9 / 60
第1章 白石直人
9話 働いた後のご飯が目にしみる
しおりを挟む
「そろそろ、終わりにしよう。ちょっと疲れて来たし。」
「あ、魔力がだいぶ減ってしまったのかもですね。」
「シザークラブ、素手で、やれる、レベル。魔法が、いけない。」
「素手は勘弁。」
残っているアイテムを拾い、ダンジョンの外へ向った。外に出るとすでに日が傾き始めていた。
「君達も引き上げるところかい?」
ダンジョンの入り口であった少年だ。
「ああ、そうだよ。」
「お互い無事でなにより。それではまたどこかで。」
少年は目の前から消えた。
前クラスタが消えたのと同じだな…魔法?スキル?
「さて、どこで食事にしましょうか。」
「あーそうだな。ネネ、おねーさんはどこにいるんだい?」
「『ディメンションウォール』の、中。」
それならすぐ合流できるな。
「じゃあ一度僕の『ディメンションウォール』の中行っていいかな?放り込んだ荷物が散乱してるんだ…」
「そうですね。整理しておきましょうか。」
ネネも頷いたので、三人で『ディメンションウォール』の中へ入って行った。
中は酷い惨状だった。沢山のペットボトル、石、メロン、桃、アボカドにハム。缶詰や魚が足場のないくらい広がっていた。おまけに魚とハムのせいで匂いが気になる。
「これはやばいな……」
「宝の、宝庫?」
絶対違う。
ネネは目を輝かせている。
「まずは何からやりましょうか。」
「そうだな、魚とハムをそれぞれ収納棚に入れよう。」
三人で手分けして棚にしまった。次に残りの物を種類別に小山にした。
「少し…狩りすぎたかもしれませんね。」
「片付いたけど、まだ匂いが残ってるなー」
『クリーニング』
クラスタが唱えた。
「どうですか?匂いだけならとれたはずです。」
「ああぁーそれっ部屋を綺麗にする魔法だったのかっ」
もっとちゃんとステータスをみておこうと改めて実感した。
「もう、おねーちゃん、呼んで、いい?」
「あーいいよ。」
返事を返すとネネは出入り口の隣で『ディメンションウォール』と唱えた。
「初心者も、一緒、きて?一人じゃ、運べない。」
…運ぶ?
「わかった。クラスタちょっと行ってくるね。」
「私はここにいますね。」
二人で『ディメンションウォール』の中へ入って行った。
中に入るとまずは全体を見回してみた。思ったよりも広くはなさそうだ。
6畳くらいか?
「ネネ、『ディメンションウォール』のレベルは?」
「8、だよ。」
8だとこの広さなのが。
「ふむ。ところでおねーさんは?」
「こっち」
ネネが指したほうを見ると扉があった。扉の前に立つとノックした。
「おねーちゃん、入る、よ?」
扉を開けて中に入って行った。一人で残るわけにもいかず、後をついていく。
部屋の中央に床につきそうな緑の髪を垂らした女性が座っていた。ネネはその女性の膝に座り込んだ。
「お帰りなさい~。ネネ。」
「おねーちゃん、仕事、おわり?」
「うん。もう終わったよ~。ところでそちらはどなた~?」
女性は振り返りもせず言葉を投げてきた。
「白石 直人。ナオトといいます。」
女性の前にまわり、軽くお辞儀をした。相手の顔が見える…柔らかく微笑んでいた。
やばい。笑顔が眩しすぎる!
「じゃあナオちゃんね~?私はネネの姉でイレーネ。よろしくね~。」
ますます眩しく感じた。
いやほんと、光ってるんじゃっ
『ビシッ』『ビシッ』、ネネが二人の頭にチョップを入れる。
「おねーちゃん、悩殺スマイル、やめる。初心者は、負けたら、だめ。」
特技が悩殺スマイルというものだったらしい。これは危険なスキルなんじゃ…
「え~。ナオちゃんかわいいからかまいた~い。」
「ぜひお願いし…」
『ビシッ』『ビシッ』再びチョップされる。
「お、し、ま、い。」
ネネの迫力に負けてしまった。
「初心者、おねーちゃん、歩けない、から、運ぶ。ちなみに、目も見えない。」
「え、でもさっきちゃんと視線があった気がしたんだけど。」
「見えないけど見えるのよ~」
「どゆこと?」
イレーネが説明を始めた。
目は生まれつきみえなかったこと。それを補おうと努力した結果まわりの様子がわかるようになり、さらに見えないものまで見えるようになったこと。
「見えないもの?」
「未来よ~。正確には少し違うのだけれど、未来って色んな選択肢の先にあるものでしょ~?その先にある未来が少し見えるの~。」
「おねーちゃんは、これで、仕事、してる。」
「未来予知か。凄い。」
「でもね~見えた未来の内容は教えないの~。知ってしまったら面白くないでしょ~?だから私は先に危険があるかないかだけ、教えてあげるの~。」
と言ったとこで、少し曇った顔をした。
「自分の危険がわかれば…こんなことにはならなかったんだけどな~」
イレーネはスカートをギリギリなラインまで持ち上げた。綺麗な脚があるのかと見ていたら、それは足の先から膝の上まで石になった脚だった。
「目が見えない上に自分のことは見えないから~50年ほど前に魔物がダンジョンから溢れて~逃げれなくて、石化魔法かけられちゃったの~あと100年もしたら心臓に届いちゃうかな~?」
言葉が出なかった。自分の死期を知りつつこんなにも明るく出来るなんて。
「直す事は出来ないのか?」
「出来ないこともないよ~?ただ難しいの~。」
「どうすればいいんだ?」
イレーネは少し考えたあとこういった。
高位の回復魔法を高魔力で使用する。もしくは、石化をかけた者が死ぬ(倒す)。それか、石化をかけた本人に解除してもらう。
「今のところは~無理かな~と~?」
だからネネはダンジョンに行くのか。どの魔物かわからないが可能性にかけて…
「だから、今は、ご飯だよ?おねーちゃん、運んで?」
「ああ、わかった。」
イレーネに手を伸ばし抱きかかえた。いわゆるお姫様抱っこである。
「ナオちゃんが連れて行ってくれるのね~ここらが出るの凄い久しぶり~お礼しないとね~」
「未来予知、する?」
「じゃあお願いしようかな。」
そういうとイレーネは僕の頬を両手で包んだ。少しすると包んでいた手が震えだした。
「イレーネ?」
次の瞬間、イレーネは自分の口を押さえて泣き出した。
「そ、そんなに悪い未来だったのか…っ」
「違い…ます~」
「……?」
「ナオちゃんの未来で私、自分で歩いてた…っ」
それは同時にナオトがイレーネのために行動を起こした証明であった。二人はイレーネが落ち着くまで待つことにした。
「あ、魔力がだいぶ減ってしまったのかもですね。」
「シザークラブ、素手で、やれる、レベル。魔法が、いけない。」
「素手は勘弁。」
残っているアイテムを拾い、ダンジョンの外へ向った。外に出るとすでに日が傾き始めていた。
「君達も引き上げるところかい?」
ダンジョンの入り口であった少年だ。
「ああ、そうだよ。」
「お互い無事でなにより。それではまたどこかで。」
少年は目の前から消えた。
前クラスタが消えたのと同じだな…魔法?スキル?
「さて、どこで食事にしましょうか。」
「あーそうだな。ネネ、おねーさんはどこにいるんだい?」
「『ディメンションウォール』の、中。」
それならすぐ合流できるな。
「じゃあ一度僕の『ディメンションウォール』の中行っていいかな?放り込んだ荷物が散乱してるんだ…」
「そうですね。整理しておきましょうか。」
ネネも頷いたので、三人で『ディメンションウォール』の中へ入って行った。
中は酷い惨状だった。沢山のペットボトル、石、メロン、桃、アボカドにハム。缶詰や魚が足場のないくらい広がっていた。おまけに魚とハムのせいで匂いが気になる。
「これはやばいな……」
「宝の、宝庫?」
絶対違う。
ネネは目を輝かせている。
「まずは何からやりましょうか。」
「そうだな、魚とハムをそれぞれ収納棚に入れよう。」
三人で手分けして棚にしまった。次に残りの物を種類別に小山にした。
「少し…狩りすぎたかもしれませんね。」
「片付いたけど、まだ匂いが残ってるなー」
『クリーニング』
クラスタが唱えた。
「どうですか?匂いだけならとれたはずです。」
「ああぁーそれっ部屋を綺麗にする魔法だったのかっ」
もっとちゃんとステータスをみておこうと改めて実感した。
「もう、おねーちゃん、呼んで、いい?」
「あーいいよ。」
返事を返すとネネは出入り口の隣で『ディメンションウォール』と唱えた。
「初心者も、一緒、きて?一人じゃ、運べない。」
…運ぶ?
「わかった。クラスタちょっと行ってくるね。」
「私はここにいますね。」
二人で『ディメンションウォール』の中へ入って行った。
中に入るとまずは全体を見回してみた。思ったよりも広くはなさそうだ。
6畳くらいか?
「ネネ、『ディメンションウォール』のレベルは?」
「8、だよ。」
8だとこの広さなのが。
「ふむ。ところでおねーさんは?」
「こっち」
ネネが指したほうを見ると扉があった。扉の前に立つとノックした。
「おねーちゃん、入る、よ?」
扉を開けて中に入って行った。一人で残るわけにもいかず、後をついていく。
部屋の中央に床につきそうな緑の髪を垂らした女性が座っていた。ネネはその女性の膝に座り込んだ。
「お帰りなさい~。ネネ。」
「おねーちゃん、仕事、おわり?」
「うん。もう終わったよ~。ところでそちらはどなた~?」
女性は振り返りもせず言葉を投げてきた。
「白石 直人。ナオトといいます。」
女性の前にまわり、軽くお辞儀をした。相手の顔が見える…柔らかく微笑んでいた。
やばい。笑顔が眩しすぎる!
「じゃあナオちゃんね~?私はネネの姉でイレーネ。よろしくね~。」
ますます眩しく感じた。
いやほんと、光ってるんじゃっ
『ビシッ』『ビシッ』、ネネが二人の頭にチョップを入れる。
「おねーちゃん、悩殺スマイル、やめる。初心者は、負けたら、だめ。」
特技が悩殺スマイルというものだったらしい。これは危険なスキルなんじゃ…
「え~。ナオちゃんかわいいからかまいた~い。」
「ぜひお願いし…」
『ビシッ』『ビシッ』再びチョップされる。
「お、し、ま、い。」
ネネの迫力に負けてしまった。
「初心者、おねーちゃん、歩けない、から、運ぶ。ちなみに、目も見えない。」
「え、でもさっきちゃんと視線があった気がしたんだけど。」
「見えないけど見えるのよ~」
「どゆこと?」
イレーネが説明を始めた。
目は生まれつきみえなかったこと。それを補おうと努力した結果まわりの様子がわかるようになり、さらに見えないものまで見えるようになったこと。
「見えないもの?」
「未来よ~。正確には少し違うのだけれど、未来って色んな選択肢の先にあるものでしょ~?その先にある未来が少し見えるの~。」
「おねーちゃんは、これで、仕事、してる。」
「未来予知か。凄い。」
「でもね~見えた未来の内容は教えないの~。知ってしまったら面白くないでしょ~?だから私は先に危険があるかないかだけ、教えてあげるの~。」
と言ったとこで、少し曇った顔をした。
「自分の危険がわかれば…こんなことにはならなかったんだけどな~」
イレーネはスカートをギリギリなラインまで持ち上げた。綺麗な脚があるのかと見ていたら、それは足の先から膝の上まで石になった脚だった。
「目が見えない上に自分のことは見えないから~50年ほど前に魔物がダンジョンから溢れて~逃げれなくて、石化魔法かけられちゃったの~あと100年もしたら心臓に届いちゃうかな~?」
言葉が出なかった。自分の死期を知りつつこんなにも明るく出来るなんて。
「直す事は出来ないのか?」
「出来ないこともないよ~?ただ難しいの~。」
「どうすればいいんだ?」
イレーネは少し考えたあとこういった。
高位の回復魔法を高魔力で使用する。もしくは、石化をかけた者が死ぬ(倒す)。それか、石化をかけた本人に解除してもらう。
「今のところは~無理かな~と~?」
だからネネはダンジョンに行くのか。どの魔物かわからないが可能性にかけて…
「だから、今は、ご飯だよ?おねーちゃん、運んで?」
「ああ、わかった。」
イレーネに手を伸ばし抱きかかえた。いわゆるお姫様抱っこである。
「ナオちゃんが連れて行ってくれるのね~ここらが出るの凄い久しぶり~お礼しないとね~」
「未来予知、する?」
「じゃあお願いしようかな。」
そういうとイレーネは僕の頬を両手で包んだ。少しすると包んでいた手が震えだした。
「イレーネ?」
次の瞬間、イレーネは自分の口を押さえて泣き出した。
「そ、そんなに悪い未来だったのか…っ」
「違い…ます~」
「……?」
「ナオちゃんの未来で私、自分で歩いてた…っ」
それは同時にナオトがイレーネのために行動を起こした証明であった。二人はイレーネが落ち着くまで待つことにした。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
23
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる