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救援

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 調査が始まって1時間が経過。捜索員は1人も戻ってこない。私はゲートを眺め冷や汗をぬぐった。多分数分遅れで出てくるはずだと自分に言い聞かせる。

 1時間半…流石に異常事態が起きたのかもと気がつく。大きくなる心臓の音を聞きながら、一度深呼吸をして上からの指示を仰ぐことにした。

バラバラバラバラ…

 聞きなれた音と強い風がおきたことで私は首を上へと向ける。連絡をして30分、急ぎで救援がヘリコプターでやってきた。あたりに着陸できる場所が無いのでどうやら直接ここへと梯子をおろすようだ。風になびくロープで出来た梯子にぶら下がり人が降りてくる。人数は3人。

「状況に変化は?」
「…ありません」
「そうか」

 あれから誰もまだ出てきていない。

「家主は?」
「一緒に中へ…」
「…安全確認はしたのか?」
「………いえ」
「おいおい。家主を中へ入れるのは中の状態を確認した後だろうが。お前たちの班はいつもこうなのか? そうだとするなら…」
「おい、話は後だ行くぞ」
「ちっ 後で覚悟しておけよ」

 救援にやってきた3人はゲートをくぐって中へと入っていく。私はその場に座り込み震える手を押さえながら祈るのだった。仲間の家主の無事を。だけどその祈りは届くことはなくさらに1時間が経過した。

 目から零れ落ちる涙をこらえながら私は再び上に連絡を取る。家主には悪いことをしてしまったと今更ながら反省する、今まで大した問題がおきなかったから作業短縮のために同時に入るようにしていたのがあだとなったのだ。

カタンッ

 物音がした。私はバッと顔をあげそれを確認する。穴の中からゲートをくぐってきた人物を。
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