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今度こそはじまるハッピーガチャライフ
327. 馬車の中で
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ブンナーに入りたくて入れず立ち往生する人たちを眺めながらどうするべきなのかと考えていると、左…南の方からさらに何台かの馬車が向かって来ていた。商人たちが利用するような馬車じゃなく、ちょっと装飾が豪華な感じからするとちょっとだけ面倒ごとに巻き込まれるんじゃないかと俺はこの場から逃げ出したくなった。
「そこっ 道を塞いで何をやっている!」
馬車の傍で歩いていた鎧を着た人がこちらに近づいて声をかけてきた。ここに集まっていた人たちが少しだけ俺に話してくれたよりは丁寧な口調でさっきと同じことを説明している。俺は耳だけそれに傾けてやってきた馬車の方を眺めていた。
どこかで見たことがある模様が馬車のそこらに描かれている、俺はこれを一体どこで見たのか…全然違うけどジルベスターさんの馬車にもこんなようなのが描かれていたはず。となるとどこかの貴族か?
俺がそんなことを考えている間に話が終わったのかこっちへ話しかけてきた鎧に人が馬車の方へと戻っていった。馬車の扉の所で立ち止まっているし、今聞いた内容を報告しているのだろうか。その様子を眺めていると馬車の窓に引かれている布が動き、さっきの鎧がなぜか俺の方へと向かってくる。
「リョータというのはお前か?」
「…は?」
「ルシア様がお呼びだ馬車の方へまいられよ」
…誰? なんで俺の名前知ってるの。すごい逃げたいんだけども、名前知られているうえで逃げたらますます面倒なことになりそうだよな~
「わ、わかりました?」
鎧の人の後ろについて俺は馬車へと近づいて行った。馬車の扉の前につくとその鎧の人が馬車の扉を開ける。
「連れてきました」
「ああ、中へ入れ」
鎧の人が扉の前をどくと俺の方を見ながら顎をくいっと馬車の方へと動かしている。つまり俺にこの馬車の中へ入れってことらしいけど…確認のために俺は自分の顔を指で示すとうんうんと鎧の人が頷いた。
「しつれいしまーす?」
しぶしぶ馬車の中に入ると乗っていたのは3人。知らない男とメイドとレアナさんだ。メイドとレアナさんが隣同士で座っている。となるとルシアって人はこの男の方になるわけなんだけど…やっぱり知らない人だな。それになんでレアナさんがここへ? 俺が完全に馬車の中に入ると背後の扉が閉められた。
「とりあえず座れ」
座れって…視線を動かしてみるけど開いているのはこの男の隣だけ。多分この男がこの中で一番偉い人だよな? その隣に俺が座る?
「話が進まん。いいから座れ」
「はあ…」
出来るだけ壁によりちょこんと座ることにした。
「それでリョータ、ブンナーはどうなっている?」
「ブンナーはあの森の中ですが…」
「森、ね」
本当にこの人誰なんだ? こんなお貴族様ですって感じの人知らないんだが。男は顎に手を当て何やら考え込んでいる。俺の視界の端ではレアナさんがセンスを口元に当てメイドに近づいている。
「発言の許可のお許しください」
「なんだ? 言ってみろ」
「レアナ様によりますと、こちらのリョータ様はルシア様のことが誰だかわからないのではないか、と」
お…? レアナさんメイドさんとは会話するのか。というか話せるように?
メイドの言葉に男は目を大きく開き瞬きをした。
「そうか。えーと…こう言えばわかるか? こう見えて俺は結構な権力持ちなんだぞっ 今のうちにゴマを擦っておかないか?」
今度は俺が目を大きく開き瞬きをする。その言葉最近俺は確かに聞いている。すぐ横にいる男…ルシアは俺の顔を見てニヤリと笑った。まるでいたずらが成功した子供のように。
「…あっ いて!」
驚いて立ち上がった俺は馬車の壁に頭をぶつけた。
「そこっ 道を塞いで何をやっている!」
馬車の傍で歩いていた鎧を着た人がこちらに近づいて声をかけてきた。ここに集まっていた人たちが少しだけ俺に話してくれたよりは丁寧な口調でさっきと同じことを説明している。俺は耳だけそれに傾けてやってきた馬車の方を眺めていた。
どこかで見たことがある模様が馬車のそこらに描かれている、俺はこれを一体どこで見たのか…全然違うけどジルベスターさんの馬車にもこんなようなのが描かれていたはず。となるとどこかの貴族か?
俺がそんなことを考えている間に話が終わったのかこっちへ話しかけてきた鎧に人が馬車の方へと戻っていった。馬車の扉の所で立ち止まっているし、今聞いた内容を報告しているのだろうか。その様子を眺めていると馬車の窓に引かれている布が動き、さっきの鎧がなぜか俺の方へと向かってくる。
「リョータというのはお前か?」
「…は?」
「ルシア様がお呼びだ馬車の方へまいられよ」
…誰? なんで俺の名前知ってるの。すごい逃げたいんだけども、名前知られているうえで逃げたらますます面倒なことになりそうだよな~
「わ、わかりました?」
鎧の人の後ろについて俺は馬車へと近づいて行った。馬車の扉の前につくとその鎧の人が馬車の扉を開ける。
「連れてきました」
「ああ、中へ入れ」
鎧の人が扉の前をどくと俺の方を見ながら顎をくいっと馬車の方へと動かしている。つまり俺にこの馬車の中へ入れってことらしいけど…確認のために俺は自分の顔を指で示すとうんうんと鎧の人が頷いた。
「しつれいしまーす?」
しぶしぶ馬車の中に入ると乗っていたのは3人。知らない男とメイドとレアナさんだ。メイドとレアナさんが隣同士で座っている。となるとルシアって人はこの男の方になるわけなんだけど…やっぱり知らない人だな。それになんでレアナさんがここへ? 俺が完全に馬車の中に入ると背後の扉が閉められた。
「とりあえず座れ」
座れって…視線を動かしてみるけど開いているのはこの男の隣だけ。多分この男がこの中で一番偉い人だよな? その隣に俺が座る?
「話が進まん。いいから座れ」
「はあ…」
出来るだけ壁によりちょこんと座ることにした。
「それでリョータ、ブンナーはどうなっている?」
「ブンナーはあの森の中ですが…」
「森、ね」
本当にこの人誰なんだ? こんなお貴族様ですって感じの人知らないんだが。男は顎に手を当て何やら考え込んでいる。俺の視界の端ではレアナさんがセンスを口元に当てメイドに近づいている。
「発言の許可のお許しください」
「なんだ? 言ってみろ」
「レアナ様によりますと、こちらのリョータ様はルシア様のことが誰だかわからないのではないか、と」
お…? レアナさんメイドさんとは会話するのか。というか話せるように?
メイドの言葉に男は目を大きく開き瞬きをした。
「そうか。えーと…こう言えばわかるか? こう見えて俺は結構な権力持ちなんだぞっ 今のうちにゴマを擦っておかないか?」
今度は俺が目を大きく開き瞬きをする。その言葉最近俺は確かに聞いている。すぐ横にいる男…ルシアは俺の顔を見てニヤリと笑った。まるでいたずらが成功した子供のように。
「…あっ いて!」
驚いて立ち上がった俺は馬車の壁に頭をぶつけた。
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