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天使様
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目の前に見えるのはそれほど高さに差がない家々の屋根。ところどころから木も突き出して、とてものどかな村に見える。
「いやそうじゃないだろう…」
話し相手がいないからつい自分の言葉に突っ込みを入れる。どういう状況かというとまああれだ。なぜか俺が今いるのは屋根の上ということだ。もちろんここは俺の知らない村である。
「もうちょっとましなところに出してくれよな~」
文句を言いつつゆっくりと俺は立ち上がった。
「おお?」
遠くに見えるのは光の反射でわかりにくいことから多分海があるんだろう。つまり人が住んでいる村があり、森だか林だかがあり、見える範囲に海まであると言うことだ。案外悪くなんじゃないかな?
俺の名前は森村海(もりむらかい)。はいそこー酷い名前だとか適当な名前つけだとか言わないっ 理由は知らないがよくわからん奴にこの世界へ行くように言われてやってきた。というか飛ばされた。ほらあれだよよくある異世界転移ってやつ? まあそれで細かいことは置いておくとして、今俺がいる場所が初めてこの異世界に降り立った場所というわけだよ。な? 文句の一つくらい言いたくなるのもわかるだろう。
「仕方ないか」
文句を言っていても始まらないのでひとまずここから地面へと降りたいと思う。屋根のふちまで行き飛び降りるだけなんだが。幸い1階建て。着地に失敗しなければ危険なことは何もないはずだ。
「よっと」
まあなんというかねそういったことを考えるのがいかんのかフラグってやつ?
「おわっ ちょーまじか!!」
グワッシャ~~ン!! カラカラ…
俺が飛びおりたところに丁度通りかかったやつがいて、それを避けるために慌てて身をよじると大きな音を立てて何かに突っ込んでしまったみたいだ。
「いつ~~~…んー怪我はなさそうかな?」
怪我の確認をした俺が顔をあげるとそこに俺を見下ろす小さな影が。あーあれださっき俺が避けた対象。ちなみに性別はよくわからん。子供ってどっちにでも見えるからな。そいつかじっと俺を見下ろし何か言いたそうな顔をしている。もしかしたら俺が今降りた時に壊してしまったものについて言われるんだろうか?
「て…」
「て?」
手がなんだ? とりあえず俺の手はなんともないが。
「天使様がやってきましたーーーー!」
「…は?」
はあああああああああああああああ!? な、どこ見て言ってんだこいつ。どう見たって俺が天使に見えるわけがないだろうが。だってよく見て見ろよたしかにバイト先からここに飛ばされたから白っぽい服は着ているよ? だけどさ、こんな黒髪の天使だなんて物語でだって聞いた事もないわ!
「えーと…俺が天使?」
「はい、真っ白な衣装にきらきらと輝く銀髪がとても眩しいです」
…誰のことを言っている? もしかして俺のほかに誰かいたりするのか?? 右を見て左を見て裏も上も見るがそんなもんはいない。念のために俺が誰かの上にのっているかもしれないので下もみたけどいないわ。
「話に聞いていた通りです。白い衣装に眩しい銀髪。天使様はこの世界のことを見守ってくれる存在で、自分のお姿すら気にもかけないお方だと。それよりも僕たちの世界のことの方が大事できっと地上に降りてきたら色々と話を聞きたがるんじゃないかと…そうだっ 折角ですから天使様は一度ご自身の姿を見て見ませんか?」
何がこいつに俺が天使だと決めつけているんだ? 目をキラキラとさせ身を乗り出し俺へと近づいてくる。それが気になったので差し出された手を取り後をついていくことにした。すると一つの民家に連れてこられ、桶に汲まれた水を差し出される。あーなるほど鏡は高いとかいうおちか。だからいわゆる水鏡ってことね。
「んー」
その水鏡に映る俺はたしかに白い服を着ていて(これはわかっていたことだ)髪の色は…黒くはないな。銀かどうか聞かれてもわからんが白っぽく見える。そしてその肩越しに羽のような…
「ってなんか背中にくっついてたわ」
さっき屋根から降りたときに突っ込んだ場所に在ったものが俺の背中にくっついてった。多分木材の破片だけどそれが鳥の羽根かのように両肩から覗いていた。邪魔なのでそれを俺は取り払い…
「あああああっ 天使様の羽が…! 羽がっ なんてこと…」
「いやこれは羽じゃ…」
突然泣きだされて俺がおろおろしていると民家の扉が開いた。
「なんだい騒がしいね。ユニ戻って来たのなら仕事しな」
「母さん羽がっ 天使様の羽が~」
「…また天使様かい。ん、あんたは??」
ため息交じりで対応をする女の人が俺に気がついた。
「天使様です!」
「あんたは黙ってな。その様子だとユニが迷惑かけたんじゃないかい?」
迷惑というか…なんだろうなこれは? 苦笑いしか浮かばないわ。でもそんな俺の気持ちがわかったかのように女の人も苦笑いを返してきた。もしかするとこのユニと呼ばれた子はいつもこんな感じなのかもしれない。
「母さん! 天使様は羽を失って空へと帰れなくなったのです。それなのに黙ってなどいられませんっ」
「えー…あーもしかして今日泊まる家とかはあるかい?」
「ないです」
この村へと飛ばされたばかりなので寝る場所どころかお金もない。というかこの女の人はこのユニって子の言葉の解釈大丈夫か? 偶然にもこっちにありがたいように思われたが、毎回こうなるとは思えない。ここは今晩ここでユニから色々話を聞いておいた方がよさそうだ。
「いやそうじゃないだろう…」
話し相手がいないからつい自分の言葉に突っ込みを入れる。どういう状況かというとまああれだ。なぜか俺が今いるのは屋根の上ということだ。もちろんここは俺の知らない村である。
「もうちょっとましなところに出してくれよな~」
文句を言いつつゆっくりと俺は立ち上がった。
「おお?」
遠くに見えるのは光の反射でわかりにくいことから多分海があるんだろう。つまり人が住んでいる村があり、森だか林だかがあり、見える範囲に海まであると言うことだ。案外悪くなんじゃないかな?
俺の名前は森村海(もりむらかい)。はいそこー酷い名前だとか適当な名前つけだとか言わないっ 理由は知らないがよくわからん奴にこの世界へ行くように言われてやってきた。というか飛ばされた。ほらあれだよよくある異世界転移ってやつ? まあそれで細かいことは置いておくとして、今俺がいる場所が初めてこの異世界に降り立った場所というわけだよ。な? 文句の一つくらい言いたくなるのもわかるだろう。
「仕方ないか」
文句を言っていても始まらないのでひとまずここから地面へと降りたいと思う。屋根のふちまで行き飛び降りるだけなんだが。幸い1階建て。着地に失敗しなければ危険なことは何もないはずだ。
「よっと」
まあなんというかねそういったことを考えるのがいかんのかフラグってやつ?
「おわっ ちょーまじか!!」
グワッシャ~~ン!! カラカラ…
俺が飛びおりたところに丁度通りかかったやつがいて、それを避けるために慌てて身をよじると大きな音を立てて何かに突っ込んでしまったみたいだ。
「いつ~~~…んー怪我はなさそうかな?」
怪我の確認をした俺が顔をあげるとそこに俺を見下ろす小さな影が。あーあれださっき俺が避けた対象。ちなみに性別はよくわからん。子供ってどっちにでも見えるからな。そいつかじっと俺を見下ろし何か言いたそうな顔をしている。もしかしたら俺が今降りた時に壊してしまったものについて言われるんだろうか?
「て…」
「て?」
手がなんだ? とりあえず俺の手はなんともないが。
「天使様がやってきましたーーーー!」
「…は?」
はあああああああああああああああ!? な、どこ見て言ってんだこいつ。どう見たって俺が天使に見えるわけがないだろうが。だってよく見て見ろよたしかにバイト先からここに飛ばされたから白っぽい服は着ているよ? だけどさ、こんな黒髪の天使だなんて物語でだって聞いた事もないわ!
「えーと…俺が天使?」
「はい、真っ白な衣装にきらきらと輝く銀髪がとても眩しいです」
…誰のことを言っている? もしかして俺のほかに誰かいたりするのか?? 右を見て左を見て裏も上も見るがそんなもんはいない。念のために俺が誰かの上にのっているかもしれないので下もみたけどいないわ。
「話に聞いていた通りです。白い衣装に眩しい銀髪。天使様はこの世界のことを見守ってくれる存在で、自分のお姿すら気にもかけないお方だと。それよりも僕たちの世界のことの方が大事できっと地上に降りてきたら色々と話を聞きたがるんじゃないかと…そうだっ 折角ですから天使様は一度ご自身の姿を見て見ませんか?」
何がこいつに俺が天使だと決めつけているんだ? 目をキラキラとさせ身を乗り出し俺へと近づいてくる。それが気になったので差し出された手を取り後をついていくことにした。すると一つの民家に連れてこられ、桶に汲まれた水を差し出される。あーなるほど鏡は高いとかいうおちか。だからいわゆる水鏡ってことね。
「んー」
その水鏡に映る俺はたしかに白い服を着ていて(これはわかっていたことだ)髪の色は…黒くはないな。銀かどうか聞かれてもわからんが白っぽく見える。そしてその肩越しに羽のような…
「ってなんか背中にくっついてたわ」
さっき屋根から降りたときに突っ込んだ場所に在ったものが俺の背中にくっついてった。多分木材の破片だけどそれが鳥の羽根かのように両肩から覗いていた。邪魔なのでそれを俺は取り払い…
「あああああっ 天使様の羽が…! 羽がっ なんてこと…」
「いやこれは羽じゃ…」
突然泣きだされて俺がおろおろしていると民家の扉が開いた。
「なんだい騒がしいね。ユニ戻って来たのなら仕事しな」
「母さん羽がっ 天使様の羽が~」
「…また天使様かい。ん、あんたは??」
ため息交じりで対応をする女の人が俺に気がついた。
「天使様です!」
「あんたは黙ってな。その様子だとユニが迷惑かけたんじゃないかい?」
迷惑というか…なんだろうなこれは? 苦笑いしか浮かばないわ。でもそんな俺の気持ちがわかったかのように女の人も苦笑いを返してきた。もしかするとこのユニと呼ばれた子はいつもこんな感じなのかもしれない。
「母さん! 天使様は羽を失って空へと帰れなくなったのです。それなのに黙ってなどいられませんっ」
「えー…あーもしかして今日泊まる家とかはあるかい?」
「ないです」
この村へと飛ばされたばかりなので寝る場所どころかお金もない。というかこの女の人はこのユニって子の言葉の解釈大丈夫か? 偶然にもこっちにありがたいように思われたが、毎回こうなるとは思えない。ここは今晩ここでユニから色々話を聞いておいた方がよさそうだ。
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