あなたと私を繋ぐもの。

みりん

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「それってどういう」



ソフィー様について聞こうとした時、お店のドアが開いた。

「あかりはまだ服を選んでるのか。」

「おや、ジニアじゃないか。どうしたんだい?」

「薬の売れ行きはどうだ?」

「ほんとに助かっているってみんな言ってたよ。薬が買えるのは幸せだって」

「そうか。これは追加だから並べておいてくれないか?売り上げは次に売る時に貰う。」

「わかったよ、それよりどうだいこのピンクのフリル付きワンピース!あかりちゃんによく似合っているだろう?」

「………まあこの国の人らしくなっているんじゃないか?」

師匠は頭をかきながらぼそっと言った。

「ほんとに素直じゃないねえ…」

「じゃあ私はこれで。あかり、鐘が鳴る前に帰るんだぞ。」

「はい、師匠。」

それからしばらくお話していると、リオさんが迎えに来てくれた。

「すっごく似合ってるよあかりちゃん!かわいい!!」

「あ、ありがとうございます…!」

こんな美少年に褒められたことなくて、緊張してしまう。
この笑顔、心臓に悪すぎる…

「今から色んなとこ行くからね!着いてきて!」

それから、リオさんは城下町を案内してくれた。店の位置、抜け道や危険な場所、綺麗な景色が見える場所まで。

特に図書館は驚くほど大きかった。

「すごく高いですが…上の方にある本はどうやって取るんですか?」

「上の方はね、この貸し出しのほうきに乗って取りに行くんだ!元々魔力がある道具だから、あかりちゃんでも使えるよ!乗ってみる?」

初めてで怖がっていると、リオさんは後ろに乗せてくれた。

「本当は2人乗りダメなんだけど…まあバレなきゃいいか!腰にしっかり捕まってて!」

すーっとほうきが動き出す。

最初は怖かったけど、次第に周りの本に目を向けられるようになった。

「ほうきの運転お上手ですね、!」

「えへへ…そう?暇な時に乗ってるからかな?」

気になるところがあると、その度にリオさんはそこまで飛んでくれ、色々と説明をしてくれた。

文字はほとんど日本語と一緒だったが、1部知らない文字があり、勉強しなければいけないと感じた。




「本当にこの町のこと、色々知っているんですね、すごいです…」

リオさんのおすすめのお店で売っている、キツめの炭酸のラムネを飲みながら呟く。

「…僕この城下町の人が大好きなんだ。」

だからこのままずっと守っていきたいんだ、
とリオさんは言う。

「前まで国が荒れててさ。やっと町に元気が出てきたっていうか、みんな笑顔になってくれたんだ。だから僕も嬉しいんだよね」



「ついた、ここは僕のお気に入り。」

王宮のすぐ側にある小さな丘の頂上だった。

「ここに座って少し下を見るとね、城下町を一気に見ることができるんだ。いい景色でしょ?」

私も真似をして座ってみた。
今まで案内してもらっていたところが見える。夏の夕日に照らされて、城下町は本当に綺麗に輝いていた。

「きれい…!」

「ここみんなに内緒にしてたんだけど、あかりちゃんには教えてあげる。気分が落ち込んだ時とかに来ると、綺麗な景色のおかげで嫌なこと忘れられるからおすすめだよ。」

その時、鐘の音が鳴り響いた。

「まずい鐘が鳴る前に帰れって言われてたんだった!先生に怒られる!!あかりちゃん手貸して、走るよ!」

リオさんに連れられて走り出す。

「近道はこっち!」

師匠の家が見え始める。
玄関には、師匠が仁王立ちで立っていた。

「遅い!鐘が鳴る前に帰れと言っただろうが!!」

「すみません師匠…案内してもらって町を見るのが楽しくて、」

「……はあ。もういい。飯だ。リオも食べていくか?」

「もちろん!おじゃましまーす!」



早くこの国に慣れていきたい。
丘からあの景色を見た時、そう思った。
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