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第五章【割れた瞳の世界】
第72話 悪魔の饗宴
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【マヒルの日記・五月二十九日】
ゲームクリア条件の1000ポイント稼ぎ。これがなかなか大変です。ポイントが手に入るクエストやボス戦が少ないことが大きな要因でしょうか。限りある時間内で得るのは難しいと思います。
黒猫ちゃんに私がゲームクリア出来なかった場合のことを訊きました。病気の進行、敗北、その他要因が絡んだ時のことです。
何も成し遂げることが出来ないままで終わりたくはありません。もしもの場合に備えて出来ることは何でもしておきたいです。
私は黒猫ちゃんにゲーム招待機能について話を受けました。指定したひとにゲームへの参加をさせることが可能なシステムです。
黒猫ちゃんはミハルをゲームに参加させるのはどうかと言いました。
私はもちろん反対しました。こんな危険なものに巻き込むなんてできないもの。
でも、黒猫ちゃんは言います。この世界にはミハルの中にある怪物を抑え込むための力、特殊なフレームが存在していると。それは運営の手許にあり厳重に保管されているそうです。
あれを手にすることができれば、いざという時ミハルを救うことができるかもしれないと、そう言いました。
でも、それってかなり危険を伴うことだよね。運営のもとから奪うなんて。
でも、いざとなったら……って思う。
んー、やっぱりポイントを1000まで貯めて願いを叶えるのが無難かな……それまで私の体が保てばいいんだけど……。
ま、とにかく頑張るしかないよね。
◇
櫻井創一の変貌。彼はフィニスの複製と同化を果たしたと言った。
「あんた、複製したフィニスと同化することで生きながらえていたのか。それで死をなかったことに」
「ああ、そうだとも。キミに核を植え付ける前に用意しておいたレプリカだ。オリジナルを取り込む前の慣らしといったところだが、これは私に不滅の肉体を与えてくれた。八雲に殺された時、私はこの力で蘇生を果たしたんだ」
黒い波動に包まれた怪人が一歩ずつこちらへと歩み寄る。
「マリスの支配、不死の生命、変幻自在の肉体、これこそがフィニスが持つ人類進化の可能性だ。私はこの力をすべての人間に分け与える。進化した人類は、もう大切なひとを失う悲しみも! 争いによる苦痛を味わうことがなくなるのだ!」
櫻井創一が高らかに宣言し、祈りを捧げるように両腕を天に向ける。
彼の思想も願いもそれは瀆神でしかない。紛い物の理想と狂気に塗れた虚妄。我らを生み出した神への冒涜。
「さぁ、いまこそ世界を賭けた戦いを始めよう……」
フィニスのオリジナルとレプリカが対峙する。
「あんたが夢見る世界は憎しみと悲しみを覆い隠した欺瞞でしかない。嘘偽りで隠した虚構の理想郷だ。多くの犠牲と、憎悪の果てに辿り着くのは破滅でしかない」
壬晴も一歩先を進み、櫻井創一との距離を詰めた。
壬晴の首筋を伝う黒い葉脈じみた侵食痕が陶器に差し込む亀裂のように伸びてゆく。それは神斬刀を握る手にも侵食し、ひび割れた指先から黒い血を滴らせていた。
「だから、そんなあんたの世界は僕が滅ぼしてやる。櫻井創一……あんたは、あんただけは僕が殺してやるよ」
黒い生命力の波動が壬晴の身を包み込む。侵食痕が刻まれた右腕が鎧のような黒く硬い外装に覆われ、顔半分も漆黒の仮面に隠されていく。
フィニスとの不完全な同化。壬晴は内なる悪魔に少しの身を委ねた。
『アア……封印制度サエなけレバ……イマゴロ……クク、ツクヅク邪魔ナものダヨ……』
クツクツと喉奥から響くような嗤い声が聴こえた。
『サア……ヤツを殺セ! 殺セ殺セ殺セェ!! 貴様ニ苦痛ヲ与え、スベテを奪っタ者ヲその手デ葬るノダァ!!』
その声に触発されるように壬晴の口許が凶悪な笑みに歪む。
嗜虐を湛えた眼が櫻井創一だけに注がれていた。奴をぐちゃぐちゃにする光景を脳裏に描きながら、それを今から現実として投影する。
戦闘開始を告げる先手の攻撃は櫻井創一からだった。上腕から伸びた刃を真上に振るい黒い斬撃を飛ばす。斬撃として転用した黒衣に纏う波動は対象を腐食し破壊する効果がある。
『……喰らウナヨ。アレは身ヲ崩壊サセル』
フィニスの助言。この怪物は櫻井創一が繰り出す攻撃の特性を見抜き、壬晴に対処法を示す。
「天穿離界——!」
壬晴は真正面から神斬刀のスキルを発動させて斬撃を相殺させた。
漆黒と黄金の斬撃が交差し消えた瞬間、壬晴はすぐさま接近、櫻井創一に刃を真一文字に薙ぎ振るった。
壬晴の神斬刀を上腕骨から伸びる刃が受け止め、空間一帯に鮮烈な反響音を奏でさせた。しかし、SSRの中でも特異装備たる神斬刀の一撃だ。櫻井創一の方が押し負け、その刃に大きな亀裂を差し込ませていた。
「流石は神斬刀……しかし、あの子が持っていた武器をキミが使うことになるとはな」
「これはマヒルのものだ。アスカのじゃない」
「ふん、そうか……」
壬晴は何度も櫻井創一に攻撃を仕掛け、追い詰めていった。
剣術素人の櫻井では壬晴の猛攻に耐えることはできない。刃が重なる度、欠けて摩耗し彼の身も激しく揺さぶる。
「うぉああああ!!」
裂帛の気合いと共に刃を破砕、返す刃の一撃でその片腕を斬り落とす。
「……むっ」
櫻井の動揺。腕の切断面から黒い血が勢いよく噴出。
追撃の手が止まぬ。壬晴は逆サイドに身を運ばせると、今度は逆袈裟斬りの構えへと移っていた。両腕を機能を奪うつもりである。
迫る壬晴を退かせるため、櫻井は枝分かれした左腕を鞭のようにしならせ四方八方からの攻撃を仕掛けた。
その繊維ひとつひとつに意思が宿っているかのように、軌道は不規則だが統制の取れた動きで壬晴を襲い、全身をズタズタに斬り裂いた。
「くそ……」
踏み込みが浅かったおかげでダメージは擦り傷程度。右腕ほど威力はないが攻撃の速度と範囲が並外れている。いざとなれば細切れにも出来るだろう。
そんな風に思考を巡らしていると、地に落ちた櫻井の右腕が蠕動を見せた。切断面から繊維を伸ばし、糸を紡ぐように元の右腕へ戻った。不死の肉体による再生能力だ。
「天穿離界——」
再生能力を見て、即座に三度目のスキル発動。
神斬刀に光が束ねられ、収束したそれらの力が斬撃となり櫻井へと踊りかかった。
櫻井は咄嗟に再生した腕でガードをするも『天穿離界』は肩口から腰の付け根までを両断、薄皮一枚繋いでいる状態へと変えた。
しかし、手応えがあってもすぐに再生される。
両断した面と面が繋ぎ合わさる。スライムか水銀の類に刃を通しているかのようだ。こちらの攻撃が決定打にならない。
「なぜ理解できない? 私の理想世界が実現さえすればひとはもう何も失うことはないのだ。お前達はその礎となるための供物に過ぎなかった。意思を持ち、生きたいと願うなど……赦されるものではなかったのだ!」
「黙れぇえ!!」
壬晴は櫻井へと接近。神斬刀を振るい刃が激しく衝突し合う。
「この先の未来、人類が迎える理想郷……死と争いのない世界。私が求めるすべてが! 茜と明日香を失わなくても済んだ世界が! もう目の前にあるのだ! 邪魔をするなぁあ!!」
櫻井が壬晴を攻め立てる。激情のままに。
「この世界に満ち溢れた怒りと悲しみを断ち切ることが出来ると言うのだ! もうひとは愚かにも争いを繰り返し、大切なひとを失うことがなくなる! 世に蔓延る悪夢のすべてを消し去ることが出来るのだ! なぜ理解出来ない!? 同じフィニスの力を持つキミが! 他ならぬキミが!」
「黙れ黙れぇえ!! そんな御託など聞くかぁ!! 僕はあんたを赦さない!! 絶対に赦さない!! 死んで詫びろ櫻井創一ぃ!!」
壬晴を押し返し、櫻井は黒い斬撃を何度も飛ばす。
壬晴は『天穿離界』の力を宿した刀身でそれらを弾き、間隙を縫うようにこちらも斬撃を飛ばし、櫻井の左腕を斬り飛ばした。
だが、櫻井に直撃しても即座に再生されるだけだ。
「無駄だと理解しろ。何度繰り返そうが……」
切断面が縫合を始める。そうして元の腕の形へと戻った櫻井が壬晴に次なる攻撃の手を向けた時、斬撃を受けてから復活したはず部位がボロボロに崩れ落ちた。
それはさながら使い古された木炭のように。
「なに……!?」
櫻井が我が身の様を見て驚愕する。
そして壬晴へと視線を変えると彼の腕から伝う黒い波動が刀身にも渦巻いていることがわかった。あれは櫻井が攻撃に含めているものと同じフィニスの破滅の力。先の斬撃に纏わせていたというのか。
「フィニスは破滅の力だ。如何に強力な再生力を持っていようと関係ない。この力はあんたにとって特効性があるようだな」
力を行使した壬晴はその身に宿した『穢れ』の侵食痕を広げ、バキバキと音を鳴らして仮面の領域を伸ばしていった。
「完全同化したあんたと僕じゃフィニスの力に差はあるだろうが、これで充分だ。あんたの命に手が届く」
再生が遮断された。切断面が硬い膜に覆われたように、欠けた腕の修復を拒んでいる。
「まさか……ここまで」
櫻井の誤算。それは壬晴がフィニスの力をコントロールしていたこと。
彼は内なる怪物からその力を自由自在に引き出せるよう意思の疎通を図っていた。フィニスも櫻井の抹殺を企んでいるが故の結託だ。
『櫻井……昔カラオマエのコトが気ニ喰わナカッタ。人間如キのオマエが我の力ヲ好きに使ウナド、度シ難イ屈辱ダッタからナァ……』
フィニスの声は櫻井にも届いている。
「うぉおおお!!」
壬晴は接近を仕掛けていた。有効打を手にしたのなら後は攻め立てるのみ。恐ろしい憎悪の形相が櫻井を殺しにかかっている。
「……図に乗るな……」
壬晴の接近を遠ざけるため、櫻井は指先から黒い雫を垂らし、地面に浸透させた。それは波紋状に拡大し、教会一帯を黒い水面の領域と化す。
『気ヲツケろ……アレハ奴の最大攻撃ダ』
フィニスの言葉から危機を察知。
壬晴の脚元から赤黒い牙型の突起物が次々と飛び出る。
壬晴は反射神経と予測を頼りに次々と突出するそれらを回避。まともに喰らえば串刺しにされる。
絶えず教会内を滑走し追随から逃れるも、範囲が狭くなりゆく領域に逃げ場をなくし、やがて壬晴は牙型の突起物に四方を覆われ顎門の壁に阻まれることとなった。
「死ね……」
櫻井が指令を送る。捕縛した壬晴を内側から串刺しにせんと、内部の壁面から幾多もの針を射出させる。それはさながら拷問器具のアイアンメイデンのように。
「……っ」
悪趣味な処刑に戦闘を見守っていたゼロワンが吐息を漏らす。あれを喰らったら終いだ。誰が見ても明白なこと。
だが、彼女は次の光景に眼を見開いた。
「うぉあああ!!」
顎門が内側から破られ、破片が大きく飛び散る。
壬晴は四度目の『天穿離界』により顎門の障壁を突破したのだ。無事では済まなかったろう。痛ましい裂傷が全身に刻まれている。発動が少しだけ間に合わなかったようだ。
「……なに」
櫻井の驚愕が仮面の奥から漏れる。
「うぉおおお!!」
壬晴は黒い波動に包まれた刀を地面に突き刺し、フィニスの力を流し込んだ。そうして破滅の力が領域を崩壊させる。黒い水面はまるで氷上にハンマーを打たれたように亀裂が差し込み砕き割れた。
「……貴様は、まさか……」
壬晴は止まらない。櫻井を追い詰めようと再び駆け出す。
櫻井が黒い雫を宙に舞わせ、それらを剣山のように射出させて壬晴を迎え撃つ。
だが、壬晴は歯牙にもかけぬ様子でそれらを無理やり掻い潜ると一気に櫻井へと肉薄。神斬刀を上段に振り上げて櫻井を真上から寸断しようとしていた。
「死ねぇええええ!!」
全体重をかけ重く振り下ろされた神斬刀の一撃がガードに転じた櫻井の上腕の刃と重なる。
ありったけの力を刃の一点に集中させるも、神斬刀に束ねられた光の力が櫻井を窮地へと追いやった。まさかの『天穿離界』五度目。生命力が極めて少ない壬晴に出来ることではない。
「まさか……」
櫻井にはフィニスの哄笑が聞こえたようだった。内なる怪物から生命力を供給されている。日中でもないこの環境で、なぜこれほどまでに何度も強力なスキルを発動出来たかのかを思い知らされることになった。
バキバキ、と硬い装甲を砕く音を響かせて神斬刀が櫻井の上腕を刃ごと両断した。
「ぐぅ……!」
仰け反る櫻井の視界の端に、壬晴が掌を向ける光景があった。
手の中央に黒い波動が密集。一瞬だけ景色の色合いが反転すると爆発的な衝撃をその身に受けた。
至近距離で爆破されたようだった。
吹き飛ばされた櫻井は祭壇より奥のスタンドガラスに背中を打ち当てた。硬い装甲に覆われた胸郭が大きく陥没し、内臓が露出していた。夥しい程の血を垂れ流しながら櫻井は力なく項垂れる。
「少しは苦痛を味わったか? だけど、まだまだだ」
近付く容赦のない足音に戦慄を覚えながら櫻井は顔を上げる。
「弟達が味わった苦しみはこんなものじゃない。まだまだ刻み足りない。あんたは、すぐ死んで楽になることも赦さない。無限のような苦痛を味わせてやるぞ……! 許しを乞うても無駄だ。あんたは、もう逃げられない……! この僕からはなぁ……!」
壬晴の顔が嗜虐の色に染まる。ついに追い詰めた因縁の宿敵を前にして壬晴の感情はこの上ない昂りを見せていた。
原型留めないほどに引き裂いて壊してやる、そんな悪意の感情に飲み込まれていた。
「こんな、はすでは……まさか、ここで終わる、のか……私が……こんなところで……」
櫻井が死の間際にか細く呟く。
「いや、だ……終われない……まだ、だ……私は……私は……!」
妄執だけが今の櫻井の生命を繋ぎ止めるものだった。
風前の灯でありながらまだその眼には輝きを失っていない。
「地獄に堕ちろ、櫻井創一……!」
神斬刀の切っ先を喉笛に突き立てる。
そのまま腕を引いて斬り裂いてやろうとした瞬間、教会の戸が開き何者かが現れた。
月夜に照らされて人影が伸びる。視界の隅に入り込むその影に、壬晴は動きを止めてそちらへと見遣った。
「……ミハル……それに……、おとう、さん……?」
櫻井明日香の姿がそこにあった。
酷く怯えた様子で彼女は胸もとで手を握り締めていた。
この光景を前にして彼女は何を思うのか。悪魔と悪魔が醜く殺し合ったこの惨劇を。
ゲームクリア条件の1000ポイント稼ぎ。これがなかなか大変です。ポイントが手に入るクエストやボス戦が少ないことが大きな要因でしょうか。限りある時間内で得るのは難しいと思います。
黒猫ちゃんに私がゲームクリア出来なかった場合のことを訊きました。病気の進行、敗北、その他要因が絡んだ時のことです。
何も成し遂げることが出来ないままで終わりたくはありません。もしもの場合に備えて出来ることは何でもしておきたいです。
私は黒猫ちゃんにゲーム招待機能について話を受けました。指定したひとにゲームへの参加をさせることが可能なシステムです。
黒猫ちゃんはミハルをゲームに参加させるのはどうかと言いました。
私はもちろん反対しました。こんな危険なものに巻き込むなんてできないもの。
でも、黒猫ちゃんは言います。この世界にはミハルの中にある怪物を抑え込むための力、特殊なフレームが存在していると。それは運営の手許にあり厳重に保管されているそうです。
あれを手にすることができれば、いざという時ミハルを救うことができるかもしれないと、そう言いました。
でも、それってかなり危険を伴うことだよね。運営のもとから奪うなんて。
でも、いざとなったら……って思う。
んー、やっぱりポイントを1000まで貯めて願いを叶えるのが無難かな……それまで私の体が保てばいいんだけど……。
ま、とにかく頑張るしかないよね。
◇
櫻井創一の変貌。彼はフィニスの複製と同化を果たしたと言った。
「あんた、複製したフィニスと同化することで生きながらえていたのか。それで死をなかったことに」
「ああ、そうだとも。キミに核を植え付ける前に用意しておいたレプリカだ。オリジナルを取り込む前の慣らしといったところだが、これは私に不滅の肉体を与えてくれた。八雲に殺された時、私はこの力で蘇生を果たしたんだ」
黒い波動に包まれた怪人が一歩ずつこちらへと歩み寄る。
「マリスの支配、不死の生命、変幻自在の肉体、これこそがフィニスが持つ人類進化の可能性だ。私はこの力をすべての人間に分け与える。進化した人類は、もう大切なひとを失う悲しみも! 争いによる苦痛を味わうことがなくなるのだ!」
櫻井創一が高らかに宣言し、祈りを捧げるように両腕を天に向ける。
彼の思想も願いもそれは瀆神でしかない。紛い物の理想と狂気に塗れた虚妄。我らを生み出した神への冒涜。
「さぁ、いまこそ世界を賭けた戦いを始めよう……」
フィニスのオリジナルとレプリカが対峙する。
「あんたが夢見る世界は憎しみと悲しみを覆い隠した欺瞞でしかない。嘘偽りで隠した虚構の理想郷だ。多くの犠牲と、憎悪の果てに辿り着くのは破滅でしかない」
壬晴も一歩先を進み、櫻井創一との距離を詰めた。
壬晴の首筋を伝う黒い葉脈じみた侵食痕が陶器に差し込む亀裂のように伸びてゆく。それは神斬刀を握る手にも侵食し、ひび割れた指先から黒い血を滴らせていた。
「だから、そんなあんたの世界は僕が滅ぼしてやる。櫻井創一……あんたは、あんただけは僕が殺してやるよ」
黒い生命力の波動が壬晴の身を包み込む。侵食痕が刻まれた右腕が鎧のような黒く硬い外装に覆われ、顔半分も漆黒の仮面に隠されていく。
フィニスとの不完全な同化。壬晴は内なる悪魔に少しの身を委ねた。
『アア……封印制度サエなけレバ……イマゴロ……クク、ツクヅク邪魔ナものダヨ……』
クツクツと喉奥から響くような嗤い声が聴こえた。
『サア……ヤツを殺セ! 殺セ殺セ殺セェ!! 貴様ニ苦痛ヲ与え、スベテを奪っタ者ヲその手デ葬るノダァ!!』
その声に触発されるように壬晴の口許が凶悪な笑みに歪む。
嗜虐を湛えた眼が櫻井創一だけに注がれていた。奴をぐちゃぐちゃにする光景を脳裏に描きながら、それを今から現実として投影する。
戦闘開始を告げる先手の攻撃は櫻井創一からだった。上腕から伸びた刃を真上に振るい黒い斬撃を飛ばす。斬撃として転用した黒衣に纏う波動は対象を腐食し破壊する効果がある。
『……喰らウナヨ。アレは身ヲ崩壊サセル』
フィニスの助言。この怪物は櫻井創一が繰り出す攻撃の特性を見抜き、壬晴に対処法を示す。
「天穿離界——!」
壬晴は真正面から神斬刀のスキルを発動させて斬撃を相殺させた。
漆黒と黄金の斬撃が交差し消えた瞬間、壬晴はすぐさま接近、櫻井創一に刃を真一文字に薙ぎ振るった。
壬晴の神斬刀を上腕骨から伸びる刃が受け止め、空間一帯に鮮烈な反響音を奏でさせた。しかし、SSRの中でも特異装備たる神斬刀の一撃だ。櫻井創一の方が押し負け、その刃に大きな亀裂を差し込ませていた。
「流石は神斬刀……しかし、あの子が持っていた武器をキミが使うことになるとはな」
「これはマヒルのものだ。アスカのじゃない」
「ふん、そうか……」
壬晴は何度も櫻井創一に攻撃を仕掛け、追い詰めていった。
剣術素人の櫻井では壬晴の猛攻に耐えることはできない。刃が重なる度、欠けて摩耗し彼の身も激しく揺さぶる。
「うぉああああ!!」
裂帛の気合いと共に刃を破砕、返す刃の一撃でその片腕を斬り落とす。
「……むっ」
櫻井の動揺。腕の切断面から黒い血が勢いよく噴出。
追撃の手が止まぬ。壬晴は逆サイドに身を運ばせると、今度は逆袈裟斬りの構えへと移っていた。両腕を機能を奪うつもりである。
迫る壬晴を退かせるため、櫻井は枝分かれした左腕を鞭のようにしならせ四方八方からの攻撃を仕掛けた。
その繊維ひとつひとつに意思が宿っているかのように、軌道は不規則だが統制の取れた動きで壬晴を襲い、全身をズタズタに斬り裂いた。
「くそ……」
踏み込みが浅かったおかげでダメージは擦り傷程度。右腕ほど威力はないが攻撃の速度と範囲が並外れている。いざとなれば細切れにも出来るだろう。
そんな風に思考を巡らしていると、地に落ちた櫻井の右腕が蠕動を見せた。切断面から繊維を伸ばし、糸を紡ぐように元の右腕へ戻った。不死の肉体による再生能力だ。
「天穿離界——」
再生能力を見て、即座に三度目のスキル発動。
神斬刀に光が束ねられ、収束したそれらの力が斬撃となり櫻井へと踊りかかった。
櫻井は咄嗟に再生した腕でガードをするも『天穿離界』は肩口から腰の付け根までを両断、薄皮一枚繋いでいる状態へと変えた。
しかし、手応えがあってもすぐに再生される。
両断した面と面が繋ぎ合わさる。スライムか水銀の類に刃を通しているかのようだ。こちらの攻撃が決定打にならない。
「なぜ理解できない? 私の理想世界が実現さえすればひとはもう何も失うことはないのだ。お前達はその礎となるための供物に過ぎなかった。意思を持ち、生きたいと願うなど……赦されるものではなかったのだ!」
「黙れぇえ!!」
壬晴は櫻井へと接近。神斬刀を振るい刃が激しく衝突し合う。
「この先の未来、人類が迎える理想郷……死と争いのない世界。私が求めるすべてが! 茜と明日香を失わなくても済んだ世界が! もう目の前にあるのだ! 邪魔をするなぁあ!!」
櫻井が壬晴を攻め立てる。激情のままに。
「この世界に満ち溢れた怒りと悲しみを断ち切ることが出来ると言うのだ! もうひとは愚かにも争いを繰り返し、大切なひとを失うことがなくなる! 世に蔓延る悪夢のすべてを消し去ることが出来るのだ! なぜ理解出来ない!? 同じフィニスの力を持つキミが! 他ならぬキミが!」
「黙れ黙れぇえ!! そんな御託など聞くかぁ!! 僕はあんたを赦さない!! 絶対に赦さない!! 死んで詫びろ櫻井創一ぃ!!」
壬晴を押し返し、櫻井は黒い斬撃を何度も飛ばす。
壬晴は『天穿離界』の力を宿した刀身でそれらを弾き、間隙を縫うようにこちらも斬撃を飛ばし、櫻井の左腕を斬り飛ばした。
だが、櫻井に直撃しても即座に再生されるだけだ。
「無駄だと理解しろ。何度繰り返そうが……」
切断面が縫合を始める。そうして元の腕の形へと戻った櫻井が壬晴に次なる攻撃の手を向けた時、斬撃を受けてから復活したはず部位がボロボロに崩れ落ちた。
それはさながら使い古された木炭のように。
「なに……!?」
櫻井が我が身の様を見て驚愕する。
そして壬晴へと視線を変えると彼の腕から伝う黒い波動が刀身にも渦巻いていることがわかった。あれは櫻井が攻撃に含めているものと同じフィニスの破滅の力。先の斬撃に纏わせていたというのか。
「フィニスは破滅の力だ。如何に強力な再生力を持っていようと関係ない。この力はあんたにとって特効性があるようだな」
力を行使した壬晴はその身に宿した『穢れ』の侵食痕を広げ、バキバキと音を鳴らして仮面の領域を伸ばしていった。
「完全同化したあんたと僕じゃフィニスの力に差はあるだろうが、これで充分だ。あんたの命に手が届く」
再生が遮断された。切断面が硬い膜に覆われたように、欠けた腕の修復を拒んでいる。
「まさか……ここまで」
櫻井の誤算。それは壬晴がフィニスの力をコントロールしていたこと。
彼は内なる怪物からその力を自由自在に引き出せるよう意思の疎通を図っていた。フィニスも櫻井の抹殺を企んでいるが故の結託だ。
『櫻井……昔カラオマエのコトが気ニ喰わナカッタ。人間如キのオマエが我の力ヲ好きに使ウナド、度シ難イ屈辱ダッタからナァ……』
フィニスの声は櫻井にも届いている。
「うぉおおお!!」
壬晴は接近を仕掛けていた。有効打を手にしたのなら後は攻め立てるのみ。恐ろしい憎悪の形相が櫻井を殺しにかかっている。
「……図に乗るな……」
壬晴の接近を遠ざけるため、櫻井は指先から黒い雫を垂らし、地面に浸透させた。それは波紋状に拡大し、教会一帯を黒い水面の領域と化す。
『気ヲツケろ……アレハ奴の最大攻撃ダ』
フィニスの言葉から危機を察知。
壬晴の脚元から赤黒い牙型の突起物が次々と飛び出る。
壬晴は反射神経と予測を頼りに次々と突出するそれらを回避。まともに喰らえば串刺しにされる。
絶えず教会内を滑走し追随から逃れるも、範囲が狭くなりゆく領域に逃げ場をなくし、やがて壬晴は牙型の突起物に四方を覆われ顎門の壁に阻まれることとなった。
「死ね……」
櫻井が指令を送る。捕縛した壬晴を内側から串刺しにせんと、内部の壁面から幾多もの針を射出させる。それはさながら拷問器具のアイアンメイデンのように。
「……っ」
悪趣味な処刑に戦闘を見守っていたゼロワンが吐息を漏らす。あれを喰らったら終いだ。誰が見ても明白なこと。
だが、彼女は次の光景に眼を見開いた。
「うぉあああ!!」
顎門が内側から破られ、破片が大きく飛び散る。
壬晴は四度目の『天穿離界』により顎門の障壁を突破したのだ。無事では済まなかったろう。痛ましい裂傷が全身に刻まれている。発動が少しだけ間に合わなかったようだ。
「……なに」
櫻井の驚愕が仮面の奥から漏れる。
「うぉおおお!!」
壬晴は黒い波動に包まれた刀を地面に突き刺し、フィニスの力を流し込んだ。そうして破滅の力が領域を崩壊させる。黒い水面はまるで氷上にハンマーを打たれたように亀裂が差し込み砕き割れた。
「……貴様は、まさか……」
壬晴は止まらない。櫻井を追い詰めようと再び駆け出す。
櫻井が黒い雫を宙に舞わせ、それらを剣山のように射出させて壬晴を迎え撃つ。
だが、壬晴は歯牙にもかけぬ様子でそれらを無理やり掻い潜ると一気に櫻井へと肉薄。神斬刀を上段に振り上げて櫻井を真上から寸断しようとしていた。
「死ねぇええええ!!」
全体重をかけ重く振り下ろされた神斬刀の一撃がガードに転じた櫻井の上腕の刃と重なる。
ありったけの力を刃の一点に集中させるも、神斬刀に束ねられた光の力が櫻井を窮地へと追いやった。まさかの『天穿離界』五度目。生命力が極めて少ない壬晴に出来ることではない。
「まさか……」
櫻井にはフィニスの哄笑が聞こえたようだった。内なる怪物から生命力を供給されている。日中でもないこの環境で、なぜこれほどまでに何度も強力なスキルを発動出来たかのかを思い知らされることになった。
バキバキ、と硬い装甲を砕く音を響かせて神斬刀が櫻井の上腕を刃ごと両断した。
「ぐぅ……!」
仰け反る櫻井の視界の端に、壬晴が掌を向ける光景があった。
手の中央に黒い波動が密集。一瞬だけ景色の色合いが反転すると爆発的な衝撃をその身に受けた。
至近距離で爆破されたようだった。
吹き飛ばされた櫻井は祭壇より奥のスタンドガラスに背中を打ち当てた。硬い装甲に覆われた胸郭が大きく陥没し、内臓が露出していた。夥しい程の血を垂れ流しながら櫻井は力なく項垂れる。
「少しは苦痛を味わったか? だけど、まだまだだ」
近付く容赦のない足音に戦慄を覚えながら櫻井は顔を上げる。
「弟達が味わった苦しみはこんなものじゃない。まだまだ刻み足りない。あんたは、すぐ死んで楽になることも赦さない。無限のような苦痛を味わせてやるぞ……! 許しを乞うても無駄だ。あんたは、もう逃げられない……! この僕からはなぁ……!」
壬晴の顔が嗜虐の色に染まる。ついに追い詰めた因縁の宿敵を前にして壬晴の感情はこの上ない昂りを見せていた。
原型留めないほどに引き裂いて壊してやる、そんな悪意の感情に飲み込まれていた。
「こんな、はすでは……まさか、ここで終わる、のか……私が……こんなところで……」
櫻井が死の間際にか細く呟く。
「いや、だ……終われない……まだ、だ……私は……私は……!」
妄執だけが今の櫻井の生命を繋ぎ止めるものだった。
風前の灯でありながらまだその眼には輝きを失っていない。
「地獄に堕ちろ、櫻井創一……!」
神斬刀の切っ先を喉笛に突き立てる。
そのまま腕を引いて斬り裂いてやろうとした瞬間、教会の戸が開き何者かが現れた。
月夜に照らされて人影が伸びる。視界の隅に入り込むその影に、壬晴は動きを止めてそちらへと見遣った。
「……ミハル……それに……、おとう、さん……?」
櫻井明日香の姿がそこにあった。
酷く怯えた様子で彼女は胸もとで手を握り締めていた。
この光景を前にして彼女は何を思うのか。悪魔と悪魔が醜く殺し合ったこの惨劇を。
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