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港町トリィ

153. もう1人

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 船着き場に戻って来た俺とアルバトロスはその惨状に目を細めた。ごろつきたちは全員血を流し転がっていたのだ。多分犯人はセブンシ―なんだろうけれども…

「お、アルバトロスおつか…と、リョータ??」

 この惨状の場で指示を出していたヨルさんが俺を見て首を傾げた。あーそういえばまだ魔法を解除していなかったんだよね。
 ヨルさんが首を傾げていた理由それは…

「おつかれ」
「おつかれ」
「リョータが2人…いや、双子だったのか??」

 そう俺の目の前にはもう一人の俺が。でも若干見た目が違う。と言っても俺が相手を見る分には見慣れたものだ。鏡を見ているのと全く同じなんだから。

「違うよ」
「違うよ」
「同時にしゃべるなっ」

 仕方ないじゃないかヨルさんの言葉に対する返事なんだから同じ言葉が出てしまうんだ。

「えーと…こうっ」
「えーと…こうっ」

 お互いがお互いを殴る姿勢をとる。殴られた片方は一瞬体をゆがませゆっくりと消えていった。なるほど…こうやって消えるらしい。

「…魔法か!」

 ヨルさんの言う通りこれは魔法だ。頷いて返事を返す。今日手に入れたばかりの魔法だったけど実践投入成功だね。この魔法はミラー、今日ガチャで手に入れたものだ。なんでも複製できるが反転鏡向きの状態で出てくる。そして攻撃を受けると消えてしまうさっきやったように。つまりこのスキルで出した食べ物は食べようとすると消えてしまうってことだ。だけどさっき見たいな使い方なら有用だ。

「護衛がいて結界があっても、拘束されたらやばいかなーと思ってさ」
「なるほどなー 教えてくれればよかったのに」
「敵を欺くにはまずは味方からってことだよ」

 実際はぎりぎりに思いついたんだから言えなかったってのが正解。言わないけど…そのほうがかっこいい気がするじゃん? 出来る男みたいな。

「あ、来たみたいだな」

 ヨルさんが見ている方向を見るとジルベスターさんが護衛を引き連れてやってきた。結構な人数だな…

「どうやらうまくいったようだね」

 そういって右手を上げると倒れている人たちとダルシア男爵を次々と護衛のさらに後ろにいた人たちが運び始めた。よかったごろつきたちは自分の足で歩いている。ちゃんと生きていたようだ。

「では後処理は私がやっておこう。みな休んでくれ」

 運び出しが終わるとその後からジルベスターさんも来たばかりなのにまた帰っていく。多分後処理ってやつが時間掛かるのかもしれないね。というかこの世界では犯罪を犯した人たちはどこへ連れていかれるんだろう。

「うーーし! 今日は休んでくれ。明日朝一で船を手配して島に渡るぞ。打ち上げはその先でだな」
「あれ? ヨルさんも島渡るの?」
「ああ、一応用事があるんだよ。ついでだから行って来いって言われただけだけど」

 そうなんだ。島での用事ってなんだろうね。買い物とかだろうか? まあなにわともあれこれでちょっとは周辺が平和になった気がする。でも念のためルーとジエルは島につくまで箱庭の中にいてもらおうか。いよいよ島へ渡るのか…俺に会わせたい人って言うのは一体誰なんだろう…
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