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3話 家庭教師と僕とメイド
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それからの毎日は昼間は家の中をうろついたりして家の中を探検し、そのへんの扉を開けようとするとメイドに止められる事が続いた。家は広すぎてほとんどの部屋に入ることが出来ず少しだけ不満はあるけれど、毎日夕食後サリアの耳と尻尾を触らせてもらえたのでこれだけは嬉しかった。他に癒しとか遊びとかがないのが悪いのだ。そして私はまだ1度も外に出れたことがない…というか出してもらえない。
そんな毎日を何日か過ごした頃、家庭教師が決まったと連絡を受け初めて家族やメイド以外の人が家にやってきた。少しだけ緊張する。顔合わせにやってきた先生は3人で、部屋にはディビーノとメイドのサリアを入れて5人が顔をつきあわせている。その中の1人の男性が一歩前に出ると自己紹介を始めた。
「初めてまして、武術を教えるイズカラというものだ。武器を使わない基礎動作と模擬戦をメインにやろうと思っておる…丁寧な言葉が苦手なので少しおかしいところもあると思うかゆるしてくれるとありがたい。」
武術担当は40台くらいの男の先生だ。結構背が高く、かなりごつい。青い短髪から気のせいか角みたいなのが生えている様に見える。
「角…?」
「ああ、鬼人族は初めてか?」
「何も教わってないし外に出たことも無いので初めて見ます…」
(鬼人族ってことは鬼か~鬼ヶ島とかあるのかしら?)
身長差が大きいので見上げながら話を聞いた。まあ、5歳から見れば年上の人は大体見上げることになってしまうのは仕方のないことよね。
「じゃあ次は私ですか?」
その隣にいた少女が声をあげた。ディビーノより少し背が高いくらいで、茶色のセミロングの髪の両サイドに編み込みがされていて可愛い女の子だ。
「……先生なんですか?」
さすがに不思議に思ったので聞いてみた。
「くっ……背は低いがこれでも大人だ…です!」
「そうなんですか…失礼しました?」
どうやら見た目幼くても先生のようだ。軽く頭を下げて謝っておく。
「小人族のリチル。担当は武器の扱いと武器を使用した模擬戦。剣と短剣、あと弓なら教えられる…ます」
(もしかして身長的に丁度良さそうだから呼ばれたのかしら?)
リチルはまだむくれたままだ。腕を組んでそっぽを向いている。悪いことをしてしまったかな…
「あらあら…では私も自己紹介いたしますね。魔術の担当でミュゼリアと言います。ミュゼとお呼びください」
最後の1人はスレンダーで耳の長い女の人だ。緑色の長い髪が腰まで伸びている。
「エルフ…ですか?」
「はい。長耳族になります」
ミュゼは優しそうに微笑んででこちらを見ている。
「えーと…ディビーノ人間族の5歳になります。これから先生達にお世話になりますのでよろしくお願いします」
教えて貰う側として出来るだけいい顔で挨拶をしたつもりだ。
(……ん?何か失敗したかしら。)
なぜか反応がない。顔を上げ首をかしげると、イズカラとリチルに抱きつかれ、ミュゼに頭を撫でられた。
(なんで?)
理由がわからなくて困っていると、サリアが声を掛けてきた。
「ディビーノ様。まだ紹介が終わっておりません」
見回してみる。部屋には5人だけだ。
「ディビーノ様の専属メイドのサリアです。学問の基礎と一般教養を教えます」
(なんと!)
「驚きましたか?」
ぶんぶんと首を縦に振る。サリアは少しいたずらめいた顔をしていた。
「他の先生方共々よろしくお願いします」
***
各自自己紹介が終わったところで、今後どのように学習していくか決めることになり、まずは私の現在の能力を知っておくべきだという話しになった。たしかにそれを知らないまま勉強しても問題はないけれど、知っておけば成長とかも実感できるかもしれないからね。でも能力って見れるものなのかしら?
「ディビーノ様まずはこちらを」
サリアが金属で出来た板を渡してきた。厚さはそれほどなくサイズはハガキより少し小さめなものだ。
「これは?」
「ステータスボードになります」
ただの金属だね…何も書いてない。てっきり体力テストみたいなものとかやるのかと思ってたから違うから少しだけ首をひねる。
(???)
ひっくり返して見たり叩いたり、振って見たりした。でも文字は何も書いてない。というかこれからこれに記録とかするのかもしれないわね。
「まだ何も書いてありませんよ?」
「魔力を込めるのです。それを私が教えます」
「あ、はい。お願いします」
まずは魔術の学習から始めるようでミュゼが声をあげた。魔術とか前の世界ではなかったものだから少しだけ楽しみだったんだよね。
「魔力は誰もが持っているものです。血液はわかりますか?」
「はい、この体の中に流れている赤い液体ですよね」
「それは良い事で…知らなければ少し血を流して貰うとこでした」
(なんかサラッと怖いこと言ってない?)
「その血液が流れるように魔力も流れています。血液は体の機能を動かすために流れているのです。魔力は同じように魔術を使うために流す必要があるのです。では、こちらを向いてください」
言われるまま体を向ける。ミュゼが私のお腹に両手で触れた。
「今から私の魔力を少しだけ流します。まずは体の中に入ってくるものを感じて見てください」
ミュゼがそう言うと手が少し白い光を出しているのが見えた。
「あ、なんか暖かいです。」
お腹の辺りがじんわりと暖かくなってくるのを感じた。
「では、それを血液が流れるように全身に流すイメージをしてください。」
(流れるイメージ……)
目を閉じゆっくりと体全体に流れるようにイメージをしてみる。全身がほんのり暖かくなった気がする。
「よく出来ましたね。では、そのままステータスボードを手に持って見てください」
目を開けて見るとディビーノの全身がうっすらと光っていた。よく見ると先生達も光っているのがよくわかる。ステータスボードを持って見る。上の方から何か文字が出てきた。
「おっ見せて見せて~」
リチルが奪うようにステータスボードを持っていった。
「なぬ?……なんだこれ」
先に持っていかれてしまったので何が書いてあるのかわからなかったがなぜか驚かれている。リチルの両サイドからミュゼとイズカラも覗き込んでステータスボードの内容を確認しているようだ。
「まあこれは……」
「ほう」
それぞれ驚いているがミュゼとイズカラは嬉しそうな顔をしているのに対して、リチルは困惑しているみたいだ。3人が見終わると次はサリアに回された。
「あら…納得しました」
(何を?)
「あの…僕まだ見てないんだけど?」
先に大人たちだけ見てずるいと思う。普通は本人が先に見るもんだと思うんだよね。それからすぐにステータスボードを返してもらい早速見てみると…
「……読めない。」
そこに書かれていた文字は見たことも無い文字だった。不思議な形で構成されている。困ってしまいサリアの顔を見る。1人で頷き納得しているようだ。
「皆さま学習の日程を決めるにあたり、まずは本日私が文字を教えたいと思います。」
「いいんじゃない?」
「わかりました。」
「わかった。」
サリアはみんなの顔を見て頷いている。
「明日は魔術と剣術、その次は武術と学問教養でこの繰り返しで2セットやったのち1日お休みを入れましょう。よろしいでしょうか?」
「決めてくれるならもうそれでいいわ」
リチルの返事に2人とも頷いている。話し合いが終わり先生達は帰っていった。明日から本格的に色々教えてもらえるようだ。部屋に残ったのは私とサリアの2人だけだ。
「では、まずは文字の読み書きから始めましょうか」
窓の横手にある机に座るようサリアが勧めてくる。
「最初の目標はステータスボードが読めるようになることです。頑張りましょう」
そんな毎日を何日か過ごした頃、家庭教師が決まったと連絡を受け初めて家族やメイド以外の人が家にやってきた。少しだけ緊張する。顔合わせにやってきた先生は3人で、部屋にはディビーノとメイドのサリアを入れて5人が顔をつきあわせている。その中の1人の男性が一歩前に出ると自己紹介を始めた。
「初めてまして、武術を教えるイズカラというものだ。武器を使わない基礎動作と模擬戦をメインにやろうと思っておる…丁寧な言葉が苦手なので少しおかしいところもあると思うかゆるしてくれるとありがたい。」
武術担当は40台くらいの男の先生だ。結構背が高く、かなりごつい。青い短髪から気のせいか角みたいなのが生えている様に見える。
「角…?」
「ああ、鬼人族は初めてか?」
「何も教わってないし外に出たことも無いので初めて見ます…」
(鬼人族ってことは鬼か~鬼ヶ島とかあるのかしら?)
身長差が大きいので見上げながら話を聞いた。まあ、5歳から見れば年上の人は大体見上げることになってしまうのは仕方のないことよね。
「じゃあ次は私ですか?」
その隣にいた少女が声をあげた。ディビーノより少し背が高いくらいで、茶色のセミロングの髪の両サイドに編み込みがされていて可愛い女の子だ。
「……先生なんですか?」
さすがに不思議に思ったので聞いてみた。
「くっ……背は低いがこれでも大人だ…です!」
「そうなんですか…失礼しました?」
どうやら見た目幼くても先生のようだ。軽く頭を下げて謝っておく。
「小人族のリチル。担当は武器の扱いと武器を使用した模擬戦。剣と短剣、あと弓なら教えられる…ます」
(もしかして身長的に丁度良さそうだから呼ばれたのかしら?)
リチルはまだむくれたままだ。腕を組んでそっぽを向いている。悪いことをしてしまったかな…
「あらあら…では私も自己紹介いたしますね。魔術の担当でミュゼリアと言います。ミュゼとお呼びください」
最後の1人はスレンダーで耳の長い女の人だ。緑色の長い髪が腰まで伸びている。
「エルフ…ですか?」
「はい。長耳族になります」
ミュゼは優しそうに微笑んででこちらを見ている。
「えーと…ディビーノ人間族の5歳になります。これから先生達にお世話になりますのでよろしくお願いします」
教えて貰う側として出来るだけいい顔で挨拶をしたつもりだ。
(……ん?何か失敗したかしら。)
なぜか反応がない。顔を上げ首をかしげると、イズカラとリチルに抱きつかれ、ミュゼに頭を撫でられた。
(なんで?)
理由がわからなくて困っていると、サリアが声を掛けてきた。
「ディビーノ様。まだ紹介が終わっておりません」
見回してみる。部屋には5人だけだ。
「ディビーノ様の専属メイドのサリアです。学問の基礎と一般教養を教えます」
(なんと!)
「驚きましたか?」
ぶんぶんと首を縦に振る。サリアは少しいたずらめいた顔をしていた。
「他の先生方共々よろしくお願いします」
***
各自自己紹介が終わったところで、今後どのように学習していくか決めることになり、まずは私の現在の能力を知っておくべきだという話しになった。たしかにそれを知らないまま勉強しても問題はないけれど、知っておけば成長とかも実感できるかもしれないからね。でも能力って見れるものなのかしら?
「ディビーノ様まずはこちらを」
サリアが金属で出来た板を渡してきた。厚さはそれほどなくサイズはハガキより少し小さめなものだ。
「これは?」
「ステータスボードになります」
ただの金属だね…何も書いてない。てっきり体力テストみたいなものとかやるのかと思ってたから違うから少しだけ首をひねる。
(???)
ひっくり返して見たり叩いたり、振って見たりした。でも文字は何も書いてない。というかこれからこれに記録とかするのかもしれないわね。
「まだ何も書いてありませんよ?」
「魔力を込めるのです。それを私が教えます」
「あ、はい。お願いします」
まずは魔術の学習から始めるようでミュゼが声をあげた。魔術とか前の世界ではなかったものだから少しだけ楽しみだったんだよね。
「魔力は誰もが持っているものです。血液はわかりますか?」
「はい、この体の中に流れている赤い液体ですよね」
「それは良い事で…知らなければ少し血を流して貰うとこでした」
(なんかサラッと怖いこと言ってない?)
「その血液が流れるように魔力も流れています。血液は体の機能を動かすために流れているのです。魔力は同じように魔術を使うために流す必要があるのです。では、こちらを向いてください」
言われるまま体を向ける。ミュゼが私のお腹に両手で触れた。
「今から私の魔力を少しだけ流します。まずは体の中に入ってくるものを感じて見てください」
ミュゼがそう言うと手が少し白い光を出しているのが見えた。
「あ、なんか暖かいです。」
お腹の辺りがじんわりと暖かくなってくるのを感じた。
「では、それを血液が流れるように全身に流すイメージをしてください。」
(流れるイメージ……)
目を閉じゆっくりと体全体に流れるようにイメージをしてみる。全身がほんのり暖かくなった気がする。
「よく出来ましたね。では、そのままステータスボードを手に持って見てください」
目を開けて見るとディビーノの全身がうっすらと光っていた。よく見ると先生達も光っているのがよくわかる。ステータスボードを持って見る。上の方から何か文字が出てきた。
「おっ見せて見せて~」
リチルが奪うようにステータスボードを持っていった。
「なぬ?……なんだこれ」
先に持っていかれてしまったので何が書いてあるのかわからなかったがなぜか驚かれている。リチルの両サイドからミュゼとイズカラも覗き込んでステータスボードの内容を確認しているようだ。
「まあこれは……」
「ほう」
それぞれ驚いているがミュゼとイズカラは嬉しそうな顔をしているのに対して、リチルは困惑しているみたいだ。3人が見終わると次はサリアに回された。
「あら…納得しました」
(何を?)
「あの…僕まだ見てないんだけど?」
先に大人たちだけ見てずるいと思う。普通は本人が先に見るもんだと思うんだよね。それからすぐにステータスボードを返してもらい早速見てみると…
「……読めない。」
そこに書かれていた文字は見たことも無い文字だった。不思議な形で構成されている。困ってしまいサリアの顔を見る。1人で頷き納得しているようだ。
「皆さま学習の日程を決めるにあたり、まずは本日私が文字を教えたいと思います。」
「いいんじゃない?」
「わかりました。」
「わかった。」
サリアはみんなの顔を見て頷いている。
「明日は魔術と剣術、その次は武術と学問教養でこの繰り返しで2セットやったのち1日お休みを入れましょう。よろしいでしょうか?」
「決めてくれるならもうそれでいいわ」
リチルの返事に2人とも頷いている。話し合いが終わり先生達は帰っていった。明日から本格的に色々教えてもらえるようだ。部屋に残ったのは私とサリアの2人だけだ。
「では、まずは文字の読み書きから始めましょうか」
窓の横手にある机に座るようサリアが勧めてくる。
「最初の目標はステータスボードが読めるようになることです。頑張りましょう」
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