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10.赤い水晶2
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「それは危険じゃ!」
その時、背後から鋭い声が聞こえ、クラウスは文字通り飛び上がった。
「?!ひえっ」
「なんじゃ、人が落ちてきたと思ったら、アンタ何者んじゃね?」
後ろに居たのは老婆だった。燻んだローブに身を包んだ、いかにも魔女といった感じの高齢のお婆さんだった。
老婆は白く濁った目を訝しげに細め、じろじろクラウスを見つめた。
「…すみません。俺はクラウスと言います。魔石山を見たくてここまで来ました」
「…なるほどな、ふむ、クラウス。ワシは、この山に住む魔女じゃ。ま、昔はそれなりに有名じゃったが、名前も忘れたわ。老婆とでも呼んどくれ」
え…この山に住んでる人居たんだ…
老婆はじっとクラウスを見ながらも、少し雰囲気を和らげた。
「さっき軽く怪我したじゃろ。ほれ、治してやる」
老婆はそう言うと、クラウスに近づき治癒魔法をかけてくれる。その治癒魔法は今までで1番強く、クラウスは驚いた。すごい魔女というのは本当らしい。
「…ふむ、アンタ、魔力がないのかね?」
突然聞かれ、クラウスはびびる。
「…分かるんですか?」
「ワシくらい生きとると、他人の魔力量は分かる。…アンタからは魔力を全く感じないし…なんか妙じゃな。まるで──いや、ワシにも分からん。ワシの旧友なら…」
ブツブツと老婆は何やら言っている。
「なんじゃ、アンタ魔法が使えないから、そのクリスタルに触れようとしたのかね?」
「…え、そのクリスタルって…この赤いのですか?いえ…俺は確かに魔法が使えませんが…これが何かも分かりません」
「そのクリスタルは、赤水晶という。これは、”魔力を高める”効果がるのじゃ」
──魔力を高めるクリスタル!これのことか!
「!魔力を高める…」
「そうじゃ。じゃが対価が必要なのじゃ。この赤水晶は──”体力と引き換えに”、魔力を高めるものじゃ」
体力と引き換えに…?不穏な言葉にギクリとする。
だが、説明を聞いてみると、前世のゲームでいう、『HPを消費してMPを増加させる』みたいな効果があるアイテムということか。
「これを持って魔法を使えば、魔力のない人間でも、魔法が使えるようになるじゃろう。じゃが、使うたびに体力が削られる。じゃからワシはこれを危険だと言ったのじゃ。なぜなら、削られた体力は治癒魔法では癒えない。休息すれば癒えるが、魔法を使った対価として無くなる体力の方が多いのじゃ。──つまり、使いすぎると、命を落とす。危険なアイテムなのじゃ」
老婆の目がキラリと光った。
「…アンタ。これは使ったら、最悪命を落とすぞ」
クラウスはびくっとして慌てて頷いた。
…正直、これが欲しい。だって、これがあれば俺も魔法が──
「アンタ、これが欲しいのじゃろ」
「(ギクッ)」
「…なんじゃ、どうしてそこまで魔法を使いたいのじゃ?」
「…俺の容姿がゼトに似ているからです。ゼトは魔力がないと言われている。でも、俺はゼトとはなんの関係もないただの一般人です…魔法が使えれば、その疑惑が晴れると思って…」
老婆はそれを聞くと、その白く濁った目を意味深にクラウスに向ける。
「…確かに、アンタの容姿はゼトの特徴に似ているのう。魔法が使えれば疑惑が晴れると言ったかね?…それは間違っとるよ。ゼト信仰者が作り上げたゼトの伝説は、『堕ちたはずのゼトが復活し、強大な力を目覚めさせ、人々に復讐する』というシナリオじゃ。アンタは魔法を使えるようになっても、今度はゼト信仰者に利用される危険がある」
俺のことをゼト信仰者が利用する…?
「ゼト信仰者たちの組織は、10年前に解体されたと聞きましたが…」
「──残っておる。確実に、邪悪なものが、今もうごめいておる」
老婆が低い声で呟き、クラウスはぞっとした。急に空気が寒くなり、沈黙が訪れる。
ふと、老婆がクラウスをその何を考えているか分からない目でじぃっと見つめてきた。
「アンタみたいな容姿の者は、長く生きてきたワシも見たことがない。おまけに魔力がない人間など、この世界には存在しないはずなんじゃ……──アンタ、何を隠している?」
老婆のまっすぐな目にクラウスは射抜かれ、動けなくなった。
クラウスはカラカラに乾いた口をなんとか動かし、ぎこちなく笑った。
「…記憶喪失で、…俺も自分がどうして魔力がないのか分からないんです」
老婆はしばらくクラウスを見ていると、ふっとしわがれた口元を綻ばせた。
老婆から放たれていた威圧がなくなり、クラウスはほっと息を吐く。
「…なるほどのう。…ま、アンタは大丈夫な人間じゃ。ワシはこう見えても、人を見る目があるでな!アンタがゼトと関係ないと言うんなら、そうなんじゃろ」
ほっほ、と老婆は笑う。
「…疑わないんですか?」
「なんじゃ、アンタ、相当今の生活で苦労したようじゃな。別に疑わんよ。第一、アンタみたいな気の弱そうなんが、大きな事件起こすようにも見えんし」
…気の弱そう…
若干しょげるが、老婆がクラウスを全く疑っていない様子に少し嬉しくなる。
「ま、魔法は使えた方が良いのは同意じゃ。良からぬ者から身を守るためにもな。しかし、この赤水晶を使うのは危険じゃぞ。アンタが命を削ってまで、やるべきことなんて何にもないのじゃから。…アンタはすぐ使いそうで心配じゃ。命削って働くのを厭わなさそうじゃし、寝ないで勉強とかしそうじゃし…云々」
…今、このお婆さん俺のこと社畜みたいって言ってない…?
そんな社畜感が出ていただろうか…
「わ、分かりました、分かりましたから!」
永遠と言っている老婆を慌てて止めた。
「じゃが…使うか使わないかは、最後はアンタが決めるべきじゃろう。この赤水晶は、滅多に見つからない。”使うべき者が来た時、現れる”と言われているのじゃ」
老婆は、クラウスを見て意味ありげに微笑む。
「アンタがここへ来たことは、何か意味のあるものかも知れん。それか、全然意味のないことかも知れん。──ま、確かなことは、アンタは魔法を使うべきだと、赤水晶が判断したということじゃ。赤水晶を使いすぎないこと、それが大事じゃ」
老婆はそう意味深なことを言うと、持っていた杖を掲げる。
「ワシはこの山にいつでもいる。もし助けて欲しかったら、ここへ来るといい。ほれ、帰り道を開けておくから、気をつけて帰るんじゃな」
そのまま、老婆は壁に魔法で穴を開けると、パッと光を放って忽然と姿を消してしまった。
?!
あれは、転移魔法だ。とても高度で、大昔の大魔女しか使えないっていう……え…?
クラウスは、1人空間に立ちすくむ。
目の前には、まだ鈍く光る赤いクリスタルがあった。
少し躊躇した後、クラウスはそれを手に取った。
鈍く光っていたクリスタルは光らなくなったが、依然として赤く澄んだ色をしていた。
それを握りしめ、クラウスは坑道へ戻ろうと歩き始める。
「おう!兄ちゃん!遅かったな」
商人が山の下で待っていてくれた。
商人と2人、馬車に揺られながら、たわいもない会話をする。
ふと、クラウスは、懐の中の赤水晶を握って、もう片方の手を広げた。何回も練習してできなかった、光魔法の初歩、光の小さな玉を出そうとイメージする。
すると、柔らかな小さな光の玉が、クラウスの掌に現れた。
クラウスは目を見開いた。
──これが、魔法…
「おっ、兄ちゃん、光魔法の練習かい?俺は実はこう見えて、かっこいいと言われてる水属性なんだぜ~」
商人がクラウスの出した光の玉を見つめながら笑顔で言っている。
「なぁんか、あったかい感じの魔法だね~」
クラウスは不覚にも視界がぼやけるのを感じながら、頷いた。
初めて使った魔法は、夕闇の中、2人をほのかに照らしていた。
──クラウスはついに魔法を使えるようになった。
*
〈王宮〉
「──陛下、ご報告があります」
王宮での会議中、1人が重々しく口を開けた。
「どうした?」
国王である壮年の男、オスカー・フィルヘイムが青い目を細めた。
「実は、3日前、郊外の小さな町『ボトム』で、盗賊と思われる集団に住人が襲われる事件があったようです。すぐに犯人らは逃走、目的などは分かっておりません」
「…なるほど。その類の事件なら、騎士団管轄でここまで話が来ることは滅多にないが…その事件は、何か他に不可解な点があったということか?」
「…左様でございます。というのも、その事件の被害者たちは、『禁忌魔法を受けた』と証言しているのです。──それも、”あのゼト事件”で使われた類の禁忌魔法です」
”ゼト事件”と聞いた瞬間、その場の空気が一瞬で張り詰めた。
オスカーは、はっとしたように目を見開くと、険しい表情になった。
「”ゼト事件”だと?」
「はい。そして、その報告をしてきた兵士によると、その襲ってきた集団の中には、”黒い髪と目の男”がいた、と」
ざわっと周りの官職者たちに動揺が走る。
皆の頭をかすめたのは、10年前に起きた、あの忌まわしい事件──通称ゼト事件で、先頭に立ち人々を次々に殺めていく、黒い髪と目を持つアイザックの姿だった。
ここにいる皆も、その惨劇を目の当たりにし、国王は自らも大きな傷を負った。愛する妻も亡くして…
「ゼトの再来…」
誰かがボソっと言った言葉が、不気味に静かな空間に響いた。
その時、背後から鋭い声が聞こえ、クラウスは文字通り飛び上がった。
「?!ひえっ」
「なんじゃ、人が落ちてきたと思ったら、アンタ何者んじゃね?」
後ろに居たのは老婆だった。燻んだローブに身を包んだ、いかにも魔女といった感じの高齢のお婆さんだった。
老婆は白く濁った目を訝しげに細め、じろじろクラウスを見つめた。
「…すみません。俺はクラウスと言います。魔石山を見たくてここまで来ました」
「…なるほどな、ふむ、クラウス。ワシは、この山に住む魔女じゃ。ま、昔はそれなりに有名じゃったが、名前も忘れたわ。老婆とでも呼んどくれ」
え…この山に住んでる人居たんだ…
老婆はじっとクラウスを見ながらも、少し雰囲気を和らげた。
「さっき軽く怪我したじゃろ。ほれ、治してやる」
老婆はそう言うと、クラウスに近づき治癒魔法をかけてくれる。その治癒魔法は今までで1番強く、クラウスは驚いた。すごい魔女というのは本当らしい。
「…ふむ、アンタ、魔力がないのかね?」
突然聞かれ、クラウスはびびる。
「…分かるんですか?」
「ワシくらい生きとると、他人の魔力量は分かる。…アンタからは魔力を全く感じないし…なんか妙じゃな。まるで──いや、ワシにも分からん。ワシの旧友なら…」
ブツブツと老婆は何やら言っている。
「なんじゃ、アンタ魔法が使えないから、そのクリスタルに触れようとしたのかね?」
「…え、そのクリスタルって…この赤いのですか?いえ…俺は確かに魔法が使えませんが…これが何かも分かりません」
「そのクリスタルは、赤水晶という。これは、”魔力を高める”効果がるのじゃ」
──魔力を高めるクリスタル!これのことか!
「!魔力を高める…」
「そうじゃ。じゃが対価が必要なのじゃ。この赤水晶は──”体力と引き換えに”、魔力を高めるものじゃ」
体力と引き換えに…?不穏な言葉にギクリとする。
だが、説明を聞いてみると、前世のゲームでいう、『HPを消費してMPを増加させる』みたいな効果があるアイテムということか。
「これを持って魔法を使えば、魔力のない人間でも、魔法が使えるようになるじゃろう。じゃが、使うたびに体力が削られる。じゃからワシはこれを危険だと言ったのじゃ。なぜなら、削られた体力は治癒魔法では癒えない。休息すれば癒えるが、魔法を使った対価として無くなる体力の方が多いのじゃ。──つまり、使いすぎると、命を落とす。危険なアイテムなのじゃ」
老婆の目がキラリと光った。
「…アンタ。これは使ったら、最悪命を落とすぞ」
クラウスはびくっとして慌てて頷いた。
…正直、これが欲しい。だって、これがあれば俺も魔法が──
「アンタ、これが欲しいのじゃろ」
「(ギクッ)」
「…なんじゃ、どうしてそこまで魔法を使いたいのじゃ?」
「…俺の容姿がゼトに似ているからです。ゼトは魔力がないと言われている。でも、俺はゼトとはなんの関係もないただの一般人です…魔法が使えれば、その疑惑が晴れると思って…」
老婆はそれを聞くと、その白く濁った目を意味深にクラウスに向ける。
「…確かに、アンタの容姿はゼトの特徴に似ているのう。魔法が使えれば疑惑が晴れると言ったかね?…それは間違っとるよ。ゼト信仰者が作り上げたゼトの伝説は、『堕ちたはずのゼトが復活し、強大な力を目覚めさせ、人々に復讐する』というシナリオじゃ。アンタは魔法を使えるようになっても、今度はゼト信仰者に利用される危険がある」
俺のことをゼト信仰者が利用する…?
「ゼト信仰者たちの組織は、10年前に解体されたと聞きましたが…」
「──残っておる。確実に、邪悪なものが、今もうごめいておる」
老婆が低い声で呟き、クラウスはぞっとした。急に空気が寒くなり、沈黙が訪れる。
ふと、老婆がクラウスをその何を考えているか分からない目でじぃっと見つめてきた。
「アンタみたいな容姿の者は、長く生きてきたワシも見たことがない。おまけに魔力がない人間など、この世界には存在しないはずなんじゃ……──アンタ、何を隠している?」
老婆のまっすぐな目にクラウスは射抜かれ、動けなくなった。
クラウスはカラカラに乾いた口をなんとか動かし、ぎこちなく笑った。
「…記憶喪失で、…俺も自分がどうして魔力がないのか分からないんです」
老婆はしばらくクラウスを見ていると、ふっとしわがれた口元を綻ばせた。
老婆から放たれていた威圧がなくなり、クラウスはほっと息を吐く。
「…なるほどのう。…ま、アンタは大丈夫な人間じゃ。ワシはこう見えても、人を見る目があるでな!アンタがゼトと関係ないと言うんなら、そうなんじゃろ」
ほっほ、と老婆は笑う。
「…疑わないんですか?」
「なんじゃ、アンタ、相当今の生活で苦労したようじゃな。別に疑わんよ。第一、アンタみたいな気の弱そうなんが、大きな事件起こすようにも見えんし」
…気の弱そう…
若干しょげるが、老婆がクラウスを全く疑っていない様子に少し嬉しくなる。
「ま、魔法は使えた方が良いのは同意じゃ。良からぬ者から身を守るためにもな。しかし、この赤水晶を使うのは危険じゃぞ。アンタが命を削ってまで、やるべきことなんて何にもないのじゃから。…アンタはすぐ使いそうで心配じゃ。命削って働くのを厭わなさそうじゃし、寝ないで勉強とかしそうじゃし…云々」
…今、このお婆さん俺のこと社畜みたいって言ってない…?
そんな社畜感が出ていただろうか…
「わ、分かりました、分かりましたから!」
永遠と言っている老婆を慌てて止めた。
「じゃが…使うか使わないかは、最後はアンタが決めるべきじゃろう。この赤水晶は、滅多に見つからない。”使うべき者が来た時、現れる”と言われているのじゃ」
老婆は、クラウスを見て意味ありげに微笑む。
「アンタがここへ来たことは、何か意味のあるものかも知れん。それか、全然意味のないことかも知れん。──ま、確かなことは、アンタは魔法を使うべきだと、赤水晶が判断したということじゃ。赤水晶を使いすぎないこと、それが大事じゃ」
老婆はそう意味深なことを言うと、持っていた杖を掲げる。
「ワシはこの山にいつでもいる。もし助けて欲しかったら、ここへ来るといい。ほれ、帰り道を開けておくから、気をつけて帰るんじゃな」
そのまま、老婆は壁に魔法で穴を開けると、パッと光を放って忽然と姿を消してしまった。
?!
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目の前には、まだ鈍く光る赤いクリスタルがあった。
少し躊躇した後、クラウスはそれを手に取った。
鈍く光っていたクリスタルは光らなくなったが、依然として赤く澄んだ色をしていた。
それを握りしめ、クラウスは坑道へ戻ろうと歩き始める。
「おう!兄ちゃん!遅かったな」
商人が山の下で待っていてくれた。
商人と2人、馬車に揺られながら、たわいもない会話をする。
ふと、クラウスは、懐の中の赤水晶を握って、もう片方の手を広げた。何回も練習してできなかった、光魔法の初歩、光の小さな玉を出そうとイメージする。
すると、柔らかな小さな光の玉が、クラウスの掌に現れた。
クラウスは目を見開いた。
──これが、魔法…
「おっ、兄ちゃん、光魔法の練習かい?俺は実はこう見えて、かっこいいと言われてる水属性なんだぜ~」
商人がクラウスの出した光の玉を見つめながら笑顔で言っている。
「なぁんか、あったかい感じの魔法だね~」
クラウスは不覚にも視界がぼやけるのを感じながら、頷いた。
初めて使った魔法は、夕闇の中、2人をほのかに照らしていた。
──クラウスはついに魔法を使えるようになった。
*
〈王宮〉
「──陛下、ご報告があります」
王宮での会議中、1人が重々しく口を開けた。
「どうした?」
国王である壮年の男、オスカー・フィルヘイムが青い目を細めた。
「実は、3日前、郊外の小さな町『ボトム』で、盗賊と思われる集団に住人が襲われる事件があったようです。すぐに犯人らは逃走、目的などは分かっておりません」
「…なるほど。その類の事件なら、騎士団管轄でここまで話が来ることは滅多にないが…その事件は、何か他に不可解な点があったということか?」
「…左様でございます。というのも、その事件の被害者たちは、『禁忌魔法を受けた』と証言しているのです。──それも、”あのゼト事件”で使われた類の禁忌魔法です」
”ゼト事件”と聞いた瞬間、その場の空気が一瞬で張り詰めた。
オスカーは、はっとしたように目を見開くと、険しい表情になった。
「”ゼト事件”だと?」
「はい。そして、その報告をしてきた兵士によると、その襲ってきた集団の中には、”黒い髪と目の男”がいた、と」
ざわっと周りの官職者たちに動揺が走る。
皆の頭をかすめたのは、10年前に起きた、あの忌まわしい事件──通称ゼト事件で、先頭に立ち人々を次々に殺めていく、黒い髪と目を持つアイザックの姿だった。
ここにいる皆も、その惨劇を目の当たりにし、国王は自らも大きな傷を負った。愛する妻も亡くして…
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