【本編完結】異世界に召喚されわがまま言ったらガチャのスキルをもらった

れのひと

文字の大きさ
247 / 356
逃げてきた聖女

231. 聖女の力

しおりを挟む
「ねえねえりょーちゃん。お腹空いた」
「あーそういえばとっくに昼過ぎてたな」

 テレポートで立ち寄った場所で響子が言い出した。言われてお腹が空いていることに俺も気がつく。多分腕輪のことがあってそれどころじゃなかったんだな、お互い。

「じゃあ昼ご飯にしようか」
「そうしよぉ~」

 俺は箱庭を使用し目の前に光る扉を出した。

「えーと初めて見るよな確か」
「うん、なにこれ?」
「この扉の先は俺の作った世界。まだほとんど何もないけどね」

 扉を開け響子と一緒に中へと入る。驚いたのか響子は空を見上げたまま動きが固まっている。

「そ…空があるよ?」
「まあ無いと困るし」
「見たことあるような家がある…よ?」
「今の俺の家だな」
「これスキルなの…?」
「一応?」
「あはっ やっぱりりょーちゃんが最強だね」

 やっぱり箱庭はすごいスキルなのか。聖女の響子から見ても。扉に手をかけ開けたところで俺はふと気がついたことを口に出す。

「聖女…」
「ん?」
「響子回復得意だよな」
「うん、専門分野だよ」
「実はケガ人が寝ているんだけど見てもらえないか?」
「ケガ人? いいよ?」

 俺は響子と2階へと上がりシズクの部屋の扉を叩いた。

「入っていいぞ」
「…女?」
「リョータ遅かったじゃねぇか昼抜きかと思った…ぜ?」

 …あれ? 響子とシズクが気のせいか睨み合っている。なんだ?? 今余分なことを口に出したらやばい雰囲気なんだけどっ

「誰だ?」
「そちらこそりょーちゃんの家で何を?」
「あ~~~~ 響子回復してくれるんじゃないのか! ほらケガ人はべっどだぞ」
「ああそうだった」
「回復?? この女が?」
「ああ響子はこう見えて聖女なんだよ」
「うそだろう?」
「失礼な人~ 百聞は一見に如かずっ 黙って見てなさいって」

 そういうと響子はベッドの布団をはがし2人を姿をじっと見つめた。頭の先から足の先まで嘗め回すように見回している。

「ん~…これじゃだめ。内臓が回復してないよ?」

 なるほど、やっぱり内側の回復がうまくいっていないのか。でも意識がない相手にポーションは飲ませられない。そうなるとやっぱり火力のある回復魔法が必要だ。
 響子はマジックバックから杖を取り出すとベッドに寝ている2人に杖の先を向けた。

「エクストラハイヒール」

 杖から響子から白い光があふれ出しベッドの2人を包み込んだ。その光は眩しいことには眩しいが優しい感じで安心してみていられた。さっきまで信じていなかったシズクも驚きその光景を眺めている。

「すげぇ…」
「どんなもんよっ」

 光が収まるとさっきまで苦しそうに寝ていた2人の寝息が穏やかになり、表面上の怪我は跡形もなくなっていた。

「さっきは悪かったな疑って」
「そんなことはどうでもいいよ? それよりあなたは誰? りょーちゃんの何?」
「ん? 俺か?? なあリョータこいつにはどこまで話したらいいんだ?」
「…呼び捨て」
「あー…響子、俺が詳しいこと話すから落ち着いてくれっ えーと彼女はシズク。エルフの里へ行くことになってその途中知り合った」
「エルフ…」

 時々響子がシズクを睨んだりしていたがおおむね大人しく最後まで話を聞いてくれた。俺たちがこの世界に召喚された原因、勇者のこと、御神木様こと…それと何度となくかかわり襲われた俺とネコルー。

「ふぅん…たけちゃんがね~…」
「本人は覚えていないから許してやってくれ」
「りょーちゃんはその話全部信じたの?」
「一応神様がかかわっているみたいだからな」
「神様…かぁ。りょーちゃん私もあってみたいんだけど」
「神様にか…? 会えるのかな?? ちょっと聞いてみるよ」

 俺は耳に手を当てルーに会話を投げかけた。

『ルー今話できるか?』
『あ、はい。なんですか?』
『御神木様とは誰でも会えたりする?』
『どなたか会いたいとおっしゃる方がいるのですか?』
『ああ、ほらルーも一度会ったことがある聖女の響子だ』
『…ジエルに確認してもらいます。お待ちください』

 なるほど。ジエルからなら御神木様にたずねることが出来るのか。

『…お待たせしました。御神木様がお会いになるそうです。ぜひこちらまでいらしてください』
『ありがとう』
『ふふっ 短いお別れでしたね?』
『そうだな、なんかバタバタだったな。じゃあ響子連れて数日中にはそっちにいくよ』
『はい、お待ちしています』

 ルーとの会話を終わらせると、その結果を響子に伝えた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。 彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。 最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。 一種の童話感覚で物語は語られます。 童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
 異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。  億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。  彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。  四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?  道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!  気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?    ※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。

知識スキルで異世界らいふ

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...