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ジエル視点②
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ルーから薬草を受け取り店を出しに行くルーを見送る。それから私は奥の部屋へといってポーション作りを始めた。いつもの行動、いつもの光景。同じことばかりしていて飽きないのかとたまにルーに聞かれるけど、植物たちはこう見えていつも違う顔をしているのだ。
一通りポーションを作り終え私はごろりとベッドに寝転んだ。ポーションを作るのは楽しいけど、実は暇な時間がとても多い。仕方がないので私はルーが帰るまで眠ることにした。
「ジエルただいまー」
うーん…家の中にルーが入ってきたようだ。ということはそろそろ日が暮れる時間。
「あ、もう…ジエルまた寝てたの?」
「ポーションは出来てる、問題はない」
若干呆れた顔をしながら肩をすくめたルーが言葉を続けた。
「ねジエルそのポーションなんだけど、作り方を教えてくれるかな」
「誰に?」
「今外にいるから」
誰? と聞いたのにルーはそれには答えず私の背中を押して扉の前まで連れてきた。その扉を開けた先にはこの間ルーが連れてきた男の子が立っていた。
「…材料まぜて、煮て、スキル使用、こして、詰める以上。これでわからないなら作れないんじゃない?」
「雑!」
「用が済んだら帰ってください。では」
必要な言葉は伝えられたはずだけど、落ち着いて話すことが出来なかった…私は扉を背にして軽く落ち込んでいるとルーにまた呆れた顔をされてしまった。だって仕方がないじゃない…ただでさえ人と話すことに慣れていないんだから。
「おーい。開けてくれ~」
扉から振動が伝わって来てちょっと驚いた。外にいる男の子が扉をどんどんと叩いている。仕方がないのでそっと扉を開けて話を聞いてみるとお礼をくれるという。そんなものはいらない…だけど。男の子が取り出したものを見て私は目を見開く。
「他にもあるけど、なんかいれもんある?」
「ちょっと待って」
なにあれなにあれっ 植物たちの状態がものすごくよい。普通薬草は採取してから運んでくるまでに時間がかかるから状態はあまりよくない。だけど、採取した現地で即ポーションを作ってしまえばとても出来がいい。はっきり言ってそれと変わらない状態といってもいい。私は急いで籠を持ってきて差し出した。
「これでいいかしら?」
「なんとか入るかな」
「…こんなに? いいの?」
「ああ、邪魔になってるから貰ってくれると助かるんだ」
「返せと言われても、もうダメだからね?」
私は嬉しくて顔がにやける。扉を閉めて家の中に入るとそんな私をまたルーが呆れた顔で見ていた。
「ポーション作るのそんなに楽しいの?」
「むっ これの良さがわからない?」
「そうね~ 私が採ってくる薬草よりしなっていないくらいかな~」
ルーは全然わかってない。この植物たちはどれもが根の一つでさえ傷がついていないのだ。とても幸せそうに私は見えている。つまり無理やり引き抜いたわけではないということ。それがどんなにむずかしいのか…あーうん。何言ってるんだろう私。そんなこと普通は出来ることじゃない。
「ねえルー…あの子は何者?」
「私だって聞きたいわよ…色んな事を私たち以上に知らないみたい」
この地に住んでいる人がこの地のことを知らない…? 幼い子供というほどではないだろうに。
「変な子…」
「そうだね」
まあそれはともかく早くこの植物たちをしおれてしまう前に水に入れてあげないとね。ポーションにするのはまた明日にしよう。これだけ傷がないんだからちゃんと水分をあげて日に当ててあげればしばらくもつだろう。私は籠から植物を落とさないように気を付けて奥の部屋へと向かうのだった。
一通りポーションを作り終え私はごろりとベッドに寝転んだ。ポーションを作るのは楽しいけど、実は暇な時間がとても多い。仕方がないので私はルーが帰るまで眠ることにした。
「ジエルただいまー」
うーん…家の中にルーが入ってきたようだ。ということはそろそろ日が暮れる時間。
「あ、もう…ジエルまた寝てたの?」
「ポーションは出来てる、問題はない」
若干呆れた顔をしながら肩をすくめたルーが言葉を続けた。
「ねジエルそのポーションなんだけど、作り方を教えてくれるかな」
「誰に?」
「今外にいるから」
誰? と聞いたのにルーはそれには答えず私の背中を押して扉の前まで連れてきた。その扉を開けた先にはこの間ルーが連れてきた男の子が立っていた。
「…材料まぜて、煮て、スキル使用、こして、詰める以上。これでわからないなら作れないんじゃない?」
「雑!」
「用が済んだら帰ってください。では」
必要な言葉は伝えられたはずだけど、落ち着いて話すことが出来なかった…私は扉を背にして軽く落ち込んでいるとルーにまた呆れた顔をされてしまった。だって仕方がないじゃない…ただでさえ人と話すことに慣れていないんだから。
「おーい。開けてくれ~」
扉から振動が伝わって来てちょっと驚いた。外にいる男の子が扉をどんどんと叩いている。仕方がないのでそっと扉を開けて話を聞いてみるとお礼をくれるという。そんなものはいらない…だけど。男の子が取り出したものを見て私は目を見開く。
「他にもあるけど、なんかいれもんある?」
「ちょっと待って」
なにあれなにあれっ 植物たちの状態がものすごくよい。普通薬草は採取してから運んでくるまでに時間がかかるから状態はあまりよくない。だけど、採取した現地で即ポーションを作ってしまえばとても出来がいい。はっきり言ってそれと変わらない状態といってもいい。私は急いで籠を持ってきて差し出した。
「これでいいかしら?」
「なんとか入るかな」
「…こんなに? いいの?」
「ああ、邪魔になってるから貰ってくれると助かるんだ」
「返せと言われても、もうダメだからね?」
私は嬉しくて顔がにやける。扉を閉めて家の中に入るとそんな私をまたルーが呆れた顔で見ていた。
「ポーション作るのそんなに楽しいの?」
「むっ これの良さがわからない?」
「そうね~ 私が採ってくる薬草よりしなっていないくらいかな~」
ルーは全然わかってない。この植物たちはどれもが根の一つでさえ傷がついていないのだ。とても幸せそうに私は見えている。つまり無理やり引き抜いたわけではないということ。それがどんなにむずかしいのか…あーうん。何言ってるんだろう私。そんなこと普通は出来ることじゃない。
「ねえルー…あの子は何者?」
「私だって聞きたいわよ…色んな事を私たち以上に知らないみたい」
この地に住んでいる人がこの地のことを知らない…? 幼い子供というほどではないだろうに。
「変な子…」
「そうだね」
まあそれはともかく早くこの植物たちをしおれてしまう前に水に入れてあげないとね。ポーションにするのはまた明日にしよう。これだけ傷がないんだからちゃんと水分をあげて日に当ててあげればしばらくもつだろう。私は籠から植物を落とさないように気を付けて奥の部屋へと向かうのだった。
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