276 / 356
御神木様
260. 聖女らしさというか巫女らしさ
しおりを挟む
俺と響子とシズクが外を見て騒いでいるとヨルさんが近くに寄ってきた。
「どうかしたのか?」
「ヨルさんあんなところに女の子がいるんだが」
「ん~~? 女の子なんていないぞ??」
いやでも確かにいるんだが。響子もシズクも不思議そうな顔をしている。ジルベスターさんの方を見るが首を横に振るだけでやはり見えていないようだ。
「あの…」
「ん?」
「女の子というのはもしかしてあの今にも朽ちてしまいそうな木の足元にいたりしますか?」
「ルーも見えるのか?」
「見えません。ですが…」
ルーはそういうと響子の隣へとやって来てその手を掴んだ。
「やっぱり…こうすると見えるようですね」
「え…あっ」
なるほどそう言うことなのか! 俺は響子に頬を触れられていた。シズクは響子に話しかけるときに肩を掴んだ。そして今ルーは手を繋いでいる。3人とも共通するのは響子に触れていることだ。これが意味するところはつまり…
「あの女の子が…御神木様!!」
巫女である響子に触れないと見えない存在なんて、ジエルの時に体験した御神木様くらいしか知らない!
「でも今にも消えてしまいそうです…」
「…っ 響子行こう!」
「うんっ」
俺は響子の手を掴むと建物の外へと飛び出した。すでに手を繋いでいたルーも一緒に走り出し、肩に手をかけていたシズクは転びかけた体制を直して後ろから走ってついてきた。ヨルさんとジルベスターさんも見えてはいないけど状況がわかったのかその後をさらについてきた。
「……巫女?」
「はい」
「遅かったの…待ちくたびれて……」
「ごめん2人ともちょっと手を放すよ~っ」
響子は御神木様のすぐ傍まで行くとその場に膝をつき祈るような姿勢を取った。すると響子の体がぼんやりと光り、その光が御神木様…というかその朽ちかけた木の根元に繋がるように光の線がはしる。少しだけ幻想的なその現象に聖女というか巫女らしさを響子に感じるね。普段はそんな雰囲気のかけらもないのにな。
「ほう…」
「綺麗だ…」
ほら、ジルベスターさんとヨルさんが騙されている…確かに綺麗だけどもっ そうなんだけどもっ
「うむ…とりあえずもう大丈夫じゃ。それにこれ以上は巫女の体のほうがもたん」
「あ…」
「響子?」
「ううう…りょーちゃん魔力切れ~」
なんだ突然ふらつくからどうかしたのかと思ったらただの魔力切れなのか。
「じゃあこれ飲んでおけよ」
「あー…うん。そうなんだけどね。でもそうじゃないんだ~」
よくわからんことを言っているがひとまず響子に初級魔力回復ポーションを渡した。初級だけども飲んでおけばその状態も治るからね。文句をいいつつポーションを飲んでいる響子の開いていた左手を掴み俺は御神木様に話しかけることにした。
「御神木様」
「なんじゃ?」
「なんでこんな場所に?」
「しらん。自分できたわけじゃないからな。あいつら無理やりこんな北の方まで連れてくるから…ここは肌にあわんのじゃ」
「つまりもっと南の方に元はいたということですか」
「そうじゃな。このままここで過ごし続けることはでんぞっ」
つまりはこの御神木様をもっと南…もともといた場所に戻してあげなければいけないってことなんだな?
「どうかしたのか?」
「ヨルさんあんなところに女の子がいるんだが」
「ん~~? 女の子なんていないぞ??」
いやでも確かにいるんだが。響子もシズクも不思議そうな顔をしている。ジルベスターさんの方を見るが首を横に振るだけでやはり見えていないようだ。
「あの…」
「ん?」
「女の子というのはもしかしてあの今にも朽ちてしまいそうな木の足元にいたりしますか?」
「ルーも見えるのか?」
「見えません。ですが…」
ルーはそういうと響子の隣へとやって来てその手を掴んだ。
「やっぱり…こうすると見えるようですね」
「え…あっ」
なるほどそう言うことなのか! 俺は響子に頬を触れられていた。シズクは響子に話しかけるときに肩を掴んだ。そして今ルーは手を繋いでいる。3人とも共通するのは響子に触れていることだ。これが意味するところはつまり…
「あの女の子が…御神木様!!」
巫女である響子に触れないと見えない存在なんて、ジエルの時に体験した御神木様くらいしか知らない!
「でも今にも消えてしまいそうです…」
「…っ 響子行こう!」
「うんっ」
俺は響子の手を掴むと建物の外へと飛び出した。すでに手を繋いでいたルーも一緒に走り出し、肩に手をかけていたシズクは転びかけた体制を直して後ろから走ってついてきた。ヨルさんとジルベスターさんも見えてはいないけど状況がわかったのかその後をさらについてきた。
「……巫女?」
「はい」
「遅かったの…待ちくたびれて……」
「ごめん2人ともちょっと手を放すよ~っ」
響子は御神木様のすぐ傍まで行くとその場に膝をつき祈るような姿勢を取った。すると響子の体がぼんやりと光り、その光が御神木様…というかその朽ちかけた木の根元に繋がるように光の線がはしる。少しだけ幻想的なその現象に聖女というか巫女らしさを響子に感じるね。普段はそんな雰囲気のかけらもないのにな。
「ほう…」
「綺麗だ…」
ほら、ジルベスターさんとヨルさんが騙されている…確かに綺麗だけどもっ そうなんだけどもっ
「うむ…とりあえずもう大丈夫じゃ。それにこれ以上は巫女の体のほうがもたん」
「あ…」
「響子?」
「ううう…りょーちゃん魔力切れ~」
なんだ突然ふらつくからどうかしたのかと思ったらただの魔力切れなのか。
「じゃあこれ飲んでおけよ」
「あー…うん。そうなんだけどね。でもそうじゃないんだ~」
よくわからんことを言っているがひとまず響子に初級魔力回復ポーションを渡した。初級だけども飲んでおけばその状態も治るからね。文句をいいつつポーションを飲んでいる響子の開いていた左手を掴み俺は御神木様に話しかけることにした。
「御神木様」
「なんじゃ?」
「なんでこんな場所に?」
「しらん。自分できたわけじゃないからな。あいつら無理やりこんな北の方まで連れてくるから…ここは肌にあわんのじゃ」
「つまりもっと南の方に元はいたということですか」
「そうじゃな。このままここで過ごし続けることはでんぞっ」
つまりはこの御神木様をもっと南…もともといた場所に戻してあげなければいけないってことなんだな?
5
あなたにおすすめの小説
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す
紅月シン
ファンタジー
七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。
才能限界0。
それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。
レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。
つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。
だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。
その結果として実家の公爵家を追放されたことも。
同日に前世の記憶を思い出したことも。
一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。
その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。
スキル。
そして、自らのスキルである限界突破。
やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。
※小説家になろう様にも投稿しています
知識スキルで異世界らいふ
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ
【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
ザコ魔法使いの僕がダンジョンで1人ぼっち!魔獣に襲われても石化した僕は無敵状態!経験値が溜まり続けて気づいた時には最強魔導士に!?
さかいおさむ
ファンタジー
戦士は【スキル】と呼ばれる能力を持っている。
僕はスキルレベル1のザコ魔法使いだ。
そんな僕がある日、ダンジョン攻略に向かう戦士団に入ることに……
パーティに置いていかれ僕は1人ダンジョンに取り残される。
全身ケガだらけでもう助からないだろう……
諦めたその時、手に入れた宝を装備すると無敵の石化状態に!?
頑張って攻撃してくる魔獣には申し訳ないがダメージは皆無。経験値だけが溜まっていく。
気づけば全魔法がレベル100!?
そろそろ反撃開始してもいいですか?
内気な最強魔法使いの僕が美女たちと冒険しながら人助け!
『ミッドナイトマート 〜異世界コンビニ、ただいま営業中〜』
KAORUwithAI
ファンタジー
深夜0時——街角の小さなコンビニ「ミッドナイトマート」は、異世界と繋がる扉を開く。
日中は普通の客でにぎわう店も、深夜を回ると鎧を着た騎士、魔族の姫、ドラゴンの化身、空飛ぶ商人など、“この世界の住人ではない者たち”が静かにレジへと並び始める。
アルバイト店員・斉藤レンは、バイト先が異世界と繋がっていることに戸惑いながらも、今日もレジに立つ。
「袋いりますか?」「ポイントカードお持ちですか?」——そう、それは異世界相手でも変わらない日常業務。
貯まるのは「ミッドナイトポイントカード(通称ナイポ)」。
集まるのは、どこか訳ありで、ちょっと不器用な異世界の住人たち。
そして、商品一つひとつに込められる、ささやかで温かな物語。
これは、世界の境界を越えて心を繋ぐ、コンビニ接客ファンタジー。
今夜は、どんなお客様が来店されるのでしょう?
※異世界食堂や異世界居酒屋「のぶ」とは
似て非なる物として見て下さい
神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
【最強モブの努力無双】~ゲームで名前も登場しないようなモブに転生したオレ、一途な努力とゲーム知識で最強になる~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
アベル・ヴィアラットは、五歳の時、ベッドから転げ落ちてその拍子に前世の記憶を思い出した。
大人気ゲーム『ヒーローズ・ジャーニー』の世界に転生したアベルは、ゲームの知識を使って全男の子の憧れである“最強”になることを決意する。
そのために努力を続け、順調に強くなっていくアベル。
しかしこの世界にはゲームには無かった知識ばかり。
戦闘もただスキルをブッパすればいいだけのゲームとはまったく違っていた。
「面白いじゃん?」
アベルはめげることなく、辺境最強の父と優しい母に見守られてすくすくと成長していくのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる