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ソロンとモリオと侵入者
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「………」
「………」
表現をするのならばカチーンと氷漬けになったかのように私の動きは止まっている。今いる場所はダンジョンコアが置かれている部屋であり、他に人がいることは今まで一度も無かった出来事だ。つまり今私の目の前にいるソロンは町の中で私に声をかけた瞬間一緒にここまで飛ばされてきてしまったということになる。身動きが取れなくなってしまった私とは裏腹にソロンは部屋の中をキョロキョロと見始めた。
「何だここ…たしかさっきまで……」
「…あっ」
ソロンが喋り出したことで私の氷も解けたみたいで急いで行動に移ることが出来るようになった。このままこの人を自由にしたらだめだっ
「…対象を拘束!」
『ジュダク。センタクタイショウヲコウソク』
「…連れてきちゃったみたいどうすればいい?」
コアに触れながらまずソロンを拘束した。もちろん私の魔力が消費されている。手足だけじゃなく口も拘束されているのかソロンは喋ることも出来ず驚いて私のことを見つめていた。
『ハイジョガサイテキカイデス』
「は、排除?」
『セイメイカツドウノテイシデス』
…なっ いや敵対する人は確かに最終的にそれがいいのだろうけど、この人はまだそんな様子はない。というか即拘束しちゃったからわからない。
「他には?」
『ガイブヘノハイシュツガデキマスガ、キケンヲトモナイマス』
「どんな?」
『ゲンザイチノリュウシュツ、マスターノソンザイノシュウチ』
「…」
なるほどこのままダンジョンの外へと放りだしてもいいけれど、そうするとこの場所を知られてしまうってことね。あとは私のことも広まってしまうかもしれない。この2点が何とか出来るのなら外へと放り出してもいいかもってことよね。
「…じゃあしばらく寝かせて」
『ジュダク。スウジカンホドネムラセマス』
「んぅ-ーーんーーー!?」
少し様子を見ているとソロンは力が抜けたようにぐったりとした。これ…本当に寝てるだけだよね? そっと近づき呼吸をしていることを確認。うん、大丈夫みたい。
「拘束を解除して?」
『ジュダク。コウソクカイジョ』
よっと…うわー私力持ちだわ。こんな大きな人を普通に抱えられる…ただ身長差のせいでちょっと厄介ね。でも運べることが確認できたのでとりあえず下ろしておこう。
落ち着いたところで私は自室で昼食を食べようかな。食堂で買ってきたお弁当の一つで、ライスボール弁当!! よかったこの世界ちゃんとお米があったよ。今日までまだ見たことがなかったから結構うれしい。あんまり外をうろついていないんだから気がつかなくても当たり前って言われるかもだけど、そういうことじゃないんだ。それほど探していないのにすぐに手に入った。うん…いいね。細かい説明は聞かずにかっちゃったけど…ライスボールがご飯じゃないわけがない!
コピーを取ってからちょっとドキドキしながら包みを開いた。中には確かに白くてなんか丸いものが2つほど。それと隙間にちょろっと茹で野菜が入っていた。なるほど…まあ300円ってことだよ。まあ問題は味だよね。
白くて丸いライスボールに恐る恐る手を出し…おっと手をクリーン。仕切りなおして手を伸ばした。
「……っ」
指がペタッと張り付く感触。つまり粘りがあるってことだ。ああ…口の端がつい上がってきちゃう。今日からは串焼きとポメとハクコンだけという食生活からおさらばなのだ!
「…?」
口に運んだライスボールをもぐもぐとしながら私は首を傾げる。よく見たら粒があるようなないような感じ…食感はネチョネチョ…でも味は多分米だ。
「はぁ…」
なんでこんなにベシャベシャなんだろう。もう一つの方は逆に硬め。残念なライスボースだった。まああるだけましだったとあきらめよう。いつかちゃんと自分で調理できるように設備を整えていこう。
昼食を食べ終えたらちょっと眠くなってきちゃったね。でもこのまま寝てしまったら運動不足でブクブクになってしまう。
「んっ」
軽く両頬を叩きダンジョンの中への扉を開いた。軽く食後の運動をしないとね。
扉をくぐった先にいるガーディアンの名前はモリオ。私と変わらないくらいの身長で木で出来たからだをしている。相変わらず向こうから襲ってくることはないけれど、こっちから話しかけたらちゃんと答えてくれる。中々賢い子だ。
「モリオ― 私と鬼ごっこをしようか」
そう声をかけると一番近くにいた子が近くに向かって来て私の前で両腕を合わせ叩き始めた。
「わっ 何今日は私が逃げる方なの?」
ここのところ私が鬼側で逃げるモリオを追いかけて仕留めていた。その逆でこうやって手を叩き始め、10回終わると私を追いかけてくるんだ。まあ捕まるだけで私を攻撃することはない。だけど逃げることによっていい運動にはなる。この叩く音のせいか少しづつ他のモリオも集まり始める。つまり鬼がモリオの時はこの階層のモリオが全部私を追いかけてくる。中々これが忙しい。気配察知も使わないと避けきれない。でも隠密だけは使わない。隠れてしまったらそれは鬼ごっこじゃなくてかくれんぼだ。
「おっと」
とにかく今はここから逃げないと。まだ奥の方にいるモリオには鬼ごっこが始まったことが伝わっていないはず。そっちに向けて私は走り出しだした。
「つ…疲れた~」
1時間ほど逃げ回ったころモリオに捕まり私の部屋の扉の前まで担がれてきた。これでも少しずつ逃げられる時間が伸びてきているんだ。つまりスキルの使い方も私のステータスの運用方法も少しずつ見えてきているってことだね。ステータスが高いからって早く走れば逃げれるわけではないってこと。こればっかりは色んな動きを試して学習していくしかないわけだ。
「じゃあまたねモリオ」
モリオたちと別れ私は部屋の中へと戻る。クリーンで体を綺麗にし、水分代わりにハクコンをかじった。そういえば普通の水分の確保を忘れていたね。このハクコンって言うのが水分量が多くて、辛味も甘みも薄い大根って感じで中々水分として役にたっているもんだからね。
ベッドに腰掛け、ぼんやりとハクコンをかじる。
「……あっ」
すっかりソロンのことを忘れていた。コアルームに放置だったんだっけ。まあとりあえずハクコンを食べてからだけど。
コアルームに移動しソロンの様子を眺める。とりあえずは寝ているみたいだけど、これはいつ起きるのだろうか?
「ねえ、まだしばらく起きないかな?」
『モンダイアリマセン』
だったら大丈夫かな。
「外はまだ日は落ちてない?」
『マモナクニチボツトナリマス』
まだちょっとかかりそうかな。
「じゃあ外が暗くなったら教えてくれるかな」
『ワカリマシタ』
日が落ちるまでまだちょっとかかるみたいだから部屋に戻ろう。ソロンには悪いことしちゃったけど、ここのことを知られるわけにはいかないもんね。ばれてしまったら私の家がなくなってしまうかもしれないんだ。それだけは阻止しなければ。
『ニチボツデス』
頭の中にコアの声が響いた。軽くウトウトとしかけていた私は軽く驚いてベッドから落ちた。別の部屋にいても声が届くのは便利だけれど、タイミングが悪いとあまりよろしくない感じ。
「ぬ~…」
立ち上がってお尻についた誇りを払い落としコアルームへ。
「よっと…」
ソロンを担ぎ上げ引きずらないように気を付ける。
「外に出るわ」
『ジュダク』
視界が切り替わりダンジョンの外へと出た。コアが言っていた通り外はかなり暗くなっていた。まだ足元が見えるレベルなので走ってもそんなに危なくないだろう。私はソロンを担いだまま町へと向けて走り出した。
走りながらこれからのことを考える。町の近くまでは気配察知で人と遭遇しないように気を付ければいいけれど、問題はこれだけ暗いと町の門が開いているかどうか…あとどうやってそこをくぐるか。最悪塀を飛び越えてしまおうか? でも荷物があるから流石に無理がありそう。一人でなら案外飛び越えられそうだけど。どこか木を探して登ったほうがいいかな。
大体の方針を決めたらまずは町にたどり着かないといけないね。ちょっと走る速度をあげようかな。実はどのくらいの速度で走れるか確かめたことがない。こうやって暗くなった外じゃないとそれが試せない。流石にダンジョンの中だけじゃ狭くて無理だもの。
「見えた」
町を囲む塀が見えてきた。門は…うーんやっぱり閉まってるか。じゃあこのまままっすぐ進む意味はないね。塀に沿って大きく迂回をしよう。あ、結構周りに木が生えているところがある。塀までの距離はぼちぼちあるけれど、思ったよりも遠くはない。少し高いところから飛べば距離も稼げるだろうし、なんとかなりそうね。
となれば確実に届きそうな高さの木を探さないとね。
「ん、あれでいいか」
ぱっと見一番高そうな木を見つけた。太い幹を選んで飛び上がって登っていく。こんなことこの世界じゃなかったら出来ないことだよね~ それとも子供だから身軽なのだろうか?
「よっと」
太い幹の一番高いところまでよじ登った。うん、ここからなら塀に移れそう。下がれるだけ下がって軽く助走をつけて勢いよく…ジャンプだ!
「あ…っ」
ちょっと勢い余った! 軽く塀を飛び越えてその向こう側へと体が滑り込んでしまった。もちろんそれならそれでいいんだけど…足場が確認されていない場所に降りることになる。
カーーーンカーーーーンカーーーーーン!!
私の足が地面をとらえる前に大きな音が鳴り響いた。
「な、何?」
気のせいかあちらこちらでいろんな声が上がり始めている。着地した場所場何もない地面だったことにほっとしつつ、ソロンをその場に下ろした。騒がしくなった町が怖くて私はすぐさまミニコアを取り出しその場から脱出するのだった。
後で気がついたのだけど、普通塀を越えて忍び込む何てことは警戒されているものだということを…つまりあの鳴り響いていた音や騒がしくなった人達の声は侵入者に対して向けられていた物。つまり勢い余って塀を飛び越えてしまった私に向けられていた。
私がその犯人だってどこまでばれているのかわからないけれど、ますます町に近づきずらくなってしまった。
「………」
表現をするのならばカチーンと氷漬けになったかのように私の動きは止まっている。今いる場所はダンジョンコアが置かれている部屋であり、他に人がいることは今まで一度も無かった出来事だ。つまり今私の目の前にいるソロンは町の中で私に声をかけた瞬間一緒にここまで飛ばされてきてしまったということになる。身動きが取れなくなってしまった私とは裏腹にソロンは部屋の中をキョロキョロと見始めた。
「何だここ…たしかさっきまで……」
「…あっ」
ソロンが喋り出したことで私の氷も解けたみたいで急いで行動に移ることが出来るようになった。このままこの人を自由にしたらだめだっ
「…対象を拘束!」
『ジュダク。センタクタイショウヲコウソク』
「…連れてきちゃったみたいどうすればいい?」
コアに触れながらまずソロンを拘束した。もちろん私の魔力が消費されている。手足だけじゃなく口も拘束されているのかソロンは喋ることも出来ず驚いて私のことを見つめていた。
『ハイジョガサイテキカイデス』
「は、排除?」
『セイメイカツドウノテイシデス』
…なっ いや敵対する人は確かに最終的にそれがいいのだろうけど、この人はまだそんな様子はない。というか即拘束しちゃったからわからない。
「他には?」
『ガイブヘノハイシュツガデキマスガ、キケンヲトモナイマス』
「どんな?」
『ゲンザイチノリュウシュツ、マスターノソンザイノシュウチ』
「…」
なるほどこのままダンジョンの外へと放りだしてもいいけれど、そうするとこの場所を知られてしまうってことね。あとは私のことも広まってしまうかもしれない。この2点が何とか出来るのなら外へと放り出してもいいかもってことよね。
「…じゃあしばらく寝かせて」
『ジュダク。スウジカンホドネムラセマス』
「んぅ-ーーんーーー!?」
少し様子を見ているとソロンは力が抜けたようにぐったりとした。これ…本当に寝てるだけだよね? そっと近づき呼吸をしていることを確認。うん、大丈夫みたい。
「拘束を解除して?」
『ジュダク。コウソクカイジョ』
よっと…うわー私力持ちだわ。こんな大きな人を普通に抱えられる…ただ身長差のせいでちょっと厄介ね。でも運べることが確認できたのでとりあえず下ろしておこう。
落ち着いたところで私は自室で昼食を食べようかな。食堂で買ってきたお弁当の一つで、ライスボール弁当!! よかったこの世界ちゃんとお米があったよ。今日までまだ見たことがなかったから結構うれしい。あんまり外をうろついていないんだから気がつかなくても当たり前って言われるかもだけど、そういうことじゃないんだ。それほど探していないのにすぐに手に入った。うん…いいね。細かい説明は聞かずにかっちゃったけど…ライスボールがご飯じゃないわけがない!
コピーを取ってからちょっとドキドキしながら包みを開いた。中には確かに白くてなんか丸いものが2つほど。それと隙間にちょろっと茹で野菜が入っていた。なるほど…まあ300円ってことだよ。まあ問題は味だよね。
白くて丸いライスボールに恐る恐る手を出し…おっと手をクリーン。仕切りなおして手を伸ばした。
「……っ」
指がペタッと張り付く感触。つまり粘りがあるってことだ。ああ…口の端がつい上がってきちゃう。今日からは串焼きとポメとハクコンだけという食生活からおさらばなのだ!
「…?」
口に運んだライスボールをもぐもぐとしながら私は首を傾げる。よく見たら粒があるようなないような感じ…食感はネチョネチョ…でも味は多分米だ。
「はぁ…」
なんでこんなにベシャベシャなんだろう。もう一つの方は逆に硬め。残念なライスボースだった。まああるだけましだったとあきらめよう。いつかちゃんと自分で調理できるように設備を整えていこう。
昼食を食べ終えたらちょっと眠くなってきちゃったね。でもこのまま寝てしまったら運動不足でブクブクになってしまう。
「んっ」
軽く両頬を叩きダンジョンの中への扉を開いた。軽く食後の運動をしないとね。
扉をくぐった先にいるガーディアンの名前はモリオ。私と変わらないくらいの身長で木で出来たからだをしている。相変わらず向こうから襲ってくることはないけれど、こっちから話しかけたらちゃんと答えてくれる。中々賢い子だ。
「モリオ― 私と鬼ごっこをしようか」
そう声をかけると一番近くにいた子が近くに向かって来て私の前で両腕を合わせ叩き始めた。
「わっ 何今日は私が逃げる方なの?」
ここのところ私が鬼側で逃げるモリオを追いかけて仕留めていた。その逆でこうやって手を叩き始め、10回終わると私を追いかけてくるんだ。まあ捕まるだけで私を攻撃することはない。だけど逃げることによっていい運動にはなる。この叩く音のせいか少しづつ他のモリオも集まり始める。つまり鬼がモリオの時はこの階層のモリオが全部私を追いかけてくる。中々これが忙しい。気配察知も使わないと避けきれない。でも隠密だけは使わない。隠れてしまったらそれは鬼ごっこじゃなくてかくれんぼだ。
「おっと」
とにかく今はここから逃げないと。まだ奥の方にいるモリオには鬼ごっこが始まったことが伝わっていないはず。そっちに向けて私は走り出しだした。
「つ…疲れた~」
1時間ほど逃げ回ったころモリオに捕まり私の部屋の扉の前まで担がれてきた。これでも少しずつ逃げられる時間が伸びてきているんだ。つまりスキルの使い方も私のステータスの運用方法も少しずつ見えてきているってことだね。ステータスが高いからって早く走れば逃げれるわけではないってこと。こればっかりは色んな動きを試して学習していくしかないわけだ。
「じゃあまたねモリオ」
モリオたちと別れ私は部屋の中へと戻る。クリーンで体を綺麗にし、水分代わりにハクコンをかじった。そういえば普通の水分の確保を忘れていたね。このハクコンって言うのが水分量が多くて、辛味も甘みも薄い大根って感じで中々水分として役にたっているもんだからね。
ベッドに腰掛け、ぼんやりとハクコンをかじる。
「……あっ」
すっかりソロンのことを忘れていた。コアルームに放置だったんだっけ。まあとりあえずハクコンを食べてからだけど。
コアルームに移動しソロンの様子を眺める。とりあえずは寝ているみたいだけど、これはいつ起きるのだろうか?
「ねえ、まだしばらく起きないかな?」
『モンダイアリマセン』
だったら大丈夫かな。
「外はまだ日は落ちてない?」
『マモナクニチボツトナリマス』
まだちょっとかかりそうかな。
「じゃあ外が暗くなったら教えてくれるかな」
『ワカリマシタ』
日が落ちるまでまだちょっとかかるみたいだから部屋に戻ろう。ソロンには悪いことしちゃったけど、ここのことを知られるわけにはいかないもんね。ばれてしまったら私の家がなくなってしまうかもしれないんだ。それだけは阻止しなければ。
『ニチボツデス』
頭の中にコアの声が響いた。軽くウトウトとしかけていた私は軽く驚いてベッドから落ちた。別の部屋にいても声が届くのは便利だけれど、タイミングが悪いとあまりよろしくない感じ。
「ぬ~…」
立ち上がってお尻についた誇りを払い落としコアルームへ。
「よっと…」
ソロンを担ぎ上げ引きずらないように気を付ける。
「外に出るわ」
『ジュダク』
視界が切り替わりダンジョンの外へと出た。コアが言っていた通り外はかなり暗くなっていた。まだ足元が見えるレベルなので走ってもそんなに危なくないだろう。私はソロンを担いだまま町へと向けて走り出した。
走りながらこれからのことを考える。町の近くまでは気配察知で人と遭遇しないように気を付ければいいけれど、問題はこれだけ暗いと町の門が開いているかどうか…あとどうやってそこをくぐるか。最悪塀を飛び越えてしまおうか? でも荷物があるから流石に無理がありそう。一人でなら案外飛び越えられそうだけど。どこか木を探して登ったほうがいいかな。
大体の方針を決めたらまずは町にたどり着かないといけないね。ちょっと走る速度をあげようかな。実はどのくらいの速度で走れるか確かめたことがない。こうやって暗くなった外じゃないとそれが試せない。流石にダンジョンの中だけじゃ狭くて無理だもの。
「見えた」
町を囲む塀が見えてきた。門は…うーんやっぱり閉まってるか。じゃあこのまままっすぐ進む意味はないね。塀に沿って大きく迂回をしよう。あ、結構周りに木が生えているところがある。塀までの距離はぼちぼちあるけれど、思ったよりも遠くはない。少し高いところから飛べば距離も稼げるだろうし、なんとかなりそうね。
となれば確実に届きそうな高さの木を探さないとね。
「ん、あれでいいか」
ぱっと見一番高そうな木を見つけた。太い幹を選んで飛び上がって登っていく。こんなことこの世界じゃなかったら出来ないことだよね~ それとも子供だから身軽なのだろうか?
「よっと」
太い幹の一番高いところまでよじ登った。うん、ここからなら塀に移れそう。下がれるだけ下がって軽く助走をつけて勢いよく…ジャンプだ!
「あ…っ」
ちょっと勢い余った! 軽く塀を飛び越えてその向こう側へと体が滑り込んでしまった。もちろんそれならそれでいいんだけど…足場が確認されていない場所に降りることになる。
カーーーンカーーーーンカーーーーーン!!
私の足が地面をとらえる前に大きな音が鳴り響いた。
「な、何?」
気のせいかあちらこちらでいろんな声が上がり始めている。着地した場所場何もない地面だったことにほっとしつつ、ソロンをその場に下ろした。騒がしくなった町が怖くて私はすぐさまミニコアを取り出しその場から脱出するのだった。
後で気がついたのだけど、普通塀を越えて忍び込む何てことは警戒されているものだということを…つまりあの鳴り響いていた音や騒がしくなった人達の声は侵入者に対して向けられていた物。つまり勢い余って塀を飛び越えてしまった私に向けられていた。
私がその犯人だってどこまでばれているのかわからないけれど、ますます町に近づきずらくなってしまった。
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