褒めてます?それ…」
ちょっと口を尖らせて白木が言う。
「ああ」
「本当ですか?」
疑わしそうに眉を寄せる。
思わず吹き出してしまった。
本当なんだが。
「ほら、笑った!やっぱり褒めてませんよね?」
「褒めてる」
どれだけコンプレックス持ってるんだ、その髪に。
笑い続ける俺を、白木が押し倒す。
「じゃあ、なんで笑ってるんですか?!」
そのまま「笑ってない」「笑った」と転がり回った。
TVの正午を知らせる音に、ふと2人で振り返った。
「昼か、腹減ってるか?」
「少し。先生は?」
「少し」
そう言って、上に乗ってる白木を降ろすと立ち上がった。
「なんか作るか」
「ええ?!先生料理できるの?!」
「…できる、というか。まあ、食う分には困らない程度だが」
「一緒に作る!」
そう言うと白木は俺についてきた。

2人でふざけるというか言い合いというか、いつもの調子で昼飯を作って、食って。
白木が持ってきた映画を見ながら、これまた白木が持ってきた菓子を食べる。
あーだこーだ話しながら見て、夕方になって買い物に出る。
近くのコンビニだったが、一瞬誰かと会うんじゃないかと心配したが、白木は俺から離れたこところで本を読んだり、お菓子やジュースを買った。
出る時も俺が先に出て、白木はしばらくしてから出てきた。
きっと店員にも俺たちが連れだと気付かれなかっただろう。
外で合流すると、俺の部屋へ戻り、買ってきたものを食べる。
「お前、嫌じゃなかったのか」
「何がですか」
「…買い物だ…」
「一緒に出入りしなかったからですか?」
「……ああ…」
「違いますよ。念のためです。誰が見てるかわからないし、僕、一応水田んちにいることになってますからね」
「………」
「卒業したら、映画に行ったり、買い物に行きましょうね」
白木がにっこり笑う。
俺は白木が一緒に出入りしなかった時、痛感した。
結局、俺たちはこういう関係なんだと。
一緒に買い物に行くのも、人目を気にしなければいけないんだと。
「先生?」
呼ばれてはっと顔を上げると、白木が苦笑いした。
「そんなに気にしないでください。僕が卒業すれば普通に出来るんですから。ね?」
俺がぎこちなく頷くと、白木は逆に嬉しそうに笑う。
「あともうちょっとです。卒業したら、一人暮らしするんです。そしたら堂々と外泊できるし、あ、先生に泊まりに来てもらえますよね。…ほんと、学生って大変」
その言い方がおばさんぽくて、吹き出した。
「おばさんか」
「えええ?!だって色々制約あって、嫌になるんですよ」
「誰でも通る道だ」
話してる途中で白木が「あ」と言って立ち上がった。
「それで思い出した、参考書やんなきゃ」
「勉強か」
「親との約束なんですよ。やらないと水田んち行ってないってばれちゃうかも」
そしてバッグを持ってくると、テーブルをサッと片付けて参考書を広げた。
「半分は水田んとこでやってきたから、あと、ちょっとなんです。すぐ終わりますから」
「そういえば受験生だったな」
「忘れてたんですか」
「ああ、覚えてたら部屋に呼んでない」
「えええ、そんなあ」
白木はそう言いながらもペンを動かす。
黙って見ていると、そのうちブツブツ言いだして、俺のことを忘れてしまったようだ。
なるほど、集中力はあるらしいな。
…つまらん…
だがまあ、白木が勉強してるところは初めて見るな。
真剣な顔。
それなりに整った顔。
なんで男の俺と付き合ってるんだ、こいつは。
女にも不自由しないだろうに。
性別は関係ありません、とか返事が返ってきそうだな。
静かに笑う。
「先生」
笑ったのが聞こえたかと、びくっとした。
「な、なんだ」
白木は顔もあげずに言う。
「そんなに見つめないでください。別のところに血が集まりそうです」
え、別?
一瞬わからなかったが、白木に上目遣いに赤くなった顔で見られて、やっと気付いた。
「す、すまん」
俺はTVに向き直った。
だが白木が気になって、でも見ないようにしてた。
ふとトイレに立った白木の隙を見て、参考書の進み具合を覗き込んだ。
ページ数はまだある。
どこまでやるつもりなんだ。
「先生!」
トイレから慌てた様子で戻ってきた白木に呼ばれて俺はまたびくっとする。
「な、なんだ」
白木は俺の腕を引っ張った。
「お風呂一緒に入りましょう!」
「は?」
なんでそうなる?
「だって先生んちバスルーム広い!2人で入れますよ」
は?
いや確かにバスルームは広いぞ。
俺の身長だとそれなりに広くないと窮屈で。部屋を選ぶときに重要視した。
が、い、一緒に?!
そんなつもりはなかったんだが…。
白木はぐいぐい俺の腕を引っ張る。
まるで遊園地で駄々を捏ねる子供みたいだ。
「早く、早く」
「いや、お前勉強は…」
「そんなの後でいいですよ、早く」
「………下心が、見える気がするんだが…」
「そんなの、もちろんありますよ!」
あるのか?ってか少しは隠すとかないのか。


白木の宣言通り、バスルームに2人で裸で入ると、白木はくっついてきた。
「…羞恥はないのか…」
「今更」
シャワーを2人で重なって浴びる。
白木の手はすでに俺の体を撫で回している。
俺は呆れるよりない。
「さっきまで勉強してたくせに」
肩口にちゅっと音を立てて吸い付いた白木が、嬉しそうに答える。
「あれもやばかったんですよ、先生じっと見てるから」
「み、見てない」
思わず振り向いて、白木を睨みつける。
「見てました。あつ~い視線がちくちくと」
「見てない」
「はいはい」
白木はあやすようにキスをしてくる。
ムッと来て、口を固く閉ざした。
白木は構わず、啄むように顔中にキスをしてくる。
「………」
白木の手が、胸で止まる。
そしてただ撫でていた手つきから、愛撫に変わる。
乳首をするっと撫でて、脇腹を降り、またすっと上がってくる。
「ん」
明らかに意思を持って動き出す手を、俺は掴んだ。
すると白木はニコッと微笑む。
そしてキスも変わる。
唇をペロリと舐め、下唇をきゅっと吸われる。
白木の唇が離れると、じんと痺れた。
「ん、っ」
今度は上唇だ。
同じように吸って、また離れていく。
たまらず白木の肩を掴んだ。
「ふぁ、っ」
思わず吐息を漏らすと、その隙に深く唇が合わされ、舌が絡め取られる。
シャワーの水音以外の濡れた音がバスルームに響く。
俺は白木の肩を押して、唇を離した。
「おと、響く、な」
息も上がってしまって、下半身にも熱が集中してきてる。
「そうですね、結構響きますね」
でも白木が気にしてるようには見えない。
白木の手が胸を揉み始めた。
「ちょ、んん」
掴んだままの手に力を入れるが、止まらない。
「ここ、お隣さんっているんですか」
「いや、今は空室…」
そう答えると白木の手がぎゅっと突起をつまみ、唇は首筋を吸うように舐め始めた。
「お、い、あ、ん」
自分の声が響いて、びくりとする。
やたらと甘ったるい声。
反響で、さらに甘ったるく俺の声とは思えない。
首筋から胸へと降りて行った白木の舌が、反対側の突起を舐める。
「んんっ」
思わず手で口を押さえた。
それを見た白木が意地悪く言う。
「今更、なのに。まあ、いいですよ。いつまでそうしてられるか、楽しみですね」
お前、性格変わらなかったか?
思わず突っ込みたくなる。
白木のもう片方の手は後孔を掠るように触れた。
「んく」
ひくんとそこが動いたのが、自分でもわかった。
指がするっと入ってくる。
「んっん」
ぐるっとかき回すように中を広げると、すぐにもう一本差し込まれた。
「く、んぅ」
そしてぐっと広げられる。
身体を伝って流れてきたぬるめのお湯が、さらに白木の手と指を伝って中に入ってきた。
「ふぅ、んあはあ」
その感覚にガクガクと足が震え始めた。
「あああ、ああ」
ため息のように口から喘ぎがこぼれた。
口に当てた手はただ添えられているだけ。
白木はお湯ごと指を出し入れし始める。
「ん、ふぁ、ん、んん」
指と一緒に入り込んだお湯が中でぐちゅぐちゅとかき回されているのがわかる。
幸い、シャワーの音でそこまでは聞こえないが。
差し込まれた指は3本、か4本に増えていた。
そして胸への愛撫も続けられている。
「あ、しら、き、もう、も、お」
白木の顔を両手で挟んで、強請る。
「うん、僕も、限界」
ふっと笑った白木が、俺の右足を大きく持ち上げ、自分を当てがってくる。
「んん、ん」
腹につくほど持ち上げられた足が苦しい。
だが、そのあとぐっと押し込まれた白木の熱い肉棒にそれも吹き飛んだ。
「あああああ」
思わず仰け反って、快感を逃がそうとした。
そのまま強く抽送を始められると、残しておいた足が浮く。
自分の体重でさらに深く繋がった。
「ひ、ああ、あああ、あああ」
揺さぶられるまま、喘がされる。
「先生、せんせ、い」
白木が呼ぶ。
「しら、き、せ、んせい、ってよぶな」
「え、…朔弥さん?」
「はああっ」
体がびくっとはねた。
ああ、それでいい。
「あ、ん、んぅ、あ」
「朔弥さんっ」
呼ばれるたび、感覚が鋭くなっていく。
「もっ、と、よべ」
「朔弥さん」

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