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<アラン視点>
もうすぐ、俺の故郷に着く。
あれから、旅は順調に進んでいた。旅は順調だったが……最近、カイの様子がおかしい。
おかしくなったのは、『アイスガルド』の最後の夜からだ。ずっとカイのことを観察しているから、すぐ分かった。しかし、聞き出そうにも、カイは俺のことを避けているようで、話しかけることすらままならない。
…避けられている。あー…、自分で言って悲しい。
何がダメだった?カイのこと見過ぎなのがキモかった?前、カイの好物の食べ物を言い当てたら、若干引かれたしな…。ちなみに、カイの好物は、焼き鳥と黄金酒(ビールみたいな見た目の酒)だ。ちょっと渋いそのチョイスもかわi…おっと、そんな話ではない。
きっと、カイが俺を避けているのには理由がある。もう長いことカイと過ごしてきて、カイが心を開いた相手を理由もなく嫌うことはないと分かっている。
いずれ分かればいい。そう思って話しかけられずにいるが、そろそろカイ不足だ。またあの笑顔で笑いかけられたい。
そんな感じで悶々としているが、もう一つ気になるのは、故郷のことだ。
俺は、あの事件から故郷に帰っていない。
当時は遠くに出かける資金もなく、また早く本物の勇者になりたくて訓練ばかりで帰る余裕がなかった。
今回やっと帰れる。そこで、生き別れた妹の手がかりを探せないかと思っているのだ。魔王を倒す目的には、妹を探すことも含まれていたからだ。
あの、妹が火の中守られていた形跡。誰が、妹を守ってくれたのだろう。
その人が何か知っているかも知れないと、アランは考えていた。
さて、今日はもう夜だ。
皆テントに入って、いよいよ明日には故郷に着くという地点で休んでいる。
寝る前に、カイに話しかければ良かったな…。
アランはそう思いながら、ため息をついて横になった。好きな人に避けられのは辛い…。
ガサリ。
その時、テントの外で物音がして、アランはハッとした。
気配はほぼない。
仲間ではない、誰か?
「──ッ!」
黒い影がテントに映り、アランが飛び起きるのと、何かがアランの上に覆いかぶさったのは同時だった。
グッと喉元に冷たい感触があり、剣を突き立てられたのが分かる。
しかし次の瞬間、アランは目にした光景に驚き、抵抗をしなかった。
──アランの喉元に剣を突き立てようとしているのは、カイだったのだ。
「──カイ?」
*
カイは、急に目の前が真っ白になるのを感じた。
「──カイ?」
誰かが呼んでいる。安心する声だ。
さあっと視界が元に戻り、カイは何かに覆いかぶさるようにしていることに気がついた。
気がつき、そして、手元の剣と目の前の困惑した顔を見て、一瞬で理解する。
──カイは、アランの喉元に自らの剣を突きつけ、今にもトドメを刺そうとしていのだ。
理解した瞬間、カイはカランと剣を取り落として、ヨロヨロと立ち上がった。
何が起こっている?
俺は、さっきまでイーブルの城に居たはずだ。
それで、イーブルから"何か"を言われた瞬間、我を失って──
俺は今、アランを殺そうとしていた?
カイはさっと青ざめると、膝を折って崩れ落ちた。
「…カイ?どうしたんだ?」
アランが今自分の身に起こったことを気にも留めず、カイを心配するように肩に触れる。
バシ!
と思わず、アランの手を払ってしまった。
「ッ、あ」
頭が混乱して、ひどく痛む。アランの顔が見れない。アランが怒っている気がして、顔を上げることすら出来ずに、カイはただ項垂れた。
「…カイ」
「ッおい、どうした?大丈夫か?」
その時、テントの入り口からジャックの声がして、彼がクララと共に心配そうに顔を覗かせた。2人は、放心したようなアランとカイを見て、一気に緊張する。
「…何があったんだ?」
カイは何も答えることが出来ずに、ただ俯いた。
「…いや、何でもないよ。ちょっとカイと話してただけ」
沈黙を破り、アランが静かに言う。ジャックとクララは何か言いたげに顔を見合わせたが、そのあと頷いて、早く寝ろよ~、と軽い調子で声をかけて去っていった。
「………」
何も言わないアランに、カイは黙って震えた。
怒っているだろう…殺されそうになって。
自分は、一体どうしたんだ?
気を抜くと、また剣を手にしそうで怖かった。
これでは、裏切り者のカイ、そのままだ。
俺は、アランを絶対裏切らないと誓ったのに…!
その時、ふわりと何かに包まれるのを感じて、カイは初めて顔を上げた。
アランが、カイを抱きしめていたのだ。
何も言わなかったが、アランの優しい手つきが全てを物語っていた。あんなことをされたのに、アランは壊れ物を触るようにカイに触れたのだ。
──ッ。
カイは目をぎゅっと瞑った。色んな思いが駆け巡ったが、カイは最後までアランを抱きしめ返すことができなかった。
「…ゆっくり休んで。大丈夫だから」
…ごめん。
ごめん、アラン。
カイは何度も謝ろうとしたが、何かにコントロールされたように、一言も口を利くことができずに、その後テントを出た。
カイはそれからほぼ喋らなくなった。
もうすぐ、俺の故郷に着く。
あれから、旅は順調に進んでいた。旅は順調だったが……最近、カイの様子がおかしい。
おかしくなったのは、『アイスガルド』の最後の夜からだ。ずっとカイのことを観察しているから、すぐ分かった。しかし、聞き出そうにも、カイは俺のことを避けているようで、話しかけることすらままならない。
…避けられている。あー…、自分で言って悲しい。
何がダメだった?カイのこと見過ぎなのがキモかった?前、カイの好物の食べ物を言い当てたら、若干引かれたしな…。ちなみに、カイの好物は、焼き鳥と黄金酒(ビールみたいな見た目の酒)だ。ちょっと渋いそのチョイスもかわi…おっと、そんな話ではない。
きっと、カイが俺を避けているのには理由がある。もう長いことカイと過ごしてきて、カイが心を開いた相手を理由もなく嫌うことはないと分かっている。
いずれ分かればいい。そう思って話しかけられずにいるが、そろそろカイ不足だ。またあの笑顔で笑いかけられたい。
そんな感じで悶々としているが、もう一つ気になるのは、故郷のことだ。
俺は、あの事件から故郷に帰っていない。
当時は遠くに出かける資金もなく、また早く本物の勇者になりたくて訓練ばかりで帰る余裕がなかった。
今回やっと帰れる。そこで、生き別れた妹の手がかりを探せないかと思っているのだ。魔王を倒す目的には、妹を探すことも含まれていたからだ。
あの、妹が火の中守られていた形跡。誰が、妹を守ってくれたのだろう。
その人が何か知っているかも知れないと、アランは考えていた。
さて、今日はもう夜だ。
皆テントに入って、いよいよ明日には故郷に着くという地点で休んでいる。
寝る前に、カイに話しかければ良かったな…。
アランはそう思いながら、ため息をついて横になった。好きな人に避けられのは辛い…。
ガサリ。
その時、テントの外で物音がして、アランはハッとした。
気配はほぼない。
仲間ではない、誰か?
「──ッ!」
黒い影がテントに映り、アランが飛び起きるのと、何かがアランの上に覆いかぶさったのは同時だった。
グッと喉元に冷たい感触があり、剣を突き立てられたのが分かる。
しかし次の瞬間、アランは目にした光景に驚き、抵抗をしなかった。
──アランの喉元に剣を突き立てようとしているのは、カイだったのだ。
「──カイ?」
*
カイは、急に目の前が真っ白になるのを感じた。
「──カイ?」
誰かが呼んでいる。安心する声だ。
さあっと視界が元に戻り、カイは何かに覆いかぶさるようにしていることに気がついた。
気がつき、そして、手元の剣と目の前の困惑した顔を見て、一瞬で理解する。
──カイは、アランの喉元に自らの剣を突きつけ、今にもトドメを刺そうとしていのだ。
理解した瞬間、カイはカランと剣を取り落として、ヨロヨロと立ち上がった。
何が起こっている?
俺は、さっきまでイーブルの城に居たはずだ。
それで、イーブルから"何か"を言われた瞬間、我を失って──
俺は今、アランを殺そうとしていた?
カイはさっと青ざめると、膝を折って崩れ落ちた。
「…カイ?どうしたんだ?」
アランが今自分の身に起こったことを気にも留めず、カイを心配するように肩に触れる。
バシ!
と思わず、アランの手を払ってしまった。
「ッ、あ」
頭が混乱して、ひどく痛む。アランの顔が見れない。アランが怒っている気がして、顔を上げることすら出来ずに、カイはただ項垂れた。
「…カイ」
「ッおい、どうした?大丈夫か?」
その時、テントの入り口からジャックの声がして、彼がクララと共に心配そうに顔を覗かせた。2人は、放心したようなアランとカイを見て、一気に緊張する。
「…何があったんだ?」
カイは何も答えることが出来ずに、ただ俯いた。
「…いや、何でもないよ。ちょっとカイと話してただけ」
沈黙を破り、アランが静かに言う。ジャックとクララは何か言いたげに顔を見合わせたが、そのあと頷いて、早く寝ろよ~、と軽い調子で声をかけて去っていった。
「………」
何も言わないアランに、カイは黙って震えた。
怒っているだろう…殺されそうになって。
自分は、一体どうしたんだ?
気を抜くと、また剣を手にしそうで怖かった。
これでは、裏切り者のカイ、そのままだ。
俺は、アランを絶対裏切らないと誓ったのに…!
その時、ふわりと何かに包まれるのを感じて、カイは初めて顔を上げた。
アランが、カイを抱きしめていたのだ。
何も言わなかったが、アランの優しい手つきが全てを物語っていた。あんなことをされたのに、アランは壊れ物を触るようにカイに触れたのだ。
──ッ。
カイは目をぎゅっと瞑った。色んな思いが駆け巡ったが、カイは最後までアランを抱きしめ返すことができなかった。
「…ゆっくり休んで。大丈夫だから」
…ごめん。
ごめん、アラン。
カイは何度も謝ろうとしたが、何かにコントロールされたように、一言も口を利くことができずに、その後テントを出た。
カイはそれからほぼ喋らなくなった。
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