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1章 由雄と健太の夏休み

第27話 攻略状況

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 ファーナさんの話に健太が食いついた。ダンジョンを攻略すると何があるのかが気になったようだ。

「よっすーファーナさんも協力してくれるって言うし、それに最下層見てみたい!」
「ですよねー聞いた話だとよっぽどのこととかじゃなければ願いが叶うとか」
「願いが叶う…?でも本当に10階で終わりなのか知らないし…」

 俺のこの言葉にはファーナさんが驚いた。直ぐに壁にあるタッチパネルを操作し『ダンジョン攻略状況確認』の項目を開いて見る様に進めてくる。

 そういえば見たことがなかった項目だ。俺は表示されている画面を覗き込む。


・探索人数    (5)
・最高攻略階層  (0/10)
・モンスター情報


 最高攻略階層(0/10)…つまり最大10でまだ未攻略ってことだよねこれ。ということはファーナさんの言うとおりこのダンジョンは地下10階までしかないということになるわけだ。

「ね?そんな深くないし慎重にレベル上げたり装備整えつつ進めば大丈夫だよ」
「ふむ…そう、かも?」

 なんだかそんな気もしてきた。それよりもこの探索人数の数字のほうが俺は気になる。俺、健太、ファーナさんで3人。今のところこのメンバーでしかここで顔を合わせたことがない。だけど5という数字が書かれている以上後2人このダンジョンに出入りしている人がいるということ。
 気にはなるがまだあってもいない人たちを警戒しても仕方ないか。

「健太。約束してくれるならダンジョン攻略してもいいぞ」
「するするっ絶対守る!」
「はあ…」

 頭を抱えため息が出る、。まだ内容を言ってもないのに約束するなんてほんとバカだな。

「まずはなんといっても安全第一で危険だと思ったら直ぐ帰る。高いからといって回復剤とかをケチらない。きっちりと装備を整えない限り先へは進まない。後はそうだな…ファーナさんへのお菓子は健太が用意すること。あーこれが一番重要。攻略しきれなくても付き合うのは夏休みが終わるまで…こんなところか?」

 俺が言った約束を健太がぶつぶつと繰り返して言っている。本当はもっと厳しく言いたいところだがあまり増やすと健太が覚えきれないからこれくらいでいいだろう。

「んー…よし、覚えた!じゃあ早速今日から…っ」

 そのままダンジョンを進もうとしたのを慌てて首根っこ捕まえて止めた。今日はまだファーナさんにはお礼のお菓子しか用意していなかったから、ファーナさんへのお菓子を用意するという条件が満たされていない。よって俺は止めた。

「今からはだめだよ。ファーナさんへのお菓子健太用意してないだろう?」
「じゃあ今から直ぐ買いに行って…」
「却下。今日は休んで明日からのがいいよ。ということでファーナさん明日からよろしくお願いします。」
「いえいえこちらこそお菓子期待していますねっ」

 名残惜しそうにダンジョンの中を眺めている健太を半ば引きずるようにして俺は外に出ることにした。
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