【完結】愛を刻んで

さか様

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学生編 1年生

愛日

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初めて体を重ねてから、2人は少しずつお互いの時間も積み重ねていった。

蓮は出掛けるとき、鍵をちゃんとかけるようになったし、机の上に無造作に置いていたゴムもきちんとしまうようになった。

「……セフレは、全部切ったから。もうやり取りはしてなかったけど、時間かかってごめんね?」

そう言って蓮はが随分と減ったメッセージアプリの画面を見せた。

優真は少し驚いたあと、蓮の引き締まった胸に顔を埋めた。ちょっと泣いてしまったのは秘密にした。

それから休日に映画を観たり、知らない街を歩いたりもした。

優真はヘルメットを買ってもらい、蓮のバイクの後ろに乗った。
バイクで風を切るのがとても爽快なことを初めて知った。掴まるのを口実に大きな背中に抱きつけるのはなんともいえない優越感があった。

夏祭り、蓮は甘いクレープを嬉しそうに食べて、優真に意外ですね、と笑われた。
あげる、と蓮はクリームを優真の鼻につけてやった。
その時の打ち上げ花火も、花火を見る優真の横顔もとても綺麗だった。

秋、はしゃいで夜景を眺める優真の可愛いおでこにキスをした。
恥ずかしさと驚きで顔を手で覆った優真、蓮はその手に自身の手を絡めて抱きしめた。

そしてどの夜も、ほとんど毎日どちらかの部屋で愛を確かめた。時に激しく、時に甘く。

――

そうして出会った春から夏になり、秋を経て冬になった。

窓の外では白い息が風にさらわれていく。
短い日差しはあたたかく、身を寄せ合うとちょうどよかった。

優真は蓮の部屋にいた。
こたつから顔だけ出して、まるで猫みたいに蓮にぴったりくっついている。

「ねぇ蓮さん…アイス食べたいんですけど」

コンビニで買ったアイスをせがまれて、包みを開ける。

「はいはい、チョコのほうね~」

どうぞ、と包みを開け優真の口にアイスを咥えさせる。

「ありがとう蓮さん!はい、お礼」

冷たく甘い口づけに、二人で笑う。

蓮は胸の奥でふと、思う。
(……悪くないな)

「ほら、優真。イルミネーション、支度して見に行くんだろ?」

「ん、おれ鍵かけますね!」

優真はポケットの中の合鍵を確かめるように触る。
それはクリスマスに蓮から何あげたらいいかわかんないから、ともらったものだった。

鍵をかけてふたり並んで部屋を出た。

――

夜、街路樹に巻きついた光が夜空を白く照らしている。

優真は寒さも忘れたように立ち止まり、目を輝かせた。

「わぁ……きれいですね!」

その横顔を、蓮はふと見つめる。
光に照らされた頬やまつげに一瞬、目を奪われた。

「……あー、見惚れてたわ」

優真に、と小さく付け加える。

「またそうやって!」

優真は寒さで赤くなった鼻をすんとすすりながら抗議する。しかしそれは随分と柔らかい反応になっていた。

蓮はそういえばと続けた。

「怒んなくなったよね、最近」

それに対し優真は白い息を吐いてから口を開く。

「…からかってないのは、もう分かりましたから…」

「……んー、やっと伝わった感じだ」

「いやいや?!
あんだけ何回も言われたらもう諦めの境地ですよ?!?!」

諦めてんのかよ、と蓮は恋人の可愛い変化を喜ぶように優真の頭をくしゃりと撫でた。

「ほんと、優真とこうして過ごせて嬉しいよ俺は。
こういうのもね、ちゃんと言ったほうがいいって思ってるから」

優真は街路樹の光に揺れる二人の影を見つめながら、ぽつりと漏らした。

「……おれもです!!
おれのほうが先にそう思ってましたからっ!」

言ったあと、頬は赤い。寒さなのか照れなのか知るすべはないが、そのまま真っすぐ蓮の瞳を見つめ返す。

蓮は一瞬、驚いたように瞬きをして、それからゆっくり笑った。

「……はは、ちゃんと聞けてよかった」

二人の白い息が夜空に溶け、イルミネーションの光の中で寄り添う影は、揺れることなく並んでいた。
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