たとえばこんな異世界ライフ

第１章 白石直人

７話 ダンジョン

「こんにちはー。」

　二人でギルドのカウンターに向かって挨拶をした。カウンターには今日もアリアが立っていた。

「あら、こんにちは。今日はどんな用事かしら？」
「ランクをEに上げたいから納品したいんだけど。」
「ナオトさんの水、容器に入っていますけど大丈夫ですか？」
「大丈夫よーギルドカードと水だしてね～」

　カウンターの上にペットボトルを１０本置いた。

「んーと。全部納品する？ランク上がるギリギリにしておく？」
「じゃあギリギリで！」
「では8本いただくわね。」

　ギルドカードをアリアに渡すとパネルの上に置いて何やら操作している。依頼書を渡さないから手作業がいるのかもしれない。

「カード返すわね。今すぐにEにするということはダンジョンにいくのかしら？」
「食べ物確保しないとしぬ。」
「あはは、それもそうね。じゃあダンジョンの説明するわねー」

　アリアはダンジョンについて語りだした。

　最初にダンジョンが現れたのは三千年ほどまえのこと。そのダンジョンの最下層には地下都市が広がっていた。住んでいる住人は容姿が特殊で、凶悪な者たちも多くいた。出入りが自由に出来るというのは危険と見られ、外側から封印される。それ以降二百年に一度地下からの侵攻によりダンジョンが出現するようになり、現在は15個のダンジョンが存在している。ヴィータの海底にあるダンジョン『サラキア』は5年ほど前に出来た1番新しいダンジョンである。

「こんなところかな？ダンジョンに入るには封印を解いて入ってもらうわ。そのあと直ぐに再封印に取り掛かるから入り口が消えるまでに入るように。」
「ん？ダンジョンって地下から掘り進められてきたってことだけど…だとするとなんのために？」
「そう、それなのよ！２年ほど前に一人の少年が最下層まで行って戻ってきた噂があるんだけど、もしかするとその子が何か知っているかもしれないの。」

　簡単にダンジョンの説明を受けたあと、最下層の話はひとまず置いておいてクラスタと二人でダンジョン『サラキア』の前にやってきた。

「どう見ても浜辺だけど…」

　辺りを見回してみるとやはり海と砂浜にしか見えない。同じ服装をした人が二人、10歳くらいの少年が一人、ちょっとごつい男が二人、それとこの間あったネネがいたくらいだ。

「そこに柱があるでしょう？」

　よくみると同じ服装をしていた二人の横に柱があった。

「あの二本の柱が封印になっていて、両方にギルドカードを読み込ませると入り口が開くの。一人だと開けられないけど一応門番もいるし最悪開けてくれるわよ。」

　二人で話しているとネネが近づいて来た。

「この間の、初心者？」
「ネネちゃんこんにちは。」
「ネネもダンジョンなのか？」

　静かに頷いている。どうやらダンジョンへいくらしい。

「おねーちゃん、待ってる、から、食糧、調達。」
「おねーさんいるんだ。ちなみに歳いくつ？」

　年上であろうエルフのおねーさんの年齢がきになって聞いてみた。

「おねーちゃん102歳、私、12歳。」
「女性に年齢聞くのはマナー違反ですからね？」
「はい。すみませんっつい…」

　うんエルフはやっぱり長生きのようだ。

「門開いたけど君達はいかないのかい？」

　少年に声をかけられ柱のほうを向く。開いた口が塞がらないとはまさにこのことである。

「う、海が割れてる――？？」

　あまりの事に驚いてその様子を見つめて動きが止まる。

「ナオトさん急がないと門が閉まってしまいます。」
「い～そ～ぐ～。」

　慌てて３人は割れた海の間を走り抜けた。



　中に入るとほんのり明るい水の中のような通路になっていた。先に入った人達はもう先に進んで、今この場には三人しかいない。

「ネネちゃんは進まないのですか？」
「初心者の、ドロップアイテム、興味、ある。」

　あー人によって多少ドロップが違うみたいだから見てみたいって事なのかな…というかこの間のアイテム見たせいか？

「クラスタ、ここの魔物は何がいるの？」
「スライム3種とシザークラブですね。」

　と、話していたら早速魔物が現れた。最初に目の前にいたのはブルースライム。素手で殴る。ドロップアイテムはサイダーと石である。

「おぉ…ほんとに、サイダー、でたっ」
「ネネ飲んだことある？」
「ない…」

　頭を横に振った。ネネにサイダーを渡す。
「飲んで、いいの？」
「いいよ。なんかブルースライム周りにたくさんいるし。」

　周りを見ると丸いのか沢山いた。ほとんど青いのの中に緑と桃色が少しいる。

「ふぁ～、ぱちぱち、しゅわしゅわ、甘い～」

　ネネは目をキラキラさせてサイダーの感想を言っている。どうやら気に入ったようだ。

　さて、他のスライムも確認しておくとするか。

「クラスタ、この他のスライムの名前と基本ドロップは？」
「はい。せっかくなのでナオトさん名前自分で調べて見ましょうか？魔物に鑑定を使うと見れます、試してみてください。」
「……鑑定！気がつかなかった。」

　そういえばスキルの説明みてなかったわ！

　緑色のスライムに鑑定を使う。『グリーンスライムＬｖ３』とでた。

「グリーンスライムか。」
「鑑定のレベルが上がればもう少し詳しい情報が見れるようになりますので、使い続けるといいかもしれません。」
「じゃあ何がドロップするのかな？」
「グリーンスライムは葉物野菜ですねー」

　葉物野菜…キャベツとかレタスとかほうれん草とかか？

「とりあえず殴って見よう。」

　………？これは、メロンとアボカドに見えるが。あとまた石だわ。

「鑑定してみるか。」

　うん、やっぱりメロンとアボカドって出てる。

「葉物野菜でなかったな…」
「メロンはレア物ですよ？アボカド？は初めて見るものです…」
「私、鑑定１０、使う。」

　ネネがアボカドに鑑定を使って確認してくれた。


アボカド
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甘くない果物。森のバターといわれ、マッタリとした舌触り。サラダで食べたり、魚介類と一緒に食べるのがおすすめ。
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「魚介…シザークラブ、狩る、です！」

　ネネはアボカドが食べてみたいといっているみたいだ。